ゴッド(創星主?)ミーツガールが最終的におねショタに帰結したのが素晴らしかったです。
警察署の会議室にて、鈴とその両親が椅子に腰かけ、少し距離を取って九頭が、その向かい側に警察の人間が座っている。
無事の再会を喜び合う親子の抱擁があったのち、それぞれの自己紹介を経て警察から事件の説明が九頭の補足を受けつつ始まった。
誘拐事件とだけ聞かされていた両親は、犯人グループがおそらく邪神崇拝の邪教徒であり、娘が儀式の生贄としてさらわれたことについては驚愕したものの受け入れていた。
しかし、本当に邪神が召喚され、あとから喚ばれた破壊神によって娘が助けられたこと、ヤタガラスホテルグループの正体、この世界の悪魔関連の真実はすんなりとは受け取れきれなかったようだ。
警察の説明に対して娘が真剣な様子で聴いていたことと、大人としての良識から頭ごなしに否定して激昂するようなことはなかったが、明らかに受け止めきれていない。
一度に処理しきれない情報をぶつけられて脳内CPUがオーバーヒート気味の両親を見て、説明役の警察官は会議室の扉の方向に声をかける。
「では、実際に悪魔を見ていただきましょうか。鈴さんを助けていただいた破壊神マグ=メヌエクさんです。お入りください」
「うむ」
「失礼します」
扉が開き、破壊神とヤタガラスの人間とコマイヌが入ってくる。悪魔を知らなかった人間に悪魔のことを理解してもらうためには、ヤタガラスの人間がピクシーやコロポックルなどの妖精といった見た目の威圧感がなく、おとぎ話などで認知度があり、人間とコミュニケーションがとりやすい悪魔を出し、実際に魔法などを見せてもらうことが多い。
今回は阿座斗鈴が両親への破壊神マグ=メヌエクの紹介を望んだこと、彼が彼女を助けたこと、破壊神の見た目が珍妙ではあるが邪悪なものではないこと、彼が協力的な態度であることを踏まえて顔合わせを兼ねて破壊神に悪魔の実例となってもらうことになった。
そのため少し前から1人と1柱と1匹は会議室前で呼ばれるタイミングを待っていた。そのまま1人と1柱はテーブルを挟んで鈴と両親の反対側に着席する。コマイヌは後方で睨みを利かせている。
お互いに自己紹介を済ませ、親が意を決した表情で破壊神に語りかける。
「この度は娘を助けていただきありがとうございます」
「うむ。神として幼子の助けを聞き届けるのは吝かではない……」
「どう見ても作り物には見えないし、言語を通じて高いレベルでコミュニケーションが成立している……本当に『悪魔』が存在するんですね」
その時、会議室の扉がノックされる。扉が開くと職員が入室してきて、各自にお茶やコーヒー、ココアなど飲み物のお代わりが配られる。何故か破壊神のコーヒーは子供用と間違えられたのかカフェオレになっていた。
彼はカフェオレに角砂糖を何個もボチャボチャと投入すると、角砂糖のカフェオレ浸しを啜る。
「先ほどのコーヒーに家畜の乳を加えたもの……その乳脂肪分とタンパク質がコーヒーの覚醒成分の吸収を更に惹起する……」
カフェインとミルクの栄養が何らかの化学反応を起こしたのか、前にもまして破壊神の眼球が光り始める。
「皆さんももう悪魔の実在は疑っていないと思いますが、わかりやすい形でここはひとつ『魔法』でも実演してもらえないでしょうか」
警察官が未だ眼球から光を放射し続けるのをスルーしながら語りかける。
「見せるのは構わんが我の権能は破滅的なものが多い……ここは有名な
取り調べ担当官との語らいで、元の宇宙とこの宇宙の表向きの文化や文明に差異がないことを確認していた彼は、己の口に手を突っ込むとかつて信者が供物として捧げた自分を模した石像や財宝を取り出していく。
一同は明らかに破壊神本人よりも大きい物品が取り出されるのを驚いて見ていた。禍々しいオーラを感じる剣を取り出そうとしたところで、警察官が慌てて止める。
「ありがとうございます。もう大丈夫です。というか、あの猫型ロボットを知っているんですね……」
「元の宇宙と此処の宇宙は共通点も多いようだからな」
「あの、元の宇宙とは?」
「ああ、では次は一般的な悪魔事情ではなく、マグ=メヌエクさんの個別の事情を説明いたします」
ヤタガラスの人間から、まだ確定していないとの前置きをしたのち、別宇宙の存在であること、召喚の原因、これからについて説明がなされる。
説明が一通り終わり、説明者が飲み物で喉を潤していると、鈴がおずおず発言する。
「あの、お礼としてマグ様に誕生会に参加してもらうことは可能ですか?」
「ええ、さすがに監視として1人付けますが可能です」
「お父さん、お母さん、いいかな?」
「もちろん。娘の命の恩人なんだから歓迎させてもらおう」
そう父親が答えると、母親がいい考えを思いついたという顔で提案する。
「じゃあ、九頭さんにも監視の人の代わりとして参加していただくのはどうでしょう?娘と悪魔さんを発見していただいたのも九頭さんですし、信頼のあるデビルサマナー?なんですよね?」
「ええ。お招きいただけるのはありがたいですが、どうかな?」
九頭が行政側を見ると、警察とヤタガラスの人間の間で二言三言交わされ、ヤタガラスの人間が電話で報告を行う。
「許可が取れました。問題ありません」
「それじゃあお邪魔しようかな。本当にいいんですね?」
「歓迎しますよ。鈴もいいよな?」
「うん。九頭さん、またウサギのルイスさんに会わせてもらえますか?」
どうやらルイスを撫でられなかったことが心残りのようだ。
「ああ、いいとも。アイツはキャラ付けで人参を食べることが多いが、一番の好物はワニ肉だ。万が一あったら出してやってくれ」
「鈴よ……我が招かれたからには生涯忘れられない生誕祭としてやろう……」
「では、残りの話を片付けてしまいましょうか」
その後、守秘義務に関してやヤタガラスと警察でそれぞれ対応してくれること、後日何かあった場合の相談窓口についての説明が行われる。
そろそろお互いに説明することも質問することも終わりという空気になった時、会議室の扉がノックされ、少し慌てた様子でヤタガラスの人間が入ってくる。
「申し訳ありません。こちらの画面を見ていただけるでしょうか」
一同にタブレットの画面を見せてくる。
「こちらは鈴さんの霊的な力を解析して可視化したもので、ゲームのステータス画面のようなものとでも思ってください。で、ここに注目してほしいのです」
タブレットを操作し、一部内容を拡大して表示する。そこには以下のようなことが移されていた。
【破壊神の第一使徒(半覚醒者) 阿座斗 鈴 Lv5】
スキル:【破壊神の加護】
・破壊神の加護:
「鈴さんには来てもらった当初に呪いや魅了、洗脳などのマイナス方面の分析はしたんですが、そちらについては異常なしでした。申し訳ありません。未知の悪魔ということでそちらにばかり注力してしまって」
「おかしいな。俺が2人を見つけたとき、念のために鈴ちゃんも解析したんだが、そんなスキルはなかったぞ」
九頭が口を挟む。
「ええ。こちらも念のために情報系術者に詳しく解析してもらって分かった結果です」
「中堅サマナーがただ解析アプリを走らせるだけじゃ認識できないような、隠れパッシブスキルとでもいうやつかい?」
「ゲーム的に表現するならそうでしょうね」
「これはさっきまで話してたようにはいかないぞ……」
悪魔関係者たちがやや険しい表情で話し合う。
「でも、加護ってことはそんなに悪いものじゃないですよね?内容もマイナスなことが書かれてるようには見えませんが……」
逆につい先日までは悪魔のことを知らなかった側は、事態が呑み込めていない。
「ええ、加護は与えられた人間にとって基本的にはプラスになるものです。しかし、一つの加護、しかも神とはいえこれだけレベルの低い存在からの加護で、これだけ有用で多彩なのはほぼあり得ない」
「俺もここまでのものは見たことがないな」
「知られたらこれだけで眼をつけられるレベルです」
「これだけとは?」
彼らの剣呑な雰囲気に当てられて、阿座斗家の面々も不安げになってきている。
「鈴さんの名前が書いてある欄に注目してください。半覚醒者でレベル5とあります。これはもう既に一般人の領域を踏み出しかけている」
「特殊な生まれや超能力者でもないのにこの歳でこのレベルは非常に目立ちます」
「君はこのような現象に心当たりはあるかな?」
ヤタガラスの人間が、この世界の能力者事情に詳しくないためカフェオレを啜りつつ事態を静観していた破壊神に向かって問う。
「我はニンゲン共が祈りと供物を捧げるのを対価に、我が破滅の権能を振るっていたまでだ……」
「君の能力を貸すみたいなことはできないと?」
「我が権能は矮小なるヒトの身で扱いきれるものではないため、力を授けるということはしたことがない」
「ということは供物を捧げ、対価を得るというプロセスがこの世界の法則に影響されて神と信徒の契約とみなされたということかな。肩書きに第一使徒とあるように、何でも『初の』というのは特別視されやすい」
「おそらくレベルが上がったのは、加護の影響と極限状況による潜在能力の解放と思われます」
「む、娘は大丈夫なんでしょうか?」
親が不安げに問う。
「この加護を看破できる者からしたら、鈴さんとマグさんは是非とも引き入れたい逸材でしょう」
「それに鈴ちゃんには戦うすべがない。レベルだけ高い素人は、この業界だと悪魔やダークサマナーのいいカモになっちまうな」
九頭がフリーのサマナーの視点から意見を述べる。
「これならばレベルが1か2で、加護がない方がよっぽど平穏に暮らせるでしょう」
「かといって呪いなどと違ってプラスのものは剥がしにくいです。この場合は本人もどうやって授けたか分かっていないようなので尚更です」
「娘はこれから一生悪魔などの脅威に怯えて生きていかねばならないんですか!?」
両親は悲痛な表情で問う。
「案ずるな。我にとってニンゲンの一生など一睡の夢に等しい。我が信徒に迫る全ての悪意より庇護してみせよう」
破壊神はそう厳かに宣言する。彼は表に出してはいなかったが、少女を自らの信徒としたことにより過ぎた力を与えてしまったことに上位存在としての責任を感じていた。
「ヤタガラスとしても後ろ盾になります。鈴さんが希望するのであれば、自衛する力をつけるための修練場や装備や護身アイテムなどの販売店の紹介も可能です」
「まだ混乱していると思いますし、マグさんの身元証明も完了しておりません。数週間は警護をつけられますので、その間で考えていただければ……」
「い、いえ。私は……」
少女が不安のためか震えながらも何か決意した表情で発言する。
「なんだい?別に急いで決断する必要はないんだ。これから誕生会もあるんだし、そっちで気分転換してからでも遅くはないんだよ」
「あの、私のことがなければマグ様は子分を増やすために活動するはずだったんですよね?」
「正しくは信徒であるが……気に病む必要はない、このまま貴様を捨て置いて『助けた』などとは口が裂けても言えぬ」
「具体的には何をするつもりだったんですか?」
破壊神はその言葉に在りし日に想いをはせ、少し遠い目をしながら答える。
「契約者の意向にもよるが、人々の憂いを破壊することが第一だ。我は全知全能の上位存在……悪魔の討伐、秘境の探索、掃除に動物の調教なんでも成せる……特に何かを跡形もなく消滅させることが得意だ」
「じゃあ私がデビルサマナー?として力をつけて、そのお手伝いをしたいです。助けてくれた恩返しをしたいんです」
「ふむ、我にとっては都合がよいが……それは可能か?」
「上の方で協議はあるだろうが、契約するサマナーが鈴さんになるだけなので大丈夫でしょう」
「鈴。自衛のため、恩返しのためといってもくれぐれも気を付けてくれ」
親は娘の意思を尊重するようだ。それに悪魔の力の一端ではあるがそれを見た彼らは、一般人である自分たちが無理に出しゃばっても彼女を守れないと感じていた。
「マグ=メヌエクさん、くれぐれも娘を頼む」
「任された。我が権能の全てをもって貴様らの娘を守護する」
「サマナーになるなら先達として頼ってくれ、これは俺の名刺だ」
九頭が親と鈴にそれぞれ名刺を渡す。九割九分が親切心だが、一分は未知の可能性を秘めた悪魔業界のルーキーへのコネづくりでもある。
「まだ彼の身元証明も終わっていないし、この場は仮契約ということで握手でもして締めようか」
「ああ、破壊神さんよ。こういう場合は悪魔側が言うお決まりのセリフがあるんだが……」
九頭が何やら破壊神に耳打ちする。
そして破壊神マグ=メヌエクと阿座斗鈴が向かい合う。
「これからよろしくお願いします。マグ様」
「神と信徒ではあるが、貴様は我が契約主となり、我を仲魔として使役するのだ。様はいらぬ」
「では、マグさん。改めてよろしくお願いします。阿座斗鈴です」
「我は破壊神マグ=メヌエク、コンゴトモヨロシク……」
1人と1柱は握手を交わした。
この世界は悪魔の影響で科学では説明できない事件や現象が結構あり、現実よりもオカルトが人気です。
「月刊ムー」なども現実の発行部数の約5万部(2022年次)の約3倍の15万部を誇っています。
これは「月刊コロコロコミック」の約40万部(2021年次)の約4割です。
この作品でのレベルの目安
Lv1~5 一般人
Lv6~10 ちょっとすごい人、オリンピックなど表の大会は出禁、銃で撃たれると普通に致命傷になることが多い
Lv11~30 逸般人の多くがこのランク、銃弾への対処は予測して避ける・見てから避ける・鍛えた体と装備で受け止めるなど様々
Lv31~50 組織のトップ・幹部クラス、銃弾を瞬きで受け止められるかも(なお失敗しても失明とかはしない)
Lv51~70 1つの大陸に1、2人くらいいる、このクラスの上位は科学文明の兵器だけではたぶん殺せない
Lv71~90 現人神や生き神様と讃えられるレベル、銃弾が勝手に逸れていく、この世界にはいない
Lv91~100 救世主(メガテン主人公)クラス、銃弾より豆まきの炒り豆の方がまだ効果がある、この世界にはいない