転生近界民のアカデミア   作:暁月鈴

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第10話「表彰式」

 

 

「それではこれより、表彰式を始めます!!」

 

 最終種目が終了してから約30分が経過した頃、巨大な表彰台の近くにたったミッドナイトがそう宣言する。すると、スタジアムの上空には色とりどりの花火が打ち上げられ、観客席からは大きな歓声が鳴り響く。

 

 そんな中、おれを含む上位4名が表彰台に上がる…ハズなのだが、上がったのは3人だけだった。

 

「3位には爆豪君ともう1人飯田君がいるんだけどちょっとお家の事情で早退になっちゃったのでご了承下さいな」

 

 もう1人の3位である、メガネをかけた奴がいないことを疑問に思っていると、ミッドナイトがそう説明した。まあ、お家の事情なら仕方ないな。

 

「さあメダル授与よ!!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!」

 

 ミッドナイトはそう言うと、会場のドームの上を指し示す。するとそこからオールマイトが勢いよく飛び出し、表彰台の前へと豪快に降り立つ。その途中、二人は同時に声を上げた。

 

わたダルて来たあぁ!!!

 

 ………あ、カブッた」

 

 見事に二人のセリフが被ってしまい、オールマイトが震えながら悲しげな表情をミッドナイトに見せると、ミッドナイトは両手を合わせて、「ごめんね」と言いたげなポーズを取る。そんな二人を見て「打ち合わせくらいしとけよ」とおれは心の中でそう突っ込む。

 

 ちなみに、「わたしがメダルを持って、来たあぁぁぁ!!」とはオールマイトが、「我らがヒーロー、オールマイトおぉぉぉ!!」とはミッドナイトが言っていた。

 

 何とも微妙な空気になったものの、気を取り直したのかオールマイトは3位のばくごうのもとに歩み寄る。

 

「爆豪少年。伏線の回収、残念だったな。しかし3位だ。見事な成績じゃないか!」

 

「…ッ、オールマイトォ…!俺は完膚なきまでの1位が欲しかったんだよ……!!こんなメダルは絶対に要らねぇッ………!!1番以外に……何の価値もねぇ……!!」

 

 オールマイトがニカリと笑いかけたが、ばくごうは歯を食いしばり、その身体を震わせる。まあ、選手宣誓で「俺が1位になる」と宣言したにも関わらず、最後まで1位を取る事が出来なかったのだから、そりゃあ悔しいだろう。

 

「そうか……だがその心意気は素晴らしいぞ爆豪少年!その不変の絶対評価を持ち続けられる人間はそう多くない!受けとっとけよ!〝傷〟として!忘れぬよう!」

 

「要らねっっつってんだろがっ!!」

 

 オールマイトはそう言ってメダルを首に掛けようとするが、ばくごうがそれを全力で拒否する。その後二人は「受け取りなよ!!」「要らねぇ!!」といった押し問答を数回繰り返した後、オールマイトが無理やりメダルを掛けるが、ばくごうはすぐさまそれを外し、投げ捨てようとする。が、どうせまた首に掛けられると予想したのか、無造作にポケットへと突っ込んだ。そんなばくごうの様子を見たオールマイトは「ウンウン」と首を縦にふると、2位のとどろきのもとへと歩み寄る。

 

「2位、おめでとう!自分の『個性』を出し切って戦えた様だね。見事だったぞ!!」

 

「はい……最初も最後も、緑谷がキッカケを与えてくれて、力を出し切れました………。貴方が奴に気にかけるのも少し分かった気がします。だけど、…俺はまだまだです。清算しなきゃならないものがまだあります」

 

 最初に見た時とは違い、憑き物が落ちたような、どこかスッキリとした表情をするとどろき。その表情を見てかオールマイトは「君ならきっと清算出来る」と言うと、とどろきの首にメダルを掛け、そのまま抱きしめる。そのまま数秒が経過した後、オールマイトはおれの元にやって来た。

 

「1位、おめでとう!まさか普通科の生徒がこの体育祭で優勝するとは思わなかったよ!!」

 

 オールマイトはそう言うと、金色に輝くメダルをおれの首に掛け、そのままおれを抱きしめる。その後、オールマイトは観客席の方へと振り向き大声で言った。

 

「さあ、今回は彼らだった! しかし皆さん! この場の誰にもここに立つ可能性はあった! ご覧いただいた通りだ! 競い、高め合い、更に上へと登っていくその姿! 次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている! てな感じで最後に一言! 皆さんご唱和下さい! せーの……!」

 

 ここにきて締めの言葉となると、勿論あの言葉しかないだろう。おれは大きく息を吸う。

 

「「「スウした」」」

 

 あーあ、最後の最後でこれかあぁぁ……

 

 「お疲れさまでした」と1人違うセリフを叫んでしまったオールマイトに、会場にいる皆の微妙な視線が突き刺さる。更には、「そこはプルスウルトラでしょー」と言う、ブーイングの声まで聞こえてきた。

 

 痛いほど突き刺さるその視線と観客からのブーイングに耐え切れなくなったオールマイトは、冷や汗を大量に流しながら恐る恐るといった様子で口を開いた。

 

「いや、あの、そのぉ……疲れたろうなと思って、つい……ごめん」

 

 最後のやらかしのせいで微妙な空気になったものの、無事体育祭は終了した。

 

 

 

※  ※  ※

 

 

 

 体育祭が終わり、夜。雄英高校の職員室にはオールマイトを始めとした雄英高校の教師達がそれぞれ真剣な表情でモニターを眺めていた。

 

 そのモニターに映るのは、普通科でありながらも今年の体育祭に優勝した少年、空閑遊真。

 

「本当に強いわね、この子……」

 

 芦戸を瞬殺し、爆豪を翻弄するその姿に、ミッドナイトは思わず声を漏らす。その言葉に賛同するように、プレゼントマイクも声を発した。

 

「ホントそれな!!……というかそもそも、コイツの『個性』って何だ?イレイザー」

 

 と、プレゼントマイクは資料を見ていた相澤に質問する。

 

「えーと、個性届けによると、彼の個性は『エネルギー』。文字通り、特殊な生体エネルギーを持つ個性で、その生体エネルギーが感覚器官に影響を及ぼした結果、嘘を見抜く事も可能──らしいですよ」

 

 これは、遊真が個性届けを提出するに当たって適当にでっち上げた物だが、あながち嘘ではない。実際、遊真は『トリオン』と呼ばれる生体エネルギーを持っているし、副作用(サイドエフェクト)は、トリオンが感覚器官に影響を及ぼした結果、発現するものだから。

 

 相澤から発せられた答えを聞いて、場に動揺が走る。そんな中、プレゼントマイクは肩を竦めた。

 

「オイオイ、だとしたらアイツが使ってた剣とかについてはどう説明するんだよ」

 

 そう言いながら、プレゼントマイクはモニターのある一点を指差す。その先に映るのは、遊真が手に持つブレードトリガー、スコーピオン。

 

「それに関しては『サポートアイテム』を使っているみたいなのさ。自身の持つ生体エネルギーを剣や盾に変換させる、彼専用の『サポートアイテム』らしいのさ。更に言えば、これを作ったのは彼みたいなのさ」

 

 その疑問には根津が答える。まあトリガーは転生特典であり、遊真が作った物では無いのだが。

 

 しかしその答えが、更に教師陣の頭を悩ませる。プロヒーローに匹敵する戦闘能力に加え、自身の個性を使うためのサポートアイテムを自作できる普通科。そんな生徒が今までいただろうか。

 

 さらに、後から来るであろう『彼ほどの実力者がヒーロー科にいないのはおかしい』や『彼をヒーロー科に転科させるべきだ』と言い回るであろうマスコミをどう対処するか、といった問題もある。もしかしたら、公安の人達も彼をヒーローにしようと動くかもしれない。

 

 そんな問題にどう対処するか。この事について話し合いながら、教師達の夜は過ぎていくのだった………

 

 




 今回から『プレゼント・マイク』の書き方を『プレゼントマイク』に変更しました。わざわざ『・』付けるの面倒なので。

 次回から本格的に原作キャラと絡ませたいなと思ってます。
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