その後の障害物競走は、大量の地雷を同時に起爆させ、その爆風を利用するという博打に近い方法で、どんでん返しを成し遂げたミドリヤイズクとかいうやつが2位で予選を通過した。その後は一人、二人、と次々にゴールを通過していく。
そして全員がゴールを通過、又はリタイアしたところで、第一種目は終了した。
「予選通過は上位42名!残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!まだ見せ場は用意されているわ!」
そのミッドナイトの声と共に、モニターには予選通過者の名前が映し出される。そこに映し出される42名の内、39名はヒーロー科の生徒だった。ヒーロー科で唯一、予選を通過できなかったであろう、特徴的なベルトを腰に巻いた少年は目に見えて落ち込んでおり、クラスメイトから励ましの言葉をかけられていた。
「そして次からいよいよ本番よ!ここからは取材陣も白熱してくるよ!キバリなさい!さーて、第二種目よ!私はもう知っているけど~~何かしら!?言ってるそばから…コレよ!!」
鞭を振るって音を立てながら、ミッドナイトが後方のスクリーンを示す。そしてスクリーンには、『騎馬戦』の文字が映し出される。そして、ミッドナイトから競技内容が説明される。
まず、基本的なルールは騎馬戦と同じ。しかし、違う点に、先の障害物競走の順位に従ってポイントが割り振られる、と言うのが上げられる。騎馬を組んだ生徒達がそれぞれ保有しているポイント数を合計したものが、騎馬のポイント数ということになる。
要するに、お互いの騎馬が持っているポイントを奪い合って、最終的にポイントが高いチームの勝ちというルールだ。
因みに、鉢巻を全て取られても、騎馬が崩れてもアウトになることはなく、最後まで競技を続けられるというルールもある。まあ、悪質な崩し目的の攻撃などをした時は、一発退場になるみたいだが。
そして肝心のポイントは、先の障害物競走での順位が予選通過者の中で最も低い、42位の人が5ポイント、41位の人が10ポイント……と、下の者から5ポイントずつ加算されていくシステムのようだ。ならおれの持ち点は5×42で………
と、おれが自分の持ち点を計算していると、ミッドナイトがおれの持ち点を発表した。
「──そして、1位の空閑くんに与えられるポイントは──」
「……………はい!?」
その予想の遥か上をいく数値に、おれは思わず声を上げた。それと同時に、周りの人の視線が一気におれへと集まるのを感じる。そりゃそうだ。なにせ、おれのポイントを取るということは、騎馬戦で1位になるということなのだから。故に、この騎馬戦は実質、1000万ポイントの争奪戦だ。
周りの人の、獲物を狙う肉食動物のような視線を感じながら、おれは一つ、ため息を吐いた。
◇◇◇
(やっぱりこうなるか…………)
ミッドナイトによるルール説明の後、15分間のチームを決める時間が設けられた。だが、案の定と言うべきか、周りにめちゃくちゃ避けられていた。まあ、当然だろう。1000万なんて馬鹿げたポイントは、キープし続けるよりも、奪い取った方がリスクが少ないと誰もが考えるだろうし。
それにチーム戦では、何よりもチームの連携が大事になる。だからこそ皆、中のいい友達とか、”個性”や戦い方を把握しているクラスメイトとかと組むだろう。
とはいえ、このままではおれは失格間違いなしだ。だが、おれとチームを組んでくれそうな人は誰もいない。…………ラービットに騎馬をさせるか?
そう考えたおれは、ミッドナイトにこの手はアリなのか聞こうとした、その時だった。
「や~~っと見つけましたよ!!私と組みましょう!!1位の方!!!」
「!?」
突然背後から聞こえた声に驚きつつ、おれはクルリと振り返る。そこには、何やら特徴的なゴーグルを身につけた少女が一人、ニヤニヤと笑みを浮かべながら、こちらへ歩み寄って来た。
「私、サポート科の発目明と申します!貴方のことは知りませんが、立場を利用させてください!」
彼女はそう自己紹介をすると、そのままマシンガントークの如く話を進めた。
「貴方と組むと、必然的に注目度がNo.1になるじゃないですか?現に貴方、観客の方々に滅茶苦茶注目されてますし!それでですね、私のベイビーも目立つ訳です!!そうすれば、大企業の目にそれが入る可能性が高くなる!勿論、貴方にもメリットはあると思うんです!」
「お、おお?」
コイツの言うことがいまいち理解出来ずに困惑していると、レプリカが助け船を出してくれた。
『要するに彼女は、今注目を集めているユーマとチームを組んで、自身の発明品を大企業の目に止まらせたい、と言うことだ』
そのレプリカの説明におれは納得した。サポート科の目的は確か、自作のアイテムのアピールだったしな。
「そういうことなら………よろしくな、メイ」
「はい、こちらこそ!!」
◇◇◇
『ヘイ!起きろ、イレイザー!!!チーム決めが終わったみたいだぞ!』
『……中々面白い組が揃ったな』
あれから15分が経過し、全チームが決定した。
おれのチームは、メイが騎馬として、騎手であるおれを肩車で持ち上げる、という形だ。こうなった理由は至極単純。おれの背が低いからだ。
そしてモニターには、それぞれのチーム名と総ポイント数が表示される。………うん。こうみるとやっぱ、おれたちのチームだけポイントおかしいな。
そんなことを考えていると、プレゼント・マイクが声を上げた。
『15分のチーム決めと作戦タイムを経て、フィールドに騎馬が並び立った!さぁ上げてけ鬨の声!血で血を洗う雄英の合戦が今!狼煙を上げる!準備はいいかなんて聞かねえぞ!いくぜ!残虐のバトルロイヤル、カウントダウン!!』
その声に、おれは先ほどまでの思考を捨てて、戦闘へと意識を集中させる。今回の騎馬戦、おれたちは1000万ポイントを持っている限り、終始狙われ続けるだろう。だから、少しの油断が命取りとなる。
『3!!! 2!! 1…!』
と、プレゼント・マイクはカウントダウンを進める。おれは背中にメイが作ったサポートアイテムを背負い、右手にはスコーピオン。そして左手には、
「スタートッ!!!」
さて………頑張りますか