「実質
「はっはっは!!悪いけど貰っちゃうよー!」
やはり予想通りと言うべきか。競技開始の合図と共に、複数の騎馬がおれたちを攻めてきた。
その光景を前に、おれは牽制としてメインとサブにセットしてあるスコーピオンを起動し、それを2本ともつなげる。
そうして、おれは風を切る音を鳴らしながら、攻撃技「マンティス」を360°全方位に振るう。当たりこそはしなかったものの、牽制としては十分だったようで周囲の騎馬の動きは鈍る。
その隙に、おれはこの場から離脱しようと左手に持つスイッチを入れる。すると背中のサポートアイテムが音を立てるのと同時に、おれらの身体は宙を舞った。先ほどまでいた所は何者かによって足場がドロドロに崩されていたが、空を飛んでしまえば足場は関係ない。
「耳郎ちゃん!!」
「わってる」
しかし、今度はハチマキをめがけて2本のプラグの様なものが背後から飛んできた。それをおれはスコーピオンで弾きつつ、そいつらから距離をとる。
『ユーマ。左から来るぞ』
爆発音と同時に、レプリカから警告が入る。その警告に従って左を見ると
「調子に乗ってんじゃねえぞこのクソモブどもぉぉぉ!!!」
そう叫びながら、選手宣誓を行ったばくごうが単騎で突撃してきた。
「死ねぇ!!」
そう叫びながら行われたそいつの攻撃をおれはシールドで防ぐ。そして間髪入れずにスコーピオンを振るい、そいつを地面へと叩き落とした。
「がっ………クソがぁぁぁぁ!!!」
叫んでばっかだな。あいつ。そんなことを思いながら、おれたちは一度着陸する。ずっと攻撃を防いでいたことが幸いしてか、こちらへ攻撃してくる騎馬の数が急激に減った。先ほど突撃してきたばくごうも別の騎馬にハチマキを採られたらしく、今は別の騎馬を相手していた。
このまま競技が終わってくれれば楽なのだが、まあそんなことがあるはずもなく。
『ユーマ』
「分かってる」
そのレプリカの警告におれは一声で返しつつ顔を上げる。そこには、赤と白の髪をした少年の……とどろきの騎馬がいた。漁夫の利を狙おうとしてるのか、周囲の騎馬もこちらへと少しずつ歩み寄ってくる。
おれはいつ、どこから攻撃されても対応できるようにスコーピオンを片手に構える。そのまま睨み合うこと数秒。とどろきの騎馬が動き始めた。
「飯田、前進」
「ああ!」
「八百万、ガードと伝導を準備」
「ええ!」
「上鳴は……」
「いいよわかってる!!しっかり防げよ……
『無差別放電130万ボルト』!!」
その瞬間。周囲に電撃が放射された。おれはすかさずシールドを展開し、その攻撃から身を守る。だが、背中のサポートアイテムはこの電圧によりイカれてしまった。
さらに、追撃と言わんばかりにとどろきは細長い棒を手に取り、それに冷気を纏わせる。そして、その凍りついた棒を地面に突き刺すと、予選の時のように、辺りは凍りついた。
その攻撃は、周囲にいたおれたち以外の騎馬の動きを完全に封じ込めた。
『何だ何した!?群がる騎馬を轟一蹴!』
『上鳴の放電で確実に動きを止めてから凍らせた…流石というか…、障害物競走で結構な数に避けられたのを省みてるな』
『ナイス解説!!』
その戦術にプレゼント・マイクは驚き、ミイラマンはその戦術を解説する。
そんな実況解説をよそに、おれは再びスコーピオンを構えてあいつらの攻撃に備えた。
あれから5分。おれは「マンティス」を駆使して、ハチマキが取られない間合いを保ちながら耐久していた。まず、ハチマキを奪うためには
さらに、おれたちは常にとどろきの左側に回ることで、間接的にとどろきの氷結攻撃を封じていた。先ほどから、とどろきは常に
そして、残り時間1分弱。とどろきの騎馬にも焦りが見えた。
「おいどうすんだよ轟!!さっきから全然近寄れねえぞ!!」
「くっ………」
そんな中、とどろきの騎馬の1人が声を上げる。
「皆……残り1分弱………この後俺は使えなくなる。頼んだぞ」
前騎馬のメガネを掛けた少年がそう言うと共に、そいつの足元からは今までにないほどに激しい音と光で包まれる。
「
その発言から、おれはあいつが何をしようとしているのか予想がついた。トルクは物体を回転させる力のことを。オーバーは越えることを意味する。つまり、あいつのやろうとしていることは………
『韋駄天』のような高速移動によるハチマキの奪取。そう判断したおれは、2枚のシールドで頭部の守りを固める。その瞬間
あいつらは物凄い勢いでおれらの横を通り過ぎた。………思ってたより速かったな、アレ。シールド張るのギリギリだったぞ。
それを行ったメガネの少年は防がれると思っていなかったのか、目を見開いて驚いている。それは実況席にいるプレゼント・マイクも同じだった。
『おいおい、今何が起きた!?飯田!ここにきて物凄い超加速!!だがしかし!ハチマキ奪取ならず!!アレを防ぐとかマジでアイツ何者だよ!?』
あの攻撃を防ぎきり、残り時間もごく僅か。その時、再び背後から爆発音が響く。チラリと後ろを確認すると、案の定ばくごうがこちらへと単騎で接近してきた。それに合わせてとどろきの騎馬も再び俺達の元へと接近してくる。おれは挟まれるのを避けようと、メイに後ろに下がるように指示を出そうとした、その時
「皆、今だ!!」
「よっしゃぁぁぁ!!」
「ああ!」
「………承知!!」
今まで一切手を出して来なかったみどりやの騎馬がいきなり攻めてきた。少し驚いたが、やることは何も変わらないためメイに指示を出す。が、それよりも早く、みどりやの騎馬の1人、紫色の髪をしたやつが声を上げた。
「お前と言いその
あまりにも分かりやすい、明らかな挑発。おれはその発言を無視するが、メイには聞き捨てならなかったようで
『なっ、私のベイビーをバカにし………』
その瞬間、メイの動きが止まった。その隙にみどりや、とどろき、ばくごうの3人がおれの頭にある1000万のハチマキに手をのばす。
「ちっ………」
それに対抗するために、おれはまず肩のあたりから一瞬だけブレードを展開して背中のサポートアイテムを切り落とす。その後、腕にブレードを生やしつつメイの肩を足場にして、その場で回転しながら跳躍。これで、3人の腕を弾き飛ばした。そしたら後はグラスホッパーで上へと逃げる。そうすればあとは……
『
時間切れでおれ達の勝ちだ。
「ごめん……取れなかった……!」
騎馬戦が終了し、騎馬を崩した緑谷はチームを組んでくれた3人の内の2人、麗日と心操に対して謝っていた。自分達の騎馬のポイントは途中経過の時点で5位。その後は1000万を採りに行ったためポイントが足りないのだ。自分を信じてチームを組んでくれた3人の期待に応えられなかった。その事を痛感して拳を震えさせる緑谷に対して、麗日と心操の2人はそれぞれ笑顔を浮かべると、ある一点を指差した。
その指の先にいるのは、もう1人のチームメンバーの常闇。
「心操の『洗脳』で動きを止め、そこから1000万を取るという策だったが‥‥、そうは上手くいかないな。
だが、それでも1本。警戒が薄くなった轟の騎馬から頂いておいた。………喜べ緑谷。おまえの策が生み出した轟の隙だ」
そして、常闇の隣には誇らしげにハチマキを咥える
『それじゃ早速、順位発表と行こうか!!1位、空閑チーム!!2位、爆豪チーム!!3位、緑谷チーム!!4位、轟チーム!!以上4組が、最終種目へ進出だぁぁぁぁ!!!』
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
プレゼント・マイクのアナウンスが高らかに告げる。その言葉が嬉しすぎたのか、緑谷はまるで噴水のように、目から涙を流した。
そうして、第2種目。騎馬戦は終わりを迎えた。
Q、なぜ心操が緑谷のチームにいるのか。
A、チーム決めの最中、こんなことがありました。
1.心操、3人を洗脳する。
2.黒影、常闇を叩く。
3.洗脳が解けた常闇、2人を揺さぶる。
4.2人の洗脳が解ける。
5.立ち去ろうとする心操を緑谷が引き止める
6.緑谷。心操をチームに誘う。