『超電磁砲』で魔法科の世界を生きていく   作:プレジデントハルトマン

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こんな、つたない小説を読んでいただきありがとうございます。

コメントも読んでいますが、いまは忙しく返信することができません。
あとで、まとめて返信します。


それでは第二話です


入学編
入学式


 2年前のあの日。私は全てを失い一人になった。

 

 だから、それは当然の帰結だったのかもしれない。

 

 地獄に落ちた人達がたった一本の蜘蛛の糸にすがったように。

 

それがどんなに空虚な妄想でも、どんなに叶わない願望でも、それでも、人は願うのだ。

 

 

——それを追えばいつか、辿り着くことができるのだと——

 

 

それがあり得ないと一番わかっているのは自分自身なのに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2095年4月

 

 朝の6時、日課のランニングを終えて、HARが焼いてくれたパンを食べながらネットニュースをみる。

 

「元防衛軍曹長の、テロ事件。勇気ある謎の美少女魔法師の活躍で…うん。これ原作にもあったね」

 

HARとは、Home Automation Robotの略で簡単な料理を作ってくれたり、コーヒーを淹れてくれたりするロボットのことだ。この子のお陰でご飯を作る時間を他のことに当てることができるのでいつも感謝している。

 

「いつも、ありがとうね」

 

もちろん、返事は帰ってこない。でも、こういうのは気持ちが大事なのだ。

 

「さてと、もう少し勉強したら出発しようかな。30分くらい前には着いておきたいしね」

 

そうして、コーヒーを一気に飲み干しお皿を片付ける。

 

 今日は、魔法大学附属第一高等学校の入学式。そして、『魔法科高校の劣等生』の原作スタートの日でもある。

 

 

 勉強を始めてから1時間。

 

「うわっ。やばいもうこんな時間じゃん」

 

 予定していた時間よりもやり過ぎてしまった。

 

「これじゃあ、30分前につかないよ。気が抜けてたかな〜」

 

 そう言って首にペンダントをかけ、カバンを持って階段を降りた。

 

「行ってきま〜す」

 

 もちろん、返事は返ってこない。

 

 

***

 

魔法。

前世では黒歴史を刻むことしかできない架空の存在であったが、この世界ではオカルトじみた非科学的なものではなく、しっかりとした理論に基づく技術として確立されている。

 

 きっかけは、ある一人の超能力者が狂信者集団の核兵器テロを未然に阻止した出来事を発端とした、超能力の研究が始まりだ。

 

 その研究が魔法の科学的解析へと発展したと言われている。

 

 魔法大学附属第一高等学校(通称一高)は一科・二科制度という制度を採用している。

 

 この制度は入試結果によって生徒が一科生と二科生に分けられる。

 

 そして、一科生だけが、魔法技能のライセンスを獲得したプロの魔法師の授業を受けることができ、また、魔法大学への受験資格も無条件に与えられるのだ。そのため、一科生と二科生の溝は深い。入学式の席も一科生は前、二科生は後ろと暗黙の了解ができているほどだ。

 

 それに加えて、制服にあるマークで一目で、一科生か二科生かを見分けることができるようになっている。

 

このマークになぞらえて、一科生を花冠(ブルーム)、二科生を雑草(ウィード)と呼ぶ人が多くいるらしい。

 

 

——一科生は、手厚い指導と世話により大輪の花を咲かせ——

 

——二科生は世話をされず放置され、やがて枯れて姿を消し花を咲かせる養分になる——

 

——だからこそ、一科生が花冠で、二科生が雑草なのだろう——

 

 

なるほど、この差別用語を作った人は随分と詩的だったらしい。

 

正直、才能の無駄遣いだと思う

 

 優秀なものを、より効率よく育てることができるという名目のもと行われている制度であるし、実際ある程度の成果は出ているらしい。未だ絶対数が少ない魔法師達が若く優秀な魔法師を育てるために作った制度なのだろう。

 

 

 だが、私が入学するこの年はその二科生に司波達也という化け物がいるのだが…

 

というか、この年は一科生よりも二科生の方が総合的にやばい奴が多いのだ。

 

 決して今年の一科生が無能なのではない。実際、司波深雪は言わずもがな、光井ほのか、北山雫など他にも優秀な生徒はいる。

 

 もう一度言おう。一科生が無能なのではない!

 

 今年の二科生がおかしいだけなのだ!

 

 

 ふう。少し興奮して取り乱してしまった。ちなみに何故こんなことを今考えているのかというと、

 

 

「なんで無視するの聞こえてないの。おーい。」

 

 ただの現実逃避である。

 油断していた、まさか入学式で座った横の席が原作キャラだったなんて…

 

「私の名前はアメリア=英美=明智=ゴールディだよ。え、い、み、エイミィって呼んでね。ねぇねぇあなたの名前は?」

 

一体なにを間違えたのだろうか。せっかく普通の一科生に見えるように、お兄様に目をつけられないように、後ろの二科生を見向きもせず速攻前の席に、向かったのに。

 

 この左目の眼帯か?それとも、この古臭いロケットペンダントか?両方外したら、このことは無かったことにならないだろうか。

 

 

 現実逃避はやめよう。横の人物の顔を見ずに座った私が悪い。

 

「西音寺 琴」

 

そう答えると、

 

「琴ね、よろしくね。琴ちゃ「琴でいいわ」そ、そっかじゃあ琴で」

 

そう、食い気味にことちゃん呼びをやめさせる。それだけは譲れない。

 

 そんなことを話していると、

 

「それでは、ただ今より国立魔法大学附属第一高等学校入学式を開始します。」

 

 入学式が始まった。それから、美人な生徒会長による歓迎の言葉。偉い人の無駄に長い祝電を聞きついにその時が来た、

 

「新入生総代の司波深雪さんによる答辞です」

 

 彼女が壇上に上がると視線が一点に集まり、それと同時に歓声が上がる。

 

「わぁっ。あの子めっちゃ美少女じゃん。それに新入生代表とか…うん。完璧美少女だね」

 

と英美が言う。確かにあれはやばい。美しさが人の域じゃない。あれは芸術とかの域だ。私も思わず感嘆の言葉が漏れてしまったほどだ。

 

「(やっぱり実際に見るのは違うな。別にそこは競っていたわけじゃないけど、あれには勝てないわ)」

 

 その美しさに感動しなかった訳ではないが、それ以上に何というか女としての敗北感がすごかった。

 

 

***

 

 

 入学式は、恙なく終了した。あの後、完璧美少女さんが『際どい言葉』を使った答辞を読んでいたのだが、彼女の美しさに当てられた生徒たちはそんなことを全く気にせず、とにかく彼女と仲良くなろうと餌を落とした池の鯉のように彼女に群がっていた。原作通りである。

 

 さて、入学式が終われば次は、クラスの確認をして、帰宅するのみである。

 

 私的には、司波深雪が校門に来る前にさっさと帰りたいのだけれど、

 

「はやいはやい、待って。琴、クラスいっしょに見にいこうよ!」

 

 付き纏われているのだ。

 

「私は別に『はい』といっていないと思うのだけど?」

 

「そんな固いこと言わないでさ。そういえば、クラスはどうなるかなぁ。同じクラスになれるといいね!」

 

くそ、この子強引に距離詰めてくるタイプだ。やりづらい…

 

まぁ、でもクラスは別々になるだろう。

 

確か、原作ではある程度優秀な生徒はAクラスになるようになっていたはず。

流石に司波深雪には敵わなかったけどそれでも、その次くらいには良かった筈だ。つまり私はAクラs「あっ!見て一緒のクラスだって!」はぁ?何でぇ?

チョットナニイッテルカワカンナイデス。

 

「おんなじクラスだね。よろしくー!」

 

 待って待って、えっ何で?もしかして私、合格した順位を見間違えていたとか?そうだとしたら恥ずかし過ぎるんだけど。えっ!?

 

 私が原作知識が外れたことによる『混乱』と、

ドヤ顔で実際より上の順位だと勘違いしていたかもしれない『羞恥心』でいっぱいいっぱいになっていると誰かに声をかけられた。

 

「そこの君。少し時間もらえないだろうか?」

 

声をかけられた方を見るとそこには…

 

身長186cm、高校生とは思えない体格で、あの達也に巌のような人と称された第一高校三巨頭の一人

 

 ——十文字克人がそこにいた——

 

 

 どうして…

 

 

 

***

 

 

「時間を取らせてすまないな」

 

「いえ。特に急いで帰る必要もありませんから。お気遣いありがとうございます」

 

 あまりの怒涛の展開に、部活連の本部に呼び出された時はマジで泣きそうになっていたのだが、『超電磁砲』で表情筋をコントロールしてなんとか耐えることができた。私のような一般魔法師が十師族の顔を見て泣き出した、なんてことが伝わったら首が飛ぶ。比喩ではない。

 

「本来は生徒会長である七草から伝えるべきことなのだが、新入生総代の方に用があったようなのでな。俺から伝えさせてもらおう」

 

「まず、この学校のクラスは成績によってある程度偏って振り分けられていることは知っているか」

 

 

「はい。試験が優秀だった者はAクラスに多く集められていると、存じております」

 

 そうだよ。なのに何故か私はAクラスではなかったのだ。いや、別にBクラスの生徒全員が、Aクラスより優秀ではない、という訳ではないので単に私がその枠に入れられたということだけかもしれない。ただ、原作通りなら私はAクラスになっていたはずなのだ。

 

「そうだ、本来なら西音寺はAクラスに入る予定だった。しかし今年は少し違った。」

 

 何が違ったのだろう。まさか私の超能力による、ズルがバレたのでは…いや、それならこんな形で呼び出すことはないだろう。風紀委員どころか警察一直線だ。

 

「今年は、西音寺と司波の実力が突出していた。だから、一つのクラスに集めるのは惜しいと教師陣は判断した」

 

あっ。なるほど…いや、こんな展開は原作には無かった。そして、私が自分の順位を勘違いしていたわけでもなかった。ふぅ。安心したわ。

 

「勝手なことをしてすまないな。今回はそのことについて説明するために呼んだ。本人には伝える必要があると思ったのでな」

 

「なるほど…。つまりBクラスの生徒に見本を示せ、ということですね」

 

「そうだ」

 

それなら、別に問題はない。つまり上の順位をキープしろ、簡単に抜かれるなよということだろう。ぶっちゃけなにかの役職を与えられるよりよっぽどいい。

 

そう思い、私は手を前で組み一礼した。

 

「解りました。この、西音寺 琴その役割全身全霊で務めさせていただきます」

 

 

***

 

というわけで、Bクラスになった理由が分かったわけなのだが。

 

「おはようございまーす」

 

うん。この子どうしようかな、というかなんでこんなに好感度が高いんだろうか。もしかして、忘れてるだけで会うの二回目とか?いや。私が原作キャラを見間違えるわけがない。昨日は...うっ、うっかりしていただけだ!面と向かって喋ったなら流石に覚えてる、はず。

 

「・・・」

 

「ん?聞こえてない?じゃあもう一d「聞こえてるわよ」」

 

この子、返事しなかったら永遠に言ってきそうな気がする。

 

「ただ今より。オリエンテーションを開始します。生徒の皆さんは席についてください」

 

「あっ。じゃあまた後でね!」

 

ふう。タイミングよく助かったか。

 

 

***

 

 オリエンテーションも終わり。その後、授業があった。

 

 今はお昼休みだ。

 

 

 そういえば、オリエンテーションの時、思いっきり次席入学であることをバラされたのにもかかわらず。英美以外話しかけてくる人がいなかったのは何故だろう?

 

 私が深雪ほど美少女ではないのは知っているが。それでも、一応次席である。もう一人くらい話しかけにくると思っていたのに、まさか一人も来ないとは思わなかった。

 

特に困ることでもないが…

 

 

さて、お昼になったので、学食に来てみたのだが(ちなみに英美は弁当なので私一人だ)なにやら、揉め事をしているのが見えた。

 

 

「おい。キミたちここの席を譲ってくれないか」

 

そう、原作シーンに遭遇したのだ。

 

 

***

 

 魔法は基本生まれ持った才能に左右される。その中でも特に優秀な魔法の素質を持つ家系は百家と呼ばれ、魔法師界隈に多大な影響力を持っている。

 

 噛ませ犬のモブ崎の異名を持つ(持ってない)この男子生徒の名前は森崎駿。

 

 いわゆる百家の魔法師というわけなのだが、彼の生家、森崎家は百家の中でも支流である。そのため、特定の分野を除けば魔法力は平均ほどであり、特異な魔法を使う「数字付き」(ナンバーズ)や、さらにそのさらに上澄みである「師補十八家」「十師族」などと比べると、そこまで大きな家ではない。

 

 そんな森崎君はというと

 

「二科は一科のただの『補欠』だ」

 

「僕たち一科生が使いたいと言えばそれをお前たち二科生が譲るのは当然だろう」

 

 清々しいほど煽り散らかしていた。いや、よくその面子に喧嘩売ることができるな。

 

 そいつ四葉、とか千葉とか文字通り格が違う奴らばかりなんだぞ。

 

 無知って怖い

 

 まぁ。私的には、特に止める理由もないのでスルーするだけなのだが。

 

「魔法を使ってもいいんだが。学内ではCADの使用は禁止されているしな」

 

 

 

 

その言葉に、反応して足が止まる。

 

 

 

が、

 

 

 

「わかった。俺はもう終わったから行くよ」「あ、おい達也」

 

ハッとした。

 

「(落ち着け。今、ここには司波達也がいる)」

 

大きく深呼吸を行い、再び歩き出す。

 

「(危なかった。流石に、バレていないよね)」

 

その日の昼ごはんは全く味がしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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