『超電磁砲』で魔法科の世界を生きていく   作:プレジデントハルトマン

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バタフライエフェクト?

入学式から四日経ち、新しい環境にも慣れてきた今日。

毎年恒例のお祭りイベントが魔法科高校で開催されようとしていた。

 

入学してきたばかりの一年生にとっての第一の試練。

 

敵は自分達よりも格上の上級生。

 

果たして、一年生達は迫り来る勧誘地獄を躱し、見事御目当てのクラブに入ることはできるのか。

 

 

今、部活動勧誘週間が始まる・・・・・

 

 

***

 

 

部活動勧誘週間とは、新しく入ってきた新入生を自分たちの部活に入ってもらうためにスカウトを行う期間だ。

 

しかし、ただのスカウトだと甘く見てはいけない。

 

普通の高校と比べて、魔法科高校は部活は多種多様。

 

魔法を使わない、テニスや、陸上などの非魔法系クラブに加えて、

魔法科高校特有の魔法を使うクラブが存在している。

 

だが、入学者数は一学年二百人と他の高校に比べ、少ない。

 

つまり、どの部活も部員に余裕がないのだ。

 

それに加えて、

魔法系クラブでは九校戦で、

 

非魔法系クラブはその種目の大会で、

 

それぞれ結果を踏まえて、生徒会からの予算の量が増減する。

 

予算がなければ、良い結果も出せず、次の年新入部員の勧誘もかなり難しくなってしまう。

 

逆に、予算が増えれば、設備も整うし、良い環境で努力できる分結果も残しやすい。そうすれば、来年の勧誘も行い易くなるだろう。

 

昨年○○大会で入賞なんて売り文句は、新入生勧誘に使いやすい。

自分が優秀だという自負がある人ほど、弱いチームに入りたくないと考えるのは当然だからだ。

 

つまり、部活動勧誘期間とは、ある意味クラブの生存戦争なのだ。

 いかにして、他クラブへの入部を阻止し、お目当ての生徒を自分のクラブに勧誘できるか。

 

この期間でこの一年の全てが決まるといっても過言ではない。

だから、先輩達は必死になるし、その必死さが原因で原作のように魔法による妨害が発生したりするのだが、それは私にはあまり関係ないことだ。

 

 この期間の二、三年生の先輩達は人ではない。野生の獣だ。

一週間ぶりに獲物を見つけた猛禽のように、

個数限定の推しのグッズを買いに行く紳士達のように、

 

狩人の目をした彼らは狙った獲物は決して逃がさない。

 

 

そんな、先輩たちにとって私という存在はどう映るだろうか?

 

入試主席の司波深雪が生徒会に入る以上、暫定成績トップは私。

魔法系クラブにとってどうしても、自分の部活に引き入れたい人物の筆頭。私があちらの立場なら絶対に逃がさないだろう。

新入生の成績と顔写真が出回っている以上、他人のフリをすることもできない。

 

限に、まだ勧誘期間が始まっていない今でも、

 

 

「・・・あれが、西音寺さんだ・・・」

 

「・・・どう勧誘すれば興味を持ってくれるだろうか」

 

「私たちの部活のいいところを必死にアピールすれば・・・」

 

「・・・お金・・・いや、彼女はお嬢様だったな。」

 

「なら、イケメンはどうだろう」

 

「攫ってくれば全て解決だ」

 

「そうだな。いつも通りやるか。」

 

めっちゃロックオンされている。

それに、まともに勧誘しようとしている生徒がほとんどいない。

 

どういうこと?せめて部活の内容で勝負してくれないですかね。

賄賂、色仕掛け、誘拐と魔法科高校生、犯罪のバリエーションが多過ぎるだろ!

私もここまでとは思ってなかったわ。

 

想像以上にモラルがねえ!

 

そんな、先輩達のあんまりな勧誘態度に内心ため息をついていると

 

「おっはよー!」

 

と後ろから声をかけられる。

 

「大人気だね〜琴。」

 

全く嬉しくない。

もし、この状態を、羨ましいと思う奴がいるなら私は喜んでそいつにこの場を代わってやる。

なんなら英美、代わってあげようか?えっ、いらない?でしょうね。

 

そういえば・・・

 

「・・・英美はなんのクラブにするの?」

 

私の原作知識は、「魔法科高校の劣等生」の大筋に関する知識が多い。そのためか、主人公の司波兄妹に関すること以外に関しては結構スカスカなのだ。

彼女が原作でどの部活だったのかも知らない。

気になったので聞くと。

 

「おっ、私はね・・・狩猟部!乗馬をしながら、銃で的を撃ち抜くの。

琴もどう?興味あるなら一緒に行かない?」

 

ふむ、英美が狩猟か・・・何というか、人は見かけによらないというか。

まあ、昔から狩猟はヨーロッパ貴族の娯楽だもんな。

でも、そうだな・・・馬・・・。

 

実は、私は動物が結構好きだ。かわいいし、人と違って裏表もない。

初めて両親と動物園に行ったのは良い思い出だ。

私は入るクラブは決めているが、色々なクラブを見てみたい気持ちは当然ある。

 

「うん・・・じゃあ私も行こうかな」

 

「えっ!」

「えっ?」

 

私を誘ってきた少女はその緑の目をいっぱいに見開いて、いつもより、少し間抜けな声を出した。

 

驚いているようだが・・・私、何かおかしなことでも言っただろうか?

 

「ほ、ほんとに来てくれるの?言っちゃなんだけどそんなに琴が興味ありそうな話題でもないと思うけど」

 

ああ。そういう。確かに入学して、こうして話し始めてから私が英美の誘いに乗ったことはほとんどなかった気がする。

 

・・・・・・・うん。冷静に考えると私最低だな。いくら司波兄妹や、十文字先輩との会談などで、余裕がなかったとはいえ。

 

「そんなことないよ。狩猟なんてやったことないし。それに・・・今日は本命の部活の見学には行くつもりないから」

 

「そっか〜。本命ってどこのクラブ?」

 

「テニス部」

 

「へえ意外。九校戦を意識して?そういうの、琴は興味ないと思ってた」

 

 まぁ。確かに、勝利にこだわる気はない。 

 

 エンジニアでも雑用でもいいから、ある程度達也と話せる関係者になることが今回の第一目標だからな。

 

 彼に近づき過ぎるのは危険だが、全く関わりを持たないのは、態々この学校を選択した意味もなくなる。

 

それくらいの危険は許容すべきだ。

 

「テニス部ってことはクラウド・ボールが第一志望か〜。確かに琴には向いてるかも。着替えの時に見たけど、体すごいもんね」

 

私は周りが思っているほど魔法力が高くない。

二科生ほど低くないが、高く見積もっても一科生中位程度の実力。特に干渉力は比べ物にならないくらい低い。

 

ちなみに、学校と同じように『天衣装着』で魔法力を誤魔化す案はなしにした。

九校戦では、競技が長引けば、下手すると一日中魔法を使うことになるのだ。燃費の都合上無理がある。

 

閑話休題。

 

純粋な魔法力だけの勝負だと深雪と比べられる以上、ほぼ間違いなく、違和感を持たれる。

 

だから、九校戦は純粋な魔法力で勝負する競技ではなく、フィジカルも重要になる競技に出場する予定だ。

 

その中の一つがクラウド・ボールである。

 

テニス部はその練習にもなるしちょうどいい。

 

それに、テニス部には、千葉エリカが入部する。ある程度仲良くなって、九校戦でお兄様と話すきっかけを作っておきたい。

 

実際、小さい頃から、ちょっと身体の動かし方を間違えば骨が折れるという、ピーキー過ぎる能力を使いこなすために身体をより正確に動かす訓練をしてきた。私の運動神経はかなり高い。

 

「でも、これはチャンスだね」

 

突然、彼女はよくわからないことを言った。

私はもうクラブを決めているのに・・・・どういうことだろう?

 

すると、気分がよさそうな顔でふふん。と得意気な笑顔でこう言った。

 

「だって、見学は今日が初日でしょ。

つまり、琴に狩猟にはまってもらうチャンスってこと!

何事も最初が肝心だからね!」

 

その答えに思わず目が見開く。そこまでして私を狩猟部に入れたいのかは、いまいちわからない。

 

それでも、彼女のその言葉に嘘は感じなかった。本気で私のことを想って話してくれているのだとわかり、少し気恥ずかしい。

前向きで明るい性格の英美らしい回答だと思った。

 

「・・・・・・どうせなら一緒の部活に入りたいしね・・・・」

 

最後にボソッと聞こえたその言葉には、何も返すことができなかった。

 

***

 

 

授業も終わり部活動勧誘習慣が本格的に始まる。

 

「もっ、もしかして西音寺さん?本物?」

「本当に来たの?え〜と・・・よっ、ようこそ狩猟部へ!」

「はい。よろしくお願いします」

 

数多の敵(部活勧誘)を退けなんとかたどり着いた狩猟部。

 

どうやら、先に着いていた英美が私も見学に来ることを伝えてくれていたらしい。

 

狩猟部がどんな活動をしているのか説明聞き、狩猟部の見学がスタートする。

 

初心者の私は、先輩にマンツーマンで馬の乗り方を教えてくれるそう。

 

狩猟部の、エリアはかなり広い。

 

馬を走らせるための芝生に加え、馬の宿舎を設置しなければならない以上他の部活よりも、広い土地をもらっているのだ。

 

乗馬服に着替え、先輩の元へ向かう。

 

「私はこのクラブの部長。竹ケ原瑠衣です。よろしくね!

初心者の西園寺さんには今日、馬の乗り降りのやり方を教えるわ」

 

どうやら、部長さん直々に指導してくれるらしい。

 

聞いた話によると、この部長さんは馬と乗馬が大大大好きで、ウマバカらしい。

だれよりも、早くクラブに来て、誰よりも遅くまで馬の世話をしている。部長の鏡みたいな人物なんだと。

 

確実に入ることがわかっている英美と違って、彼女が見学の私の方に来たのはそれが理由だろう。

 

 

「まず私がやるから見ててね。まず、台から鐙に左足、鞍の奥に右手をかけて、体を持ち上げて、跨いで座る。・・・ヨイショっとこんな感じでやってみて。」

「はい」

 

乗馬なんてやったことないから新鮮だ。

前世の記憶にもない正真正銘の初体験。少し怖いが、それ以上にワクワクする、この感覚は嫌いじゃない。えっとまずは、左足を掛けて・・

 

「そうそう、その調子。跨る時勢いよく座ったら下の馬が驚いちゃうからゆっくり座ってね」

 

先輩に注意されたことに気をつけて鞍に座る。

 

そのまま、目線を上げて前に向けた。

「ほう・・・・」

まるで一昔前のラスボスのような声が出た。

「どう?凄いでしょ。私も初めて馬に乗った時は感動したな〜。」

 

 

後で聞いた話によると、

部長も一年生の頃、私と全く同じ体験を当時の部長にさせてもらったそうだ。

 

当時乗馬未経験だった部長はこの時の感動が忘れられず、友達とのクラブの約束を蹴ってまで、このクラブに入ることを決めたらしい。

 

だから私にもこの体験をしてほしかったんだと。

これを体験すれば必ずハマる。

そういう確信が彼女にはあったらしい。

実際この部長の考えは当たっていたといえる。

 

いつもと目線が違う。それだけで、こんなにも解放感を得られるとは・・・・。

 

「それにまだ馬に乗っただけだからね。これに乗って、走れるようになった時の疾走感と解放感は今の比じゃないよ。あれを感じたらもう元には戻れない」

 

うぐっ。そう言われるとめっちゃ気になる・・・いやいや、気をしっかり持て。私。一時の欲望に流されるな・・・・・あっ。この馬の立髪めっちゃサラサラだ〜。ってちがーう!

 

私が欲望に、屈指そうになっていると

 

グワッと、荒れた海の船が大きく揺れたような途轍もない不快感に襲われた。

 

ウッ。なんだこれ。

ブランシュのテロか?私の存在が原因のバタフライエフェクトの可能性は・・・・いや、あの組織の目は今、達也に向いているはず。

これもしかしてキャストジャミングか?にしては出力が強すぎないか?

ここから体育館までは結構な距離離れているはずだ。

「ッ!何・・・・これ・・・・気分が」

パタリ。と頭を抱えたまま先輩が静かに倒れる。

よく見ると私たちの後ろにも先輩が何人か倒れているのが見つかった。

だが、幸いにも全員が倒れているわけではなさそうだ。

 

遠くの先輩達は他の起きている人達に任せよう。私もあれをモロに食らったせいか、体調が良くない。一人運ぶのに精一杯だ。

 

行き先は・・・・体育館だ。

そこで英美達と合流しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




念のため、ボーイズラブとガールズラブのタグを追加しました。
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