魔法少女リリカルなのは~生まれ墜ちるサイヤ人は悪魔の子~(更新一旦停止)   作:生まれ変わった人

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始まりの日

『ジュエルシード事件』、またの名を『PT事件』と呼ばれるであろう事件が幕を降ろしてから早二日が経った。

 

事件の首謀者であるプレシア・テスタロッサはジュエルシードを集めてそれらを発動させ、次元震を起こす。

 

その野望を時空管理局員アースラ艦長リンディ・ハラオウン提督の指揮の下、見事にプレシア・テスタロッサ容疑者の企みを阻止することには成功するも容疑者は心中した。

 

報告はそこまでであり、事件は結果的には解決したのだが、この時点で幾つかの疑問点が上がる。

 

道具として扱われたフェイト・テスタロッサとその使い魔の処分は至極妥当であるが、問題はその傍らにいた民間協力者の存在もそうである。

 

その他にも疑問な点は多々あるが、幸いにも死者が出なかったことだけが唯一の真実だと言うことが分かる。

 

今後も管理局員の検討を祈ろう』

 

 

魔法世界・ミッドチルダで発売されている週刊誌に小さな記事が出回るも、それらはすぐに日常の中へと埋もれていった。

 

この時点では誰も気付かなかっただろう……

 

この記事の続きがこの世界だけでなく、ありとあらゆる次元世界を震撼させるなど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今……何時だ?」

「10時……そろそろだ」

 

大海原を一望できる海鳴公園のやぐら付きベンチの柱にもたれかかるカリフが時間を尋ねると、それにクロノが答える。

 

「なんで人一人呼ぶのにあんな時間がかかったんだ? そこまでのものじゃないだろうに」

「だれもが君のように遠慮が無いわけじゃないんだよ……」

「む、そうか?」

 

クロノの一言にカリフは反応するが、それをすぐ傍の人型のアルフが諌める。

 

「まあいいじゃないか。フェイトもこういうのは初めてなんだし、それにこれも重要な一歩だと思うんだよ」

「何がどうあれ、僕もこれで良かったと思うよ」

 

アルフの肩に乗るフェレット型ユーノも彼女に同意すると、カリフも顔を上げて以外にも肯定する。

 

「それもそうだな……こうして己を高め合う相手ができるのであれば、過程はどうあれいいことには違いない」

「……はぁ、夢がないね~…」

 

カリフの行動基準である『強くなるため』という考えからか出てくる感想にアルフも呆れる。そんなアルフに吊られるように溜息を吐きながら前方を見ると、そこには涙を流しながら抱き合うフェイトとなのはの姿があった。

 

カリフたちの会話の内容もこれに関係しているという訳だ。

 

フェイトはしばらくは本部に身柄を預けることとなり、今日を逃せばなのはとは長い間会えなくなる。だから、護送直前までフェイト自身がなのはとの面会との望んで今がある。

 

そして、彼女たちは名前を呼び合って……本当の友達となった……

 

そんな様子を優しく見守っていると、すぐ横で嗚咽が聞こえてきたからそこに視線を向けると

 

「ぅ……ぐす…」

 

溢れる涙を拭いているアルフがそこにいた。

 

「あんたんとこのさぁ……なのはって……いい子だよねぇ……フェイトが……あんなに笑ってるよぉ……」

 

ユーノは彼女の頬の涙を舐めて慰めていると、カリフが不意に言う。

 

「なのはの影響も大きいかもしれんが、これはフェイト自身が起こした結果でもある……あいつなりに一歩を踏み出して強くなろうとしているのだ……大した女だ」

「あぁ……そうだな」

 

カリフの考えを理解することができないが、珍しく優しく笑って素直にフェイトの成長を喜んでいる彼に同意した。

 

そして、そこで彼は彼に説いた。

 

内容はここ数日間聞いていることだった。

 

「カリフ……あの話だが……」

「……答えは変わらん」

「……本当に君の世界を探さなくていいんだな?」

「……」

「……分かった」

 

何も返さないカリフの答えをクロノは肯定と捉え、ここで話を打ち切った。

 

すると、抱き合っていたフェイトがこっちに来た。

 

「ごめん。待った?」

「いや、むしろ丁度いい時間だ」

 

その横でアルフはなのはと礼を言い合っている。どうやらアルフもなのはとユーノと交友を結んだようだ。

 

「じゃあユーノくんもクロノくんとフェイトちゃんを助けてあげてね?」

「うん。全力を尽くすよ」

 

なのははクロノたちの手助けのために行くユーノとも別れを告げる。今まで助け、助けあった彼女たちの別れになのはは目を濡らす。

 

そして、なのはが自分の所にも向かってきた。

 

それに気づくとなのはは満面の笑みで言ってきた。

 

「あの……カリフくんも行っちゃうんだよね……」

「あぁ、とは言ってもオレはあっちで二日くらい滞在してこっちに戻るんだがな」

「え? そうなの?」

「フェイトたちがオレと模擬戦したいって言うからな……とりあえず二日は我慢してこっちに帰ろうと思ってる。そろそろこっちのバイトにも顔をださねえとな」

「バイトやってるの!? 法律的に大丈夫なの!?」

「法律ごときでオレの自由を邪魔されてたまるか」

 

すぐこっちに帰ってくるというのにも驚くのに、さらに自分と同じ歳なのにバイトをしている事実に驚く。というかどんな仕事を……

 

「禁則事項だ。契約の際にそう言われた」

「あ、うん……」

 

少なくともまともな仕事じゃないということが分かった。

 

カリフの読心術のおかげで周りにはバレてないことが救いだったのかもしれない。だが、どうあれ彼とはすぐ近い内に会えるのだろうと確信が持てると急に嬉しくなった。

 

「じゃ……じゃあまた家に…!」

「あぁ、またいつかコーヒーとケーキを食いに行こう。そして、お前が言うなら特訓というなら付き合ってやろう」

「うん!!」

 

なのはが嬉しそうに頷くと、クロノが後方から呼びかける。

 

「そろそろ時間だ」

「あぁ」

「うん」

 

カリフとフェイトは地面に描かれている転送用の魔法陣の上に立つ。

 

その様子をなのはが涙目で見送っていると、カリフは親指を立ててなのはに示し、フェイトは手を振って別れを告げる。

 

なのはも手を振り返して応え

 

 

魔法陣から放たれる光に皆は包みこまれ

 

 

 

光と共に姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

なのはは一人、誰もいなくなった港の上で海を眺めて物思う。

 

今回の事件でたくさんの出会いと別れもあった。

 

だけど、これは終わりじゃない。

 

むしろ、今まで自分はスタートラインさえにも立っていなかった。

 

故に、全てはここから始まる

 

そう…………本当の戦いはここから始まるのだから……

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