魔法少女リリカルなのは~生まれ墜ちるサイヤ人は悪魔の子~(更新一旦停止) 作:生まれ変わった人
誠に申し訳ございません! 最近になって春からの試験勉強及び研究室での飲み会などが重なっていた時間にやっと余裕が出てきました!
今までこの戦いを早く書きたいと思っていたので今回はともかく色々と燃え尽きました!
もちろん、このまま時間が許す限り書いて投稿していきたいと思いますので、これからもまた応援お願いいたします!
それではどうぞ!
ナイフ、スプーン、フォーク
それらは全て食べるための道具
故に、戦うための道具にはなり得ない……
「優しくない……だと?」
「あぁ……オレは今までお前を遊び相手と見ていたのかもしれねえ……」
その言葉にジャネンバの表情が強張る。
「今まで私に手加減をしていたと? とてもそうには思えなかったのだが?」
皮肉で返すジャネンバだが、警戒を解くことはしない。
明らかに雰囲気が変わった。
さっきまでの雰囲気とは違って空気が荒々しく、周りの空気が震えている。
何が起こっているのか全く予想できない。
「……」
ジャネンバは喋ることも忘れてカリフの出方を慎重に探っていた。
だが、カリフはジャネンバの眼前でただ立っているだけ。
否、目の前で構えを解いて獰猛な目でこちらを見据えている。
今どんな攻撃をしても仕留められる自信はある……なのに近付くことさえ憚られる空気だ。
ジャネンバはしばらく様子を見て体力の枯渇を狙おうと後ろに下がった。
その瞬間、ジャネンバの腹部に衝撃が奔った。
「う……ぶ……」
何が起こった……何がどうなった?
痺れるような痛みから呼吸ができなくなったジャネンバは自分の腹に拳をねじり込ませたカリフの姿を捉える。
腹にパンチを食らった……だが、そんな動作なんて……
「何故……何が……」
ハッキリ見えていた。
イメージすらもできて自分が当たる瞬間までカリフの拳を視線に捉えていた。
なのに避けなかった、避けられなかったと言うべきか。
カリフと目が合った瞬間に思考とは関係なしに体が硬直して反応が遅れてしまった。
「が……げほっ!」
唾液を流して苦しんでいる間にカリフは下がった顔に拳を握ってくる。
それを目にしてジャネンバは再び予測する。
(これは避けられる! 避けてカウンター……)
思考クリア、ダメージを見積もっても十分に動ける。
(ここ……!)
首を動かして避けようとするが、予想に反して拳がめり込んだ。
「うぐ……!」
避ける最中の直撃で右顔面を殴打されて後方に飛ばされる。
その最中でカリフが気弾を撃つ構えになっているのを見た。
(避けてダメなら分解で……!)
身体の一部が粒子となって消えていく。
このまま奴の後方にさえ周れれば……
その時
目が合った。
「っ!!」
その瞬間、再び体が硬直……自分の知らない力が判断と行動を鈍らせた。
「しまっ!」
気付いた時にはもう遅い。
カリフから放たれた高エネルギーに全身を包まれ、焼き尽くされた。
◆
「只今到着を確認、戦闘員は速やかにこの環境に適応してください」
火山と地震が活発な灼熱の世界に数多の人影が転移されてやってくる。
その中で紫のロングヘアーの女性、クイントが同行してきたなのはたちに指示を飛ばす。
来ている面子はゼスト隊の三人、そしてなのは、フェイト、はやて、ヴォルケンリッター、アルフ、クロノとユーノが降り立った。
戦闘員勢揃いで死が蔓延る世界に到着してバリアジャケットを装着する。
「凄い……暑くなくなった」
「バリジャケットには環境に左右されることなく生命活動を維持する効果も発揮できるんだよ」
「へ~……何でもできるんやね」
ユーノから講義を受けるなのはとはやては納得するも、二人よりも魔法のことに詳しいクロノは言い聞かせるように忠告する。
「今はこのバリアジャケットが皆の命綱だ。相手の攻撃で大破してしまえば防御力はもちろんのことこの灼熱の環境に耐えられなくなって強制的にアースラに逆戻りだ……そのことを頭に入れてくれ」
「それに、今回の相手はバリアジャケットさえも貫く攻撃力を秘めている。決して無理はせず、彼のサポートに全力を注げ」
『『『はい!』』』
ゼストの指示に全員が頷く。
「まずはゼスト隊があの化物をおびき寄せる。その隙に君たちはあの少年を連れ出して彼を回復させた後にサポートに回る手順でお願い」
「とても作戦なんて言うのもバカバカしい内容ね……それが現時点での最善手だなんて信じられないわ」
クイントの内容確認にメガーヌが嘆息するも、ゼストがそれを制す。
「だが、今戦っている少年の特徴も考えた結果がこの作戦で間違いない。そうなのだな? クロノ執務官」
「はい……無礼を承知で申し上げれば現在の戦力でも闇の書の闇……ナハトに敵うとは思えません……」
次元の転生システムによってこの世界に閉じ込めている今を逃せばまた振り出しに戻ってしまう。
だが、相手はアルカンシェルを主砲を飲み込む程の魔力量を秘めた自立思考型のロストロギア
それに打ち勝つのはこの場においてカリフしかいない。
全次元世界の危機を回避するにはこの場で彼が勝たねばならない。
「そのことは気にする必要はない。私も身の程という奴は弁えているつもりだ」
「……ご協力、感謝致します」
クロノがゼストに敬礼すると、突如として一際大きいエネルギーの爆発が起きた。
それに伴って地響きが響いてバランスを崩すがなんとか持ち堪える。
「あそこか」
「あぁ……とてつもねえ魔力のうねりも感じる……」
シグナムもヴィータも皆も戦場の場所を見つけて一気に飛び立つ。
そこからはそれほどの距離も無く、二人が動いていなかったことからすぐに戦う二人を見つけた。
だが、そこで見たのは誰の予想も上回るような事態だった。
「はああぁぁぁぁぁぁ!」
遠くからでも聞こえる怒号と打撃後の衝撃がなのはたちを吹き飛ばさんと猛威を振るうが、それくらいは耐えれば何とかなる。
それよりも様子がおかしいのはカリフの方だった。
「でやぁ!」
「ぐはぁ!」
戦っている……という気高さなどもはや感じられない。
戦術の名残は存在するも行われているのはただの暴力でしかなく、一心不乱にジャネンバを殴り、撃ちつける。
「な、何をしてるんだ! あいつは!」
シグナムが事の重大さを理解して焦りのあまり声を張る。
それにはフェイトたちも当然気づいている。
「不味い! こんな灼熱体であんな戦い方をしていたら体力なんてすぐに切れてしまう!」
「くっ! なんて戦いをするんだ! 殴り合いの衝撃で近づけないなんて……!」
火山帯に吹き荒れる暴風雨の中心地に位置するカリフとジャネンバは殴り、殴られ、撃って撃たれての攻防戦を至近距離で繰り広げている。
互いの身体はボロボロ……違いはジャネンバのみが発汗による脱水症状による疲労はない。
それほどの差があるのに……戦況は大きく変わっていた。
「凄い……不利を物ともしてない」
「それどころかカリフの方が手数が多い……明らかに押している」
ユーノとザフィーラの会話になのはたちが希望を抱く。
「それなら……」
「勝てるんやないか!?」
「よっしゃあ! いっけえぇぇ!」
アルフがカリフにエールを送っている。
このままいけば勝てる……そう思っているなのはたちとは違ってフェイトは焦燥していた。
「でも……あのペースは異常だよ。幾らなんでも飛ばし過ぎてる」
「カリフくらいの根性があれば火もまた涼し、って奴だよ! 心配し過ぎだって!」
「そ、そうかもしれない……でも……」
フェイトには心配しかなかった。
カリフは相手との力の差を違えるようなことはしない。
本当なら技術で牽制して隙を作り、渾身の一撃を入れるのが今のベストなのだ。
自分でも考えられる戦法ならカリフでも考えて実行しているはずなのに。
そんな不安がよぎる中でも戦いは続く。
◆
おかしい……やはりさっきよりも動きが悪くなっている。
心拍数:異常なし
魔力量:残量78%
破損部:高速修復のため異常なし
エラー部:無し
ナハトの中枢で検索をかけてもどこも作動不良は起こしていない。
なのにどうなって……
「クレイム……」
「!?」
「ハザードぉ!」
「ぐああああぁぁぁぁ!」
身を焦がすような熱量……膨大な気が私の身体を焼き尽くす!
この不利は私の鈍りからだけではない。
こいつの異常なまでのハイペースな攻撃が原因だ!
さっきまで打ち合っていたはずなのに先ほどよりも重みと凄み、威力が上昇してきている。
「これがサイヤ人……宇宙最強の戦闘民族の力!」
認識が甘かった! 戦うたびに強くなるのだからこのパワーアップも必然!
いくら私がカリフというコピー体として同じ筋力、スタミナを有したとしてもこれほどまで……
(同じ?)
一言……たった一言が引っ掛かった。
ある可能性が頭をよぎり、戦慄した。
もし、今考えていることが本当だとしたら……何と恐ろしいことを!
だが、疑っている暇はない……試してやる!
「くたばれっ!」
「ふん!」
剣を生成して構えるが、カリフは気にすることさえせず拳をジャネンバに叩き込む。
向かってきた拳を剣の腹で受け止めて切り払うように弾く。
だが、それでも瞬時に攻撃に移ってジャネンバにエネルギー弾を放つ。
「甘いっ!」
「なっ!?」
エネルギー弾を切り捨ててカリフへと接近し、隙だらけのカリフへ突きを放つ。
「うっ!」
鋭い切っ先はカリフの横腹を貫いた。
鮮血が傷口から滴り落ちるのを確認してジャネンバは心中してやったりと満たされていた。
それが不味かった。
「つっかま~え……」
「なっ!? 貴様っ!」
カリフに剣を掴まれ、抜くことも避ける暇も叶わないままカリフの拳がジャネンバの顔面を押しつぶした。
「たぁ!」
「がっ……!」
ジャネンバが鼻血をまき散らしてのけ反るも、カリフに刺さった剣が抜けない……再び体制が戻るころには次の拳が自分の顔面を弾いた。
「ぶっ!」
「休む暇はねーぞぉっ!!」
「がはっ!」
次は拳ではなく蹴りがあばらを粉々に砕いた。
固いものが折れる異音が体の中から響いて痛みを催す。
(このままでは……!)
ジャネンバは無意識に握りしめていた剣を離すのではなく、意識的に強く握る。
そしてその手を強く捩じり始めた。
「うあああああぁぁぁぁ!」
「離せえぇぇぇぇぇ! いい加減にっ!」
カリフの脇腹が剣の回転で抉られ始める。
悲鳴を上げるにも関わらずカリフは剣を握る手を弱めない。
自分の握力で指先に食い込む刃の痛み、出血など考えない。
「くそっ!」
「ぐあああぁぁぁぁ!」
業を煮やしたジャネンバがカリフの脇腹近くに重い蹴りを放つ。
「このっ死にっぞこないがぁ!」
「がああぁぁぁぁ!」
重い蹴りに傷口をこじ開けられる痛みをカリフは叫びに変えて意識を保つ。
そこに思考なんてない……純粋に“勝つ”ことだけを考える少年の力は弱まらず、天井知らずの力強さを発揮していく。
「何故だ!? 何故倒れない! お前のどこにこんな力がっ……!」
「んなもん知るかよ……!」
「!?」
気付いた時には既に遅し……ジャネンバは溢れんばかりのエネルギーを感じ取るが、紅のエネルギー弾が視界一杯に広がっていた。
「クリムゾン・トマホーク!」
「ぎゃあああああぁぁぁ!」
マグマよりも滾るエネルギーに再び身を焦がされる。
―――握っていた剣が離れ
―――遥か彼方へとエネルギーと共に吹き飛ばされる。
エネルギーの終着点で核爆弾よりも凄まじい爆発が活火山を容易に飲み込んでいく。
大規模の爆発によって巨大なキノコ雲を形成するのを確認し、カリフは更なるエネルギーを両手に込める。
「まだまだあぁぁっ!」
剣が刺さった血まみれの身体からは想像もつかないほどの強力なエネルギー弾が高速、連続で放たれる。
エネルギーの雨霰はキノコ雲の発生地点に集中して向かい、爆散する。
有象無象を焼き払う焼夷弾は火山地帯を破壊し、マグマをまき散らせて世界の一部を削る。
「うおおおおおおおおぉぉぉぉ!」
命の限りの咆哮と共にカリフは破壊の限りをたった一人の強敵に向かって放ち続けた。
「調子にのるなあぁ!」
エネルギーの雨を受けながらジャネンバはその場から飛び出すようにカリフへと向かって再び乱打戦へと持ち込む。
激闘は更なる極地へと進む。
◆
「うぅっ!」
「きゃあ!」
空中では戦いに巻き込まれると判断したなのはたちは地上に降り立って戦いの一部始終を目にしていた。
時折やってくる爆発と熱風の余波に耐えながらもカリフの根性と勢いを信じて戦いを観戦していた。
だが、少女たちが目にしたのはあまりに凄惨なものだった。
「カリフくん! 本当に危ないよ!」
「もういい! もう勝負は付いたから止まって!」
目の前でカリフが刺され、傷を抉られ、傷口をこじ開けられるなど見ていられなかった。
現に今でも出血を顧みないカリフに少女たちは悲痛に叫ぶ。
そして比較的戦ってきたクロノ、ユーノ、アルフに至っては目の前の惨状に顔を青くして震えている。
「う……」
その中でもフェイトは口を押えてこみ上げてくる吐き気に必死で耐えていた。
フェイトの顔は蒼白となっており、この場にいることさえ辛い様子でもある。
「あいつ……なんで……」
「ひどい……」
「……」
「……」
この面子の中でも古より戦ってきたヴォルケンリッターは何かを悟っていた様子だった。
「こんなのって……」
「あんな小さな子供にこんな力が……なんてこと……」
「あぁ……だが、それだけじゃない。なんてことだ……こんなことがあっていいのか……?」
ゼスト隊もカリフの異常な力に絶句する。
その中でもゼストの反応が顕著であり、同時に哀しそうな表情を浮かべる。
その様子にシグナムが気づいた。
「貴方も気付いたのですか?」
「……最初のころから引っ掛かっていたのだが、あの子の戦い方を見るにつれて分かってきたよ。あの異常なまでのペース配分、そして相手の反応が鈍ったことも……」
その言葉にクロノが反応した。
「彼は一体何をしたか分かったのですか?」
「それは……」
クロノの問いにゼストが目を逸らして言いよどむ。
無理もない……こんな話をするのは子供にはあまりに酷な話である。
下手をすれば心が折られてしまうだろう。
それに、これまでの戦いでも少女たちには大きな心の傷を残しているかもしれないのに追い打ちをかけるようなことはしたくない。
悩むゼストに近付く影がいた。
「お願いします……教えてください」
顔を青くしながらフラフラと近づいてくる少女にゼストは目を見開いた。
到底大丈夫とは言えないフェイトからは途轍もない気迫を感じて思わず一歩引いてしまった。
「フェイトちゃん大丈夫!? 顔が青いよ!」
「私は大丈夫……カリフと比べたらこれくらい……なんてことないから……」
駆け寄ってくるなのはには安心だと言いながらゼストの顔を何かに耐えるような様子で見上げる。
「教えてください……カリフに何が起こっているか……」
「しかしだね……」
「お願いです……このまま見てるだけなんて嫌なんです……だから……」
身体を震わせるフェイトを始めに全員を見渡すと、同じように真剣な眼差しで自分を見てくる。
全員の覚悟を確認したゼストは瞑目し、唐突に口を開く。
「カリフと言ったな……彼は―――死ぬつもりだ」
「……え?」
一瞬の時が止まり、誰もが言葉を失う中でフェイトのみが言葉を振り絞った。
―――何を言ってるの?
―――死ぬって……誰が?
「早くに気付くべきだった……あの闇の書の化け物はあの子のデータを元に復元された自立志向型プログラム……筋力、思考、スタミナ共に彼と同質のものばかり。そんな相手から主導権を奪って打ち勝つとしたら可能性は一つ、彼はペースを考えずに力の限りを尽くしているからこそできたことだ」
「死ぬって……そんなこと」
「それにあの目……今まで戦ってきた私たちだからこそ分かる。あの子は覚悟しているんだ……もう生きて帰ってこれないということを」
ここまで聞くと、フェイトは心のどこかで納得してしまった。
―――さっきまでの嫌な予感……外れてなかったんだ……
「我らも闇の書の一部として太古より戦ってきました……戦った相手の中でも満身創痍でありながらも命を削りながら我らに向かってくる者が何よりも強かったのです」
「自分の命を捨ててまで私らに向かってきた奴が一番怖かったんだよ……」
「文字通り己の全てを掛けて我らを殺しにきたのだ……その恐怖は尋常じゃないのは確かだ」
「その恐怖が動きを鈍らせる……今の状況がまさにそれね……」
昔を思い出しながら血まみれになりながら戦うカリフを見上げる。
「あの子の記憶を真似たようだが、“恐怖”という感情は未体験のようだ。完全にカリフに飲まれているのね」
「カリフという子の必死の顔を鬼の形相だと勘違いして動きが鈍っている……今が最大の好機だわ」
クイントとメガーヌの手には汗が握られている。
未だに近付けないこの状況に無力感を感じているのだろう……だが、必ず動き出す時が来る。
その時の状況に合わせて行動できるようにデバイスを構えるのだった。
◆
「こんな……こんなはずは……!」
これはもう悪夢としか思えない。
相手はこうしている間にも火山の暑さで体力を消耗し続けている。
とっくに脱水症状で倒れてもおかしくない。
幾らナメック星人の細胞があっても上手く適合しておらず一回の怪我の再生が限界の奴とは違って私の方が全てにおいて有利なはず……なのに!
「うぐぅ!」
腹部にねじり込まれる拳の痛みにジャネンバは“く”の字に体が曲がる。
「ど、どこにこんな力が……うがぁ!」
角を掴まれ、頭突きを食らった影響で意識が反転する。
ジャネンバの意識が混濁したこの瞬間を狙ってカリフは更に上空へと飛ぶ。
「これで終わりだ!」
「が……ぁ……」
ジャネンバの真上で紅のエネルギーを掌に込めて輝く。
それに比べてジャネンバの傷は治ってもダメージまでは完全に治せない。
混濁する意識の中、自分に放たれるであろうエネルギーの輝きを目にする。
美しくも神々しい……あらゆる命を刈り取る光を前にジャネンバは思った。
(止めろ……まだ……私は……)
手を上に突き出してもなお考えることを止めない。
(まだ生きたい……このまま何もせずに死んでいくなど……縛り付けられたまま終わる……)
死を前にしてジャネンバの生への執着がより一層加速し、ジャネンバに謎の力を与える。
自分が何をしているのか時々分からなくなってくるが、体が勝手に動く。
ジャネンバもまた、この世に生まれた命なのだから生きたいと思うのは当然だ。
ただ“生きたい”という感情だけでカリフの全力に挑もうとする。
そして、その時は来た。
「ジェノサイド……」
「私は……」
二人の心はすれ違う。
“勝つために生きる者”と“生きるために勝つ者”がぶつかり合ったこの戦いが大きく動き出す。
「クラッシャー!!」
「生きねばぁ!」
上空から迫りくる特大のエネルギー弾をジャネンバは二本の腕のみで受け止める。
極太の強大なエネルギーを空中で受け止めるだけでも驚愕と言うのにあろうことかそれを“止めた”
「ぐううううぅぅぅ……!」
「ぬあああああああぁぁぁぁぁ……!」
カリフは押し出そうと出力を強めるが、ジャネンバの受け止める力が強い。
いくら力を入れてもカリフのエネルギー弾がジャネンバを下へ押し出すことさえできないでいる。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
(今までのハイペースで奴のエネルギー残量は私よりも遥かに下……このまま耐えればいずれエネルギー切れで私の勝ちだ!)
ジャネンバは勢いに乗ってエネルギーを上へと押し出す。
互いの我慢比べは頂点に達しているが、ここに来てジャネンバの力がカリフを上回る。
「エネルギー切れなど生温い! このまま押し切って自爆させてやるぞぉ!」
辺りが紅一色に照らされ、全てを薙ぎ払う突風が起こる。
更地になっていく火山帯の上空でカリフは徐々に追い詰められていく。
「ちく……しょう……」
スーパーサイヤ人3をフルまで稼働させて、誇りまで全て捨てて、命まで削ってきたというのに……
「届かねえ……」
自分の持てる物全てを賭けても目の前の化け物には追いつけなかった。
実力は拮抗していたのに、負ける……
原因は気持ちの強さ……自分の勝ちに拘って命まで売ったことが奴の“生きたい”という純粋な想いに負けた……!
本当は後悔するはずなのに……カリフは何だか笑ってしまった。
死ぬ寸前とは思えないほど穏やかで、無邪気な笑顔だった。
「すげえよお前……この世にたった一人で生まれて、味方もいねえお前がたった一人で戦って……オレに勝っちまうんだもんよ……」
「うおおおおぉぉぉぉ!」
目は逸らさない。
最期まで自分を戦士にしてくれた強敵を尊敬しながら……
「もしお前となら……ライバルって奴になれてたのかもな……」
エネルギーが目前にまで押し出されている。
自身のエネルギーに体が焼かれ始める。
いよいよ腹を括らねばならなくなってきた。
悟空からもらった命もここで派手に尽きていくのだろう……そうしたらまた会えるかな……
次に会うときは今度こそ後悔なく生き切ることができた……そう言おう。
なのはやフェイト、はやてを始めとしたのような風変わりな奴等と過ごす日々もなんだかんだで悪くはなかった。
最後の最後に変わった奴等と出会ったのも貴重な体験だったと思う。
「意外と早く死ぬもんだな……後十年くらいは生きたかったーなんて……ぐ、くぅっ!」
少し煩わしかったけど……それでも退屈なんて無かった。
そう思うのも、この世界に来てから“地球人”に少なからず影響されたからなのだろう……
今までのことが頭の中を過ぎり、最期に口にした。
「あばよ……それなりに楽しかったぜ……」
言い切った直後、カリフの目前には紅の光と熱が迫ってきていた。
~後書き~
久しぶりで色々と思うことがあるでしょうが今は許してください!
とりあえず、パクリ疑惑の件はある程度直したり作品紹介で弁明は書かせてもらいました。一応確認したつもりですが、また矛盾している所があれば連絡お願いします!
この後一時間後にもう一話投稿いたします