魔法少女リリカルなのは~生まれ墜ちるサイヤ人は悪魔の子~(更新一旦停止)   作:生まれ変わった人

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初めての『友』

いち早く気付いた時には遅かった。

 

「お疲れ様……」

 

フェイトや他の奴らも誰も気付いていない。

 

地面から何かが向かってきている……くそ! 寝そべっているオレしか気付いてねえ!

 

だが、声を出そうとするがそんな体力が……!

 

「フェイト……」

 

もう限界だ! フェイトを蹴って弾き飛ばした瞬間だった。

 

「づっ!」

 

何かが背中から胸を貫いた……!

 

「げほっ! がふっ!」

 

痛……みよりも息苦しさが感じられた。

 

やべぇ……これ……この剣……マジかよ……

 

「あがっ……がは……!」

 

そういう……ことかよ……まだ終わっちゃいなかった……

 

それどころかこうなることを待っていたというのか……?

 

ここに来て……してやられたって訳か……

 

「カァリィフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」

 

後からこいつが地面から……そうか、シグナムの……

 

生あたたけえ液体に濡らされていく……視界も霞んできやがった……!

 

「お前ともあろう者が……よく油断してくれたあぁぁぁぁ!」

 

焦げてんのか黒ずんでボロボロになった人型のモンスターがオレと繋がっている連結刃を持って迫ってくる。

 

お前はそこまで生きたいのか……

 

そこまで……オレのことが邪魔か……

 

戦士としての誇りを捨ててまでオレを殺したいのか……

 

「これで……やっと私は……!」

 

ならオレは……

 

 

さっきまで倒したと思っていたナハトヴァール……名をジャネンバ

 

皆は突然の事態、そして惨劇に誰も動けなかった。

 

突然、カリフが刺されたことが信じられなかった。

 

地面を割ってジャネンバが現れる。

 

理解は追いつけなくても、事の重大さは把握できた。

 

「これで……やっと私は……!」

 

カリフに手刀を突き立てて首を狙う。

 

刃となった手刀が倒れているカリフに向かってくる。

 

そして、流血が噴き荒れた。

 

「がっ……!」

「うっ……!」

 

カリフは咄嗟に石つぶてを砕いた粉じんをジャネンバの顔に投げてジャネンバの手刀を何とか逸らす。

 

だが、手刀は外れた訳ではなく、ただ首が千切られたか裂かれたかの違いだった。

 

脈を斬ったのかカリフの首からは夥しい鮮血が噴き荒れる。

 

「がぁっ!」

 

目を押さえてのた打ち回るジャネンバの剣を抜いて首の傷を押さえながら転がって離れる。

 

距離を取った後、カリフは止まらない出血を片手で押さえながらも笑みを浮かべる。

 

「やっぱお前……どんなことをしても生きたいようだな……」

「くっ……ぐぅ……!」

「今のお前は無様だ……げほっ! そこら辺にいるドブネズミと、野良犬と変わらねえよ」

「うがぁ!」

 

ジャネンバの苦し紛れのエネルギー波を喰らって吹き飛ぶ。

 

「ぐああぁぁ!」

「カリフゥ!」

 

吹き飛ばされて痛みに叫ぶが、すぐに堪えて立て直す。

 

「く……そ……」

「くああぁぁぁ!」

 

叫びながら剣を構えて突っ込んでくるジャネンバに毒づく。

 

「ぬっ!?」

 

だが、ジャネンバは別の気配にいったん止まって剣を振るった。

 

ジャネンバに向かってきていた魔力弾を難なく斬り捨てる。

 

「てめええええぇぇぇぇ!」

「テオオオオオオオオオオォォ!」!」

 

ヴィータとザフィーラが怒りの形相でジャネンバに突貫していくが、二人の左右からの追撃を直前の跳躍のみで避ける。

 

怒りに任せたヴィータとザフィーラは突進を躱され、岩に激突する。

 

崩れ落ちる岩を見下ろしていると、今度は上空で多数の桃色の魔力弾に囲まれる。

 

「アクセルシュート!」

 

なのはからの360度、四方八方から魔力弾で襲い掛かる。

 

「ふっ!」

 

だが、ジャネンバは縦横無尽に飛び回る魔力弾を剣一つで全て斬る。

 

ひとつ残らず一刀両断された魔力弾は全て爆散して煙を上げる。

 

上空の煙の中から落ちてきたジャネンバに待っていたのはゼスト隊三人とヴォルケンリッター、アルフからの接近戦

 

「この野郎! よくも……よくもぉ!」

「仕留める!」

「覚悟!」

「クイント! 気を抜くな!」

「はい!」

「カリフから離れろおおぉぉぉ!」

 

ジャネンバは周りからヴィータ、シグナム、ザフィーラ、ゼスト、クイント、アルフと一斉に迎え撃つ。

 

「うらああぁぁぁ!」

「はああぁぁぁ!」

「テオオオォォォ!」

「はっ!」

「せやああぁぁぁぁ!」

「ちくしょおおぉぉぉ!」

 

剣と拳、蹴りだけであろうことか六人の攻撃を受け流し、防いでいく。

 

「くそぉ! 当たれぇ!」

 

ヴィータがグラーフアイゼンを振るってそれを避ける……その直後にジャネンバは剣を振るった。

 

「なっ!?」

「なにっ!?」

 

その瞬間、レヴァンテインとグラーフアイゼンが斬り裂かれた。

 

まるで豆腐を斬るように容易に……

 

「うわぁ!」

「ぐあ!」

 

デバイスを斬られたショックで止まったシグナムたちを尻尾で薙ぎ払って弾き飛ばす。

 

「はあぁぁぁ!」

 

後方からのクイントのパンチを首を動かして紙一重で避け、腕を掴む。

 

「あぁ!」

 

背負い投げの要領でクイントは投げ飛ばされて遠くの岩盤が叩きつけられて崩れる。

 

「クイント!」

 

投げ飛ばされた部下にゼストが叫んだとき、ジャネンバと目が合った。

 

「っ!!」

「ふ……」

「ごっ!」

 

目にも止まらぬ拳がゼストの腹にめり込み、声にならない声を上げる。

 

そして、残ったアルフとザフィーラの方を見据える。

 

「てやあぁ!」

「このぉ!」

 

アルフとザフィーラの渾身の拳を顔面に受ける。

 

「やった!?」

「!? 駄目だ……!?」

 

クリーンヒットした感触があった。

 

なのに、ジャネンバはひるむ様子も無く二人の腹に掌を当ててエネルギーを溜める。

 

「無駄だ」

「ぐああぁ!」

「うわあぁぁ!」

 

ジャネンバのエネルギー波を受けた二人は爆発に消える。

 

一瞬で、容易に接近戦に長けた六人を退けたジャネンバに休む暇を与えまいと事態は進む。

 

「チェーンバインド!」

「マウントバインド!」

 

ユーノとメガーヌがバインドで雁字搦めにジャネンバを拘束するとすぐに緑の魔力体が目の前に現れる。

 

『皆! 目を瞑って!』

 

全員に念話が飛ばされた瞬間にシャマルがクラールヴィントを起動させる。

 

「クラールゲホイル!」

 

その瞬間にジャネンバの前で眩い閃光が弾けた。

 

「今よ!」

「なのは! フェイト! クロノ!」

「はやてちゃん!」

 

メガーヌたちの合図と共に四人がデバイスに魔力を溜める。

 

「ディバインバスター!」

「ハーケンセイバー!」

「ブレイズキャノン!」

「クラウソラス!」

 

今の四人のありったけの砲撃を放つ。

 

四人の今の全力を込めた四つの魔力砲は未だ輝く閃光へと向かっていく。

 

今が最大にして最後のチャンス……だった。

 

「はぁ!」

 

ジャネンバは目を閉じながら力を周りに気合を放つ。

 

「うわぁ!」

「「きゃあ!」」

「皆! うわぁ!」

「ああぁぁぁ!」

『我が主!』

 

魔力でもなければエネルギーでもない……ただの気合

 

ただの気合だけで全身のバインドと閃光弾、四人分の砲撃、そしてなのはたち全員を弾き飛ばしてしまった。

 

硬い岩盤を抉るほどの気合でなのはたちは地面に成す術なく転がされる。

 

「う……くぅ……」

「はぁ……はぁ……」

「な、なんて奴……だ」

「なんて……力……」

 

ジャネンバ以外にもはや立てる者などいない。

 

大人数で挑んだにも拘らず僅かな時間で制圧されてしまった。

 

明らかに手加減もされて……

 

「無駄だ……お前たちは私には勝てない。何度やってもな」

「な……何を……」

「これでもカリフと戦っている時の一割……の半分くらいまで戦闘力を押さえているのだ。言いたいことが分かるな?」

 

言葉の追い打ちに誰もが絶望した。

 

今の自分たちが全力で挑んだのに奴はそれさえも意に介さない。

 

それどころか体力を消耗させることさえ叶わない。

 

「じょ、冗談じゃねえ……何だよこの馬鹿げた……強さ……ざけんなって……」

(一割の半分……カリフは少なくとも……これの倍の攻撃力を受けていたのか……!)

 

誰もが同じことを思う。

 

策さえも全て圧倒的な力の前にひれ伏せられる……もはや彼女たちは勝つどころか生き残れるかどうかさえ分からなくなる。

 

「どうすれば……!」

 

皆のダメージと疲労が限界を達し、デバイスを支えに立ち上がる。

 

歩く以前に立ち続けることさえ辛そうなほど足が震える。

 

この場で誰もまともに動ける者は残っていない。

 

「おらあぁぁぁぁ!」

「ぬぅ!?」

 

否……まだ抗うものはいた。

 

腹と首からの出血を押さえようともせずにカリフは全力疾走で向かってパンチを繰り出す。

 

ジャネンバも予想外のことに反応が遅れて頬を掠める。

 

頬がカリフのパンチで斬れるのも気にせずに着地したカリフに尻尾を伸ばす。

 

「がっ!」

「これで……終わりだぁ!」

 

カリフを上空に投げ飛ばした。

 

ジャネンバの前に一筋の光が集い……

 

「キエエエェェェェェ!」

 

ガラスのように砕けて襲い掛かる。

 

「く……う、くぅ……!」

 

腕でバリアーして即死は避ける。

 

だが、ガラスの破片の嵐に遭遇したかのように全身を斬り裂かれて地面に力なく落下する。

 

「う……おぉ……」

 

虫の息であるにも関わらずカリフは尚もよろめきながら立ち上がる。

 

「うあ……」

 

地面に溜まった自分の血で足を滑らせて倒れる。

 

「か……はぁ……」

 

腕の力だけで立ち上がろうと上半身を無理矢理起こす。

 

「まだ……立ち上がるのか……!?」

「あの子……」

 

意識も体力も既に底をついているはずなのに……それでも消えない闘志を目の当たりにしたゼストたちは驚愕を通り越した。

 

「もう……止めろ! これ以上やったら死んじまう!」

「カリフ!」

 

永く転生してきたヴォルケンリッターでさえもこれほどまでの闘志は見たことが無い。

 

自分たちはカリフを甘く見過ぎていた……そう痛感せざる得ない。

 

ゆっくりと立ち上がってくる様子をジャネンバは見下ろして一言告げた。

 

「無様だな」

 

ただそれだけ言った。

 

対するカリフは弱弱しく返す。

 

「そう……だな……こんなになる……ま……で何やって……るかなぁ……」

 

自嘲はあまりに小さく掠れた声だった。

 

いつもの口調で話す力さえも残されていない。

 

「だけ……ど……お前も同じ……だ。死んだふりして……不意打ちして……」

「そうだ。私は……生き抜くためにはどんなことでもする! たとえ……プライドを捨ててでもな!」

 

ジャネンバはゆっくりと立ち上がってくるカリフに近付いてくる。

 

「それで良い……結局、必死に生きるということは恰好悪いことなんだよ」

「……」

「泥水すするような思いをしてでもお前は生きることを選んだ……何も悪いことじゃねえよ……お前は命の重みを分かってる……強い証拠だ」

「私は……お前だからな」

「それもそうだな……はは……げほっ!」

 

咳をするだけで夥しい血が吐き出される。

 

それを見たフェイトの脳裏にかつての母の姿が浮かんだ。

 

(駄目……そんなの……嫌……)

 

目の前で大切な人を失った心の傷。

 

周りの人に優しくしてもらっても永遠に消えない傷は悲鳴を上げる。

 

全身の痛みも無視してカリフの元へと這いずって来る。

 

芋虫のように地面を這いずりながら……

 

「フェイト……」

「……」

「フェイトちゃん……」

「テスタロッサ……」

 

皆がフェイトの必死の行動に瞑目して涙を流す。

 

この中で唯一、身近な人の死を見たことのあるフェイトだからこそ動いた。

 

土まみれになってまで這いずるフェイトをジャネンバは止めることさえしない。

 

それどころかフェイトがカリフに行きつくまで剣を下げて見守る。

 

「カリフ……!」

「フェイトか……お前、そんな身体で何してんだ……無茶しやがって……」

「カリフ……逃げて……あいつは私たちが止めるから……もうその身体じゃあ……死んじゃうよぉ……」

 

涙を流して血に濡れるカリフに逃げろ、と懇願してくる。

 

その必死な様子のフェイトにカリフは……

 

「まったく……お前という奴は……」

 

呆れながら笑った。

 

弱弱しく生気が感じられないが、確かに笑った。

 

その後はフェイトを血に濡れた腕で抱いて背中を擦ってやる。

 

泣きじゃくる赤子を落ち着かせるように……遠い昔に弟にやってやったように……

 

優しく……

 

温もりを与える……

 

「いいさ……逃げた所で……もう助かりはしないことくらい分かる……何しても死ぬだろうな……」

「死なない……死なせない! 私が守るから……! カリフが私たちを守ってくれたように……!」

「なに……言って……」

「母さんとシグナムたちと会っていたこと……最初は私たちを騙してたんだと、裏切ったんだと思ってた……」

 

その話か……朦朧とする意識でかろうじて思い出す。

 

「でも違った……あの後にユーノと母さんが教えてくれた……カリフ……一人で私たちを守ってくれてたんだよね? はやてを助けるために私たちと別れて……母さんのこともそう……急に合わせたら私がショックで動揺するから落ち着くまで待っててくれたって……なのに、私……酷いこと言った……カリフ……私たちのために走り回って……疲れてたはずなのに……」

 

決壊したダムのように涙が溢れてくる。

 

「後で後悔した……何であんなこと言っちゃったんだろう……何で信じられなかったんだろう……もっと話し合ってさえいれば皆で協力できてたかもしれなかったのに……」

 

過去の過ちに胸が苦しくなる。

 

過ちの懺悔はいつだって遅すぎる……

 

「私……一杯傷つけた……許してくれなくていい……私があなたを守る……だから……!」

 

死なないで

 

 

もう……大切な人たちを目の前で失うのは嫌だ……

 

 

その言葉を塞いだのはカリフだった。

 

「別に気にしてねえよ……傷をことには慣れた……今頃傷が一つついても今更なことだ」

 

小さく、呼吸が静かになってきた。

 

「それに、奴はお前たちを殺す意思は無い……殺す気だったなら、今ので全員死んでいるはずだ……奴は……オレしか殺さないから……逆に言えばオレが逃げても必ずオレしか狙ってこないからな……」

 

聞こえない……聞きたくない!

 

「そして……最期に一つだけ聞いてくれ」

「最期じゃない……ちが……」

「あいつを……恨んじゃいけねえ……あいつはただ……必死に生きてるだけだから……」

「うぅ……うあぁ……」

「……泣くなって……もう行くから」

 

カリフは私を優しく押しのけてナハトを見上げる。

 

「……一つ……聞きたい……」

「なんだ?」

「……フェイトたちを殺す意思はあるか?」

「否、この者たちの存在は私の生存に関与することはない。殺す必要は無い」

「……この後はどうする気だ?」

「もはや闇の書から独立できた私は新たな新天地を探し、安全に生きていく」

「……生き物を殺すか?」

「空腹の概念が無い私にとっては無益で無駄なこと。だが、お前だけは殺す。この世で唯一私を滅ぼし得るお前だけを」

「そうか……なら良かった……」

 

ここまで聞いたカリフはどこか安心したように立ち上がった。

 

「よ……っと……」

「どういうつもりだ?」

 

この行動にはジャネンバでさえも驚かされた。

 

底知れぬ生命力もそうだが、何故立ち上がったのか……それが分からない。

 

そんなジャネンバにカリフは不敵に……血を垂らしながら笑う。

 

その眼は諦めた敗者の物ではない……覚悟を決めた戦士の目そのものだった。

 

「……まだ立ち向かうのか? 勝てる見込みがなくても……」

「でも、お前相手に勝つにはこれしかねえ……逃げるよりも戦ったほうが可能性が大きいってことくれえ分かる……」

「誤差は0.0000001%の範囲内……億が一でもないと無理な計算だ」

「それでも……本当に強いお前に勝ちたい……最期まで……」

 

立っているだけでも血が漏れて足元に赤い水たまりを作る。

 

「最期まで痛い思いをするのか? そのまま眠れば静かに逝ける……もう傷つけずに済む」

「悪いが……死にぞこないに最期まで付き合ってもらうぜ……お前はオレだから分かるだろ?」

「……」

「どうしようもない血を受け継いだオレでも、家族を持った。鍛え、育ててくれた人たちがいた」

 

命を削りながら語りを止めない。

 

「オレのために泣いてくれる……馬鹿で不思議な奴等と出会えた……」

「……」

「そんな奴らが見てる前で何もできず……眠っちまったら……」

 

 

 

 

―――恥ずかしくてあの世に逝けねえよ

 

 

 

 

血に濡れた腕を上げてファイティングポーズを取る。

 

「……お前の覚悟、しかと受け止めた。そして詫びよう……もう少しで取り返しもつかない無礼を働くところだった」

 

ジャネンバも剣を構えた。

 

「お前の全てを……私が斬る!」

 

見つけた……至福の死に方

 

いつかは死ぬ時が来る……ゴミみたいに汚い場所で野垂れ死ぬのだと思っていた。

 

一度目はそうだった……だけど魔法の世界に来て変わった。

 

色んな人物と出会い、色々と対立したこともあった。

 

恨まれることもあったけど、最後には信用できる間柄になった。

 

そいつ等に見せたい……オレがどんな生き方をしているかを……

 

そして分かってほしい……この人生は決して不幸じゃなかったってことを……

 

友となれる人と、尊敬できる人と出会えたことは絶対に不幸なんかじゃないということを……

 

「オレはカリフ……惑星ベジータで生まれ、地球で育ったサイヤ人……見せてやる」

 

喉を裂きながら最期の力を振り絞る。

 

近付いてきたジャネンバの腹に拳が当たり、打撃音が響くがダメージはない。

 

剣に再び体を斬り裂かれて血飛沫が舞う。

 

「……未来へ受け継ぐ……ちきゅ……人の魂……」

 

残った力でジャネンバをペチンと叩く。

 

再び斬られても、もう血がそれほど出ない

 

「……あき……らめない……サイヤ人のたま……しい……を……」

 

怪力の見る影もない……ペチンとジャネンバの身体を叩く。

 

刺されても……痛みさえ消えた。

 

自力で立つことができず、ジャネンバの身体にもたれかかる。

 

その命も風前の灯……なのにひゅうひゅうと弱弱しい呼吸のまま腰に手を回して倒れることはしない。

 

「このいの……ちで……こいつ等……だ……けで……も……」

 

傷が無い場所など無い死に体の身体はジャネンバを離さない。

 

尽きぬ魂に時さえも動くことを忘れさせる。

 

「……」

 

ジャネンバは剣を下ろして瞑目する。

 

 

 

直後、カリフがその場に倒れた。

 

「……え?」

 

誰かが漏らした声

 

動かなくなったカリフ

 

 

勝つために生きてきた者の成れの果て

 

倒れたカリフを丁寧に優しく、仰向けに寝かせてやる。

 

まるで寝ている赤子を動かすように……

 

ピクリとも表情を変えない血に塗れた少年の顔

 

「……出会い方が違えばお前と良き友になれただろう……」

 

 

 

 

手を合わせ、寝ているカリフに頭を下げた。

 

「カリフ……このマグマのように熱き情熱を持った戦士よ」

 

その身尽きても……その魂は死ぬことなく……

 

 

 

少年は眠る。

 

 

 

~後書き~

 

フリーザ戦を見ながら書いたら語りが多くなってしまいました……茶番だと思う人もいるかもしれませんが、今回はこのまま投稿させていただきました。

 

最後まで見てくれてありがとうございます! ジャネンバ戦ももう少しで終わる予定です!

 

色々と突っ込みたい部分はあるでしょうが辛抱してください。

 

また次回を楽しみに!

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