魔法少女リリカルなのは~生まれ墜ちるサイヤ人は悪魔の子~(更新一旦停止) 作:生まれ変わった人
アースラへと戻ってきたクロノたちは疲れを癒すことも無くモニターに集中する。
「クロノくん!」
「気にせずエイミィは監視を続けてくれ。艦長、状況は!?」
バリアジャケットを解いたクロノにリンディは切迫した表情を見せる。
「なのはさんは大丈夫。順調に進めているわ。このままなら予定より早く接触できそうよ。でも……」
「カリフくん……だけどね……」
生唾を飲み込みながら新たにモニターを映すと、そこには黄金に輝く大猿が唸りを上げていた。
『ウガアアアアァァァァァァァ!』
怪獣のような唸りを上げて空を飛び回る点を殴ろうと拳を縦横無尽に振り回す。
その点……ジャネンバはギリギリで避けながらシグナムの連結刃をカリフの腕に巻きつかせる。
『これでぐお!?』
『ガアアァァァァァ!!』
だが、腕を振り回してジャネンバ逆に振り回して遠くの火山にぶつける。
火山にぶつかると勢いづいたのかそのまま振り回し続けて幾重の火山にジャネンバをぶつけて倒壊させていく。
勢いづいて連結刃が解けると、鬱憤を晴らすかのように口からの巨大エネルギー砲を連結刃の元へと飛ばす。
そしてエネルギー波が着弾したその後……
遥か彼方の大地が割れ、核爆弾以上の大爆発が起こった。
『ぬおおおぉぉ!』
『ウガアアアアアアアアアアアァァァァァ!!!』
巨大な爆発でも何とか生きていたジャネンバが爆炎から脱出するのを見つけ、カリフは大口を開けてエネルギー弾を連続で飛ぶジャネンバへと連発する。
マシンガンのように連射される弾の一つ一つが核爆弾の数千倍の威力を持つ。
それを裏付けるように爆炎は星の地盤どころか広大な山も消し飛ばしていく。
そして勢いは激しくなり、地盤だけに収まらずハリケーンも、遠くで起こっている津波も、噴火も、火山灰を含む土石流も、オーロラも、雷も……
全てを消し去るエネルギーをカリフは星にぶつけ続ける。
『グガアアアアアアァァァァ!! ウギイイイイイイイイイィィィィ!!!』
星を痛めつけるエネルギーを撃っても標的に当たらないことに苛立ったのか、あろうことか自分の足元めがけて今までの比にならないほどの特大のエネルギー弾を撃った。
その瞬間、星が傾いた。
衛星上の惑星からは既に所々にクレーターが点々と存在している。
そんな惑星に新たに倍の規模を誇るクレーターが形成されたのを確認した。
「これは……現実なのか……夢なのか……?」
誰が見てもカリフの周りが異常だった。
カリフの弾幕一つ一つが星の寿命を削るほどの威力
そして、戦場はもはや想像以上の地獄となっていた。
地は割れ、空は歪み、海は荒れ、星が死んでいく。
どこぞの映画でやるような世界の終わりの映像とは重みが違った。
「これがカリフの底力って奴かよ……」
「……奴は最初から我らとは一線を画すとは思っていたが……なんてことだ……」
「古代ベルカの戦争でもこれほどのものは存在しなかった……」
「もう闇の書がどうこうってものじゃない……これは異常過ぎる……」
ヴォルケンリッターでさえもモニターでの地獄絵図には驚愕を通り越して身体を震わせていた。
戦争とは比べ物にならない? 当たり前だ!
人が起こす戦争は確かに悲惨だ……だが、“人の力”で起こる世界の崩壊など酷い……酷過ぎる!
今までこれほどの力を持つ少年が近くにいたのかと……身体が勝手に震えてくる。
「フェイト……」
そして、プレシアは地獄に残った愛娘を心の底から想うのだった。
◆
「う……風が強い……」
「やっぱりこの感じ……カリフが起こしてるのかな?」
「多分……信じられないけど」
「それなら急ごう。きっと時間が経てばもっと近寄るのも大変になってくる」
「うん!」
◆
爆炎が消えた死を迎える世界
そこには一匹の獣が寂しく佇む。
「グルルルルルル……」
標的を見失った獣は焦土と化した世界を彷徨うように歩を進めていた。
キョロキョロしながら彷徨い、唸り声を上げる。
「グオオオオオォォォォ!」
カリフが空を見上げても雷が轟く真っ黒な空しか見えない。
「ウオオオオオオォォォォォン……!」
まるで探していた道しるべを見失ったかのように、その唸り声にはさっきまでの凶暴さなど見られなかった。
それでも何かを探し求めながら破滅していく世界を彷徨い続ける。
そんなカリフは一つ見落としていた。
「こんな時に……あぁ……ガガ……」
自身の背後の瓦礫の中から聞こえる呻き声があることに……
「オオオォォォォォ……」
何かを呼ぶような鳴き声を上げながら彷徨っていた時だった。
―――グアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁああああアアアァァ!!
「!!」
突然の咆哮にカリフが振り返ると、瓦礫が爆発して巨大な“何か”が現れる。
そこに現れたのはなのはたちが倒した巨大な闇の書の防衛プログラムの怪物だった。
だが、その姿には一つだけ違う所があった。
「アアァァァァァァァァァァ!!」
防衛プログラムの先端からは異形の一部と化したジャネンバの上半身だけが生えていた。
最初のころの人型の形はその先端部を除いて変わり果てた物となった。
これが自動最終形態……ジャネンバ・ナハトヴァールver
闇の防衛プログラムの再生機能に加え、魔力無限生成機能を備えたジャネンバの最終形態
今のカリフを倒すためにジャネンバが人の姿を捨てたが故の姿だった。
「グルアアァァァァァァァァァァァ!!」
「ヲオオオオオオオオオオオオオォォォォォ!!」
カリフが走り、ジャネンバが迎え撃つ。
掴みかかってくる手をジャネンバの生み出した触手を幾重に束ねて手の形となり、大猿の手を掴む。
「ウガアアアアアァァァァァ!!」
「シャアアアアァァァァ!!」
もう片方の手も使うが、同じように触手の手で受け止められる。
巨大生物は互いに取っ組み合い、地面を削りながら拮抗する。
「ガアアアァァァァァァ……」
「フシー……フシー……」
押し返したと思いきや押し戻され、押し戻されたら押し返す。
互いの手が震えながらの力比べが数秒続いた所でカリフが口の中でエネルギーを放射した。
「ガアァ!」
一瞬でジャネンバの巨体を炎に包むが、触手が解けない。
「!? ウグガアアァァ!!」
それどころか触手は形を変えて取っ組み合っていたカリフの手に絡みつき、カリフを宙に放り投げる。
「ブシュウウゥゥゥゥゥ!」
鳴き声かも分からない奇声を上げてカリフをお返しと言わんばかりに地面に叩きつけ、力の限り引きずり回す。
「ガジュラァ!」
そして、触手を離してカリフを遥か遠くに投げ飛ばして火山に直撃を見舞わせる。
マグマをが飛び散り、火山が崩壊すると赤く熱せられた大岩にカリフの腹部が潰される。
「グガアアアアアアアアアァァァァ! アアアアアアアアアアアァァァァッ!!」
苦しそうに悲痛な唸り声を上げながらカリフは手足をバタつかせてもがく。
もがく度に地面を叩き、崖などの地形を崩壊させる。
「グルアアアアァァァァァ!」
ある程度もがいた所でカリフは高熱の大岩を両手いっぱいに掴み、ゆっくりと上半身を起こしていく。
「ガアアァァァァァ……」
腕や腹部が焼ける痛みに耐えて大岩を持ち、立ち上がる。
黄金の毛が焼け焦げる異臭さえも意識に入らなくなるほどの痛みを気付けにその大岩を振りかぶり……
「ウグルアアァァァァァァァァァァ!!!」
高熱の大岩をジャネンバに投げつけた。
投げつけた高熱の赤い大岩はジャネンバの元へ向かい、勢いよく本体へ直撃する。
「グガアアアアアアアアァァァァァァァァ!!」
身体を焼かれる痛みと大岩の直撃のダメージに巨体が傾くが……耐えた。
足で踏ん張り、触手をさらに伸ばし、多く束ねて極太の繊維を形成する。
放射線状に繊維を伸ばし、上空からカリフへと襲い掛かる。
カリフは再び受け止めようと迎え撃とうと手を伸ばす……だが、その手は空を切った。
「!?」
カリフに掴まれる瞬間に繊維は何本かに枝分かれしてカリフの手首、足首、首を掴んで転倒させる。
「ガルアアァァァァァァ!!!」
倒れたカリフは自分を押さえつける触手の束を振りほどこうとするが上手く力が出せない。
腕や足だけでなく首も激しく振ってもがき、もがき、もがき抵抗する。
そんなカリフに更なる事態が襲い掛かる。
「グルル……」
自分が激突した火山痕からジワリとマグマが滲み出て自分の元へ流れてくる。
幾ら理性が失ったとはいえ、マグマの脅威を本能で理解したカリフはより一層抵抗を激しくさせる。
「ウギャアアアァァァァァ!! グガアアアアアアアアアアァァァァ!!! アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァッ!!!!!!」
幾ら手を振り回しても触手に抑えられて体を起こすことさえできない。
マグマが自分の身体の周りから滲み、後僅かでカリフの身体に浸かってしまう。
「グルル……」
そんな時、カリフの目に飛び込んできた。
真っ黒な空を切り裂く黄金の雷光と
桃色の光を
「カリフ!」
「カリフくん!」
二人の声が耳に届き、真っ赤な目を見開かせる。
そして二つの光が腹部に降り立つと、光は収まって二人の少女の姿が現れる。
「グルルル……」
「大丈夫! 私たちは味方だよ!」
「なのは! この腕の触手をなんとかしないと!」
「うん!」
二人は脇目も振らずにカリフを拘束する触手に向かって魔力を溜める。
「ディバインバスター!」
「サンダースマッシャー!」
二人の砲撃が触手に当たるが、触手自体は焦げるだけでそれ以外のダメージは見られない。
「アクセルシューター! シュート!!」
「ハーケンセイバー!」
二人も分かっていたように攻撃の手を休めない。
今度は二人が一つの触手に集中して攻撃をするが、結果は同じだった。
「まだまだ……くっはぁ……はぁ……」
「はあああぁぁぁぁ!」
度重なる魔力の酷使で体力も限界に近づいてきたのか二人の攻撃からは威力も手数も目に見えて落ちてきた。
息切れをしながらもカリフを拘束する触手に攻撃の手を休めない。
◆
「……」
カリフは唸ることなく、まるで不思議なものを見るような目で見つめる。
―――何故、この小さな生き物はここに戻ってきたのか……
―――何故、こんなにも必死になって戦っているのか……
―――何故、逃げようともせずに自分を逃がそうとするのか……
何故…………何故………何故……
いくつもの“何故”がが渦巻く野生にあるまじき思考
“人”と“大猿”の間のカリフは獲物であるはずのなのはたちに胸が締め付けられる心地を覚える。
「きゃあ!」
「!?」
混乱しているカリフの耳に悲鳴が飛び込んだ。
視線を腹の上に戻すと、そこには息切れをして倒れるなのはの姿
「バル……ディッシュ……」
『Sorry……my……mas……ter』
フェイトも魔力が切れ、バルディッシュの音声が掠れて光が消える。
空元気の勢いが切れ、無理に無理を重ねた後遺症で二人はまともに立つことさえできなくなっている。
「はぁ……はぁ……」
「あ……うあ……」
二人はそれでも立ち上がろうと震える足で立ち上がろうとするが、力尽きて倒れる。
まともに動くことさえできなくなっている二人にカリフは唸る。
「ガアアァァァァァ! ウガアアァァァァァ!」
まるで呼びかけるような唸りにも二人は反応さえできない。
溜まった疲労に打ちひしがれて這いつくばる二人の姿にカリフは静かに唸るだけ。
何もできない……まるで悔しがるように表情を歪ませるカリフ
「フゥ! グゥ!! ウガァ!」
触手を振りほどこうと一層身体を揺らして逃れようとする。
マグマ以外の“何か”から逃れるように……
訳が分からない……何故この生き物が死にかけているのだ……
この小さな生き物たちは逃げることをせず、立ち向かう。
何に?……何がしたい……?……
何を得ようとそこまで強くなれるんだ?……
「く……は……」
「フェイ………ちゃ……」
なんで……こんなにも小さな声が耳に通る……
胸の中にすり抜ける……
止めろ……止めろ………!
これは自分で起こした結果……お前らを巻き込む気はない!
これがオレの人生……お前らが入り込む余地なんてどこにもない!
速くどこか……安全な場所へ……
「……リフ……」
!?
誰だったか……オレと同じ境遇でありながら……愛されるために生まれてきた少女……
オレとは対象的で、相容れない存在……
いや、オレは誰とも相容れない……
親しくなったふりして近付き、騙すか殺そうとするかする奴しか今までいなかった……
それが普通だった……
だけど、目の前の奴は何故戻ってきたのだろうか……
オレが消えても悲しむ奴なんていない……消えて喜ぶような奴しか知らない……
でも、目の前の奴らはオレを助けようとして死にかけている
オレのせいで……死にかけて……
こんな時はどうすればいい……どうすれば……
気に食わない奴は痛めつけるのが正解だった……
……クソ!
どうしたらこのイライラを抑えられる……!
戦って死ぬなら本望なのに……何だこれは……!
―――なんだそのザマは? ウジウジと女みたいに情けないぞ! いつもの偉そうな態度はどこへいった!!
五月蝿い……オレだって分からない……考えたっていいだろ……悩むことだってある!!
―――そんな下らないこと考える暇があるなら戦え!! 俺たちサイヤ人は戦闘民族だ! 戦うことに喜びを見出す、それ以外に何がある!!
それは……
―――……なんて、昔だったらお前に言っていただろう……
?
―――サイヤ人の王子である俺でもお前のように悩んだ……同じことでな
そんな……まさか……冗談じゃあ……
―――冗談じゃない。俺は過去に一度、変わることを恐れた……いや、“変わっていく自分”を恐れてしまったことがあった
自分を……恐れる?
―――過去の自分と今の自分を比較し、勝手に恐怖を抱いていた……今考えれば情けない話だった。そのせいで俺は取り返しがつかないことをしてきた
…………
―――だけど考えれば簡単だった。答えなんてすぐに見つかった
!! どうだった!? あんたは何を見つけた!?
―――……
どうしたら強くなれる!? どうしたら……こんな思いをしなくて済む……!?
―――さあな、俺様はお前じゃない……他人の俺には答えは分からない。だが、ヒントに近付く方法なら知っている
それは……どうしたら!
―――自分を見失うな
!?
―――過去がどうであろうとお前はお前だ。他人になった訳でもない。これまでの体験、経験、感じてきたこと……様々な要因が今のお前を作っている。過去だけが真実の姿ではない
過去……今……
―――過去は誰にも変えられないし、無かったことにもできない。過去を忘れないことも大切だが……過去に囚われては何もならない
……
―――今も昔も……お前はお前だ
オレはオレ……
―――行って来い。お前を迎えに来た奴がお前を待っているんだろ? サイヤ人ならこれくらいの死地を乗り越えろ
……
―――お前が生きるためにも、答えを見つけるためにも……
……あぁ
―――ふん、やっといつもの顔に戻ったようだな
そっちも相変わらずな口だ……おかげで調子が戻って来た
―――なら行って来い……お前だけの答えを見つけにな……
あぁ……行ってくる……そして、あんたに一歩だけでも近付いてみせる
―――そうか……
生まれて初めて……夢でもあんたに会えて良かったと思えた
―――そうか……
じゃあ……行ってくる……多分長い旅になりそうだ
―――そうだな。存分に見せつけて来い。サイヤの魂とやらを
さらばだ、なんて言わない。誇り高いサイヤの王子……ベジータ
―――またな、愚かで……純粋なバカ息子……カリフ
気が付いた時、そこは火の海だった。
マグマが押し寄せ、自分を飲み込まんと近づいて来る。
いつもより高い位置からの視線で自分の腹の上で倒れている二人の姿が赤い双眼で捉えた。
だが、唸ることも暴走もしない。
溢れんばかりの生命エネルギーの一部が倒れている二人を包み込む。
「あ……うん……」
「あ、あれ……?」
二人は淡い金のオーラに覆われながら自分の違和感に気付いて立ち上がった。
「何これ……力が湧いてくる……」
「それだけじゃない……体が軽くなって……ううん、今でもパワーが流れてくるような……」
「この光……が?」
「多分そう……だと思う。この光から魔力とは違う力が感じられる。それに……」
「うん……なんだか暖かい……」
二人の魔力は戻らないにもかかわらず体力が回復したことに驚きを隠せない。
だけどなんで……誰が……
「グルルル……」
「え……」
「まさか……」
静かに喉を鳴らしてきたカリフに二人は呆然とする。
二人は一瞬だけ信じられないといった表情でカリフの目を見ると、すぐにその考えは払拭された。
「カリフくん……私のことが分かるの?」
「この力もカリフが?」
顔の傍にまで寄って聞いてもカリフは何も答えない。
だが、その目はさっきまでの凶暴さはどこか消えているような気がした。
「もしかして私たちのこと分かるの?」
「グルル……」
その瞬間、なのはたちは確信した。
本当のカリフが戻って来た……こっちに戻って来たのだと。
「カリフ……カリフゥ!」
フェイトは堪らずに泣きながら膝から崩れた。
止まらない涙がカリフの首筋に滴り落ちる。
「よかった……よかったよぉ……」
「フェイトちゃん……」
「また……また私の前から消えちゃう気がして……」
「グルオォ!」
「へ!?」
「なに!?」
突然、カリフは底力を振り絞って触手を振りほどき、なのはとフェイトを手に持ってその場から起きて飛び上がる。
倒れていたその場にマグマが溜まるのを上空から一瞥した後、カリフは空いた手で迫り来る触手を薙ぎ払う。
「ガァ!」
なのはたちを持つ手をそのままにして、カリフは迫り来る触手から背を向けて全力で逃げる。
「カリフ!」
フェイトの呼びかけにも耳を傾けずにカリフはジャネンバから逃れようと高い運動能力を駆使して触手からの追跡を逃れていく。
巨体に似合わない俊敏な動きで山へ飛び乗り、または崖を降りたりと猿のように触手を攪乱させていく。
「これって……私たちを守ってくれてる……の?」
「……」
カリフの手の中でなのはが考察する中でフェイトは大猿となったカリフの顔を見上げる。
姿形は変わってしまったけれど……その大きな姿を目に焼き付けて……
「!!」
いつの間にか、カリフは一際大きい山の上に着地していた。
この世界の崩壊による影響が未だ届いておらず、周りを一望できる高台に
遠くで触手が無差別に土地を荒らしている所からカリフは追っ手を振り切った様子だった。
そこでカリフは二人を握っていた手を開いて山の上に乗せる。
「カリフくん? これって……」
「多分、降りろってこと……だと思う」
「でも……」
「降りよう……カリフはもう大丈夫だから……」
フェイトは既にカリフを信じて掌から降りた。
それになのはも迷いから一転して頷いてフェイトと同様に降りる。
二人が無事に地面に立ち、脅威がなくなったことを確認すると優しく開いていた手を力強く握りしめた。
「グガアアアァァァァァァ!!」
両の手を握り締めて天高く突き上げ、雄たけびを上げる。
空は渦を巻き、神風の如き突風はカリフの周りに吹き荒れる。
空はカリフを中心に渦巻き、大地はカリフを中心に崩れ去る。
「グルアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァ!!!!」
世界の中心で獣が叫ぶ
“我故に我在り”と……
「カリフの身体が……!」
「光ってる……!」
世界を揺らしながらカリフの黄金の体毛は更なる輝きを発して猛る。
そして、光の根源であるカリフの身体は縮んでいった。
「カアアアアアアァァァァァァ!!」
世界を染め上げるほどの光の爆発の中、その影が露わになっていく。
髪は金から黒く、長く逆立ち……
全身を覆う紅の体毛とサイヤ人の由縁である紅の尻尾
少年の姿から大人の背丈へと変えた逞しい肉体
身体も、心も、魂ですらも
全てが生まれ変わった究極のサイヤ人
追い求めていた師たちに一歩追いついた成長の賜物
自らの答えを得るため……
戦士として……
永きに渡った夜に終止符を打つため……
彼はあらゆる強さを得て、最後の戦いに挑む
超サイヤ人4
この宇宙に……一つの歴史が動いた。