魔法少女リリカルなのは~生まれ墜ちるサイヤ人は悪魔の子~(更新一旦停止)   作:生まれ変わった人

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アースラ内では混乱が起きていた。カリフが意識を取り戻し、なのはたちを安全な場所にまで避難させたことにはブリッジ全員が大声あげて喜んだ。

 

絶望的状況に一筋の光明が差したのだから。

 

だが、そこから先が予想を遥かに上回った状況になった。カリフを中心に天変地異が加速したと思ったら大猿姿のカリフの全身が光った。

 

そして、光が収まってみればそこには別人がいた。

 

黒く逆立った長い髪、赤い体毛と尻尾が特徴の見知らぬ成人の男が立っていた。

 

突然の男の出現にブリッジ内は騒然となっていた。

 

「だ、誰?」

「あの星にはテスタロッサたち三人しかいなかった……はずだ」

「だよな……」

 

突然の第三者、と言うかその男はさっきまでの少年の面影がある。

 

誰もが見惚れるほど変わった姿を大々的にモニターに映していると、なのはたちの声も響いてきた。

 

『えっと、あなたは……』

『なのは、フェイト』

『ふえ!?』

『はいっ!』

 

モニター越しでなのはは名前を呼ばれたことに驚き、フェイトはその脇で呆然としていたが呼びかけられたことで正気に戻った。目の前の出来事が信じられないような表情で目の前の男……カリフを見ていると、突然頭の上に手がのっかった。

 

『悪かったな。手間かけさせて』

『そ、そんなこと……』

『う、ううん……カリフが守ってくれたから平気……』

 

顔を紅くさせて成すがままに頭を撫でられる二人は顔を紅くさせて顔を俯かせる。

 

「「「……」」」

 

その光景にブリッジ内の女性全員が顔を紅くさせてその青年カリフに見惚れていた時だった。

 

『今、見ている奴がいるんだろう? エイミィ』

「え、あの、はい! 見てます!」

 

なのはたちの前に小さなモニターを出して応答するとカリフは二人の背中を押す。

 

『なのはとフェイトを先にアースラへ戻してやってくれ。ここはもう危ない』

「え? でも、カリフくん、さんはどうするの?」

 

探るように呼び名を変えてもカリフは不敵に笑って答える。

 

『オレはあいつを眠らせてやりたい。オレが戦わないとあいつが浮かばれないからな』

『そんな!?』

 

カリフに真っ先に反応したのはフェイトだった。

 

『駄目だよ! ナハトはまた強くなったんだよ!? またやったら……!』

『オレも少しは強くなったんだ。あいつの力量くらいは分かってるつもりだ』

『そうじゃなくて! フェイトちゃんは、私だって心配……!』

『なら、心配はかけねえよ』

『え……』

 

いつもとは違う静かで穏やかな対応になのはやフェイトも目を丸くしていると、カリフは今まで見せたこともないような笑みを浮かべる。

 

『お前等には世話になった借りがある……いや、今見ている皆にもか。それを返すまでは死なねえよ』

『ほ、本当に……?』

『お前等を置いて逝けるわけねえ……でなきゃオレが不安になっちまう』

『絶対?』

『勝って、お前たちの元に戻る。オレは約束を破るのは嫌いだからな』

 

そこまで力強く言われたらもう止められない。

 

(反則だよ……そんな顔でそんなこと言うなんて……)

 

本当はこのまま一緒に帰りたい……だけど、それ以上に“戻る”と言う言葉に力強さを感じた。意を決して二人はカリフから一歩離れてエイミィに通信する。

 

『エイミィさん。お願いします』

「え、でも……」

『カリフは後でお願いします……』

「か、艦長……」

 

決めかねる提案にリンディの方を見るが、リンディは頷く。

 

「もう少し待ってみましょう。私も彼を信じます」

「……分かりました」

 

リンディの言葉を聞くと、エイミィはカリフを除いた二人だけをこっちに転移させる。二人の身体が淡く光ると、フェイトとなのはがカリフの方に向いた。

 

『絶対戻ってきて! 絶対だよ!?』

『勝たなくてもいいから……もう傷つかないで……帰って来て……』

 

二人の言葉はカリフの耳に届いたのか薄く笑った後、二人は消えてアースラに戻って来た。

 

「なのはちゃん!」

「フェイト!」

 

すずかとアリサを皮切りに全員が二人を囲むように二人の帰還を喜ぶ。

 

「私は大丈夫……」

「それよりカリフを……」

 

だけど、当の本人は意識をモニターに向ける。荒れ果てた惑星の中で雄々しく佇むカリフのモニターに視線が集まった。

 

カリフの無事を祈りながら

 

◆

 

カリフは遠くで自分の姿を捉えている変わり果てたジャネンバを見据えていた。

 

「ブジュウウウウゥゥゥ!!」

 

詳しいことは分からないが、あの姿になったのはジャネンバ自身の意思なのだろう。

 

「もういい。これ以上苦しむ必要は無い」

 

唸りを上げているその姿からは僅かな人の形を失ったことへの悲しみが感じられた。カリフはジャネンバを愛おしそうに、慈しむような視線で見つめる。

 

「お前の辛さを理解してやることはできない……だから、お前が望むならオレが相手になる……このまま化物のまま死なさねえ……」

「ウジャアアアアァァァァァ!!」

 

数えきれないほど枝分かれした触手が迫り来る中、カリフはそれに拳を構え

 

一気に振り抜いた

 

「ジュラアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「お前の悪夢にも夜明けの時が来たんだ」

 

触手は殴られた拍子にボロボロに崩されながら勢いよく吹き飛び、本体さえもが触手に巻き込まれる形で吹き飛ばされた。浮いた巨体が地面に落下し、すぐに触手を再生しながら態勢を立て直した時だった。

 

「!?」

「ふふ……」

 

大きく離れていた距離を一瞬にゼロにさせられてジャネンバの目前で腕を構えるカリフ

 

驚愕しながら再生途中の触手でカリフを潰そうとしていたのだが……

 

「はぁ!」

「グガアアアアアアアアアアァァァァァァ!!」

 

カリフが眼前に消えて背後に瞬間移動した瞬間、ジャネンバの巨体から爆発と衝撃が起こった。触手はバラバラに吹き飛ばされ、肥大化した巨体のほとんどが一瞬にして破損されて崩れ去った。

 

「ウガ……ヲォォ……」

 

これだけで体内で作っていた魔力と体力は底を尽いたのか身体のあちこちが再生ではなく崩壊を始める。

 

パワー、スピード共にはるかに凌駕されたのだ。

 

苦しそうにジャネンバは体を崩壊させながらカリフの方へ向いた時、正面に堂々と佇んでいた。

 

「これが……オレの全力だ」

「!?」

 

カリフの手の上には綺麗に輝く小さな球体が浮かぶ。それはまるで輝く星のように綺麗なものだった。

 

だが、内包されたあり得ないくらいのエネルギー量にジャネンバは咄嗟に迎撃するために砲撃のために力を溜める。巨大な魔方陣を形成して莫大な魔力とエネルギーが勢いを増す。

 

「セイクリッド……」

「ヴァアアアアアアアアァァァァァァ!!」

 

小さな球体を形成するカリフに極太の砲撃が襲い掛かる。威力としては間違いなく幾つかの星を破壊する程の絶大なエネルギーの砲撃をカリフは……

 

「フォーーーーーーース!!」

 

輝く球体を投げた。

 

投げられたエネルギーの球体は対する砲撃と比べれば大きさなど比べ物にならないほど小さい

 

筈である。

 

「ヴァジュルゥゥゥゥゥ!?」

 

小さな輝きは極太の砲撃をいとも容易く押し返してジャネンバの元へと向かっていく。どんなに出力を上げても小さな輝きは止まる気配すら見せない。

 

そして

 

「ガ……グガ……」

 

小さな球体は意外とあっさりとジャネンバの胸の中に吸い込まれるように中に入っていく。震える手で輝きを取り出そうとしたが、その後にジャネンバの身体から光が溢れだす。

 

 

 

肥大化した身体は崩壊し

 

 

 

ジャネンバは本来の人型の姿へと戻る

 

 

 

宙に浮かんだジャネンバの口、目、耳といった穴から漏れる光は勢いを増し

 

 

 

やがては

 

 

「ア……」

 

 

ジャネンバの胸から光り輝く柱が飛び出した。ジャネンバから生えてくる光の柱は真っ黒に染め上げた天に穴を空け

 

 

月に照らされた夜空の中で伸びていく。

 

 

 

伸びて、伸びて、伸びて……

 

 

 

光の先端は大気圏を抜けて宇宙へと飛び出し

 

 

 

広大な宇宙の中で十字架となってそびえ立つ。

 

 

 

一つの星から巨大な輝く十字架が生えている広大な宇宙の中にそびえ立つ十字架は

 

 

 

 

まるで星そのものの祈りを体現したかのような美しさだった

 

 

 

◆

 

意識は突然に呼び起された。

 

自分の中から力が、何もかもが抜け落ちていくような感覚

 

記憶が曖昧な所があるが、私は負けたのか

 

気に入っていた姿をも捨てて挑んだが、オリジナルには届かなかった

 

だが、これでいい……これであの方を苦しめることもなくなる

 

これで……いいじゃないか

 

このまま眠って……

 

 

 

 

「ナハトっ!」

「あ……」

 

私を呼ぶ声……はやて様……

 

「気ぃ付いた!? しっかりしてや!」

「はやて……様……これは……」

「ナハト! まだ逝くな! お前はまだ……!」

 

はやて様、それにリィンフォース……他にも守護騎士たちが見下ろしている……

 

私の身体が無い……成程、今の私は首だけか……

 

するとここはアースラの中……オリジナルだな。こんなことするのは……

 

だけど今となってはどうでもいいことだ……これは願ってもない……

 

「ふふ……お見苦しい姿を見せてしまいましたね……やはり私はあなたの騎士にはなれませんでした……」

「そんなんどうでもええ! すぐに助けるから死なないで!」

「可笑しなことを言いなさる……私は死ぬのではなく、解放されるのですよ……あなたを殺すはずだった忌まわしい因縁から……」

「騎士とかどうでもええねん! お願いやから死なないで!! 私が守るから……私があなたを抑えるから頑張ってぇ!」

 

はやて様……こんな私のために泣いておられるのか……

 

「世迷言を……私はどの道こうなる運命でした……これでいいのです」

「良いことない! 良いことなんかじゃない!」

「その涙は私には勿体ない……笑ってください」

 

安心させるように慣れない笑顔を作ったのが悪かったのかはやて様の他にもリィンフォース、騎士たちも泣いてしまった。

 

何か間違えたかな?

 

「なんで笑えるんや……本当はナハトだって生きたいんやろ!?」

「えぇ……生きたいです。騎士たちの記憶や感情がリンクしていましたから……それに、昔からあなたを見てきました……」

 

思い出されるのは昔からの思い出

 

「あなたのご両親はハイハイができなかったあなた様を大層心配されておりました……」

「う……グス……!」

「あなたは昔は他の子供と自分を比べては泣いていた……だけど歳が過ぎるに連れて涙を見せず、独りに慣れて頼ることも、泣くことも……抑えてしまった……」

「ナハト……」

「私は騎士ではありません……不幸しか呼ばない闇であり、バグでしたが……あなたの成長を今日まで見届けることができて……嬉しかった……」

「ナハトォ!!」

 

こうして泣きじゃくる姿はいつ以来だったか……

 

「私は生きたかった……あなたを死の運命から逃がすために……それだけだったのです。たったそれだけ……」

「そんなの嘘や! そんなの……!」

「やっとこうして話し、触れられたのです……このまま穏やかなまま眠らせてください」

 

今の私は満たされている……不安だったことが全て片付いたのだから怖いわけがない

 

「永い間苦しくて……辛くて、悲しい想いしてきて……やっと、やっと自由になって……救われたんやないかぁ!」

「私は間も無く消えます……ですがこの魂は消えません。あなたが覚えてくれるのなら」

 

ふふ……自分で言うのも何だか臭いな……

 

「もっと楽しいこと……幸せにせなあかんのに……なんでこんな……」

「もう贅沢すぎるほどに幸せですよ……良いご友人を持って成長したあなたをこの目に焼き付けられて……ご立派になられた」

「ナハト……」

 

次は……そうだな

 

「リィンフォース」

「どうした?」

「……すまなかった。お前に辛い業を背負わせた……」

「謝るのは私の方だ……ナハト。本来は私が……」

「お前は魔導の器だ。はやて様の危険を払い、護るのが役目だ。それなら私が全て持っていくよ」

「やはり……お前だったんだな」

 

その様子だともう気付いているか……クリスマスのサプライズにでもしたかったんだがな……

 

「暴走体になったナハトを見て分かった……私の中の歪められたプログラム構築が消えていた……」

「言っただろう? そんなの今更だ……代わりに不要となった初期設定のプログラムを移植させてもらったがな……」

「お前……最初から……」

「さてね……ただ、バグがバグを貰ったからってそう変わるものじゃないと踏んでいたからな……」

「お前の方が私より生きたかったはずだ……なのに、私の方がこんな……私にも罪があるというのにお前だけが消えるだなんて……あんまりじゃないか……」

「だからお前は生きろ。生きてはやてさまのお傍にいるんだ……最も優れた方法で償っていけ」

「……」

 

やれやれだ……守護騎士たちにも一言いってやらねばならん状況だな

 

あともう少しで消えるというのに、逆に私が説教臭くなってしまうとはな……

 

「守護騎士たちもすまなかったな。永きの間お前たちを望まぬ戦いに巻き込んで……」

「いいよ。あんただって苦しかった……いや、一番つらかったのはあんたなのかもしれないし……」

「ヴィータの言う通りだ。だから、後のことは私たちに任せてくれ」

「私たちを護ってくれてありがとう」

「我らは一生忘れない。己の命を賭してまで戦った立派な騎士のことを……もう一人の同志を……」

 

意外な言葉に少し面を喰らってしまった……だが、胸のつかえが下りた。

 

後は……

 

「そこにいるのだろう? はやて様のご友人たち。それに小さな勇者たちよ」

 

呼びかけると守護騎士たちが後ろに下がり、代わりに私と対峙した者たちの姿が見えた。

 

その者たちでさえも同じように悲しそうな面持ち

 

本当に……脆くて、優しき者たちだ

 

「ありがとう……お前たちのおかげで最悪の結末を、悲運の輪廻から解き放たれた。ありがとう……この言葉以外にかける言葉が見つからない」

「そんな……私……あなたを助けることができなかった……お礼なんて……」

「謙遜するな。お前たちはそれだけのことをしてくれた……そして謝りたい。お前たちの友を手にかけたことを……」

「それはカリフに伝えるべきです。あなたが生きて、直接……」

「はは……そんなことしたら怒られてしまう“後悔するならやるんじゃねえ!”ってな……」

「……」

「お前たちがはやて様の友人でよかった……今後ともよろしく頼む」

「……はい」

「分かりました……」

「クライドも彼女のことを頼まれてはくれないか?」

「任せてくれ……君には命を助けてもらった。それくらいはさせてもらうよ」

「主人のこと……ありがとうございました」

「後のことは僕たちが……はやてのことは心配なさらずに」

 

あれがクライドの家族か……私もああやって誰かと寄り添ってみたかった……

 

そうだな……後一つ……どうしてもあと一つだけでも……

 

「オリジナル……カリフは? 今どこに……」

 

それだけ聞くと、一同は表情を暗くして俯いた

 

「カリフは……あなたを連れて帰った後に変身が解けて……ダメージが残ってて……」

 

そこまで言ったとき、ハッチが開く音に皆がその方向を見ると、一様に驚愕の表情に変わった。

 

「カリフくん! あなた……!」

「ふん、こんな時に寝てられるか……」

 

近くにフラフラのオリジナルが近付き、フェイト・テスタロッサとその使い魔が支えようとするが本人は手で制す。

 

相変わらず強情な奴だ。立っていることさえ奇跡的なはずなのに……

 

「最期に一目見ておきたくてね……私を負かした相手の姿を……」

「こっちも似たような感じだ……お互い情けない姿になったものだ」

「違いない」

 

可笑しくなって互いに笑ってしまう

 

こうしている時、本当に同じ人格なのだと感じられる

 

「何故、ここに連れて来た? 情けか?」

「そんなもんあるならご飯にでもかける」

「だろうな……」

「まあ、正直言えばオレもよく分からん」

 

分からん……なるほど、何の打算は無しか……

 

「なんていうのか……こうした方が良いと思った。と言うかこうすべきだと思った」

「すべき?」

「お前はこの時代を必死に生き抜こうとした戦士だ……オレの人格をコピーしたとはいえお前は必死に、そして立派に戦い抜いた」

「!?」

「そんなお前を尊敬したくなったのさ……尊敬する相手には報われてほしいからな」

 

この自己中心な奴が……私を尊敬……?

 

過去から今まで……誰も私と会話すらできなかった……

 

誰にも認知されず、誰からも疎まれ、恐れられて……

 

だけど、目の前の愚か者はそんなことも知らずに私を過大に評価する……

 

「は……はは……これは奇妙なことだ……まさかそんなことをお前の口から聞くとは思ってなかった……」

「冗談でこんなこと言うと思うか?」

「ははは……そうか……」

 

見上げているカリフの顔が滲んで見えてくる。

 

こういった現象はこいつを殺した直後、高町なのはに指摘された時のと似ている……

 

「私は……“泣いて”るのか?」

「あぁ……」

「でも、さっきとは違って嫌な気がしない……嫌なことが無くても泣くのか……」

「嬉しく……も泣く奴もいるしな……」

 

カリフが涙を拭うと再び姿をしっかり捉える。

 

もう……時間も無くなってきた……

 

だけど……

 

「もっと……姿をよく見せてくれないか? もう片方の目が機能しなくなってきた……完全に見えなくなる前に……」

「今……見え……か?」

「少しだけだ……だが、感じるよ……お前は私よりも身も心も強くなった……お前の成長を見れてよかったと思う……」

 

……もうほとんどの感覚が麻痺してきた……

 

でも……あと少しだけ……もう少しだけ時間を……

 

「一つだけ……一つだけ……じゃ……くしゃの戯言と……って聞いて……ほ……しい……」

「……」

 

かろうじて見える顔が口を動かして何かを言ってるのに聞こえない……

 

「はやて……まや……の優しきしょ……ょたちと……共に……生き……たしの……分……まで……生きて……」

 

こんな想いは届かないかもしれない……だけど信用できるこの男だからこそ頼みたかった。

 

どうか……この優しき少女たちと最期まで生きて……守って欲しい……

 

お前とは同じ時を生きられない私だからこそ頼みたい……

 

私の代わりに……この子たちを……見守るだけでも……

 

 

 

「……」

 

その時、私の中に何かを言いながら暖かいものが流れ込んだ……

 

それは心地よく、とても安心させてくれるようなエネルギー……

 

彼が何を言ったか分からない……けれど、彼は嫌な顔をせずに私と向き合っていた……

 

「わた……は……お前に……会うた……めに永い……旅を……してき……た……かもし……れん……」

 

目も見えなくなってきた……感覚も……消えて……

 

だけど……怖くはない……私は最期に幸せだった……

 

これまでに知り得なかった……“心”と“誇り”を……教えてもらった……

 

最期の最後に主を……皆を最良の未来へと導けた……

 

「……あ……りが……と……」

 

ありがとう

 

 

私に心をくれて

 

 

ありがとう

 

 

私と向き合い、戦士にしてくれて

 

 

ありがとう

 

 

私のために泣いてくれて

 

 

ありがとう

 

 

この世界に来てくれて

 

 

ありがとう

 

 

 

 

 

「さ……ら……ば……」

 

 

 

 

 

幾つもの“ありがとう”

 

 

 

 

 

私の……最初にして最後の友に捧げよう

 

 

 

………………

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

……

 

 

「グスッ!……ヒグッ……ナハトォ……」

 

アースラのブリッジ……今ここに一つの命が散った

 

ジャネンバが逝った後には淡い光が浮かぶだけ

 

永きに渡った魔導書の終着点

 

彼は……短い間だったが、確かに生きていた

 

自分のため……何より、この悲劇を繰り返さないため……幸せな未来を繋げるため……

 

誰よりも生きたがりで、泣き虫な戦士がこの世を去った

 

 

 

ジャネンバは皆を最期まで想い、笑って逝った

 

 

ジャネンバが消えた後に残った光はその輝きは次第に弱くなっていった

 

だが、その場に溶けて無くなるその時まで

 

 

 

確かに輝き続けていた

 

 

 

~後書き~

 

長い間お疲れ様でした! これにてA,s編の大体が終わりました! 今後は色々な疑問点を残りの日常パートで消化したいと思います!

 

GODに関しては今回のように長くはしない予定でスパっと終わらせる予定です。何はともあれ、長い間お付き合いくださいましてありがとうございました! ここから気になる二人のサイヤ人の描写も……急に増えるかどうかはまだ微妙ですが必ず出したいと思っています!

 

ハイスクールD×Dも現在執筆中なのでそちらもお楽しみください。

 

それではまた次回までさようなら!

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