魔法少女リリカルなのは~生まれ墜ちるサイヤ人は悪魔の子~(更新一旦停止) 作:生まれ変わった人
そして大変遅れて申し訳ございません! 卒業発表と里帰り、そして風邪で大幅に遅れてしまいました!!
最近まで嘔吐したり咳したり熱出たり……とにかく遅れて申し訳ございませんでした! 催促が来ると嬉しくなる分、ちょっと申し訳なさを感じておりました……
なのでこれからもよろしくお願いします!
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霜が降りる朝、海鳴の公園の中に一つの魔方陣が現れる。そこに現れたのは体の至る所を包帯を巻いているカリフが降り立った。
簡単なパーカー一つで包帯を目立たなくしているので朝のジョギングしている子供としか見られないだろう。
小柄のパーカー来たその人影はその場を走って後にした。
◆
アリサ邸の大広間は大忙しだった。普段からパーティーに使われる広間には長テーブルが幾つか集まって一つの大きな置きテーブルに変わる。
テーブルの集合体の上に次々とお菓子やジュース、オードブルなどが次々と置かれていく。その準備をするのは複数の少女たちと大人たちだった。
「なのはー! そっちはどう?」
「翠屋のケーキは後もう少しでできるからそれが終わったらこっちはOKだよ!」
「こっちも飾り付けはオッケー!」
遠く離れた場所でアリサとなのはが手で大きく丸を象って笑い合う。
周りの保護者たちはそれを見て笑みが零れる。
「なのは、こっちは大分準備できたからアリサちゃんたちと遊んでも構わないよ」
「え、でもまだまだたくさん残ってるし……」
士郎に自由時間の許可をもらったなのはだが手を振って渋る。自分たちだけ準備を放っておくのは気が引けると言ったところだろう。
そんななのはに兄姉たちも促す。
「後は俺たちがやっておくからなのははフェイトちゃんたちと遊んできなさい」
「折角の大晦日だしね」
高町家のように説得されている他でも同じように最年少組を遊ばせようとする姿があった。
「あなたも行ってきなさいフェイト、アリシアも一緒に遊んであげないとそろそろ拗ねちゃいそうだから」
「分かりました。母さ……」
「まだちょっと喋り方が堅いわね。もうちょっと砕けて話してもいいのよ?」
「す、すみま……ごめんなさい。まだちょっと慣れてなくて……」
「とは言ってもそうしたのは私が原因だから仕方ないわ……これから少しずつ直していきましょう」
「はい!」
フェイトもフェイトでプレシアと嬉しそうに話していた。事件の後で二人で話し合ったとのことだが、どうやら良い方向に向かっているようだった。
フェイトのことだが、結局はリンディの養子となることになった。今さらプレシアが生きていた、なんて報告できないということもあるが、何より心を入れ替えたとはいえプレシアは一度犯罪を行ったことが大きな理由となっていた。
嘱託魔導士となったフェイトにとって身内の出来事は大きく響いてしまうので名残惜しい思いを噛みしめてフェイトの親権は諦めた。
過去のこともあるのに自分のことをこれからも『母さん』と呼んでくれると知った時には情けなくもその場で泣いてしまってフェイトとアリシアの二人に心配された。こんな思い出も時が経てば良い思い出となるだろうと嬉しくなった。
アルフのことだが、フェイトよりもまだ間柄はギクシャクしてはいるが、プレシアの謝罪とアリシアとフェイトの仲裁もあって関係は改善に向かっているとのこと。
「皆お疲れさまや」
「お疲れ―!」
後に客間の隅に待機しているはやてとアリシアの傍にまで年少組が集合すると皆にねぎらいの言葉をかける。
「待たせてごめん。はやて、アリシア」
「別にええよ。うちらだけ何もしてなかったしなー」
はやてが車いすに座った状態で笑っている。
「そういえばカリフくんも今日で退院だったよね?」
「それでもまだまだ時間はあるんじゃない? 退院する時には連絡が来るって言ってたし」
「そっか。じゃあそれまでどうしよっか?」
「じゃあゲームでもしてる? 新しいゲーム買ったのよ」
アリサの提案に皆は賛成だったようで頷いた。
「ヴィータ! 今から皆でゲームするけど一緒にやらへん?」
「うん行く行く! ちょっと待ってて!」
嬉々としてはやての元へと向かっていくヴィータにシグナムたちは溜息を吐きながら見送る。自分たちだけは手伝いを止める訳にはいかないと思い、その場に留まる。
「やれやれ……仕方がないな」
「そういうな将よ。好きにさせてやろうじゃないか」
「こっちはこっちで進めちゃいましょう?」
シグナムとリィンフォースにシャマルが促す。それに応じて再び飾り付けを再開しようとした時だった。
「ほう、やっぱり金持ちの雇うシェフは一流だな」
『『『!?』』』
突如として聞こえてきた第三者の声に全員が反応して目を向けると、そこには入院しているはずのカリフがテーブルに備えられた料理の一つを手掴みでつまみ食いしていた。
「カリフ! お前、アースラじゃあ……!」
「あんな所に長く居たい訳ねえだろ。怪我治すだけならもう出ても問題ねえ」
「まさか勝手に出てきたの?」
「人聞きが悪いな。ちゃんと断ってもらったよ。答えは聞いてないだけだがな」
すると、誰かを脅してこっちに来たというのか……相変わらずの彼に呆れもするが、同時に妙な安心感はあった。
魔法組がどこか納得する中、高町家や手伝いに来たノエルやファリンなどは驚愕を隠せなかった。
「あいつ、いつからこの部屋に?」
「自然に入って来たよね……気配が感じられなかった……」
「それにあの佇まい、やはり只者じゃないな」
カリフのポテンシャルに戦慄する高町家
「あの子がなのはちゃんたちの男友達か~」
「それよりも正門から入って来た訳じゃないわね……まさかあの厳重な警備を搔い潜ったというの?」
お気楽なファリンはともかく、ノエルはアリサ家の警備を知っていたこともあり、彼の侵入には驚いている。
「まあ、これが普通よね」
彼女たちの反応が自然だと言うことを考えると、プレシアたちは自分たちの感性が鈍くなってきたことを自覚させられる。
「おーいシグナム。これから石田先生も呼ぼうってはやてがさー、ってカリフ!?」
「寝起き早々からやかましいぜ」
「んだよ! もう来てんなら連絡しろよ!」
「今来たんだ。できるわけねえだろ」
「おーい! カリフ来たぞー!」
「聞けよ」
そう思いながら苦笑していると年少組のヴィータが戻って来てカリフを発見。そこから休憩に入った年少組が乱入したのはご愛嬌である。
しばらくしてアースラ組とユーノ、それにはやてが呼んだ石田先生も来た所でパーティーは始まった。
「Happy New Year!!」
「メリークリs……明けましておめで……とう?」
カリフのみが何やら出し抜かれた気がして、隣のフェイトに聞いてみる。
「フェイト、今日って何日だ?」
「今日? さっきカウントダウン終わってから一月の一日だよ?」
「……え?」
さも当たり前のように言ってくるフェイトに軽く困惑して頭を抱えていると、近くで聞いていたクロノが溜息を吐いた。
「君はあれから六日も昏睡状態だったんだぞ。寝起きと同時にアースラから脱走って非常識過ぎる」
「六日だぁ!? くそっ! 流石に寝すぎだろうが!」
毒づくカリフの言葉に軽くシャンパンを煽っていたシグナムが答える。
「プログラム体ではないお前がたったの六日であれだけの怪我を完治させたことが驚きだ。あの時のお前には肝を冷やされた」
「全身打撲に始まってから剣で刺されたり抉られたりはたまた潰されたり……見ているこっちが生きた心地がしなかった」
「このことは極力口には出すなよ? 主たちのような者たちにはあの戦いは色々と教育に悪いからな……」
「はっきり言ったらどうだ? オレの存在が教育に悪いって」
「どうしてそうも卑屈なのだ? そうじゃなくて、お前が死にかけたことが問題なのだ」
その返しには首を傾げ、答えを促そうとするが、シグナムたちの間にアリサたちが割り込んできた。
「そういえばあんた、今日までずっと寝てたのよね?」
「そう言ったはずだが?」
「じゃあニュースも見てないよね!?」
「当たり前だろうが……」
何だか落ち着きのないアリサとすずかの反応に少し苛立ちを覚えながら問い返すと、年少組は急いで広間のテレビを点ける。周りの面々もどこか気まずそうにしている様子に余計に疑問が湧いてくる。
そしてテレビを点けると、そこには年明け特番がやっている。
『テレビの皆さん、明けましておめでとうございます!』
映し出されたのは晴れ着姿のニュースキャスターが新年の挨拶をしているシーン。
『去年も色々とありましたが、今年もまた良い年でありますように!』
普通の社交辞令がテレビから続く中でカリフは考える。これが何なんだ、と。
「おい、これが……」
「あ、静かに! ここからや!」
「?」
はやてに封殺されて納得いかない様子で再びテレビを見ると、そこから『ビッグニュース・オブザイヤー』と大きく出た。内容からしてこの年一番のニュースを話題にするつもりなのだろう。
『さあ、今年一番のビッグニュースの発表といたしましょう!』
『とはいうものの、お茶の間の皆さまにはもうお分かりだと思いますが如何でしょう?』
『そうですね。それでも発表させていただきます! 今年のビッグニュースは……『クリスマスに現れる! 海鳴の鬼と座敷童』です!』
「……ん?」
色々とおかしい単語がテレビから発せられるのを聞いて目を丸くしているとそれに答えるかのようにテレビのシーンが映り変わる。そこには噴水広場で戦うジャネンバとスーパーサイヤ人3のカリフだった。
『オオオオオオォォォォラアアァァァァァァァ!!』
『グギャギャギャギャギャ!!』
テレビ越しで車を投げつけたり、噴水の中に放り投げたり、血を振りまいて殴り合う二人の姿が全国放送で映されていた。
「……んん?」
テレビを一心不乱に眺めるカリフ、それを悟る周りの面子。
『これが巷で噂になっている今年最大のニュースです』
『いやー、これを初めて見た時はドッキリだと思っていました』
『えぇ。ですが目撃者の証言、及び公共物が破壊されていること、それに伴って現場付近に残された血痕と負傷者の観点から見てもやらせやドッキリだという可能性は低いとのことです』
『こっちは金髪の子供のようですが、もう片方は赤い皮膚に大きな角、そして大の大人くらいはある背丈ですね。それに動きも人間らしいですので着ぐるみとしか……』
『そうとも限らない、というのが公式発表とのことであります。まだまだこの話題には興味を示す方々は多いとか……そこで、今夜は『朝までトーク! 本当に妖怪はいたのか!?』を開催いたします! ゲストとして生物学に詳しい研究者、そして日本の歴史を探求してきた著名人によるトークショーを……!』
ここまで流れた後でテレビを消した。誰かが消したか分からないけどカリフへの配慮だったのかもしれない。
そして話題の中心人物、カリフはテレビを正面に向いて身体を震わせる。
「あの、えっとね、これは……その……」
「大丈夫や! ここの人たちはカリフくんのこと分かってくれとる! だからテレビのことなんて気にせんでええんや!」
周りの面々はカリフの気持ちを察して慰める。メディアで注目の的にされ、騒ぎ立てられるのに抵抗が無いはずが無い。
世間の見世物にされて辛くないはずが無い。彼女たちが慰める中でカリフは床に膝を付いた。
「どういう……ことだ……」
「カリフくん……」
いつになく真剣な彼になのはも押されながら元気づけようと背中を擦ってやる。彼の心の傷を癒すように擦っている中でカリフは大声で叫んだ。
「肖像権とオレへの出演料くらいは払えよ!!」
『『『それでいいのかよ!?』』』
的外れな嘆きに一同の心配と不安は一気に解消させられたのだった。
「要は、オレが座敷童ってなってんの? この海鳴特産の?」
「まあ、そういうことね。あんなアグレッシブな妖怪はいないと思うけど……」
「で、ここの面子全員はオレの正体全部知ってると?」
「だって無関係じゃないし……」
パーティーも終盤に差し当たった所で再び面子を見直す。
高町一家、テスタロッサ一家、ハラオウン一家(クライド含む)、八神一家(リィンフォース含む)、そしてユーノと言った面子が勢揃い。ノエルやファリン、石田先生と言った面子にもある程度の秘密は昏睡状態の時に話していたらしい。
「最初聞いた時は驚きましたよ。はやてちゃんの病気もシグナムさんたちもその……『魔法』だなんてファンタジーみたいなことだとは……」
「石田先生ってば中々信じてくれへんから説得には苦労したんやで。実際に見せてようやく認めてくれて……」
石田先生は信じているようで、ザフィーラの犬形態の頭を撫でている。
「うちのなのはもいつの間にか魔法使いなんてやってたと知った時はびっくりしましたよ。いやー、世の中何があるか分かりませんねー!」
「あら、もうお酒回ったのかしら?」
高町家もどこか納得した様子で笑いながらシャンパンを煽っている。その様子に兄妹たちも呆れている様子。
どこか軽すぎる。数多の星を巡って来たカリフでもここまで楽観的な民族は初めてだと思わざる得ない。
何か毒気を抜かれたように溜息を吐いてジュースを飲んでいると、そこでファリンの無邪気な声が響いた。
「あのー、カリフくんって本当に妖怪なんですか!?」
「ノエル!」
突然の核心を突こうとする妹のファリンを叱りつけるノエル。その問いに周りの面々も興味津々といった感じで見つめてくる。
その様子に違和感を感じる。
「おい、オレのことはもう……」
もう全部知ってるんじゃないか……そう思っているとフェイトが金髪を振らせて頭を下げた。
「あのね、こういうのは本人の許可なしじゃあ言っちゃいけないのかなって思って……」
「まあいいけどよぉ……」
謝罪するフェイトを落ち着かせながら考え込む。しばらく考えた後、提案は簡単に出された。
「よし、この際だから全て話しちまおう。後で追及されんのも面倒だし」
「え!? そんな簡単に……!?」
まさか自分の正体を軽い口調で暴こうとするカリフの大胆だか軽薄だかよく分からない対応に全員が豆鉄砲を喰らったような表情を浮かべる中、カリフの人差し指が一本だけ立った。
「ただし、管理局の奴等には無償でこの情報をやるのはちと惜しいからな……この話はここだけの物、アースラからの録音も一切認めない」
「それは……交換条件かい?」
クライドが聞くと、カリフは手を振ってこれを笑いながら否定。
「ちげえちげえ。こういった正体でも後々どこかで名乗るタイミングによっちゃあ武器にもなるからな。オレの正体知りたきゃあそれなりの対価を払えって意味だよ」
「対価? しかし我々個人では……」
「だが、お前等には色々と厄介になったからな。今回は特別ってこった。何もいらねえし盗らねえ」
リンディからの申し出を断り、無償で情報を渡そうとするカリフに彼をよく知る者たちは呆気にとられて目を丸くする。あの傲慢の塊であるカリフからしたら最大限の譲歩じゃないのか? 何か悪い物でも食べたのか? といった感じだった。
それに気付いたカリフは皆からそっぽを向きながら鼻を鳴らす。
「ふん、お前等、オレのことを何だと思っていやがる」
「あ、いや、そういうつもりじゃあ……」
珍しくも拗ねた感じのカリフの対応に皆が苦笑する中で彼は溜息を吐く。
「ま、つってもオレの話を思えばそんな顔もするわな」
「どういうこと?」
「聞けば分かるさ……じゃあ前置きは済んだところで昔話にでも華を咲かせるか」
瞬間、誰もが彼の話に緊張を隠せなくなった。
突然現れた異例の漂流者
惑星をも破壊する絶対的強さ
そして、誰も接触を果たせないでいる宇宙最強の戦闘民族
それらの全てが今日ここで明らかにされるというのだから、緊張するのは当然なのかもしれない。
そんな彼らの緊張も知らずかカリフは悠々と皆の前に出て背中を見せる。
「まず、オレはこの世界の人間じゃない。そもそもこの星で生まれた訳じゃない」
「え?」
「星って……」
一般世界に住んでいる住民の反応は冷ややかな物だった。急に話し出す内容がとてもじゃないがアニメに感化されたものではないか……そんな口上だった。
しかし、それも次の光景に言葉を失うことになる。
「で、これが地球人との最大の違いだ……ふん!」
『『『なっ!?』』』
彼が少し力んだ瞬間、彼の尻部から茶色の長い尻尾がズボンを突き破って顔を出す。その光景に一般人サイドは驚愕を露わにし、一瞬だけ身を震わせた。
出てきた尻尾はヒュルヒュルとうねりながらもカリフの背中辺りを漂わせている。
「し、尻尾?」
「本物……ぽいね?」
「海外には尾てい骨の異常成長で尻尾のような物を持つ民族もいると聞くけど……そこまで完全な動物の尻尾を持った人は初めてだわ……」
「フサフサですね……」
とりわけ、高町士郎のようにある程度世界を知っていいても、石田先生のように海外の特殊な事例を知っている医者でもお目にかかったことのないようなレアな事実。この発見は世界そのものを揺るがす、本気でそう思う。
そんな彼らを一瞥し、カリフは続ける。
「フェイトたちはもう聞いていたようだが、この尻尾がオレの一族の象徴だ。過去の宇宙ではこれを見てオレたちを畏怖した。いや、今でもそうかもしれない」
「それが宇宙最強の戦闘民族……サイヤ人ってことよね」
「そういうこと」
プレシアの相槌にドリンクを流し込みながら続ける。
「お前等は簡単に宇宙人として覚えとけ」
「う、宇宙人……」
「世間ではこう……グレイタイプが主だって思ってた……」
「あ、でもなのはが見てた特番ではタコっぽい宇宙人もいたわよね? あなた」
自分の正体を明かす中で保護者陣はほのぼのとお喋りを始めた。あまりに軽い、言わばお茶会のような雰囲気にカリフも肩の力が抜けてしまった。
高町家は固まる兄妹以外はほのぼのとしていた。
「……」
(ごめんカリフくん! 普段でもこういう感じなの!)
真面目な話をしているのに、そう目で訴えかけてくるカリフになのはも身振り手振りで謝罪する。それを受けたカリフは溜息を吐いていた頃にフェイトが挙手する。
「はい。質問どうぞ生徒A」
「え、A? あ、じゃあ質問ですけど、あの金髪の姿もサイヤ人の特徴なの?」
律義にのってくれたフェイトの質問に簡単に相槌を打つ。
「まあそうだな。一定以上のエネルギーを身体に溜めたらなんかこう……それっぽい、まああんな感じになる」
「すっごいアバウト!」
「もう見せた方が早いな。これが気になる金髪ってやつだ」
軽く言って力むと、彼を中心に突風が巻き起こる。
「うわ!」
「ちょっ! 急にやるな!」
「ふう」
周りからの悲鳴や批判など聞く耳持たず、突風が止むころには姿を変えていた。
金髪を逆立てたその姿に誰もが目を丸くした。
「やっぱり何度見ても驚くわね……」
「えぇ、明らかに威圧感も増したようにも思える」
これには魔法サイドも驚愕を見せ、カリフの周りをジロジロと見つめてくる。
「これがサイヤ人の変身、『スーパーサイヤ人』って奴だ。例えるとそうだな……夜天の書で騎士たちが覚醒したり、デバイスを展開させた段階……ってとこかな?」
「元が強すぎるお前がパワーアップしてももうしっくりとこねえけどな」
「どれくらい強くなるの?」
「個人差によるけど大体通常時の50倍ってとこかな?」
『50倍!?』
フェイトの言葉に即答すると彼の実力を知る面々は大げさに驚く。それを聞いてクロノが噛みつくように問い詰めてきた。
「てことは何か!? 複数のジュエルシードを一度に封印した時よりも50倍も強いってことか!?」
「あんな石っころ、通常時でも三割くらいで十分だ」
「あたしらの特訓でも絶対に手抜いてたよね……」
「我等騎士を退けた時でも本気とは程遠いというのか……」
それぞれの面子は彼との実力の差に呆然とするものやショックを受ける者もいる。そんな時でも彼は至って普通に続ける。
「で、このスーパーサイヤ人には段階がある」
「段階ってことはまた強さも変わってくるのよね?」
「そ。んでこれがスーパーサイヤ2だ」
次は文句を言われないように比較的静かに気を上げて変身する。
すると、金髪は全て上向きにそり上げ、体の周りには小規模の雷が起こる。規模の小さな超常現象に全員が見惚れる。
「あんま外見は変わってないようだねぇ。分かる? ザフィーラ」
「確かに外見に目立った変化は無いようだが……なんとなく威圧感が更に重くなったと感じられる」
「そりゃ感じれば分かるけど……やっぱいつもよりおっかないなぁ……」
アルフが若干、カリフに畏怖を覚える。彼の一層増した威圧感に萎縮している感じだった。そして、一般人でさえもその威圧感が感じられるのか固唾を呑んでいる。
「この時がスーパーサイヤ人の2倍の強さってとこだ」
「もうカンストしすぎだろ……あたし等が勝てねえわけだよ」
「宇宙最強の戦闘民族だからな」
もう驚きもしないヴィータにリィンフォースが返す。そうしている内に今度は再び気を上げる。
「で、これが座敷童って奴だ」
「え?」
カリフの台詞に一部が首を傾げて視線を向けると、そこには驚くべき姿があった。それはまさにさっきまでテレビで映されていた姿そのものだった。
なのはたちとあまり変わりない背丈でありながら鋭い目つき、眉毛のない人相、そして異様に伸びきった金髪の少年の姿を目にして一般人サイドは驚愕した。
「あ! 座敷童!」
「ちげーよボケ」
「す、すいません……」
ファリンは一言を辛辣に返され、萎縮しながら謝罪する。だって目の前の少年の目つきが怖い。明らかにあっち系のグレた少年にしか見えないほど人相は良いとは言えない。
「ちなみにこの時はスーパーサイヤ人2の4倍だ」
「これまでの計算だとこの時になると通常時の400倍か」
「にしても本当に悪人面ねぇ……眉毛くらい描いたらマシになるんじゃない?」
アリサの悪気のない提案に思わず口角を上げて短く笑ってしまう。要するに冷笑だった。
「まあ様になってんだろ? サイヤ人ってのはそう見られてるからな」
「あ……そういうつもりじゃ……」
乗っかったと思ったらアリサはたじろいで言葉に詰まるが、それをはやてが指摘する。
「こら。そう困らせるんやないの」
「これでも気は遣っている方だ……まあいい、オレの知っている変身の内容はこれくらいだ」
「え? あの大人になるのは違うの?」
『『『大人?』』』
なのはの問いに一般人サイドは何のことかと首を傾げる。
だが、ここでカリフがスーパーサイヤ人3を解かずに唸ってしまう。その姿を意外に捉えられた。
「あれはだな……正直まだよく分からねえんだよ」
「いや、でも大きい金色のサルになった後に大人の姿になったのよね?」
『『『サル?』』』
「う~ん……」
「もしかして覚えてない?」
「暴れている最中はな……」
シャマルの問いにカリフは思い返しながら自分なりの答えを探していく。そして納得するような答えを手探りで言葉にして伝える。
「多分、あの姿……スーパーサイヤ人4は大猿の力そのものだろうな」
「どういうこと?」
「……サイヤ人は大猿になると戦闘能力が10倍跳ねあがる」
「うわ……また強くなった」
アリシアがあり得ないように呟くが、だれもそれに返すことは無くカリフの言葉に耳を傾ける。
「その力を制御できるようになって気のコントロールが可能になったなら更にまた強さがカウントされる。個人差もあるが最大で更に10倍も強くなれる」
「えっと……あのスーパーサイヤ人4が最終形態とすると……」
「元から規格外な通常時のお前を元にして50かけ2かけ4かけ10かけ10で……」
「40000倍か……もう訳が分からん」
「数字にするのは簡単だけど実際にはとんでもない強さを得るのは間違いない」
「なんせあのナハトをボッコボコにしちまうんだもんなぁ……」
リィンフォースを含めた騎士たちはカリフの身体をじろじろ見て何かを悟っていた。そんな中でリンディは一人考えていた。
(星をも簡単に滅ぼす力……今までのロストロギアでもそれほどの代物は存在しなかった……)
今までのロストロギアは何かを媒介にし、暴走した物が多かった。
エネルギー暴走によって誘発された津波、地震……いかに自然災害を巻き起こす魔力をもっていようが星そのものの破壊は無理なはず。
だが、今回の闇の書には星そのものを破壊する程の怪物が封じ込められていた。そこで新たな疑問が生まれる。
(あの怪物はどこから来たの?)
元々闇の書は魔法の蒐集などがメインであり、魔物の封印など聞いたことが無い。それを差し引いても疑問は尽きない。
(恐らく悪意の修正を受けた時に生まれたのがナハトであり、あの怪物の見た目になったのは間違いないわね……)
過去の全ての元凶……悪意を以て修正を加えた人物に全ての謎が向かうのは当然だった。
「リンディ?」
「え?」
自分の中の違和感に頭を悩ませていた時、傍らでクライドの声が聞こえた。現実に戻され、リンディは気を取り直した。
「何か気になることでも?」
「いえ、何でも無いわ」
今のところは……その台詞を自分の胸の中だけに秘めて意識をカリフに向ける。今考察しても分からないものは分からないのだから考えるだけ思考に溺れるだけだと決める。
クライドには笑って返したため彼も気にしていないようだったので胸を撫で下ろした。ここで再びカリフに問いかける。
「あなたのことはナハトからの報告とあなた自身の説明で一応は分かったわ。ありがとう」
「礼を言われる覚えは無いのだがな」
いつもの減らず口にリンディは彼の完全復活を再び実感することができた。少し笑ってしまう。
何だか彼のことを知ってから少し彼が年相応の背丈になったようにも感じた。
(これが人を知るということかしらね)
こうやって人は互いに歩み寄る、そう期待しながら残ったシャンパンに舌鼓を入れる。
そんな時、通常の姿に戻ったカリフが口を開いた。
「そしてオレだが、普通のサイヤ人とはちと違うな」
「違う? どういうことだ?」
「あー、まあ……」
「?」
ここで初めてカリフが渋った。今までは何の躊躇いも無しに話してきたのに対して今のように困った様子は非常に珍しい。
それどころかチラチラとフェイトを見てきていることに本人は首を傾げる。
しばらく何とも言えない様子で狼狽していたが、少しして立ち直す。口を開いた。
「なんつーか、オレは生まれ方そのものが違うってことだ」
「生まれ方?」
「……聞きたくないと思ったらその場で止めろよ?」
「どないしたん? 急にやさしゅうなって」
はやてが茶化すように笑って言う中、遂に重い口を開ける。
「オレは戦うために生み出された人工のサイヤ人……言わばクローンだ」
「……え?」
自身の闇の部分について全てを皆に話す。
今まで他人を拒み続けてきたサイヤ人は全てを曝け出す。
すごい手抜きですがお許しください! 急いで書きました。
久しぶりなので少しキャラが違っているようにも思えますが、当初よりここからなのはたちに対する接し方も変わってくるという設定なので問題はありません。
アンチ対象は主に管理局、ということになってきます。
それではまだ忙しくて遅くなりますがまたお会いしましょう!
感想は返せなくてすみません!!