世界を滅ぼす天才ちゃんと特別な力とかは持ってない凡人くん 作:晃斗
皆さんは、普段残念な人が実はクッソ重い過去を持ってる苦労人って好きですか?作者は好きです。
俺達はアトラの認識阻害を発動しながら移動して、祭里がリーダーをしている「ジャスティスカラーズ」の本部であるビルの前まで来ていた。
「相変わらず普通のビルにしか見えねぇな」
「社長の意向らしいですよ?」
やっぱあの人はロマンってのを分かってるな!一見普通のビルが実は正義の秘密基地!っていうのはロマン、ロマンじゃない?
そんな事を考えながら祭里の後に続いてビルに入ろうとしたら、格好いい声ではあるが情けない声色で俺の名前を呼びながら1人の大人が俺に泣きついてきた。
「悠人く〜ん!僕の可愛い柑菜が冷たい反応をするんだ!助けてくれ!」
「またですか…?そろそろ慣れたらどうです?正義さん」
今俺に泣きついて来たのは、柑菜の父親でありこのビルで社長をしている
外面だけならアイドルなんて目じゃないくらいにはイケメンなのに、どこか残念な雰囲気を漂わせてるから親しみやすいんだよな。
職員さん達からも「似非イケメン」やら「残念社長」やら「イケメンで既婚者なのに嫉妬する気も起きない苦労人」とか言われてるくらいだし。
にしても、柑菜に塩対応されるのも慣れたもんだろうに毎回俺に泣きついてくるのはどうしてだ?
「聞いてるかい!?柑菜ちゃんが「父さん、そろそろうざいよ?」って言うから僕は思わず泣いちゃウボアッ!」
スパーン!といういい音が正義さんの後頭部から聞こえたと思ったら、正義さんが前のめりに倒れ込んだ。
その下手人は、いつの間にか正義さんの後ろに現れていた魔性とも言える美しさを持つ美人さんだった。
まあ柑菜のお母さんなんですけどね?
「ごめんなさいね?この人も柑菜との距離感をまだ掴めてないの。だからもう少し大目に見てあげて?」
「はい。分かってます。柑菜も正義さんとの距離感をまだ掴みきれてないようですし。紬さんはどうなんですか?」
「私もよ。でもあの子も不器用にだけど、仲を縮めようとしてくれているから良好と言えるのかしら」
「そうですか…。良かったです」
この人は
実は紬さんは死んでいるのだが、紬さんによると「正義に取り憑いてる幽霊……みたいなものかしら?」とのこと。
…ところで正義さんはピクリともしてないけど大丈夫か…?
「あーはいはい。いつものですね。……いつものです。救護班をお願いします」
祭里がスマホを取り出してどこかに連絡をした。…と思ったらビルの中から担架を持った白衣の職員さん達が、正義さんを担架に乗せてビルの中に運んでいった。
職員さん達が俺を見て超ビックリした顔をしてたけどどうしたんだろ。しかもその後心なしか、若干足早に正義さんの移送をしてたし。
疑問に首を
な、なんだぁ!?
「お疲れ様です悠人さん!今日はどんなご用事でここに来たんですか!?」
「悠人様!悠人様はまた怪人を倒していらっしゃったのですね!」
「俺はまた君の戦っている姿を見逃してしまったのか!くそっ!」
「悠人さん!」「悠人様!」「我らが英雄!」
ちょっ、人の波に呑まれて潰されっあっちょヤバっ…
「落ち着いて!落ち着いてくださーいっ!お兄さんが潰れてますから!怪人の血で汚れてますからぁーっ!!」
人の波から救出されたのはそれから10分後の事だった。
人の波に呑まれるっていう都会に住んでないと知れない貴重な経験をしました。まる。
天才ちゃんのお父さん。1話目の凡人くんは普通の親が天才の子供云々と見当違いの事を考えていたが、普通じゃない娘の親が普通なわけが無かった。
その正体は「ジャスティスカラーズ」の創設者であり司令官でありスーツ開発者。
ある時、ディスピアという絶望の精霊を打倒せんと、精霊の中でも最上位の実力を持つ者たちが集いディスピアに決戦を挑んだ。しかしその結果は完敗。挑んだ精霊のほとんどが消滅し、残った精霊も消滅する寸前というまさに絶望的な状況だった。
しかし、その中で参謀をしていた知識の精霊は消滅寸前の精霊達に応急措置をして、自分はディスピアを打倒する可能性を作り出す事のできる人間に知識と記憶を託して消滅した。
その知識を託された人間が天ヶ瀬正義である。知識の精霊から託された正義は、記憶にあるディスピアという絶望に心の底から恐怖した。なぜなら、知識の精霊の記憶には知識の精霊が感じた自身が消滅するかもしれないという恐怖や、消滅していく仲間達に何もすることができない自分に対する無力感が鮮烈に残っていたからだ。
しかも正義自身に戦う才能が無いということが知識を通して理解することができた。
だが正義は奮起した。自分ではあの絶望に対抗できないのなら、その手段を用意しようと。絶望に抗うことのできる正義の味方を見つけようと。
その手段として開発したのが、戦隊ルートにおいて唯一の戦闘手段になる「エレメンタルスーツ」である。
エレメンタルスーツは精霊を核とし、その精霊が宿した概念をスーツの装着者が行使できるようになるという代物であった。
しかしスーツの開発には難点があった。当然だが、スーツを開発するためには核となる精霊を用意する必要があったのだ。
だが正義の手には消滅寸前の精霊の核が残されていた。それは知識の精霊の最後の置き土産だった。
正義は、精霊達に恨まれ呪われることも覚悟してその精霊達を核としスーツを開発した。
そして出来上がったのが、8種のスーツであった。
しかし、7種のスーツは装着者が居らず稼働することは叶わなかった。だが、1つのスーツを装着することのできる人間が居た。それが後述する天才ちゃんの母、つまりは正義の妻であった。
スーツの開発にも成功し、1つだけとは言えど稼働したスーツもある。やっと希望が見えてきたと思ったが、託された知識がこれまた絶望的な答えを正義に突きつけてきた。
それはディスピアを打倒するにはスーツ全てが稼働する必要があるという事だった。
それから急いでスーツの適合者を捜索したが、判明したのは今この時代に適合者になる人物はまだ年端も行かぬ
そこで正義は苦悩する。
今の時代には育っていない適合者しか居ない、つまりは適合者が育つまでは時間を稼ぐしかない。だが自分に戦う力が無いため戦うのは唯一の適合者である妻しか居ない。
苦悩し続ける正義に、妻は自分が命を賭して時間を稼ぐと正義に言った。それは知識の精霊から知識と記憶を託されてからずっと正義にのしかかる重荷を、自分も背負おうと覚悟した妻の精一杯の言葉だった。
それから始まるのは勝ち目のない、いつ終わるかも分からない長い長い戦いの始まりであった。
という重い過去があるものの過去は過去。原作ではいざ知らず、本編では凡人くんが全てを解決したため今ではただの子煩悩なお父さん。その妻も死んではいるものの、なんやかんや生きてるも同然な状態なので
ディスピア対策で心の余裕が無く天才ちゃんに構う事が出来なかった為、天才ちゃんからは冷たい対応をされている。
その度に凡人くんに泣きついて凡人くんが困った顔をするのがお約束。実に平和。
ちなみに絶望の精霊ディスピアは戦隊ルートのラスボス
「此方に花咲く彼岸花」で唯一存在を許されたネームドの男としてプレイヤーの中でもかなりの人気があった。
「此方に花咲く彼岸花」には戦隊ルートの前日譚として天才ちゃんの母と父のストーリー「
天才ちゃんのお母さん。「エレメンタルスーツ」の装着者第0号。装着したスーツの核となった精霊が宿した概念は継承。
これは原作と本編に共通する事で、十数年前に絶望的な戦いの終わりにディスピアとの直接対決をして死にかけていた。そこで自身の死を悟った紬は核となった精霊の力を使い、正義に自身の全てを継承した。この全てとは力も魂も含めた文字通りの全て。
原作では正義に心の余裕がまったく無く、消耗しきった紬の意識が表面に出てくる事が出来なかった。しかし本編では凡人くんがディスピアの策をことごとく打ち破った為、正義の心に余裕ができ紬も姿を現せるようになった。
今は何時でも何処でも夫婦漫才を繰り広げている。
ジャスティスカラーズの職員達
凡人くんのファン。絶望的だった状況を打破してディスピアの陰謀をことごとく打ち破りやがった凡人くんに目を焼かれた。マジで凡人くんを英雄視している。
レッドちゃん
ジャスティスカラーズ関係者での凡人くんファン第1号。凡人くんの勇姿の目撃者としても関係者の中で1人目なので羨ましがられている。
天才ちゃん
両親との仲は良好。正義に冷たく当たるのもコミュニケーションの一環。
凡人くん
ディスピアとの最終決戦時はタイマンを張って正面から殴り倒した。