三沢くんと万丈目さんはデュエルをした。
結果は三沢くんの勝ちだった。
そして、万丈目さんはラーイエローに落ちた。
誰もがそう思っていた。
「アニキ! アニキ!」
翔くんは慌てて駆け寄って来た。
「どうしたんだよ、翔?」
「大変だよ、万丈目くんが行方不明になっちゃったんだ!」
「……万丈目さんが」
やっぱり、デュエルに負けたことを気にしているのかな……
「何だって!?」
例え格下げされても、そこからまた這い上がればいいだけだと思うけど……
「今朝、早く逃げだしたって話だぜ」
「それってやっぱり三沢に負けたからか?」
「なんかだっせえよな~」
「がっかりだよな」
「負け犬は出て行けって感じ?」
「……」
なんかムカついた。
「何だよ、アイツら……昨日までは金魚のフンみてえに万丈目にくっついた癖によ」
僕は黙って席を立った。
≪連斗?≫
「流石にその言い方は酷過ぎない?」
「何?」
「そんなことを言ったら、取巻くんも真木くんもオシリスレッドの僕に負けたじゃないか」
「き、キサマ……!」
取巻くんと真木くんは僕をギロリと睨んだ。
「どう? 同じように言われてどんな気持ちだった? デュエルに勝った負けたで優越をつけたくないけど……もう少し、自分の発言で相手がどれだけ傷つくのか知った方がいいんじゃない?」
それに負けず、思ったことを口にする。
「……あれだけ一緒にいたのに、万丈目さんのこと、何にも知らないんだね」
そう言って、頭を少し下げてから教室を出て行った。
≪……お人好しですね、連斗≫
十代くんがよく使う抜け道を使ってアカデミアを出た僕は背伸びをした。
「さて、今日は授業をサボるけど……万丈目さんも放っておけないんだよね」
「連斗!」
すると、十代くんと翔くんがついて来た。
「万丈目を探すんだろ? 手伝うぜ」
「授業をサボって、どこに行くつもりかしら?」
なんと、明日香さんたちも一緒にいた。
「万丈目の奴を捜しに行くんだよ……このまま放っておけないだろ?」
「放っておけないんだ……それで、明日香さんたちもなんでここにいるの? 授業、もうすぐ始まるんじゃない?」
「……私達も一緒に行くわ」
「え? なんで?」
「アナタが今、行ったでしょ……このまま放っておけないって」
……どうやら、僕達はお人好しの集団みたいだな。
そして、一緒になって万丈目さんを捜すことになった。
「お~い、万丈目!」
「万丈目さん!」
ただ、デュエルアカデミアは広い。
声を出して歩き回っても、簡単には見つからない。
「はぁ……まったく! 出てきなさい! デュエルに負けて雲隠れなんて情けないわよー!」
急に明日香さんが大きな声を出した。
「相変わらず、キツイな……お前」
「ふん」
「あら、当然よ! 本当に最近は軟弱な男子ばっかり」
「でも、きっと万丈目さんは違いますわ! だって、イケメンなんですもの!」
「え? 基準そこなの?」
「何それ?」
浜口さんの発言に僕と枕田さんはツッコミを入れた。
「アンタ、こないだは三沢さんステキって……顔が良ければ誰でも」
「あ、あははは」
「!?」
「どうした?」
「あそこ……今、何か動いた!」
「「「「え?」」」」
明日香さんが指した方向を見ると、確かに何かガサガサと蠢く茂みがあった。
「万丈目くんだ」
(……本当に万丈目さんか?)
「おい、万丈目か? オレだ、遊城十代だ。イジケてないで出て来いよ」
≪連斗……本当に万丈目なんですか?≫
「……というよりもここまで大きい自然が豊かな島だと動物の可能性あるよね」
「え?」
僕の発言で十代くんが止まったその時だった。
「ウキィー!」
「「「「「うわー!!!!!????」」」」」
突然飛び出た猿にみんな驚いた。
「な、なんだ!?」
その猿はみんなに襲い掛かった。
いきなりのことに僕は呆然としていた。
「きゃ!」
そして、誰かが攫われたのを見た。
「って、ま、待て!」
十代くん達が立ち上がる前に僕はその猿を追いかけた。
「誰か助けて~~!」
そんなこんなで猿と僕の追いかけっこが始まった。
着いた場所は崖で近くに木が一本生えていた。
「いやああ! 離さないで!」
「ま、枕田さん大丈夫!」
「連斗~早く助けてよ~!」
「助けてって言われても……」
「ウキっ!」
下手に近付いたら、さっきの十代くんみたいになる。
「ん?」
よく見ると、その猿は妙な機械を装着しており、腕にはデュエルディスクを装着している。
「おい、お猿さん! その娘を離してやってくれ! どうしてもいやだと言うのなら……僕とデュエルしてもらう!」
「ウキッ!」
「僕が勝ったら枕田さんは返してもらう!」
「も、もし負けたら?」
「負けたら……なんかするから!」
「なんかって何よ!?」
そう言っても、あの猿にデュエルはわかるのか……
いや、自然の猿があんな装置を付けている訳がない。
多分、誰かがそういう教育したのだろう。
そうじゃないのならデュエルディスクもデッキも必要はない。
「ウキッ! ウキイイ!」
どうやら、デュエルはしてくれるようだ。
ただ、あまり遠くに行ってくれなかった。
勝つしか枕田さんを救う方法はないらしいな。
「頼むぞ、僕のデッキ!」
「デュエル!」
……猿がしゃべった?
いや、機械音声だから、その装置が発したのか。
「デュエル!」
連斗:8000
SAL:8000
〈連斗のターン〉
あのお猿さんがどんなデュエルをするか、わからない。
お猿さんとデュエルするとは思わなかったからな……
≪そうですね、連斗≫
「モンスターをセット! カードを2枚伏せターンエンド!」
「お願い! 早く助けて!」
そうは言っても、先攻1ターン目で出来る事は限られている。
焦って負けましたでは、意味がない。
連斗
ライフ:8000
メインモンスターゾーン:伏せ1枚
魔法・罠ゾーン:伏せ2枚
手札:2枚
「連斗~~!」
「ん? その人達は?」
「それよりも、あのお猿さん、デュエルディスクとデッキを持ってるよ」
「あれはただの猿ではない!」
「え?」
「我々が訓練を重ねて育てあげたデュエリスト猿だ」
「デュエリスト猿!?」
妙な機械を付けてデュエルと言っても通じる訳だ。
「その名も『Super Animal Learning』、略して『SAL』だ」
「まんまじゃん」
≪まんまですね≫
でも、なんでデュエルを?
曲芸師でも育てたかったのか?
「博士」
「あ、つい口が滑ってしまったようじゃ」
それはそうとして、デュエルは続ける。
そうじゃなかったら、枕田さんが危ないからな。
「人質から離れている今なら―――」
「待て! 面白いデータが取れるかも知れん! このままやらせるんだ」
話からすると、あの博士と呼ばれた人達も邪魔は今のところする気はないようだ。
「私のターン、ドロー!」
「しゃべった!」
「くくく、デュエルに関する言葉は全てプログロムされているんだ」
〈SALのターン〉
さて、どんなデュエルをするのか……
「【怒れる類人猿】召喚!」
【怒れる類人猿】
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻2000/守1000
このカードが表側守備表示でフィールド上に存在する場合、このカードを破壊する。
このカードのコントローラーは、このカードが攻撃可能な状態であれば
必ず攻撃しなければならない。
「攻撃力2000!」
「【怒れる類人猿】でセットモンスターを攻撃! ウワホッホッホ!」
【怒れる類人猿】は豪快に腕を振り、セットモンスターを粉砕した。
「だが、この瞬間、破壊された【黒き森のウィッチ】の効果により守備力1500以下のモンスター【サイレント・マジシャンLV4】を手札に加える!」
「ウキッ! ターンエンド!」
SAL
ライフ:8000
メインモンスターゾーン:【怒れる類人猿】
魔法・罠ゾーン:なし
手札:5枚
「今回の連斗くんのデッキは第1の型みたいっすね」
「あれは守りが硬いから、そう簡単にはやられないと思うけど……」
「僕のターン、ドロー!」
〈連斗のターン〉
引いたカードは【レベルアップ!】。
よし、これなら【怒れる類人猿】は倒せる!
「早速行くよ!」
≪行きますよ、連斗!≫
「【サイレント・マジシャンLV4】を召喚! そして、手札から魔法カード【レベルアップ!】!」
「ウキッ!」
「出たっす! 連斗くんのマジックコンボ!」
「静寂なる魔術師よ、時を越え最強の魔術師となれ! 進化せよ【サイレント・マジシャンLV8】!」
≪はあああ!≫
「【サイレント・マジシャン】で【怒れる類人猿】を攻撃! 沈黙爆裂破LV8!」
≪はあっ!≫
「【怒れる類人猿】撃破!」
「ウキイイッ!」
SAL:6500
これでこのデュエルの主導権は握れたかな?
「ウキ~……」
「なんだ? もうヘタレちまったのか?」
「とっととサレンダーをして、ジュンコさんを返せ~!」
「くくく、相手が猿だからと言って見くびると痛い目にあうと思うがね」
「え?」
「知っているかね? 人間よりも猿の方が精霊の声を聞く能力が高いことを……」
「……精霊?」
≪……≫
「そこで我々は猿を使ってデュエルの動物実験をしているのだ!」
「動物実験?」
「博士!」
「おっと……またまた口が滑ったようじゃ」
情報の機密が苦手な博士だな……
それよりも……
「……【サイレント・マジシャン】」
≪……確かにあの猿は私の存在が見えるようです……デュエルをすることと言い、もしかしたらと思ったのですが……すみません≫
「別に構わないよ」
最初からわかる筈がないからね……
「僕はこれでターンエンド!」
連斗
ライフ:8000
メインモンスターゾーン:【サイレント・マジシャンLV8】
魔法・罠ゾーン:伏せ2枚
手札:2枚
ただ、僕はわかっている。
このお猿さんは簡単に諦める性格はしていない。
「私のターン、ドロー!」
「そうこなくっちゃね……勝負だ、お猿くん!」
〈SALのターン〉
「【おろかな埋葬】を発動!」
【おろかな埋葬】
通常魔法(制限カード)
(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。
「デッキからモンスターを1体墓地へ送る! そして、【死者蘇生】! 【百獣王 ベヒーモス】を特殊召喚!」
「!?」
「最上級モンスターを呼ぶためにこんなコンボを……」
【百獣王 ベヒーモス】
効果モンスター
星7/地属性/獣族/攻2700/守1500
このカードは生け贄1体で通常召喚する事ができる。
その場合、このカードの元々の攻撃力は2000になる。
生け贄召喚に成功した時、生け贄に捧げた数だけ
自分の墓地の獣族モンスターを持ち主の手札に戻す事ができる。
「で、でも、まだ連斗くんの【サイレント・マジシャン】の方が攻撃力は上っすよ!」
それがわかっているのなら下級モンスターを壁にする筈。
わざわざ、こんなコンボを使ってまで呼んだってことは覆す方法がある。
「そして、【野生解放】を発動!」
【野生解放】
通常魔法
フィールド上の獣族・獣戦士族モンスター1体を選択して発動できる。
選択した獣族・獣戦士族モンスターの攻撃力は、
そのモンスターの守備力分アップする。
この効果を受けたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。
「やっぱり!」
「【野生解放】……確かあれはフィールド上の表側表示の獣族、または獣戦士族モンスターの攻撃力をそのモンスターの守備力の数値分だけアップするカード!」
「そ、それじゃあ!」
「【百獣王 ベヒーモス】の守備力は1500ポイント!」
「ってことは攻撃力4200!?」
【百獣王 ベヒーモス】:攻 4200
「【サイレント・マジシャン】の攻撃力を上回った!」
「【ベヒーモス】で【サイレント・マジシャン】を攻撃!」
だが、この状況を読んでいなかった訳じゃない。
「トラップカード【マジカルシルクハット】!」
「ウキッ!」
「相手のバトルフェイズに発動でき、デッキから魔法、罠カード2枚を選び、【サイレント・マジシャン】と共にシルクハットの中に隠す!」
3つのシルクハットが出現し、その中に【サイレント・マジシャン】を隠すと素早くシャッフルされた。
「ウキッ!」
「シルクハットは3つ……その中に【サイレント・マジシャン】が隠れている……当てることが出来るかな?」
「ウキキキ! ……真ん中のシルクハットだ! ウキー!」
【ベヒーモス】は大ジャンプをして真ん中のシルクハットを踏み潰した。
だが、そこに【サイレント・マジシャン】はいない。
あったのは【光の護封霊剣】だった。
「ふっ、外れのようだね」
「ウキ……カードを伏せターンエンド!」
このエンドフェイスに【野生解放】のデメリット効果により【ベヒーモス】は破壊された。
「あれ? 攻撃したモンスターも消滅しちゃったよ?」
「【野生解放】したモンスターはそのターンで破壊されてしまうのよ」
「え……」
SAL
ライフ:6500
メインモンスターゾーン:なし
魔法・罠ゾーン:伏せ1枚
手札:2枚
「僕のターン、ドロー!」
〈連斗のターン〉
「リバースカードオープン! 【リビングデッドの呼び声】! その効果により【百獣王 ベヒーモス】復活!」
だけど、引いたカードを見て、このデュエルの勝利を確信した。
(……サレンダーせずに勝負しようとしたことは褒めてあげる……だけど、枕田さんも限界だろうし……このターンで決める!)
だが、その時、後ろから大量の猿が心配そうに見ていた。
「え……」
「わ~……猿がいっぱい」
「これは……」
≪……連斗≫
恐らくそうだろうなと思っていたけど、やっぱりね。
「お猿くん、キミは仲間の元に帰りたくて脱走したのでしょ?」
「ウキィィィ!」
「お仲間の元に帰りたいのですね……」
「けど、連斗くんが勝てば研究所に戻される……なんか、可愛そうな気もするけど……」
「だからと言って、ジュンコを見捨てる訳にはいかないわ!」
「お猿さんを仲間の元に帰せばジュンコさんは助けられないし、ジュンコさんを助けたら仲間の元に帰せないし……ああ、一体どうしたらいいんだよ!」
(連斗……アナタはこの状況をどう解決するつもり?)
二者択一か……
けど、生憎、僕はそういうのは苦手なんだよ。
「……お猿くん……このターンで決めるよ!」
「!?」
そのためには、まず……ジュンコさんを助ける!
「【死者蘇生】を発動して【サイレント・マジシャンLV4】を召喚! 【ワンダー・ワンド】を発動して【サイレント・マジシャン】に装備!」
【サイレント・マジシャンLV4】:攻 1500
「そして【魔導戦士ブレイカー】を召喚! このカードが召喚された時、魔力カウンターは置かれ攻撃力は300ポイントアップさせる」
【魔導戦士ブレイカー】:魔力カウンター 1
【魔導戦士ブレイカー】:攻 1900
「【魔導戦士ブレイカー】の魔力カウンターを取り除くことでフィールドの魔法、罠を破壊する! 【リビングデッドの呼び声】を破壊!」
「ウキー!」
【魔導戦士ブレイカー】:魔力カウンター 0
【魔導戦士ブレイカー】:攻 1600
「魔力カウンターがなくなったことで【ブレイカー】の攻撃力は300ポイント下がるが、【リビングデッドの呼び声】が消滅したことにより【ベヒーモス】も破壊!」
鏡のように【ベヒーモス】は砕け散り消滅した。
「ウキ~~~……ウキ!」
お猿くんも覚悟を決めたようだ。
「バトル! 【サイレント・マジシャンLV4】でダイレクトアタック! 沈黙爆裂破LV4!」
「ウキ!」
SAL:5000
「【魔導戦士ブレイカー】でダイレクトアタック!」
「ウキャアア!」
SAL:3400
「これでトドメだよ! 沈黙爆裂破LV8!」
「ウキ―!」
SAL:0
「連斗くんが勝った!」
「……それじゃ、約束通り、枕田さんを返してもらうよ」
お猿さんは潔く、枕田さんを安全な場所に解放してくれた。
「う、うわあああん!」
「ジュンコ!」
「明日香さん! ももえ!」
「ジュンコさんご無事で!」
「助けてくれてどうもありがとう」
「困った時はお互い様だよ」
これでジュンコさんの方は解決。後はお猿くんの方だね。僕はお猿くんに近付いた。
「でも、あの猿、また研究所に連れ戻されるのね……」
「……いや、そうでもないらしいぜ」
枕田さんの心配を十代くんは当然のように笑って答えてくれた。
「よし、これでいいかな」
「ウキ?」
色々なコードを切って、妙な機械を外した。
「何!?」
「デッキの方は……良いでしょ、愛着もあるだろうし、それも持って行けよ」
「何をするんじゃ!?」
「あれ? 僕はデュエルに勝ったら枕田さんを返してもらうっと言っただけだよ? あんたらの元に帰れとは一言も言わなかったでしょ」
「つまり、あの猿は仲間と一緒に森に帰す……そうだろ? 連斗」
「そういうこと」
「ウキッ!?」
ちょっと危なそうだけど、臨戦態勢を取った。
「よっ! 流石アニキと連斗くん!」
「アナタたちらしい結論ね」
「案外良いところありますね~」
「オシリスレッドしちゃあね」
だが、そんなのは博士たちには関係ないようだ。
「邪魔だ! どけ!」
「どかないよ!」
僕は掴まれるが、足を踏ん張って2人の男をがんじがらめにする。
「お猿くん! 妨害はしておくからさっさと逃げて!」
「こ、この!」
網を投げようとしても、その前に腕を叩き落とす。
「早く!」
≪連斗……≫
「そんなに仲間と一緒にさせたいのなら、そうしてやってもいいぞ」
「ぐっ!」
絶対にいい意味で言ってない。
「ただし、私の研究所でな!」
「何!?」
「他の猿もみんな捕まえるんだ!」
やっぱり、一人じゃ限界あるよな……
もう一人が麻酔銃を猿に向ける。
「実験動物は多いに越したことはないないからな!」
その時だった。
「ニャ!」
ファラオが男の麻酔銃を落としてくれて、大徳寺先生も来てくれた。
「流石ファラオ……お手柄ですニャ」
「「「大徳寺先生!」」」
「アンタは……」
「ことが公になれば困るのはアンタの方じゃないかニャ? 動物虐待で訴えられちゃいますよ?」
その大徳寺先生の脅しが効いたのか、お猿さんは本当に自由になった。
「無茶をするのニャ、連斗くん」
「仲間が何とかしてくれると思ってたので……ありがとうございます、大徳寺先生」
そして、あの博士たちも退散した。
正直、もう二度と会いたくない。
「ウキ~……ウキキ!」
「みんな、嬉しそうだね」
「良かった」
「今度は俺とデュエルしようぜ!」
「ウキキッキッキ!」
「ガッチャ! 連斗、猿! 面白いデュエルだったぜ!」
「じゃあね! もう捕まるんじゃないよ~!」
そして、お猿くんたちは森へ帰った。
「……それにしても大徳寺先生がいらっしゃらなかったら私たちどうなっていたことやら」
「ありがとうございました」
「いえいえ、私は何も……お礼ならファラオに言ってくださいニャ」
「そうだね……ありがとうな、ファラオ」
僕はファラオを撫でた。
「けど、どうして先生がこんな所にいたんですか?」
「ああ、そうそう……万丈目くんが見つかったんだにゃ」
「え!? 本当?」
「良かった~」
「でも、この島にはいないのニャ」
「え?」
そして、僕達は港に移動した。
「実は私もあれから気になりまして……万丈目くんを捜しに行ったんだニャ」
どうやら、万丈目さんは船に乗ってこの島を出たらしい。
「そうだったのか」
「万丈目くん、島を出て行っちゃったんだ」
「万丈目さん……」
「あ、そうそう! 連斗くん宛に手紙があったのニャ」
「手紙? 俺に?」
それを受け取って手紙を見た。
『今度は俺様が勝つ! 正々堂々勝負してやるから首を洗って待ってろよ!』
太い字でデカデカと書いていた。
「挑戦状って訳か……なら、武者修行みたいな感じかも」
「今度? どういうことっすか?」
「ん? 色々あって万丈目さんとデュエルしたんだ」
「え!? いつ?」
「いつだっていいでしょ?」
あれを大っぴらに言う必要もないしね。
「……」
なんか明日香さんがこっちを見ている。
「ん?」
「……アナタがそういうのなら深くは聞かないわ」
そのセリフって、最初から知っているように聞こえるけど……
「まあいいや! アイツは絶対に戻ってくる!」
「だよね」
「きっと、万丈目もこの空を見てるぜ!」
「……かもね」
「アニキ、連斗くん、それは流石にかっこつけ過ぎっすよ」
僕達はしばらく笑いあった。
まあ、暗いより明るい方がいいよね。
「……いつでも待ってるから、挑戦して来てよ」
僕はそう小さく呟いた。
「今日の最強カードはこれだ!」
【野生解放】
通常魔法
フィールド上の獣族・獣戦士族モンスター1体を選択して発動できる。
選択した獣族・獣戦士族モンスターの攻撃力は、
そのモンスターの守備力分アップする。
この効果を受けたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。
「獣族、獣戦士族モンスターの切り札的なカードだ! 油断していると強いモンスターに化けるぞ!」
最近、ニコニコ動画で動画を投稿しました。
活動報告に詳しく書いてます。
私の投稿した動画なので、すぐにわかると思いますよ。
興味があれば、視聴してくれると嬉しいです。