匂いのフェチで石鹸作りが趣味になってしまっまルフィと、匂いを嗅がれるウタのお話です。
ーーーーー東の海 とある島ーーーーー
ルフィ「ナミ〜、買い物したいからお小遣いくれ!」
ナミ「お小遣い? あんたどうせ肉買うだけでしょ?」
ルフィ「肉は買うけど、今日は他のものも買うからちょっと多めにくれよ」
ナミ「…? あんたが肉以外に買いたい物があるなんて珍しいわね。 何買うのよ?」
ルフィ「そろそろ石鹸が無くなりそうだからよ。ちょっと材料買ってくる」
ナミ「そうね〜確かにそろそろ無くなりそうだものね。いいわよ。」
ナミからお小遣いをもらったルフィはいつものようにウタを肩に乗せて、島のマーケットへと繰り出して行った。
ナミ「……あいつ今、“材料”って言ってなかった?」
ウソップ「……ああ、言ってたな」
ナミ「今更だけど、メリー号でいつも使ってる石鹸って誰が買ってきてたの?」
ウソップ「ェ…!? おれはてっきりお前が買ってきてるもんかと」
ナミ「わたしは確かに自分が使う分は買ってるけど、わざわざシャワー室とかキッチンに置いてないわよ。
そのあたりのはてっきりあんたかサンジ君が買ってるとばっかり…」
サンジ「…俺は優しいナミさんがいつもの置いといてくれるものとばっかり思ってたんだが。」
ウソップ「なあもしかして、今までの俺たちが使ってた石鹸もルフィが作ってたのか…?」
ナミ・サンジ「「………」」
その日の夜、彼らは夜中に石鹸を作っているルフィとウタを目撃することになる。
ーーー2年後 サニー号ーーー
ウタ「ねーねールフィ、今回の石鹸の匂いはどうする?」
ルフィ「そーだなー、前にバニラの香りの石鹸作ったら美味そうな匂いになって楽しかったし、次はチョコの香りとかどうだ?」
ウタ「うーん、楽しそうだけど今度はオヤツと間違えて食べちゃってお腹壊さないようにしないと、チョッパーに怒られそうだね」
ルフィ「確かにな!」
ルフィとウタはサニー号の船室で、もはや日課となった石鹸作りを行ってた。
まだウタが玩具だったメリー号時代から、船で使う石鹸を自作することがルフィとウタの大事な仕事兼趣味だった。
ウタ「昔はよく失敗してエースとサボに呆れられてたよね〜」
ルフィ「マキノに色々教えて貰ってだいぶ上達したからな〜。 それにエースが船出するときはちゃんと持ってってくれただろ?」
ウタ「うん、そうだったね。 ドレスローザでサボにも渡したかったんだけどねェ」
ルフィ「あいつおれ達が寝てる間に行っちまったからな〜。今度会ったら渡さないとな!」
ウタ「きっとびっくりするよね。ルフィがこんなに上手に石鹸作れるようになるなんてさ」
楽しそうに会話しながら手際よく材料を混ぜ合わせ石鹸造りを進めていく。
ウタ「ねェルフィ、なんで子供の時からずっと石鹸作り続けてたの?」
ふと、ウタが昔から疑問に思っていた事を口にする。
まだウタが玩具にされる前、ルフィと一緒にフーシャ村で遊んでいた頃は、ルフィが石鹸を作るなんて想像すら出来なかった。
それなのに、ウタが玩具になってシャンクスからルフィに渡された後からしばらくして、ルフィは石鹸を自作するようになった。
当時言葉を話すことの出来なかったウタはその理由をついぞ聞くことは叶わなかった。
ルフィ「なんでって…なんでだっけ?」
ウタ「えェ…?」
ルフィ「あーでもそっか、ウタのお陰だったんだな」
ウタ「わたしの…?」
普段は能天気で過去のことは振り返らないルフィが、珍しく過去を懐かしむように目を細める。
それは遠い昔の淡い記憶。
ふとした拍子にウタに抱きつく形になったルフィが、ウタからいい匂いがすると言い出したことがあった。
それからたびたびウタの匂いを嗅ごうとしてはウタに殴られるルフィを赤髪海賊団の面子が笑って眺める一幕があったが、そんな幸せな日々はウタが玩具になり、世界から忘れ去られたことで失われてしまった。
だが、記憶が失われたとしても、残ったものはあった。
ルフィ「きっとお前が人形にされて、忘れちまってたからなんだろうな。シャンクス達と話しててもなーんか寂しい気がしてよ。 そんとき久々に風呂に入ったときに見つけたんだよ、お前から貰った石鹸をさ」
ウタ「あの石鹸のこと、思い出してくれたの?」
ルフィ「ああ、この間まで忘れちまってたけど今はちゃんと思い出した。」
何度もルフィに匂いを嗅がれることに羞恥と怒りを覚えたウタが、自分が使っているのと同じ石鹸をルフィに贈り、せめてそれでしっかり体を洗って綺麗にしなさいと叱ったことがあった。
記憶を失っても、物まで消えることはないためルフィの家にそのまま置いてあった石鹸を子供だったルフィは使っていたのだろう。
ルフィ「なんでかわからないけど、これだ!って気がしてよ。 その匂いを嗅いだらなんか懐かしくて嬉しい気持ちになったんだよ。」
ウタ「そっか…、だからルフィ、わたしが玩具になってからよくお風呂に入るようになってたんだね」
ルフィ「おう!…ただ、毎日使ってたらすぐに石鹸がなくなっちまってよ。 マキノとか村長に石鹸貰ったりしたけど匂いが違うし、だから自分で作ることにしたんだ!」
ウタ「急にアグレッシブな方向に行くのがルフィらしいよね…。でもそっか、それであんなに頑張って石鹸作ってたんだね」
ウタは昔の、フーシャ村やコルボ山で夜な夜な石鹸を作りあーでもないこーでもないと悩んでいたルフィを思い出す。
そしてある日、どうやら納得のゆく石鹸を完成させたルフィと一緒にお風呂に入って洗われたことも…。
ウタ「そーいえばルフィ、洗ったわたしの匂いをずーっと嗅いでてエースとサボに笑われてたよね」
ルフィ「あー、そういやそうだったなー。でもあのときのウタ、すっげー懐かしくていい匂いがしたんだよ。
……そんでずっと嗅いでたいと思っちまってよ。」
ウタ「そっか……ありがとう、ルフィ」
それは偶然だったのかもしれない。そもそも玩具だった彼女に体臭などなかったはずでただの石鹸の香りだったのかもしれない。
それでも、世界から忘れ去られたはずの自分の存在をわずかでも感じ取ってくれていた幼馴染に、ウタは感謝の言葉をかける。
その後二人はただ無言で作業を終えて、部屋を後にした。
そして幼馴染二人は久々に一緒にお風呂に入り、懐かしい匂いのする石鹸でお互いを洗いあった。
ここからR-18展開に続けるべきか悩みましたが、取り敢えず今は全年齢版だけで勘弁してください。
年末の仕事が片付いたらちまちま書くかもしれません。