おれの宝物   作:Recent

25 / 35
某掲示板で新しい電波を受信したので、折角だから書いてみました。
タイトルから分かるとおり、ホビウタと鋼の錬金術師のコラボです。

時系列はヒューズ中佐が殺される前辺り。




歌姫と鎧の錬金術師

ーーー新世界 ゾエ・アワカラ島ーーー

 

ワノ国を出港した後、奇妙な海流に流され麦わらの一味がたどり着いた島は、大陸とよべる程の大きさの島に複数の国が成立し、錬金術と呼ばれる独自の技術を発展させた島だった。

 

この島の国々は高い技術力と軍事力を持つが、いずれも世界政府には加盟せずお互い相争っていた。

 

 

沿岸部の厳しい警戒網に補足された麦わらの一味は、突然の大嵐に紛れ、おまけにクードバーストを使用し内陸に侵入することに成功した。

 

そして一味は、物資の補充やこの大陸の独自の技術を学ぶため、この大陸でも大国であるアメリストス国に上陸することになった。

 

 

 

ーーーアメリストス国南部 とある地方都市ーーー

 

 

「「「乾杯!!!」」」

 

紆余曲折を経て、とある街で圧政を敷く軍人と町長をぶっ飛ばしたルフィ達麦わらの一味は、街の住民達や、同じく圧政を敷く軍人達を捕縛する為に街に潜入し、なし崩し的に共闘する事になった国家錬金術師、エドワード・エルリックとその弟アルフォンス・エルリックと宴を開いていた。

 

ルフィ「エド! お前ちっちェのに強ェな〜!」

エド「誰が豆粒ドチビじゃぁ〜!!」

ウソップ「いやそこまで言ってねェだろ!?」

 

ルフィの不用意な言動でエドが叫んだり。

 

ロビン「あれが噂の鋼の錬金術師エドワード・エルリックね。

でも確か、錬金術を使用するには錬成陣が必要なのに貴方のお兄さんは手を合わせるだけで使用していたわね?」

アル「兄さんは天才なので…」

 

アメリストス国の事情をある程度知っているロビンがアルフォンスに突っ込んだ質問をしたり。

 

フランキー「アウ! しっかしこの国の技術はスゲェな!

特にこの機械鎧(オートメイル)、是非もっと詳しく知りてェぜ!!」

ウィンリィ「貴方のサイボーグ技術も凄いわ、特にワポメタルについてもっと詳しい話を聞かせて!」

 

エルリック兄弟の幼馴染であり、専属の機械鎧(オートメイル)技師でもあるウィンリィ・ロックベルがフランキーと意気投合したり。

 

夕方から始まった宴は日を跨いで深夜まで続いた…。

 

 

 

アルフォンス「あーあー兄さん、またお腹出して寝てる」

 

エルリック兄弟の弟アルフォンスは、お酒を飲んでフラフラになったウィンリィを宿屋に送った後、騒ぎ疲れて眠る兄に毛布をかけてあげていた。

 

ウタ「こうやって見るとアル君の方がお兄ちゃんみたいだね」

アル「あ、ウタさん。 起きてたんですね」

 

そんなアルに話しかけたのは、宴の序盤で見事な歌を歌った後、疲れたからと早めに休んだはずの麦わらの一味の“歌姫”ウタだった。

 

ウタ「あはは、目が覚めたらなんだか眠れなくなっちゃってねー

だから眠っちゃったルフィとかゾロに毛布を持ってきてあげたんだ!」

アル「そうでしたか、僕も…あまり()()()()ので…」

 

見た目は大きな鎧の姿だが中身は14歳の少年のアルは、見た目は21歳相応だが何処か幼さが残り距離感の近いウタの雰囲気に、少したじろいでいた。

 

そんなアルの葛藤を知ってか知らずか、ウタがアルの鼻先まで近づき、アルの鎧の胸元に耳を当てる。

 

アル「あ、あわわわわ! ウタさん!?」

ウタ「うーん、やっぱり。」

 

急に美人のお姉さんにくっつかれて困惑するアルの困惑を無視し、ウタは一人何かを納得したのか頷き、決意を込めた眼でアルを見つめる。

 

ウタの菫色の眼で見つめられたアルはアワアワしながら後退する。

 

アル「う、ウタさん…そのぉ…」

ウタ「ねェ…アル君…」

 

ウタの瑞々しい唇から言葉が紡がれる。

 

ウタ「君、その鎧の中…空っぽでしょ?」

アル「…!!?」

 

ウタの唇から発せされた言葉は、アルが想像していた言葉とは全く違っていたが、その言葉は驚きでアルの体を硬直させるには十分だった。

 

ウタ「エド君の右手と左足が機械なのは、さっき皆で一緒に戦った時に教えてもらったけど、アル君は体そのものがないんでしょう?」

アル「…よく、わかりましたね。」

ウタ「これでも耳はいい方だからね。

あと、ごめんね。 もしかしたら、聞いてほしくなかった話題だった…?」

アル「い…いいえ、そこまで厳密に隠してるわけじゃないんで…」

 

若干申し訳ない顔をしたウタが、上目遣いにアルを見上げるとアルが少し恥ずかしそうにしながら答える。

実際、彼の体の秘密は気付く人間は気付くものなので、そこまで積極的に隠してはいない。

 

ウタ「そっか…じゃあ失礼ついでにもう一つだけ、教えてもらってもいい?」

アル「…? はい、いいですよ?」

ウタ「うん、不快にさせたら申し訳ないんだけどさ…アル君、食べたり眠ったり…出来ないんじゃないの?」

アル「……」

 

ウタの質問に、改めてアルは驚愕で固まる。アルの体の状態を知った人々は、肉体が存在しない事に驚愕することはあっても、初見でそのリスクにまで気が付く人間は殆どいない。

 

アル「そう…ですね。この体になってから、眠ることも食べることも、それに痛みや疲労も感じることはなくなりました。」

ウタ「そっか…」

 

アルの言葉を聞いたウタは、その美しい瞳に悲しみを讃えながら背伸びをしてアルの頭を撫でる。

 

この体になってから初めて女の子に頭を撫でられたアルは喜びと恥ずかしさで困惑しながら、ウタに問いかける。

 

アル「う…ウタさん、どうして僕にこんなことを…?」

ウタ「わたしも…同じだったからね、何だか他人事じゃなくってさ」

アル「同じ?」

ウタ「うん…実はね。わたしも少し前まで…玩具だったんだ。」

アル「玩具…?」

 

そうして語られた彼女の半生は、過酷な人生を歩んできたアルフォンスですら背筋を凍らせる程の内容だった。

 

自分が鎧の体になった歳よりも幼い少女が、肉体を人形に変えられ、眠ることも食べることも、それどころかまともに話すことすらできなくされた。そして大好きな家族からも、仲良く遊んだ幼馴染からも忘れ去られた。

 

もしも自分が兄や幼馴染から忘れ去られたら、想像するだけで吐き気がしそうな恐怖に襲われる。

目の前で優しく微笑む女性が、そんな怖気の走る環境に12年間耐え続けてきたのだという事に、アルは畏怖を覚え、失礼かもしれないと自覚しながらも、彼女に質問をする。

 

アル「ウタさん…なんで、そんなふうに笑って…いられるんですか?」

ウタ「…?」

アル「だって…だってそんな環境、耐えられないじゃないですか!」

 

膝をついたアルは、周りに寝てる人たちがいることも忘れて感情のまま叫ぶ。

 

ウタはそんなアルを優しく見つめながら言葉を紡ぐ。

 

ウタ「うん…そうだね。玩具になってからずっと、死んでしまいたいって、こんな苦しい世界から逃げてしまいたいって思った。」

アル「それは…」

ウタ「でもね、わたしにはルフィがいてくれたから…」

 

そう言ってウタは、満腹になって気持ち良さそうに眠るルフィの頭を膝に載せ、彼の髪を優しく撫でながら語る。

 

ウタ「シャンクス…わたしのお父さんや、赤髪海賊団の皆に忘れられて、ルフィ達にも忘れられて、もう名前を呼んでもらえないって諦めてたんだ…。

でもね、ルフィがわたしにもう一度名前をくれたんだ。」

アル「名前を?」

ウタ「うん。人形のわたしを抱き上げて“歌が好きなのか? じゃあお前はウタだ! 宜しくな、ウタ!”って。

だからわたしは、どんなに辛くてもルフィと一緒に生きていこうと思ったんだ。もし途中で力尽きてこの人形の体が朽ち果てても、ルフィの旅路を見続けたいって。」

 

この決意は、彼女が仲間にも話していない彼女の原点。

本来ならば一生誰にも言わないまま、墓場まで持っていくはずだった思いだった。

そんな思いを、今日初めて出会った少年に語ったのは、ウタの持つ強い見聞色の覇気がアルフォンスの苦しみを感じ取ったからだったのだろう。

 

アル「そっか、ウタさんにも一緒にいてくれる人がいたから、諦めずにいられたんですね。」

ウタ「うん、そうだよ。ルフィがずっと一緒にいてくれたし、マキノさんやフーシャ村の人達、それにダダンさんとコルボ山の山賊さん達がとっても優しくしてくれたし、エースとサボは人形のわたしを妹だって言ってくれた。それに一味の皆は、わたしを仲間だって認めてくれた。

沢山の人達に助けられて、わたしは今ここにいる。」

 

立ち上がったウタが、アルの鎧の頭を優しく抱きしめる。

温もりを感じられないはずのアルは、彼女の暖かな優しさが鎧の体に染み渡るように感じられた。

 

ウタ「だからアル君も、きっと元に戻れるよ」

アル「ウタさん、僕たちの目的を!?」

ウタ「わかるよ、だってエド君もウィンリィちゃんもアル君をとっても大切に思ってる()がずっと聞こえて来たからね」

 

ウタは見聞色の覇気が感じ取った感情から、彼らの目的を正確に推測していた。

そしてアルにも、彼を大切にする人達がいるからきっといつか元の体に戻れると、彼女は確信していた。

 

ウタ「でもね、それでも辛い時もきっと何度もあるよ」

アル「はい…」 

ウタ「だから、ちょっとだけお姉さんが、頑張ってるアル君にごほうびをあげる…」

アル「う…ウタさん!?」

 

そしてアルを抱きしめていたウタは、彼の耳元でささやくように()を歌う。

 

♪あの日見た空 茜色の空をねえ 君は覚えていますか♪

 

ウタの美しい歌声と共に、彼女の悪魔の実の能力が発動する。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そこは長閑な田舎の村。

丘の上に見える家は、かつてアルと兄のエドワード、そして優しい母、思い出は少ないが自分達を可愛がってくれていた父と過ごした、もはや存在しない家が見える。

 

アル「ここは…」

ウタ「ここはウタワールド、わたしの歌を聞いた人が招かれる夢の世界だよ」

アル「これが、悪魔の実の…能力…」

ウタ「風景はアル君の記憶から再現させてもらったけど、いいところだね…」

 

アルフォンスは、懐かしい故郷と我が家を呆然と眺める。

そしてアルは、自分が涙を流していることに気がついたら。それどころか、涙に濡れる頬の感覚も、そして涙を拭う手の温もりも感じられることに驚く。

 

そしてウタは、何処からともなく取り出した鏡をアルに手渡した。

 

鏡にはエドワードに似た、それでいて彼よりもいくらか柔らかい印象の少年が写っていた。

 

アル「こ…これは」

ウタ「ウタワールドは精神の世界。この世界なら、失ったはずの体も再現できるし、ご飯も食べられる」

 

そう言ってウタは、虚空からパンケーキの載った皿とフォークを取り出す。

 

皿を受け取ったアルフォンスは、恐る恐るそのパンケーキを口に運ぶ。

 

アル「美味しい…」

ウタ「エヘヘ、サンジ君のパンケーキを再現してみました!」

 

ウタがドヤ顔をしながら胸を張る。

そしてパンケーキを平らげたアルフォンスは、ポロポロと涙を流す。

鎧の身体になってから初めて食べた食事、そして懐かしい身体の感覚に、アルの感情が溢れ出す。

 

アル「う…うあぁぁぁぁ!!!」

ウタ「うん…うん、沢山泣きなさい。この世界は仮初でわたしが眠ったら消えてしまう。でも今だけは、好きなだけ泣いていいんだよ…」

 

子供のように泣きじゃくるアルフォンスを、ウタが優しく抱きしめる。まるで母親が子供をあやすように、背中を撫でながら。

 

そうしてアルフォンスは、ウタが眠ってウタワールドが解除されるまでウタの胸の中で泣き続けた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

ウタ「ねえ皆、お願いがあるの!」

 

翌朝、宴の後片付けを終わらせた一味の仲間たちに、ウタが一つの提案をする。

 

ウタ「わたしはアル君とエド君が元の体に戻る手助けをしてあげたい!

ログが貯まるまでの間でいいから、あの子達を手伝ってあげたいの!」

 

ウタの真剣な頼みを、彼女の頼れる船長は快諾する。

 

ルフィ「おう、いいぞ! あいつらはもう友達だしな!」

フランキー「アウ! それにこの国の技術にも興味があるしな!」

ロビン「そうね、それにこの国の歴史にも興味があるわ。もしかしたら、わたしが把握していない歴史の本文(ポーネグリフ)もありそうだもの」

 

そうして一味の賛同を得たウタの提案の元、麦わらの一味とエルリック兄弟の同盟が成立した。

 

 

 

そしてこの同盟が、後にアメリストス国の存亡を揺るがす陰謀を崩壊させる切欠になる事を、彼らはまだ知らない…。

 

 

 

 

 

 

続……かない!




ホビウタの境遇とアルの境遇があまりにもそっくりだったので、折角なので二人の会話を書きたいなと軽い感じで書き始めたら結構な文章量に…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。