おれの宝物   作:Recent

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 今年の八月十五日は熱気バサラの誕生日だったそうです。
 
 記念に久々の更新です(続きは気長に待ってください…)


お前が風になるなら

ーーーウォーターセブン とある路地裏ーーー

 

 これはエニエス・ロビーでの死闘を終えた麦わらの一味が、共に戦った戦友達と賑やかな宴を行った少し後のお話。

 

 

ルフィ「しまったなぁ〜」

ウタ「ギィ〜」

 

 フランキーが作っている新しい船に置く家具を、一味が手分けして揃える事になり、ルフィとウタもまた自分達の私物を揃えようと街に繰り出したのだが、あっちで肉を食い、こっちで見世物を楽しんでいる内に帰り道が分からなくなってしまった。

 

ルファ「ま、せっかくだしもう少し冒険してみっか」

ウタ「キィ!」

 

 

 まだ日も高く、最悪ウタにナビして貰えば帰れるだろうと高をくくり、ルフィはヤガラブルから降りて裏町探検を始めた。

 

 復興を手伝っている巨人達と一緒に瓦礫を運んでみたり、ガレーラ本社でトレーニングしているはずのゾロが何故か合流(迷子仲間)して気がついたら何処かに行ったり、そげキングと偶然再会したりと色々あったが、ルフィもウタもこの探索を割と楽しんでいた。

 

 そしてそげキングとも別れ、再び二人になったルフィ達の耳に、()が届く。

 

???「おまえが〜♪ 風になるなら♪」

 

 海が見える広場で、丸メガネをかけた男がアコースティックギターを奏でている。

 

???「果てしない〜♪ 空になりたい♪」

 

 その歌声はルフィに、そして人形であるウタの心を震わせる。

 

???「激しい雨音に立ちすくむ時は〜♪」

 

 ルフィとウタは無言で、歌う男の近くのベンチに座る。

 

???「ギターをかき鳴らし心を鎮めよう」

 

 男の歌は続く。

 そしてルフィ達だけでなく、多くの人が広場に集まってゆく。

 

???「COME ON PEOPLE 感じてほしい♪」

 

 街の復興作業を終えた船大工達が、仕事終わりの海列車の駅員達が、屋台のおっちゃんやおばちゃんが、海賊が、そして海兵達も。

 

 

ルフィ「いい歌だな」

ウタ「キィ」

青キジ「そうだな」

ルフィ・ウタ「「!!?」」

 

 歌に聴き惚れていたルフィ達の隣にいつの間にか座っていた海軍大将青キジが、ルフィの言葉に当然のように同意を示し、ルフィはウタを庇うように立ち上がる。

 

青キジ「あ〜待て待て。お前ねぇこんな良い歌を聞いてる時に戦うわけねえだろう」

ルフィ「そりぁ…」

ウタ「キィ…」

 

 本当にやる気無さそうに、それでいて丸メガネの男の歌を機嫌良さそうに口ずさみながら、青キジがベンチをポンポンと叩く。

 

青キジ「ほれ、お前の席だろ?」

 

 青キジに促され、ルフィ達は大人しくベンチに座りなおす。

 

ウタ「キィ〜キィキィ!!」

 

 ウタが機嫌良くオルゴールを鳴らす。

 そんなウタを、歌い続ける眼鏡の男がチラリと見た気がした。

 

???「今すぐ わからなくていいから」

 

 青キジが、普段のだらけきった顔とも少し違う穏やかな顔で、歌を口ずさむ。

 

???・青キジ「「COME ON PEOPLE 命の限り」」

 

 ルフィもまた、肩にウタをのせて口ずさむ。

 

???・青キジ・ルフィ「「「お前を守り続ける MY SOUL FOR YOU」」」

 

 

 その後も日が暮れるまで、男のライブは続いた。

 穏やかな曲、激しく情熱的な曲、そして愛を伝える曲、ギター1本と自分の声だけで、その男は人々の心を震わせた。

 

 

 日は暮れ、ライブは終わった。

 人々は家路につき、青キジもまたいつの間にか姿を消していた。

 

 そんな中、ルフィはライブを終えて何処かへ去ろうとする男に声をかける。

 

ルフィ「おーい」

ウタ「キィー」

???「何だあ?」

 

 歌声に比べると少し荒々しい声で、男が振り返る。

 

ルフィ「俺はルフィ、海賊王になる男だ!」

ウタ「キィ! キィキィ!!」

ルフィ「こいつはウタ、俺の仲間だ!」

???「動く人形…グババみたいなやつか

 

 いきなりのルフィの名乗りと、生きた人形であるウタに若干怪訝な顔をするが、何か呟いてすぐに納得する。

 

???「で、何の用だ?」

ルフィ「おう、お前の歌すげぇ良かった!!」

???「へぇそうかい。ありがとよ」

ルフィ「だからよ、お前オレの仲間になってくれ!!」

ウタ「ギィー?」

???「…はぁ?」

 

 色々と過程をすっ飛ばしたルフィの宣言に、眼鏡の男と、ついでにウタまで驚く。

 

ウタ「ギィ、ギィギィ!!」

ルフィ「いてて、なんだよウタ?」

ウタ「ギィ〜ギィギィ!」

ルフィ「いやだってよお。こんなすげぇいい歌の奴がうちの音楽家になってくれたら毎日楽しいだろ!?」

ウタ「ギィギィ!!」

 

 ウタはルフィにゼスチャーで、名前も知らない人をいきなり仲間にしようとするなと叱る。

 

ルフィ「あ、そっか。わりぃわりぃ、なあアンタ名前なんてんだ? あと仲間になってくれ!!」

???「俺は熱気バサラだ、悪いが仲間にはなれねえよ。 俺はファイヤーボンバーってバンドのボーカルだからよ」

ルフィ「えぇ〜」

ウタ「ギィ〜、キィキィ!」

 

 

 ルフィが駄々をこねるが、結局ウタに諭されて仲間にする事は諦めた。

 かくてこうして、ルフィ達はなんだかんだで意気投合することとなる。

 

バサラ「ハッハッハ、なかなか面白えコンビだな。 仲間にはなれねえが、また会ったら俺の歌を聴いてくれ。じゃあなルフィ、ウタ!」

ルフィ「おう、またなー!」

ウタ「キィー!」

 

 

 こうして、迷子から始まったルフィとウタの小さな冒険は終わる。

 門限に遅れてナミに叱られることになるのは、また別のお話。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

2年後

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ーーーロングリングロングランド とある遊牧民の村ーーー

 

 ながーい身体の羊達が、群れで草を食べている。

 遠くでは足のながーい馬が主人とその孫を乗せて野原を駆け、ながーい身体の動物達が、各々のんびりと変わらぬ日々を過ごしている。

 

 ながーい羊のながーーい背中の上で、一人の男が昼寝をしている。

 少し前に村にやってきた男は、村人達や動物達に歌を歌い、後は趣味の昼寝をしながら過ごしていた。

 

 そんな彼の耳に、微かに、遠く海を声で歌が届く。

 

 

♪さぁ 怖くはない♪

♪不安はない♪

♪私の夢は みんなの願い♪

♪歌唄えば ココロ晴れる♪

♪大丈夫よ 私は最強♪

 

 

 それはまだまだ未熟な、だがだからこそハート()に響く歌声。

 遠い海の彼方で、誰かが、その魂を燃やして歌っている。

 

 男は口の端を釣り上げる。

 

「なんだ、誰だか知らねえがいい歌じゃねえか」

 

 ふと、その男━熱気バサラの心に、2年前にすれ違ったある少年と生きた人形の姿が浮かんだ。

 

「…なるほど、海賊王か」

 

 バラサの心に火が灯る。

 そして燃え盛る、熱い歌への情熱が。

 

「行くぜぇーー!! 突撃ラブ・ハート!!」

 

 バサラは羊の上で立ち上がり、ギターをかき鳴らす。

 

「Let’s go つきぬけよおぜ♪」

 

 バサラは歌う。

 この歌が海の彼方へ届くと信じて。

 

「夢で見た夜明けへ♪」

 

 この歌が山を、銀河を、そして何よりもこの海に生きる全ての人々の魂を震わせると信じて。

 

 

 

 

 

 

 




そう言えば、ラブーンが歌好きな元ネタの一つってマクロス7なんですかね?


作者のオリジナルもよろしくお願いします
評価を貰えると色んな作品を書く意欲になるので何卒…

https://syosetu.org/novel/309815/
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