おれの宝物   作:Recent

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色々寄り道してますが、こっちもちゃんと書いてます。


5話 仲間だから

ーーーマストの屋敷内 ペローナの部屋近傍ーーー

 

ウソップ「助けてくれェ〜〜〜!!!」

 

俺は勇敢なる海の戦士ウソップ。

俺の仲間たちの影を奪った王下七武海ゲッコー・モリアから影を取り戻すために奴の屋敷に乗り込んだ俺は、奴らの幹部の一人“ゴースト・プリンセス”ペローナに決闘を挑んだ!

たか卑怯なことに、あの女は神聖な決闘に援軍を呼んだんだ!

 

クマシー「ま〜て〜

ウソップ「畜生ォ! あいつさえなんとかなりゃあのホロホロ女になら勝てるってのに!!」

 

あのぬいぐるみみないなゾンビ、背中のチャックも開けられないくせに結構俊敏だ、このウソップ様のダッシュでも引離せねェ!

 

クマシー「ペローナ様に…! 手を出すなー!!

ウソップ「ギャー!!!」

 

しかもあのクマ、やっぱりゾンビだけあって腕力もヤベェ。

ウタに比べてブサイクなヌイグルミの分際で俺様の邪魔しやがって…、こうなったら!

 

ウソップ「必殺!!火炎玉!!!」

クマシー「うおおおお〜〜!!

 

んなっはっはっは!炎にビビって逃げていきやがった!

このキャプテン・ウソップ様にかかれば火に弱いゾンビなんざこんなもんだ。

 

だが、俺の快進撃もここまでだった…。

 

 

 

 

ペローナ「“ゴースト・ラップ”」

 

ドパパパパパパァン!!!

 

ウソップ「ゲファ…」

 

追いついたゴースト娘は何故だが空を飛び回り、巨大化するわ壁や天井、挙げ句にこっちの攻撃はすり抜けるわとやりたい放題してきやがった。しかも、こっちの攻撃が効かないならあっちの攻撃も効かねェとたかを括ってたら、小さなゴーストが爆発して俺をふっ飛ばしやがった…。

 

ボコォン

 

しかも最悪なタイミングで、あのクマのキグルミゾンビが追いついてきやがった…。無言で俺を殴り続けるあいつは、気の抜ける間抜けなヌイグルミではなく本物のクマみたいな迫力がありやがる…。

 

意識が遠のいていく…、ごめん皆。俺、調子に乗っちまったのかな…ウチのクルーが手も足も出ないあの女の能力に、俺だけが太刀打ち出来るって息巻いたのに…。

()()何も出来ないのか…。ゴメンな皆…、ゴメンなウタ…。

酷いこと言って傷つけちまったウタを助けられる機会だって息巻いたのに、結果がこのザマかよ…。

 

それでも抵抗しようと手を伸ばすが、武器が入ったバックがさっきの衝撃で吹っ飛ばされちまってる…。クソ…ここまで…かよォ。

 

殴られすぎてぼやける視界の先に…、吹っ飛ばされた俺のバックを漁る一体のゾンビが見えた…気がした……。

 

 

 

ーーーside ウターーー

 

ウソップの悲鳴を聞いて急いで駆けつけたわたしの目の前で、ウソップはクマのヌイグルミ、確かクマシーと呼ばれていたゾンビにボコボコに殴られていた。

まだ生きてるけどあのままじゃ殺されちゃう!!

 

私なんかじゃ役に立たないかもしれないけど、それでもウソップを、仲間を助けるために決死での覚悟で駆け寄ろうとしたわたしの目の前に、ウソップの、彼の武器が満載された鞄が衝撃で吹っ飛ばされてきた。

 

 

カラン…

 

その鞄から、一枚の仮面がこぼれ落ちてきた。

わたしはその仮面を手に取る。

 

ウタ「これ…そげキングの……」

 

その仮面はエニエス・ロビーで私達を助けてくれた心強い援軍…ウソップの友達だって言う狙撃の島のそげキングが、顔を隠すために着けていた仮面だ。

その仮面はまるで、無謀に突撃しようとする私を諌めるように、私の目の前に現れた。

そして周りを見ると、他にもウソップの鞄からパチンコや、ウソップ特性の弾薬が散らばっている。

そっか…、ありがとうそげキング!

 

わたしはそげキングの仮面をかぶり、ウソップのパチンコに()()を装填し構える。

 

ウタ「必殺!!“塩星(ソルトスター)”!!!」

 

わたしの撃った弾は、ウソップが必死の抵抗で剥がしたクマシーのマスク!その下にある口の中へ狙い違わず吸い込まれていった。

 

クマシー「おおお〜〜〜

ペローナ「クマシー!!?」

 

クマシーの体から影が抜けていく。それに驚いたペローナちゃん、かわいい服を着た何故か浮いてる女の子がこちらを睨みつけてきた。

 

ペローナ「お前! ゾンビなのになんで麦わらの一味の味方を!?」

 

そんな彼女に、わたしは胸を張って告げる!

 

ウタ「ゾンビ…? わたしの名前はそげクイーン、狙撃の島から麦わらの一味を助けるためにやってきた、ヒーローだよ!」

ペローナ「嘘つけェ!!!?」

 

ふっふっふ、これならウソップ達に怪しまれないで済むね!

なんだかペローナちゃんには疑われてるけど、流石は動物ゾンビの指揮官だけあって、勘がいいのかな?

 

それに、まずはウソップを回収しないとね。

 

わたしは鞄から次の弾を取り出す。

 

そげクイーン「必殺“煙星”!!!」

 

煙幕を張って、どうにかウソップを担いでこの場から逃走した。

 

 

 

ーーーside ウソップーーー

 

クマシーとかいうキグルミゾンビに好き放題殴られ、気を失っていた俺が目を覚ますと、なぜかウサギみたいな見た目のゾンビが俺を手当していた。

 

ウソップ「うおお〜!? ぞ、ゾンビ!?」

???「…!? シー! 大声出したら気づかれちゃうよ!」

 

そのゾンビは、何故かそげキングの仮面を着けていて、テキパキと俺の傷に応急処置を施していった。

 

???「できた! チョッパーに応急処置を習っておいて良かった

 

その人形は、俺の顔に包帯を巻き終わると満足そうに胸を張った。ボソッと何か言ってたけど、聞き取れなかったぜ。

 

???「コホン、えーっとはじめまして! わたしは狙撃の島から来たそげクイーン! そげキングの代わりに助けに来たよ!」

ウソップ「…???」

 

何言ってるんだこのゾンビは?

狙撃の島もそげキングも、俺がとっさについた()なのに…。

 

俺の困惑を感じ取ったのか、そげクイーン(仮)も困ったように頭をかいた。 

 

そげクイーン(仮)「上手くいくと思ったんだけどなァ…と、とにかく君は休んでいたまえ()()()()()! わたしがなんとか時間を稼ぐから、任せてくれ!」

 

そう言ってそげクイーン(仮)は、俺の武器の入った鞄からパチンコや予備の塩星、それにいくつかの武器を取り出し、装備していく。

 

そげクイーン(仮)「悪いが武器は借りていく!」

ウソップ「いや待て待て待て! なんで()()()が俺を助ける! それに手当までしてくれて、お、俺を人質にしたって意味はねェからな!!?」

そげクイーン(仮)「…その怪我だとすぐには動けない。少しの間だけどわたしが、時間を稼ぐから…。だからウソップ…君は早く逃げてね。」

 

そげクイーン(仮)は俺の質問には答えず、俺に背を向けて去っていこうとする。その背中からは、今から決死の戦いに赴く覚悟と、とてつもなく深い悲しみが感じられた。

そうだ、あの姿…どこかで…。

 

 

 

ーーーside ウターーー

 

ペローナ「あのネガッぱなと裏切りゾンビ、どこ行きやがった!」

 

ペローナがわたしとウソップを探している。

なんとか煙幕で撒けたけど、このままだと見つかっちゃう…。

できればルフィがモリアを倒すまで隠れていたいけど、流石に無理そうだよね。でもウソップはボロボロだし、せめてウソップが逃げる時間くらいは稼がないと!

 

ウタ「わたしはここだよ!」

ペローナ「出やがったな裏切りゾンビ!」

 

隠れていた物陰から飛び出すと、ペローナが憤怒の形相でわたしに向かってくる。

 

ペローナ「ネガティブホロウ!」

 

ペローナがゴーストをわたしにけしかけてくる。あれを食らうとわたしもルフィみたいにネガティブになっちゃう!

 

ゾンビの身体能力を駆使してなんとか躱したわたしの足元に、小さな丸いゴーストが現れる。

 

ペローナ「ゴーストラップ」

 

パァン!

 

小さなゴーストが弾け、足元を崩されたわたしは着地に失敗して転んでしまう。

そして動きの止まったわたしの体を、ゴーストがすり抜けて行った。

 

ペローナ「ホロホロホロ、これで動けねえだろ!

そいつを捕まえろ、カバ紳士!」

 

ペローナの後ろから、剣と盾を持つカバのゾンビがのそのそとわたしを捕まえる為に近づいてくる。

 

カバ紳士「裏切り者め、ご主人様に突き出してやる!」

ペローナ「ホロホロホロ、モリア様ならお前を」()()()だろうよ」

 

地面に這いつくばったわたしにカバ紳士が手を伸ばし…。

 

咄嗟に飛び跳ねはわたしはカバ紳士の腕を躱して、その大きな口の中に、ウソップ特製の塩玉(ソルトボール)を放り込んだ!

 

カバ紳士「うおおお〜〜!!!」

ペローナ「カバ紳士ー!? こ、こいつも私のネガティブホロウが効かないのか!?」

 

ペローナが目を見開いて驚いている。そうだね、多分だけど無理矢理人をネガティブにする彼女の能力はわたしには効かない。

だって、わたしは…。

 

ウタ「死にたいなんて、自分が惨めだなんて、そんな()()()()()()()()()で今更動けなくなったりしないよ?」

 

だってそんな思い、10年前から今まで毎日毎晩思い続けてきたことだから。

それでも、こんなわたしを友達だと、仲間だと呼んでくれた人達がいるから、わたしは、膝をついてる暇なんて無いんだ!!

 

ペローナに向けてパチンコを構える。効かないかもしれないけど、それでも威嚇位にはなるかな。まだまだ、時間を稼がないと…。

 

ペローナ「お前があのネガっ鼻と同じなのは分かった。だったら、お前に効く攻撃をするだけだ。

“特ホロ”!!!」

 

冷たい目をしたペローナが、さっき爆発した小さなゴーストとは比べ物にならない大きさのゴーストをわたし目掛けて投げつける。

なんとか躱そうとするけど、大きすぎて避けきれず体をまるごと包まれてしまった!

 

ペローナ「あばよ裏切り者、さっさと新しいゾンビをモリア様に作ってもらわないとな」

 

そう言ってペローナはパチンと指を鳴らす。

そして爆発したゴーストはゾンビのわたしの体をバラバラに……

あれ?

 

衝撃が怖くて目を閉じてしまったわたしを、誰かが抱き上げてくれている。

 

???「“衝撃貝(インパクトダイヤル)”…」

 

その男の右手から微かに湯気が上がっている。本来ならわたしの体をバラバラにするはずだった()()は、その貝の中に吸収されたのだろう。

 

男が優しくわたしを下ろす。

そしてわたしを庇うように、敵の女幹部と対峙する。体は血まみれでボロボロ、体は恐怖で震えてるけど、その大きな背中は、勇敢な海の戦士そのものだった。

 

ウタ「ウソップ…」

ウソップ「悪いな()()、ちょっと遅れちまったか?」

 

そうしてウソップはいつものように剽軽に、わたしの名前を呼んでくれた。

 

ウタ「なんで…わたし、見た目も違うし、声だって…」

 

呆然とするわたしの声を背に、ウソップが堂々と胸を張る!

 

ウソップ「仲間だからだ!!!」

 

わたしの目から涙が溢れる。10年間流せなかった涙が、ゾンビの偽りの体から溢れ出し、わたしの頬を濡らしていた。

 

 

この先は語るべくもないだろう。

 

敵の能力を見破ったウソップが、いつもみたいに格好良く敵幹部を粉砕しただけだから。

 

 

 

でもこの島での戦いはまだまだ終わってない。

ルフィの影の入ったスペシャルゾンビ“オーズ”と、七武海ゲッコー・モリアをなんとかしないと!!

 

 

 

TO BE CONTINUE

 

 




決着は端折りましたが、正直やることは原作と変わりないので温かい目で見てください。

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