おれの宝物   作:Recent

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今日でFILM REDは終演ですが、この作品はもうちょっとだけ続きます。


6話 ウタの決意

 

ーーースリラーバーグ ペローナの部屋近傍ーーー

side ウタ

 

ペローナを撃破したわたしとウソップは、他の仲間と合流するために廊下を駈けていたんだけど…。

 

ウソウタ「「助けて〜!!!」」

 

突然の地響きと共に、屋敷を破壊しながらこっちに向かって突き進んでくる巨大な怪物オーズから、私とウソップは逃げ惑っていた。

 

ウソップ「お、おいあれルフィの影が入ってる巨人じゃねーか!?」

ウタ「さ、さっきまで自由に舵いじったりしてたのになんで〜!?」

 

さっきまではモリアの命令なんて無視して勝手に出歩いてたけど、あの動きは明らかに私達を探している。

 

 

 

ウソップ「や、やべェぞ!?」

ウタ「どうしたの!?」

 

どうにか逃げきって一息ついた私達は、双眼鏡でオーズを観察していたんだけど、ウソップが何かを見つけたのか慌てて叫ぶ。

 

ウソップ「お、オーズの腕に…俺たちの手配書が貼ってある!

あいつの狙いは完全におれ達だ!!!」

ウタ「そんな!!」

 

わたしとウソップが絶望的な事態にアタフタしていると、遠くから聞き慣れた声が聞こえてきて、私の体が地面から生えた()に拘束された!

 

チョッパー「ウソップ!! そこから離れて!!」

ウソップ「チョッパー!! ロビン!!?

待て待て待て、落ち着け!!」

ロビン「ウソップ、貴方の後にゾンビがいるわ!!

早くそこから離れて!!」

 

チョッパーとロビンがわたし達に向かって駆け寄ってくる。きっと拘束した私に塩を食べさせるつもりなんだろう。

…仕方ないよね、わたしは皆の仲間の“ウタ”じゃない。わたしはあの子の“影”で、今は自由に動けてるけどきっともう少ししたらルフィのゾンビみたいにモリアの命令に従うようになっちゃうから。

わたしは抵抗せず、口に放り込まれるウソップ特製の“塩星(ソルトスター)”を受け入れようとする。

 

なのに、ウソップはロビンが能力で生やした手からわたしを引き剥がし、わたしを庇うようにロビン達と対峙する。

 

チョッパー「ウソップ!? いったいどうしたんだよ!」

ウソップ「二人共、待ってくれ!! こいつはウタだ!

おれ達の仲間だ!!!

 

チョッパー「な、なに言ってるんだ! おれ達はルフィ達とウタの影を取り返しに…!」

ロビン「…!? 待ってチョッパー。

ウソップ、その子…ウタの影が入れられたゾンビなのね?

そして他のゾンビと違って、記憶も自我も縛られていないということかしら?」

 

ウソップが力強く頷く。

わたしはわたしを庇って立つウソップの陰から恐る恐る顔を出す。

ロビンもチョッパーもまだ警戒を解かず、身構えながらわたしを見つめている。まるで()()()()()の相手を見るかのように。

当たり前だ。わたしの体は動物ゾンビで、いつも皆と一緒だった人形の体じゃない。

 

 

???『なんだこいつ、動く人形か?』

 

 

不意に10年前の記憶が蘇る。あれは“人形の影”であるわたしが生まれた日だ。必死にしがみつく本体のわたしを引き剥がして、今のロビン達と同じようにわたしを()()()見るかのように見つめる、麦わら帽子をかぶった赤髪の海賊。

ギィギィと、言葉にならない壊れたオルゴールの音色を響かせる本体のわたしを鬱陶しそうに払い除け、それでもついてきた本体のわたしをフーシャ村まで連れていってくれた()()()()だった人…。

 

 

 

気がついたら、わたしの目から涙が溢れていた。

 

ウタ「チョッパー…ロビン…わたし……わたしは……」

 

震える声でか細く仲間の名前を呼ぶ。

伸ばそうとした手は、途中で力なく垂れてしまう。名前を告げたくても、否定されて…拒絶されるのが怖くて声が震えて言葉が続かない。

 

そんなわたしを、ウソップが優しく抱き上げてくれる。

 

ウソップ「信じられないかもしれねえ、姿も変わってるかもしれねえ。でもこいつはウタだ!

こいつは、こんな姿になってもおれ達を助けに来てくれたんだ!!

だから、おれを…ウタを…信じてくれ!!」

ウタ「……」

 

震えながら、それでもわたしを信じてくれるウソップの姿にわたしは涙を流す。

そんなわたし達に、ロビンが近づいてくる。

そしてウソップからわたしを受け取り、わたしをギュッと抱きしめてくれた。

 

チョッパー「ろ…ロビン!?」

ロビン「ごめんなさい、ウタちゃん。怖い思いをさせてしまったわね」

ウタ「ロビン…?」

ロビン「わたしも信じるわ、貴女のこと」

ウタ「あ"りがどう…ロビン……」

 

泣きじゃくるわたしを、ロビンは優しく抱きしめてくれた。

 

 

ーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

チョッパー「え〜〜!! ルフィのゾンビの腕に手配書!?」

ロビン「どうやら暴れすぎたみたいね。

ルフィの影さえあれば私達の影はいらないというところかしら?」

 

ひとまず落ち着いたわたし達は情報共有をしたんだけど、事態は深刻だ。

 

ウソップ「ウタ、ナミはサンジが助けたんだよな?」

ウタ「う、うん。危うく誓いのキスされそうになったけどサンジ君が間に合ってくれたから、もうあの変なライオン顔をボコボコに…」

ウソップ「ウタ…あれを見ろ…」

 

 

ウソップの視線の先、わたし達のいる巨大な渡り廊下の庭の下、メインマストとホグバックの屋敷の間で巨大なルフィのゾンビ、オーズと一人で対峙しているサンジ君がいた。

 

ロビン「ナミは…一緒じゃないみたいね」

ウタ「そ…そんなァ」

 

サンジ君があんな変な顔の男に負けるはずが無いけど、何か事情があってナミを再び攫われたみたいだ。

 

 

サンジ「そこを退きやがれ!! 首肉(コリエ)フリッ…」

オーズ「ふんっ!!!」

 

サンジ君は自分をを叩き潰そうとするオーズの攻撃を躱して、オーズの首を蹴り上げて反撃しようとしたけど、オーズのカウンターの頭突きを食らってふっとばされる!!

オーズはその巨体から想像出来ないで程の敏捷性で、地面に叩きつけられて跳ね返ったサンジ君に追撃を加え今度は屋敷の壁まで殴り飛ばす。そして意識を失ったサンジ君をその巨大な手で掴む。

ま、まずい!!

 

ウタ「ウソップ!!」

ウソップ「任せろ! “火の鳥星”」

 

ウソップの攻撃で髪に火がついたオーズは、しかし他のゾンビとは異なり冷静に頭を振って火を消す。そして右手に持ったサンジを地面に投げ捨てるとわたし達の方へと向かってくる。

 

チョッパー「こっち来たァ!!!」

 

ズンズンとこちら目掛けてオーズが進軍してくる。まずい、このままだと逃げ切れない!!

 

ドドドドドドド

 

その時、オーズを狙って屋敷の屋根の上から砲撃が放たれた。

あれはフランキーと、ゾロ!!

 

喜んだのも束の間。砲撃を躱したオーズは、大ジャンプしてゾロたちのいる塔を飛び蹴りで破壊した。

反撃したゾロは斬撃を躱された上に空中へと蹴り上げられ、フランキーとブルックもオーズに尖塔の瓦礫を叩きつけられKOされてしまった。

 

ロビン「“百花繚乱(シエルフルール)”“蜘蛛の華(スパイダーネット)”」

ウタ「ナイスロビン! で、でもオーズが…!!」

 

ロビンが能力で落下してくるゾロをキャッチしたのはいいけど、目立つ動きをしたわたし達を、オーズがギロリの睨む。

 

ウソップ「ちっくしょう…これでもくらいやがれ!!

必殺“塩星(ソルトスター)”」

オーズ「…?」

 

ウソップがオーズの口に塩星を撃ち込むけど、微量過ぎて効果がない!!

 

ウタ「ロビン!!」

ロビン「…!?」

 

わたしは咄嗟にロビンを庇ってその場から突き飛ばす。

 

 

バゴォォン!!

 

ウタ・ウソ・チョ「「ぐああああああ」」

 

オーズがわたし達に巨大だ瓦礫を叩きつけ、わたし達は立っていた渡り廊下ごと地面に叩きつけられた…。

 

わたしもウソップもチョッパーも、そして他の皆もボロボロで立ち上がることも出来ない。

 

ウタ「ル…ルフィ……」

 

オーズ「おめェらなんか知らねェぞ。

おれはモリア様の部下、オーズだ!!!」

 

ルフィのゾンビの言動に、また涙が溢れる。

あいつは、あのゾンビの中に入っている“影”は、()()忘れてたしまったんだ。わたしのことを、そして仲間のことを、そして何よりも彼の夢を!!

 

ボロボロの体で悔し涙を流しながら、それでもわたしは心に誓った。

 

あんな奴に、人の思い出を踏みにじるような奴(ゲッコー・モリア)に、絶対に負けるもんか!!

 

 

オーズ「3人足りねェな……どこにいるんだ?」

 

オーズは倒れているわたし達に背を向けて、多分ルフィとナミを探しに去っていく。

 

わたしはボロボロの体で立ち上がり、瓦礫に埋まっていたウソップの道具箱を探し出す。

 

そしてその中から、ハンマーや衝撃貝(インパクトダイヤル)を取り出し装備する。

 

ウタ「よし!!これで…」

ゾロ「なに一人で行こうとしてやがる」

 

わたしが勇んで立ち去ったオーズを追いかけようとしたら、わたしの体がヒョイッと持ち上げられた。

わたしを持ち上げたゾロがわたしの顔を覗き込む。

 

ウタ「ゾ…ゾロ!?…ってあ、わ…わたしは敵じゃなくてその」

 

アワアワと自分が味方だとアピールしようとするけど!慌ててるから上手く言葉が出てこない。

そんなわたしを、ゾロはニヤリと笑ってる自分の肩を乗せる。

 

ウタ「!!?」

ゾロ「やる気があるのはいいが、()()を放って行くのは関心しねえぞ、()()

ウタ「…え、なんで」

ゾロ「それなりに長い付き合いだ、それくらいわかる」

 

ゾロはぶっきらぼうにそう言うと、わたしを肩に乗せたまま歩き出す。

 

何故だがまた、涙が溢れてきた…。

 

 

サンジ「てんめェクソマリモ!! なにウタちゃんを泣かせてやがる!!!」

ウタ「さ…サンジ君!」

サンジ「ウタちゃん、さっきはありがとな。お陰でナミさんがあのライオン野郎にキスされる前に助けられたぜ!!」

ゾロ「なんだ、疲れてるならお前は寝てていいぞぐるぐる眉毛」

サンジ「なんだとクソマリモ!!」

 

わたしを挟んで二人がまた喧嘩し始める。

…そっか、サンジ君はわたしの声真似に気づいてたのか。

なんだか嬉しくて、それでもやっぱり涙が止まらない。

 

フランキー「アウ、なんだかよくわかんねーがウタの影が入ったゾンビは味方でいいんだな?」

ロビン「ええ、勿論よ」

 

フランキーとロビンも立ち上がり、わたし達の後に続く。

 

ブルック「すいません…私…体が…」

ウソップ「おめェはしょうがねェよ」

チョッパー「応急処置はしたから、ちょっと休んでろよ」

 

一番重症で動けないブルックを安全なところまで運んだウソップとチョッパーも、少し遅れてわたし達に合流した。

 

もう、涙は引っ込んだ。

 

そしてわたし達は、改めてオーズと対峙する。

 

ゾロ「おいオーズ!!

てめェの中身がルフィの影なら…」

サンジ「てめェの仲間の底力……!!」

ウタ「見くびらないでよね……!!!」

 

 

 

 

TO BE CONTINUE




ギャグ回としてパイレーツドッキング回をする予定だったのに、気がついたらシリアスな話になってしまった…。

次回こそはパイレーツドッキングを書きます!!
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