そしてすまないレベッカ、ホビウタ時空だとDR編のヒロインはウタなんだ。こんな扱いになってしまって本当にすまない。
それはともかく、今回はレベッカ視点でお送りします。
半壊し、瓦礫で覆われた街をレベッカはひた走る。
一時的に止まった鳥カゴが再び動き出した。もしルーシーが復活するとしても間に合わないかもしれない。
そう思うといても立ってもいられず、父やロビンから離れて一人でドフラミンゴを討つ為に街を走る。
レベッカ「いざとなれば私が、ドフラミンゴを…!」
私が悲壮な覚悟を固めた時、街に、いやドレスローザ全域に“歌”が響き渡った。
♪さぁ 怖くはない♪
♪不安はない♪
その歌声はドレスローザの人々に絶望に抗う希望を届けた。
力尽きかけた戦士達は最後の力を振り絞り、絶望に膝を折った民衆たちが希望を見出し立ち上がる。
レベッカ「凄い。これは、ウタちゃん…?」
つい先程、王の台地で顔を合わせたルーシーの仲間だという赤と白の独特な髪色の女性。父と同じく玩具にされながらも、ルーシーと共に冒険を続け遂に人間に戻ったのだと、ロビンさんが言っていた。
先程会ったときの、歩くことも覚束ず上手く話すことも出来なかった彼女から想像できないほど、素晴らしい歌声。そして歌声に合わせて響く楽器たちの伴奏。
再び止められた鳥カゴを見て、私も希望を見出す。これなら間に合う。国中の人たちが犠牲になる前にルーシーがドフラミンゴを倒せる!
だが希望を見出した私の視線の先に、あの男がいた。
ドフラミンゴ、この国を滅茶苦茶にした悪鬼。あいつはゆったりと歩きながら、自分に切りかかってくるコロシアムの闘士達を蹴散らしてゆく。
コロシアムの闘士「絶対に通すな!歌を歌ってるお嬢ちゃんを死ぬ気で守れー!!」
彼らもまた、あの“歌”が最後の希望だとわかっているのだ。だが彼らではドフラミンゴに、王下七武海の一角には届かない。
そして、“悪鬼”と“救世主”が対峙した。
ドフラミンゴ「フッフッフッフッ、大したもんだ。まさか小娘一人にこの俺の鳥カゴを止められるとはな」
ドフラミンゴがウタちゃんへと語りかける。
だけどウタちゃんはドフラミンゴと対峙して、その殺気に晒されながらも、歌を歌い続ける。
ドフラミンゴ「健気なもんだ。どこまでその耳障りな歌を続けられる?」
ドフラミンゴは不愉快そうにウタちゃんを睨みながら、人差し指をウタちゃんに向ける。
ドフラミンゴ「“弾糸(タマイト)”」
ドフラミンゴの放った糸の弾丸は、ウタちゃんの周りに展開した楽器が防御した。でも、それだけでも歌い続けるウタちゃんの負担になったのだろう。ウタちゃんの顔が苦悶に歪む。
ドフラミンゴ「この程度で音を上げるなよ?
“大波白糸(ビローホワイト)”」
周囲の建物や地面が糸と化し、ウタちゃんを全方位から攻撃する。だがウタの周りに展開した楽器と音符たちが、糸からウタを守る盾となる。
攻撃が晴れたとき、そこには崩れ去り消滅してゆく楽器たちと数多の音符の中心で歌い続けるウタがいた。
楽器がすべて壊れ、最早ドレスローザ全域に歌は行き届かない。
それでも、ルーシーが復活するまで時間を稼ぐ為に、彼女は命懸けでドフラミンゴと対峙して歌い続けている!
ドフラミンゴ「歌うのをやめろ!!!」
修羅の形相でウタちゃんを怒鳴りつけるドフラミンゴ。だがそれでも、ドフラミンゴを睨みつけながら歌い続けるウタちゃんに業を煮やしたドフラミンゴは、再びウタちゃんを攻撃しようとする。
レベッカ「やめなさい!ドフラミンゴ!!」
ウタちゃんを守るために、私は咄嗟にやつの死角から斬りかかる。
ドフラミンゴ「レベッカ、今更何の用だ?俺は今忙しいんだ。
後にしろ!」
レベッカ「なっ!?身体が!?」
ドフラミンゴはこちらを振り向く事すらなく、私を糸で拘束する。身動きできなくなった私を宙吊りにして、奴は楽しそうに嗤う。
ドフラミンゴ「だが、丁度良いところに来た。おい、小娘。
歌うのをやめないようなら、レベッカを切り刻む。
それでも良いなら歌い続けるがいい。このガキ一人とドレスローザの住民達、どっちの命を優先する?」
レベッカ「ダメ!ウタちゃん!」
私は助けになるどころか、人質にされて足を引っ張ってしまった。悔しい、私がもっと強かったら。
ダメだよウタちゃん、私なんかのために皆を、この国の人達を見捨てないで。
ウタちゃんはドフラミンゴを睨みつけるが、私の方を見て表情を緩め、歌うのを止めた。
鳥カゴを止めていた音符は消失し、鳥カゴが再び加速する。
ドフラミンゴ「フッフッフ、馬鹿な奴だ。歌い続けていれば、麦わらが復活するまで時間を稼げたかもしれないぞ?」
ウタ「そのこを、はなして…あげて」
先程の素晴らしい歌声と同じ声とは思えないほど、たどたどしい声。それでも彼女はドフラミンゴから目を逸らさず、私を助けようとしてくれている。
ドフラミンゴ「いいだろう、こいつは切り刻まないでおいてやる。だが、お前は別だ!小娘!!」
ドフラミンゴがウタちゃんを拘束し、ついさっき私がされたように宙吊りにされる。
ドフラミンゴ「厄介な歌だが止まってしまえばもうどうでもいい。それにその麦わら帽子、あの麦わらが被っていたものだろう?
お前を殺せば、麦わらは現れるか?」
ウタ「……」
ウタちゃんは口を引き結び、気丈にもドフラミンゴを睨み続ける。
ドフラミンゴ「フッフッフ、健気なもんだ。12年間、麦わらに可愛がられて随分と大事にされていたようだな。
【赤髪の娘】 」
赤髪?娘?どういうこと?
それに今までの強気にドフラミンゴを睨み続けていたウタちゃんに、初めて動揺が見えた。
ドフラミンゴ「驚いたか?俺がお前を知っていることが。
俺も“思い出した”よ。お前の事をな。
俺がシュガーに命令したんだよ。赤髪の娘を消せ、とな。」
ドフラミンゴの口から語られた言葉に、ウタちゃんが目に見えて動揺し、怯え始める。
ドフラミンゴ「フッフッフ、傑作だな。あの時はまだホビホビの実の能力を測っている時期だったんだ。だからシュガーの忠誠を試すために、あいつと友達になったお前を玩具にするよう命令したのさ。まさかシュガーの友達が赤髪の娘とは思わなかったがな。命令した後に調べてみて驚いたもんだ。」
ドフラミンゴが楽しげに、ウタちゃんを嬲るように話し続ける。
ドフラミンゴ「だが結果としてシュガーは任務を果たした。友情よりもファミリーへの忠誠をとったのさ。フッフッフ、笑えるだろ?あの生意気な善人気取りの“赤髪”が、可愛がってた娘を捨てちまったんだ!!」
ドフラミンゴがここにいない誰かをあざ笑う。赤髪というのが誰かは分からないけど、きっとウタちゃんのお父さんなんだろう。
ウタちゃんが玩具にされて、ウタちゃんのことを忘れさせられてしまった。
怖気が走る。もし私とお父さんの立場が逆だったら。玩具にされたのが私だったら。あの優しくて強いお父さんも、私を捨ててしまったかもしれない。
ウタちゃんが涙を流す。それは辛い記憶を無理やり掘り起こされたからなのか、自分に降りかかった悲劇の元凶を前にして手も足も出ない自分への悔しさなのか。
ドフラミンゴ「お前が麦わらの一味の一員としてこの地に来ることになるとは、俺も想像すらしなかったよ。12年間の地獄から開放された気分はどうだ?嬉しかったか?
フッフッフ、だが奇跡は続かない。ローもお前も麦わらも、この地にいる誰も!俺を倒せねェ!!
どんなに奇跡を望もうが、力がなけりゃ何も出来ないんだよクソガキども!!」
ドフラミンゴがウタちゃんを、そして私を怒鳴りつける。そしてきっと、ルーシーにも聞こえるように。
ドフラミンゴ「これでも現れねェか、麦わら。
まあいい、だったら趣向を変えよう。」
隙を見て、もう一度ドフラミンゴに斬りかかろうとしていた私の身体の自由が再び奪われる。
ドフラミンゴ「“寄生糸(パラサイト)”」
ドフラミンゴの能力で私の体は意図に反して動かされる。
剣を構え、私の体が徐々にウタちゃんへと近づいてゆく!
レベッカ「いやだよ!やめて…!!」
ドフラミンゴ「さあ麦わら、さっさと出てこい。お前の大切な“人形”が壊されちまうぞ!!」
ドフラミンゴが愉快そうに嗤う。あいつにとってはこれは余興なんだ。この国を彩る悲劇に花を添える悪趣味な喜劇として。
レベッカ「やだよ、わたし。ウタちゃんを斬りたくないよ…」
涙を流し、必死に勝手に動く身体を止めようとするが、どうにもならない。
ウタ「れべっか…、だいじょうぶ」
レベッカ「…っ!?」
さっきまで怯えて、私と同じように泣いていたウタちゃんが私に笑いかける。それはまるで、私が子供だった頃、お母さんが私を安心させるために見せていた笑顔のようで。
ウタ「ルフィはきっときてくれる。もしわたしがしんでも、ルフィがきっとどふらみんごをぶっとばしてくれる。」
レベッカ「ウタちゃん…!」
ウタ「だからきにやまないで、あなたはちゃんとルフィのためにじかんをかせいだから」
私の見聞色の覇気で、彼女が怯えていることもが分かる。それでも彼女は、自分を殺そうとしている私の心を守ろうとしてくれている。
悔しい、悔しい…!私に力があれば。ドフラミンゴにいいように利用されずに彼女も、この国も救えるのに。
レベッカ「嫌だよう。助けて…。助けて…!
ル〜シ〜〜〜!!!」
私は叫んだ。ただ一心に、私を、彼女を救ってくれる救世主(ヒーロー)の名前を。
おかしい、予定ではもうルフィがドフラミンゴを倒してる予定だったのに、ルフィが登場すらしていない!?
あと書いてて思ったけどドフラミンゴ喋りすぎじゃない!?