超なオイラのヒーロー記録【完結】   作:アゴン

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ヒロアカ36巻を読んで凹んだので初投稿です。




記録17

 

 

 

『さぁ、遂に始まったぜ個性社会のオリンピック! 今回は噂の一年A組が出てくるから、注目が集まること山の如し! 刮目しろよリスナーども、今回の雄英体育祭は一味違うぜ!』

 

 雄英体育祭。人類が“個性”という異能を持つようになって、スポーツの祭典であるオリンピックが形骸化しつつある中、個性を大っぴらに使用されることを許された雄英体育祭は、日本中から注目されていた。

 

そして、この体育祭はヒーローの卵である雄英生徒達のお披露目を見るだけでなく、有望な生徒達を自分の事務所に引き込もうとする現役のプロヒーロー達のスカウトの場である。

 

メディアだけでなく、ヒーロー達からも注目を浴びるようになり、例年の雄英体育祭はかなりの盛り上がりを見せていた。

 

『さて、そろそろ開会式が始まるんだけど……イレイザーヘッド、一つ質問していい? お前って確か……結構な重傷者だったよな?』

 

『そうだな』

 

『いや、なんで既にほぼ全快してんの? 特に右目、後遺症が残るって俺聞いてたんだけど………トゥルットゥルじゃね?』

 

『そうだな』

 

『なんで?』

 

 そんな誰もが体育祭に注目する中、MC担当のプレゼントマイクは半ば強引に連れてきた相澤に改めて疑問を吐露した。目の前の親友は先日ヴィラン襲撃に遭い、重傷を負った。

 

両腕はへし折られ、中でも彼の最大の武器である目は眼底から骨を折られてしまい、個性使用に影響が出る程の後遺症が残るとされていた。

 

なのに、現在の相澤は片腕にギプスが巻かれている程度で殆どの傷が完治同然になっている。特に目の方は眼底の骨処か元々あったドライアイすら治療され、その瞳は少女漫画に出てきそうな位にトゥルットゥルとなっている。

 

これには流石のプレゼントマイク─────山田ひざしもツッコミを入れざるを得なかった。

 

『聞きたいか?』

 

『ヒェッ』

 

 首をギュルンとさせて振り向いてくる相澤に、思わず口から変な悲鳴が漏れた。

 

『聞きたいなら教えてもいいが………その時はお前も、俺と同じ所まで落ちてもらうぞ?』

 

『え? え? なに、どうしたの消太?』

 

『一度聞いたら絶対に逃がしはしない。墓場まで持っていって貰う事になるが……それでも聞きたいか?』

 

『い、いえ結構です! もう詮索しないので………その目で迫って来ないでー!? 怖い、物凄く怖いから!!』

 

少女漫画に出てきそうな瞳をしているのに、血走っている相澤の目に恐怖した山田ひざしは、自分の好奇心を呪いながら強引に話を逸らした。

 

『さ、さぁ! 遂に始まった雄英体育祭! 最初の種目は障害物競争! 雄英きってのド派手な障害に、果たして有精卵達はどう切り抜けるのか、見物だぜ!』

 

額に冷や汗を流しながら司会進行役を全うしようとするプレゼントマイク、そんな彼の横顔を静かに見つめる相澤の絵面は、軽くホラーチックだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雄英体育祭の最初の種目、多くの生徒達が篩に掛けられると知られる障害物競争。毎年様々なギミックが施され、例年の盛り上げに必要不可欠な催し。

 

既に出入り口は出場する生徒達でごった返し、体格の小さな生徒は人混みの中で揉みくちゃにされている。いち早くゴールを目指そうと、誰もが前に行くことを欲張った結果である。

 

早く始めてくれ、人混みに揉まれる生徒達の祈りが通じたのか、遂にプレゼントマイクからのスタートの合図が出された。これで漸く進めると、生徒達がいち早くゲートから抜け出そうとした時………。

 

地面が凍り付いた。

 

『アーッと! 開始早々早速ハプニング! ゲートが氷漬けにされたぁ! これにより前に出ようとした多くの生徒が文字通りの足止めを喰らったぁ!』

 

地面が凍り付き、物理的に足止めを受けた生徒達が寒さと痛みに悶える中、一人の少年がゲートから現れる。赤と白の頭髪が特徴的な少年、雄英に推薦で入学した少年────轟焦凍である。

 

『ゲートからいち早く出てきたのは轟焦凍! 雄英に推薦で入学したエリートは初っ端から見せ場を見せ付けていくぅ!』

 

『当然だな。ゲートでみんな仲良くはいスタートな時点で、アイツの間合いに入っているのと同然。この結果は予想出来た』

 

 他の生徒達が必死に氷の足止めから抜け出そうとする中、轟は涼しい顔で前をひた走る。初っ端から初見殺しを見舞う容赦のなさに舌を巻くプレゼントマイクだが、相澤の方は当然だなと息を吐く。

 

しかし。

 

『だが、そんな単純な作戦が通る程、雄英の生徒は甘くはない』

 

多くの生徒達が足止めを受けるなか、幾つもの人影が続いてゲートを抜け出していく。それはいずれも一年A組の面々、ヴィランの襲撃という窮地を潜り抜けてきた雄英創設以来の注目株達。

 

八百万百は棒形状のモノを創造し、高跳びの要領で抜け出し、爆豪勝己は自前の個性で飛び抜ける。他のヒーロー科の生徒達も続々と抜け出す中、一つの影が更に飛び抜けた。

 

全身に翡翠色の放電を纏わせ、ほんの一部だが個性を上手く使いこなせている、同じくヒーロー科一年A組の………緑谷出久である。

 

プレゼントマイクのスタート宣言と共に個性を発動させて跳躍した緑谷は生徒達の垣根を飛び越え、轟達を追い抜くべく追走する。

 

『おぉっと! 他の一年A組と同様に此処で緑谷も前に出たぁ! て言うか、なんかアイツ凄くね? ついこの間まで碌に個性を使いこなせてなかったって聞いてましたけど!?』

 

『………………』

 

 全身に力を纏わせ、駆け抜けていく緑谷にプレゼントマイクは驚愕し、相澤は目を細くさせて観察に徹している。

 

緑谷出久の個性は自らの肉体すらも破壊してしまう【超パワー】の個性だ。腕を振るえば腕を折り、足を振り抜けば足を折る。まさに諸刃の剣であり、その危険性に相澤は常日頃から緑谷に個性の慣熟を焦らせた。

 

まだ使いこなすのに時間は掛かるだろうと思っていただけに、目の前で元気よく走り抜ける緑谷に相澤は感心以上に不思議に思っていた。一体緑谷の身に何が起きたのか、思考を巡らせている内に相澤が辿り着いたのは………一人のヒーローだった。

 

ここ最近、警備の下見と称して雄英のアチコチで姿を見せていた元雄英(OB)の生徒。雄英に在学していた頃から色々とやらかしていた彼は、その頃から生徒達にアレコレ吹き込んでいたと聞く。

 

自分の怪我をサラッと治した国家機密レベルの豆の件といい、本当にやってくれるなと、相澤は人知れず頭を抱えた。とは言え、これで緑谷も漸く他の生徒達に追い付いたと見ていいだろう。

 

ここからが本当の意味で緑谷の実力が試される事になる。今はただ見守る事しか出来ない相澤は一先ず生徒達の奮戦を見守る事にした。

 

『さぁて、早くも第一関門に差し掛かるぜぇ! 最初の関門は雄英生お馴染みの仮想敵! 押し寄せるヴィラン擬きの群れに、どう対処するよ有精卵どもッ!』

 

 煽るプレゼントマイクに対し、ヒーロー科の生徒達は瞬く間に仮想敵を倒していく。入学時には脅えていた緑谷も、強化した拳で薙ぎ倒していく。

 

既にトップとの距離は僅か、聞こえてくる幼馴染み(爆豪)からの罵声を聞き流しながら走り抜ける緑谷を見守っていると、相澤の携帯にメッセージが届く。

 

一体なんだと、やや鬱陶しそうに携帯を覗くと………。

 

【よくよく考えれば、有精卵って普通にセクハラじゃね?】

 

 雄英以来初となる伝説の超問題児からのメッセージに………。

 

【仕事しろ馬鹿野郎】

 

相澤はトゥルットゥルなジト目で辛辣に返すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相変わらず厳しいなー相澤先生、ちょっとはノッてくれてもいいのに」

 

 場所は雄英体育祭の会場。休憩時間に送り、そして即返ってきた返事に、ゴジータは苦笑いを溢しながら携帯を懐にしまう。どうやら相澤もゴジータが作った仙豆擬きの効果で傷の大部分が癒され、後遺症が残るとされていた目も回復し、ついでにドライアイも解消された。

 

そんな万々歳の結果に当の相澤は納得出来ず、ゴジータを雄英の敷地内で見掛けた際は問答無用で詰問した。一体自分に何を飲ませたのかと、迫る嘗ての恩師にゴジータはトゥルットゥルの目になった相澤に爆笑しながら説明した。

 

仙豆擬き。あらゆる傷を癒し、治す不可思議な豆。ゴジータが目指しているとある技の副産物として生み出された奇跡の一粒。オールマイトの古疵を癒したのもコレで、現在は改良されて更に質が向上していると自慢気に語るゴジータに、相澤は軽く眩暈を覚えた。

 

 そして、トドメにこの事を知るのは一部の人間だけで、雄英にも知る者は根津校長とリカバリーガールしかおらず、恐らくは国家機密レベルの代物になると語るゴジータは、ヘラヘラしながら「そんな訳で相澤先生、あまり人に言い触らすなよ」なんて宣う始末。

 

聞いた自分も悪いだろうが、そんなこれ迄の医学技術を嘲笑うかの様な代物をホイホイ生み出し、スナック菓子の感覚で食べさせてくるゴジータに、バックドロップを見舞った相澤は決して間違ってはいない。

 

────閑話休題。

 

 ともあれ、元気になった恩師に機嫌を良くしたゴジータは次の見回り場に向かうため会場を後にしようと会場内を歩いていくと、曲がり角から見知った男が現れた。

 

灼熱の炎を威嚇の様に纏わせ歩くその男は……エンデヴァー。“努力”の名を冠するNo.3ヒーロー、2mに迫る巨漢がゴジータを見ると、一瞬目を見開いて固まった。

 

対するゴジータも、先のエンデヴァーとのやり取りもあって何となく足を止めてしまい…………結果、体育祭の会場にトップヒーローが二人も出会してしまう形になった。

 

「………なんだ貴様、俺に用でもあるのか?」

 

「あぁ? そっちこそ、人の顔見るなり足を止めてんじゃねぇか」

 

邂逅から険悪な空気、互いに睨み付けるその空間に、進んで関わろうとする人間はそうはいないだろう。

 

「あれ? ゴジータにエンデヴァー、二人とも何してるんだい?」

 

 そして、そんな二人の所に現れるオールマイト。奇しくも、ヒーローのトップ3が集う。ファンが見れば大興奮間違いなしのその現場に────。

 

「するわ。するわよ! 男達による青い匂い(スメル)が!!」

 

影から覗いていたミッドナイトが、鼻息を荒くしながら携帯の連写機能をフル活用していた。

 

 

 

 





Q.ゴジータの作った仙豆擬き、一体どれだけの人が知ってるの?

A.オールマイト、サー・ナイトアイ、根津校長にリカバリーガール。そこに新たにイレイザーヘッドさんが加入されました。
やったね!

因みに、相澤先生のトゥルットゥルのお目目は後日戻ります。ドライアイじゃなくキャラ絵的な意味で。




オマケ

if、或いはNGシーン。

こんなMt.レディはイヤだ。

「こ、こんちゃーっす。職場体験に来ました峰田実でーす。Mt.レディさんいますかー……」

「ゴジータ最高! ゴジータ最高! ゴジータ最高!」

「────────」

「さぁアンタもゴジータ最高と言いなさい!」

「来るとこ、間違えた」
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