超なオイラのヒーロー記録【完結】   作:アゴン

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ヒロアカの新オープニングに出てくるレディナガンにドキドキしたので初投稿です。

今回も短いけどどうか許して

追記。

前回の話の前半部分を大分改編しましたので、そちらの方を先に読んでくださると幸いです。


記録27

 

 

 

 保須市で起きた一連の出来事、無数の改造ヴィランによる襲撃とヒーロー殺しステインの暗躍。一つの街で起きた二つの大きな事件は、そのどちらも駆け付けたヒーロー達の手によって鎮圧された。

 

特にNo.1ヒーローの活躍は目覚ましく、多くの改造ヴィラン達を退け、ステインを無効化した報せは多くの人々の記憶に新しく刻まれる事になった。

 

圧倒的な強さを誇り、凶悪なヴィランを一蹴するゴジータの存在は、既に日本に住まう人々にとって無くてはならない【希望の象徴】として確固たるモノとなっていた。

 

 そんな裏も表も、ヒーローもヴィランもゴジータに対して色んな意味で関心を向けている頃、雄英高校に通うヒーローの卵達は自分のなるべきヒーローを志す為に、今日も学校側から出される課題を乗り越えていく。

 

「う、おおお……何だよ緑谷の奴、動きがヤバすぎるだろ」

 

「何でジャンプ一回で諸々の障害物を飛び越えてんだよ。前の体育祭からそんなに時間経ってねぇだろ」

 

「あれが、本来持っていた緑谷の個性か。何つーか……うん、やべぇ」

 

本日のヒーロー基礎学は救助訓練。工場地帯にて孤立した市民役(オールマイト)をいち早く助けるべく、競争という形式で行われる事になった今回の訓練。

 

障害物を難なく飛び越える個性を持った瀬呂や、優れた機動力を持つ飯田を差し置いて緑谷出久が圧倒的パワーを用いて障害物を飛び越えていく様は、他のクラスメイトの度肝を抜くには充分だった。

 

現在、緑谷が使えるO.F.A.の許容限界は30%程。常時20%を維持しており、瞬間的には30%を引き出している。

 

ゴジータやグラントリノ、そして空いた時間で可能な限りオールマイトとの組み手を経験してきた緑谷は、個性の扱い方を熟知し始めていた。まだまだ拙く粗さが見えるが、それでもO.F.A.の後継として目覚ましい成長を遂げている緑谷に、オールマイトは内心喜んでいた。

 

結果、今回の組分けでの緑谷は見事一位を獲得した。クラスメイトの躍進に一部を除いて大いに盛り上がるA組の面々。職場体験を経て獲得した今の自分の出来映えに緑谷は取り敢えず満足しながらオールマイトの下へ走りよる。

 

「おめでとう緑谷少年、入学してきたばかりの頃とはまるで別人のようだ!」

 

「あ、ありがとうございます。でも、まだちょっとコントロールが甘い所がありますから、これからも精進していきたいと思います!」

 

「うんうん、その意気だ! ………この分なら、あの事を話しても問題ないか」

 

「オールマイト?」

 

「何でもないさ! さぁ、次の有精卵達! 準備は良いかな!?」

 

 少々露骨だったかなと反省し、それでも授業を続けるオールマイトは緑谷に皆の所へ戻るよう促し、次の組の開始を告げる。

 

未だに他のクラスメイト達が緑谷の話題で盛り上がっている中、その一方で爆豪は飛躍する緑谷に対して自身でも驚く程に無感情になっていた。

 

関心が無いわけではない。ただ、体育祭で抱いた焦りの感情が今は嘘のように静かになっている。

 

『いいか爆豪、(No.1)を超えるつもりでいるなら、他の事にかまけている余裕はねぇぞ。お前が超えるべき相手はいつだって────』

 

「自分自身だろ? わぁーってんよ」

 

脳裏に浮かぶゴジータの言葉、他者だけでなく自分自身に克ち続けろ。その言葉は爆豪の胸の中に深く刻まれていた。

 

「クソデクがどんなに強くなろうと、ンなことは関係ねぇ。俺は、俺の限界を超え続けるだけだ」

 

その先で無敵の自分に会える筈だからと、爆豪は凶悪な笑みを浮かべて構える。

 

「それでは第三組───スタート!!」

 

 両手の掌から爆発させ、その勢いのまま真上へ飛ぶ。その際、佇んでいた地面が深く抉れ、No.1ヒーローとやり合っていた感覚のまま個性を使用した爆豪は、訓練の場となっている会場を一望出来るほどの高さまで飛んでしまった。

 

クラスの全員が驚きを露にする一方で、その威力の高さに他でもない爆豪自身が戸惑っている。これが今の自分の実力か。一週間という短い期間の中で此処まで自分の個性が強くなっていた事実は、クラスメイト達だけでなく爆豪自身に大きな衝撃を与えていた。

 

何せ、此処まで威力を上げてもあのNo.1ヒーローの足下にも及ばないのだ。そんなふざけた事実を前に、爆豪はただ不敵に笑った。

 

 上等。自身が目指す遥か頂まで手を伸ばし続ける事を誓った爆豪は、改めて自身の新領域を披露する。瞬き光る爆発、これ迄とは明らかに違う爆豪の個性にクラスメイト達がどよめく。

 

加速する世界、ゴジータとの特訓で得た動体視力は救助を待つオールマイトを捉えて離さない。個性を調節し、着地まで見事に完遂した爆豪はなんて事のないようにオールマイトへ歩み寄る。

 

「────コイツは、ゴジータからの受け売りなんだけどよォ、災害時では時間そのものをヴィランとして認識するヒーローが多いみてぇだな」

 

「──────」

 

「確認してくれオールマイト、俺はこの授業でどれだけの時間を取り零した?」

 

 見据える先は遥か彼方。自尊心に満ち、しかし落ち着いた様子の爆豪にオールマイトは破顔した。

 

「安心しろよヒーロー、君のお陰で私は救われたよ」

 

「────そうかよ」

 

それだけ聞いて立ち去っていく爆豪。まだまだ自分の実力に満足していない彼の今後の飛躍を楽しみにしつつ、オールマイトは他の生徒達の到着を待った。

 

「凄いよかっちゃん!! 今の爆発、前にも見たけど明らかに今までのモノとは別物だよ! もしかしてあれは個性を進化させたかっちゃんの新しい技!?」

 

「うるっせぇ! なに分析しようとしてンだカス!! 失せろ!!」

 

相変わらず口の悪い爆豪だが、それでも確かに変わった部分はある。何処までも向こうへ、更なる高みへ至ろうと歩み続ける生徒達にオールマイトは次代への移り変わりを感じ取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、やっぱ地元は落ち着くな」

 

 某県の、とある街から少し離れた田舎道。畑に囲まれた小さな集落の片隅に現在活動自粛中のNo.1ヒーローが降り立った。

 

自身がこの世界に生を受け、今世の中で最も古い記憶の詰まった思い出の場所。自身のオリジンが始まった土地であり、同時に黒歴史の始まりでもあった思い入れの深い場所。

 

児童養護施設“星の都”。それは後藤甚田を受け入れて育ててくれた恩師が経営する施設。今は訳あって施設そのものが新しく建築されているが、それでも甚田には懐かしい今世での我が家であった。

 

 敷地内に入ると、教室らしき部屋からピアノの音と子供達の歌声が聞こえてくる。どうやら今は音楽の時間らしい。楽しそうに歌う子供達の歌声を耳にしながら、甚田はインターホンを押す。

 

「ただいまー、先生います────」

 

「甚田ッ!? 甚田なの!?」

 

扉から出てきてタックル気味に突撃してくるのは異形の形をした女性。狐とも犬とも異なる特徴的な顔をした女性は、眼鏡が割れる勢いで甚田へと激突する。

 

そんな女性の勢いある突撃を、難なくいなして抱き上げる。

 

「よー先生、久し振り。相変わらずちっこいなー」

 

 自分の腰にも届かない小さな恩人を受け止めると、改めて元気そうな恩師に笑みを浮かべる。そんな甚田の笑顔に感化されたのか、先生と呼ばれた女性は安堵したかの様に頬を弛ませるが。

 

「じ、甚田だぁ~! 本物の甚田だよぉ~! 良かっだぁ~!! まだ会えだ~!!」

 

心配そうな顔から一転、今度は嬉しくて泣き始める恩師に後藤甚田は相変わらずだなと苦笑いする。

 

「おいおい、そんなに泣くなよ。ったく、変わんないなアンタも」

 

「相変わらずなのは甚兄もだろ?」

 

「ホントだよ、葵先生の苦悩を少しは汲み取ってあげなよね」

 

ワンワンと泣きじゃくる恩師。変わらない育ての親に懐かしさを感じていると、背後からの声に再び懐かしさを覚えた。

 

「御幸、恵、久し振り」

 

 顔立ちの整った二人の男女、その顔立ちから兄妹と思われる二人は甚田にとっての弟であり妹でもあった。

 

「全く、帰ってくるのはいいがもう少し事前に話を通してくれないか? 幾らNo.1ヒーローと言えど、それくらいは出来るだろ?」

 

「いやー悪い悪い、ちょっと色々あってな。訳は話せん。察してくれ」

 

「………はぁ、仕方ないなぁ。取り敢えず甚兄さんも上がっちゃって。お昼ご飯まだなんでしょ? カレー、作っといたからね」

 

「お、今日は恵が当番か。相変わらず甘口かな?」

 

「残念でした~、子供舌はとっくに卒業済みですぅ~。………甚兄さん好みの辛口にしたんだから、ちゃんと食べてよね」

 

 何処か冷めた印象の恵に、御幸はそれじゃと彼女の後を追う。相変わらずの兄妹だなと、二人を見て帰ってきたのだと安心した甚田は、未だに自身の胸に顔を埋める恩師に目を向ける。

 

「ほいほーい。んじゃ、葵先生、そろそろ俺達も行こっか」

 

「ぐす、ぐす、………甚田」

 

「ん?」

 

「お帰りなさい」

 

 顔を上げて鼻水を垂らしながらも、満面の笑顔を向けてくる恩師に………。

 

「あぁ、ただいま」

 

後藤甚田もまた笑顔で応えた。

 

 





オリキャラ紹介

城鐘御幸 

後藤甚田と同じ施設で育つ城鐘恵の兄。頭がよく、若干17歳にして施設の経営に大きく貢献している。
両親は共に蒸発、親戚の間で厄介者として扱われていた為に当時は妹を守る為に警戒心を常に抱いていたが、甚田と恩師である先生のお陰で妹共々心を開き、今では施設のマトメ役として活躍している。

現在高校二年生、とある金持ち達が在籍している学園に編入し、生徒会長を勤めている。

そんな彼は現在、とある女性に告らせるために高度な恋愛頭脳戦を繰り広げているのだとか。

その昔、後藤甚田が抱えている闇を目の当たりにした人物の一人であり、一時期は“ゴジータ”に成ろうとした甚田を危惧していたが、現在は頼もしい兄であり自慢のヒーローでもある甚田を誇りに思っている。

尤も、兄妹揃って素直じゃないので決して口には出さない模様。

イメージは某恋愛頭脳の生徒会長

個性“活力”。人のやる気や元気を引き出し、底上げしてくれる地味に凄い個性である。 

城鐘恵
城鐘御幸の妹であり、施設の子供達の姉的存在。施設に入ったばかりの頃はその経緯もあって決して心を開こうとしなかったが、恩師である葵の献身によって心を少しずつ開いていった。

後藤甚田の事は最初こそ苦手に思っていたが、彼の苦悩を秘密裏に知ってしまい、常に自分を追い詰める甚田を気に掛け、それとなく支えていた。

しかし、甚田本人が元気になると態度は一変。甚田に対して冷たくあしらうようになったが、そこは複雑な乙女心。甚田は思春期特有のモノとして軽く見ているが、その裏でクソ重激情を向けられているのを………彼はまだ知らない。

 現在はNo.1ヒーローとして活躍している甚田の事を常日頃からチェックし、一通りグッズも揃えている。

尚、某激レアカードを探し求める一人でもある。

イメージは某生徒会長の妹。個性は“癒し”リカバリーガール程ではないが、多少の怪我や軽い風邪等の病気を癒す事が出来る。

現在は兄と同じ学園の中等部にて生徒会長を勤めている。



姫野葵

児童養護施設“星の都”の施設長。施設を開いて初めて受け入れたのが甚田である為、当時から無茶苦茶な鍛練を自身に課す甚田に心を砕いていた人物。

実はとある専門の科学者であり、その技術力はI・ランドから招待される程。その頭脳を駆使して甚田のトレーニング施設を用意した人。当時はヒーローを目指す甚田に協力する程度の認識だったが、自殺紛いの鍛練を自身に課す甚田を最も間近で見てしまった為、唯でさえ涙腺が弛いのに更に弛くなってしまった。

感情豊かでその外見から小動物と揶揄される事もあるが、異形系の個性である為力は強い。あと料理も上手い。

後藤甚田に最も泣かされた人である。

イメージは原作のケモケモ一般女性ちゃんをラブラバ並に小さくした感じ。年齢は多分レディ・ナガンより少し上くらい。

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