超なオイラのヒーロー記録【完結】   作:アゴン

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fgoの新たな展開にワクテカ。

そんな訳で初投稿です。





記録34

 

 

 

「済まない。少々遅れた」

 

 ゴジータからの要請を受け、仕事終わりに指定された場所へ訪れたスーツ姿のヒーロー、ナイトアイ。お洒落な車から身を乗り出すように降り立つ彼は、次に目にする人物達に驚き、僅かに目を見開いた。

 

「ベストジーニスト、トップヒーローである貴方まで此処に来ているとは……」

 

「そう言う君はナイトアイか。こうして顔を合わせるのは初めてだな。……君もゴジータからの要請を受けて?」

 

「君も……という事は、貴方も?」

 

「いや、私は────」

 

「あ、ベストジーニストさんを呼んだのは俺ッス」

 

「ホークス」

 

 二人の間に割って入りながら事情を説明するのは、速すぎるヒーローとして知られるホークス。申し訳なさそうにしている彼が語るのは簡潔にまとめれば以下の通りだった。

 

ゴジータの下で日夜個性の訓練に励み、ヒーローを目指す義賊被れ。世間的にはヴィラン扱いを受けている彼が、何の保証もなくヒーローの仮免試験を受けるのは社会的に問題があると言うことで、せめて世論の理解を得る為にも三名以上のプロヒーローからの保証が必要だと、公安から言い伝えられた。

 

本当ならミルコ、ホークス、ナイトアイという三名のプロヒーローで収めるつもりが、ナイトアイとミルコが誘われている事を知らなかったホークスが、気を利かせたつもりで同じトップヒーローであるベストジーニストとエンデヴァーに声を掛けたのだという。

 

「いやー、俺としては気を利かせたつもりなんですけど、まさかゴジータがオールマイト以外に頼るヒーローがいたとは予想してませんでした。───特にミルコさん」

 

「私としてはエンデヴァーが此処に来ているのが意外だ。彼のゴジータに対する当たりの強さは有名だからな」

 

「あぁ、それは俺も思いました。ダメ元で声を掛けたら意外とあっさり承諾したもんですから、俺としても驚きです」

 

「────で、それが何故ああなっている?」

 

 ナイトアイに促される形で視線を向けると、其処にはメンチを切り合うゴジータとエンデヴァー。エンデヴァーは元々気も強く、民衆からもヴィランからも恐れられている強面なヒーローであるのに対し、普段は陰キャなゴジータ(後藤甚田)もゴジータムーヴしている時は強気MAX、しかも最近ではオールマイトと組んでいた時に色々と慣れてきた事も合わさり、大抵の事には動じなくなっている。

 

そんなソリの合わない二人が鉢合わせた結果、二人の間で火花が散りそうな位に睨み合っている。

 

「だぁかぁらぁ、テメェなんぞに頼るつもりは毛頭ねぇって言ってんだ。頭でっかちの火山親父は大人しく帰れ。お呼びじゃねぇんだよ」

 

「図に乗るなよ小僧。貴様程度の若輩者の思い付きで、世の中が変えられると思うのか。人々の安寧に影を落とすと言うのなら、それは最早ヒーローの所業ではない!」

 

「そういう頭ごなしでしか否定しないから余計な敵しか作らねぇんだろうが。ヴィランは獣か? 人になり損なった出来損ないか? そうなった経緯も理由も知らないままに何もしないでいるのは、ただの思考放棄と何が違う」

 

「オッシャやれー! ぶん殴れー!」

 

 怒気どころか殺気立っている二人に対し、野生児全開なミルコは盛大に煽り散らかしている。これが日本のトップヒーローという事実に頭が痛くなったナイトアイは、目頭を押さえながら空を見上げる。

 

しかし、いつまでもあのままにはしておけないと、三人のヒーローは二人へ近付き………。

 

「いい加減にしろ」

 

「ぷぎゅ」

 

「ほーらエンデヴァーさんも、いつまでもカッカしないの」

 

「ぬぁ、いきなり持ち上げるなホークス!」

 

「ミルコも、あまり二人を煽るんじゃない。宜しくないぞ、違法デニムだ」

 

「違法デニムってなに?」

 

 ナイトアイはゴジータの脳天にチョップを叩き込み、ホークスは個性である【剛翼】を用いてエンデヴァーを脇から掬い上げる形で抱え込む。最後にベストジーニストは極力ミルコを刺激しない形で諭すが、ミルコはジーニストの独特な語録に目が点になっていた。

 

そんな訳で改めて集まった六人のヒーロー。六人の内、五人がトップヒーローという異質な状況の中、ゴジータが説明をする。

 

事前に用意された席に促され、座るホークス達。予め用意していた席は三つしかなく、急遽近くの町役場へ急行したゴジータは、其処から三つ程追加でパイプ椅子を調達してくる。

 

「……コホン。えー、それでは集まってくれた皆様。本日はお忙しい中、誠にありがとうございます」

 

「おー、意外とマトモな入り」

 

「では、早速本日の主題からご説明させて頂きます」

 

「───と思ったら早速か」

 

「あはは、いいね。展開が早いのは嫌いじゃないよ」

 

 予期せぬ来客はあれど、名だたるヒーロー達に見て貰えるのは素直に有難い。これを乗り越えればジェントルのヒーローへの道のりは大きく短縮され、世間からの見る目も変わることだろう。

 

「それでは、此方が本日主役のヒーローの卵、ジェントル・クリミナル君です」

 

「よ、よよよよよよよよよろしししくくくくしょくくくくんんん……」

 

「しっかりしてジェントル! 震えすぎて地面に穴を空けちゃってるわ!」

 

そんなトップヒーロー達を前に、文字通り震え上がるジェントル君。No.1からNo.7までのトップヒーロー(No.2とNo.6は除く)が並び立つその光景は、並のヴィランなら裸足で逃げ出す程の圧を秘めている。

 

一人一人が一騎当千の強者達。そんな彼等を前にして震えるだけで済んでいるジェントルは中々に大した奴なのかもしれない。

 

「さて、それじゃあ早速説明……の前に、ラブラバ。放送を開始してくれ」

 

「りょ、了解!」

 

「あれ、今から撮影開始かい?」

 

「プロヒーローがこんなに集まったからな。折角だから生放送で全国に流す事にした。ナイトアイは裏方の方へよろしく、ラブラバに指示を仰ぐ形で頼む」

 

「些かアドリブが過ぎるが……良いだろう。例の件もある以上、あまり公に顔を出すのは控えたいからな。そういう訳で頼むぞ……ラブラバ」

 

「こ、こちらこそ、お、お願いするのだわ」

 

長身の鋭い眼をしている男性に隣に立たれて、少しばかり声が上擦るラブラバだが、パソコンを打つ彼女の指の動きは止まらない。既に様々な機材を設置、設定し終えた状態で、その全てが彼女のマルチタスク技能によって完全に制御されている。

 

地味に凄いラブラバの特技、これを目の当たりにしたナイトアイは素直に感心した。

 

「よし、そんじゃあ………いっちょ始めるか!」

 

 カメラが起動し、画面が映る。全国に流れるその映像は瞬く間に日本全土に行き渡り、一人の元ヴィランを更正させる為に集まった錚々たるトップヒーロー達の面々に、早くもネット上でバズり始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────成る程、ゴジータは彼を戦う為のヒーローではなく、守る為のヒーローとして育てて来たんだね」

 

 動画撮影を開始して数十分。既に視聴者の数は数万単位で増え続けていて、コメントの数も膨大な量に膨れ上がっている。

 

その中にはNo.2やNo.6のコメントがあったりしたが、膨大な量のコメントによりあっという間に流されてしまうと言う珍現象が起きてしまっている。当然、コメントの方には殆んど反応していないゴジータ達が気付く筈もなく、トップヒーロー達の監修によるジェントルの評価は続いていく。

 

そんな中、ジェントルの動きを見てホークスはある事に気付く。現在彼は戦闘能力の評価という事で、トップヒーローの一人であるミルコが相手をしている。獰猛且つ苛烈な彼女の猛攻に怯えながらも対処しているジェントルの身のこなしは、ホークスから見ても中々に興味深かった。

 

「あぁ、アイツの個性は相手を傷付ける事よりも相手を守る特性の方が強い。救助の場でも重宝するだろうし、対ヴィランに対しても【制圧】というやり方に頗るマッチしている」

 

「あらゆるモノに弾力性を与える個性、か。成る程、確かにこれは良い個性だ」

 

ホークスの質問に応え、プレゼンするゴジータに納得するベストジーニスト。分かりやすく解説しながらも頷く二人のトップヒーローに画面の向こうの視聴者達も関心を寄せていく。

 

「フン。だが肝心の個性を奴自身が把握しきれていないのはどうする。確かに有用性が高いのは認めよう。しかし、自分の意思でオンオフが切り替えられないのなら、他のヒーローとの連携や救助活動に支障がでるだろうが」

 

「勿論、それも今後の課題として取り込んでいく予定だ。現在ジェントルが完全に把握できる付与の数は四つ。四つ迄ならば自分の意思で個性による付与効果を消すことに成功している」

 

「だが、空中に付与を施した際の透明さはどうする?」

 

「それに関しては各サポート会社へ相談するさ。そんな訳で、応募してくれる各サポート会社の皆さんは此方の概要欄にあるURLをクリック!」

 

 ホークスやベストジーニストが関心を寄せる中、エンデヴァーは的確にジェントルの個性に対する欠点を述べていき、これもまたゴジータが理路整然と応える。欠点を欠点として扱い、改善点を述べた上で応用法も提示していく。

 

更にはサポート会社にも呼び掛けて協力者も募ろうとしている強かさ。これ等が合わさった上でコメント内では比較的に肯定的な意見が多く占めていた。

 

ただ、それでも元ヴィランであることに注視し、否定的な意見もチラホラ見受けられる。そんな、所謂アンチなコメントにもゴジータなりに真摯に対応する事で、その数は徐々に減っていく。

 

しかし、此処で一つ疑問点が浮かび上がっていく。

 

「───ふむ、こうして見ると確かに有力な個性であり、将来有望なヒーローの卵だ」

 

「ふふん、そうでしょう?」

 

「けど、一つ分からない所があるんだよねぇ」

 

「え、例えば?」

 

「そうだねぇ。まず渡されたこの資料────メチャクチャ内容がキレイじゃない?

 

「─────」

 

「そうだな。そして箇条書きにされた文章の数々には洗練された知性が感じられる。そう、まるでお仕立てのデニムの如く」

 

「質問しようかゴジータ。この資料纏めたの………本当に君?」

 

「」

 

 説明前にそれぞれに渡された一つの資料、そこに書かれている内容は元ヴィランだった人に対する更正方法とそれによる社会へのメリット。それらが物凄く洗練され、キレイに纏まっているという事。それがホークスとベストジーニストが疑問に思うモノだった。

 

「も、勿論さぁ………」

 

嘘である。この男、自分が良い事を思い付いた所までは良かったモノの、それを文章に落とし込む事を苦手としており、資料作成に大いに難航した。

 

そんな後藤甚田が最終的に頼りにしたのは実質的な弟妹達。自分とは違い、勉学に秀でている二人に土下座をする勢いで頼み込んだのだ。

 

世間ではNo.1ヒーローとして知られ、施設のチビッ子達からも慕われている自慢の兄が、まさかの土下座である。これには流石の二人も色々と冷めた眼で兄貴分を見てしまった。

 

そんな優秀な兄妹の力を借り、どうにか資料作りは完成するに至った。

 

せめて兄貴分としての威厳を保とうと、ソッポを向くゴジータ。しかし悲しきかな、そんなゴジータの態度に既に二人のヒーローは何となく察し、画面の向こうの視聴者達も懸命に秘匿しているつもりのNo.1を生暖かい眼で見守っていた。

 

因みに、ナイトアイは渡された資料に目を通している時点で色々と確信していたりしている。

 

「オラァ! この程度でヒーロー志望かァ!? まだまだ行くぞオラァッ!!」

 

「ま、まだまだぁぁぁッ!!」

 

「いや、もういい加減一旦止めとけ。もう一時間になるぞ」

 

 誰もがボケに徹する中、エンデヴァーだけは常識人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────その後、対ヴィランの訓練と救助の訓練を行いその成果を見せ付けた結果、それぞれのプロヒーロー達から無事に合格を言い渡された(約一名ほど渋々であったが)ジェントルは疲れ果て、一足先に就寝している。

 

ラブラバも本日の動画を簡単な纏めに編集したものを投稿している最中。一方で既にエンデヴァー達はそれぞれの拠点に帰り、現在自宅へ戻ってきたゴジータは事の顛末をとある人物に報告していた。

 

「────と、言うわけで、無事にウチのジェントルは三名以上のプロヒーローから認可を貰い、次の仮免資格へ進む事になりました」

 

『いいなぁ、私も参加してみたかったなぁ。酷いじゃないかゴジータ、そんな話を私に振らないだなんて』

 

「仕方ないだろ。アンタはI・アイランドでの後始末に追われてたんだから。………遅くなったけど、弟達を守ってくれてサンキューな。事態を知れたら俺も駆け付けたんだけど」

 

『HAHAHA、それこそ仕方のない話さ。当時のI・アイランドはヴィラン達の手によって通信手段の全てが断たれてしまったんだ。仮に通信が繋がっても、君が来る頃には全部終わってたよ』

 

「あーあ、折角御幸に格好いいところ見せられるチャンスだったのになー」

 

『………しかし、一つ不可解な事もあったんだ』

 

「不可解?」

 

『あぁ、今回ヴィラン達がI・アイランドを一時的に機能不全にしたとされるサポートアイテム。それを警察側が回収しようとした所、まるで此方の動きを見透かした様に自壊したんだ。粉々にね』

 

「………でも、一部は回収出来たんだろ?」

 

『それが出来ない程に徹底的に破壊し尽くされていたらしい。現在塚内君達が懸命に解析してくれているみたいだけど………あの様子だとあまり期待は出来ないと思う』

 

 久々の相棒との会話、穏やかな声音から一転して真剣なヒーローとしての声を発するオールマイトに、ゴジータも自然に意識を切り替える。

 

『ゴジータ、君だからこそ言うが心して聞いて欲しい。───気を付けろよ、どうやら事態は我々が思っているより根深く蠢いているらしいぞ』

 

「上等、その為に俺達がいる」

 

 真のヴィランは闇の中で賢しく動くもの。電話越しでそう忠告してくるオールマイト、これから訪れる暗雲に対してゴジータは不敵な笑みを浮かべて受けて立つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 





Q.結局エンデヴァーなにしに来たん?

A.ゴジータの指導能力を直接推し測る為。尚、適切に欠点を見つけたり、応用力を見出だしている等の結果を見せているので、相応に認めてた模様。

Q,ゴジータ、弟妹達に何を頼んだの?

A,自分が持ち込んできた企画をより洗練し、分かりやすくしたもの。兄妹揃って生徒会長しているから、この手の資料作りはお手のものである。後藤君は二人に足を向けて眠れないネ!



次回、不穏






オマケ。


その頃のI・アイランド。

「ありがとうオールマイト、お陰で助かりました」

「例は不要さ! 相棒の弟に万が一があったらいけないからね! でも、本当に彼を呼ばなくて良いのかい? 今なら外部からの救援も呼べるけど……」

「俺個人の為に使うより、皆の為に使ってください。公に俺とゴジータの関係性を伏せて貰っている以上、あまり目立つことはしたくないんです。………それに」

「それに?」

「もし万が一兄が此処に来て、治ったとは言え一度でも俺が怪我をしたらと知ると………多分兄は相手のヴィランを皆殺しにしそうで」

『貴様等全員、これであの世に送ってやる!! かめはめ………波ァァァァッ!!』

「────あー」

「そんな訳で、兄への連絡はまだしないつもりです」

「成る程、弟思いのお兄さんだね!」

「過保護なだけですよ」



「か、会長とオールマイトが何か話をしてるー!?」

「いいなー、私もお喋りしたいですー!」

(やはり、会長のお兄さんはあのNo.1ヒーローであるゴジータなのね! この材料なら篠宮の魑魅魍魎どもも無下には出来ない筈!)


尚、この後普通にオールマイトが一人でヴィラン達をぶちのめした模様。


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