超なオイラのヒーロー記録【完結】   作:アゴン

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遂にレディナガンさん本格出演。

もうちっとその脇を見せてくれてもええんやで?

そんな訳で初投稿です。




記録36

 

 

 

 夏本番を迎え、雨の回数も増え、それに比例しながら増していく日頃の暑さも鬱陶しくなってきた今日この頃。街頭でのモニターも夏に関する情報がズラリと並び、世間もスッカリ夏一色である。

 

「おー、あの飲料水新作出たのかー。今度買いに行こ」

 

「隙だらけだゴジー……ブボォッ!?」

 

襲い来るヴィランの顔面に拳を叩き込んで黙らせる。猪突猛進なヴィランに呆れながら、ゴジータは周囲の野次馬達に怪我が出てないか周囲を見回す……が、それも意味がないことだと思い打ち切った。

 

何故なら───。

 

「オラァッ! どうしたヴィラン共ォッ! 根性足んねぇぞ!!」

 

「ヒィッ! ミルコだぁ、ミルコが出たぁ!!」

 

「あの女に蹴られたら再起不能じゃ済まねぇぞ! 逃げろ、逃げろォッ!」

 

「逃がす訳、ねェだろォがァッ!!」

 

 銀行強盗の真っ只中にいたヴィラン達を一方的に蹴りまくっているミルコ、断末魔を上げながら逃げ惑うヴィランを嗤いながら追い掛けるその様は軽く地獄絵図である。心なしか、自分の背後に隠れる一般市民達の顔色が青い気がする。

 

「ママー、ミルコの活躍が見れないよー!」

 

「ダメよ、あのヒーローはまだ早いわ。性癖が歪まされたら大変だもの!」

 

「せーへきって?」

 

「心の食指よ」

 

「?」

 

(見ろ、子供連れのお母さんてば子供の教育に悪いと思って我が子の視界を塞いじゃってるよ。うん、その判断は間違ってませんよ)

 

 銀行という施設、限られた地形の中で立ち回るには相応の技術が必要になる。特に人質という手段の取りやすいこの場所ではヴィラン側にとって有利になりやすい。

 

 その限られた空間で、一般市民に害が及ばない様に立ち回り、建物に影響が出ないようにヴィランの股間に的確に蹴りを入れている。その精密な動きのできるミルコに感心しながら、同時に執拗に股間を蹴り上げる彼女にゴジータはうすら寒いものを覚えた。

 

「このォ、調子に乗るなよアバズレがァッ!」

 

「!」

 

 もうじきヴィラン達の制圧も完了する……と思われた時、一人のヴィランの仲間が折り畳み式のサポートアイテムを取り出した。これ迄の規格とは明らかに様相の異なる代物。一般向けよりもより洗練されたそのフォルムは、大衆向けというより軍事向けに近い印象を受ける。

 

腕に嵌め込み、ミルコに狙いを定める。下卑た笑みを浮かべるその男は……。

 

「おっと、室内は火器厳禁。マッチ一本火事の元ってな」

 

「う、そぉ………」

 

 いつの間にか背後へ回っていたゴジータの手刀が後頭部へ直撃。反撃の余地すら許されずに制圧されたヴィラン達、その圧倒的な戦闘能力への驚きと興奮に人々は直ぐ様沸き立ち始めた。

 

「ンだよゴジータ、手を貸すならもっと早くやれよ。殆んどアタシ一人で片付けちまったじゃないか」

 

「アンタと一緒に暴れたら市民の人達や職員さん達の邪魔になるでしょうが。彼らは午後からも仕事なんだ、あまり余分な手間を残したくないんだよ」

 

「───え、俺達この後仕事すんの?」

 

「でも、実際殆んど被害出てないし、書類も無傷……え、これマジで午後も仕事やる流れ?」

 

「有能すぎだろトップヒーロー………!」

 

 何故か愕然としている職員達を無視し、無力化したヴィラン達を外へ運ぶ。既に外で待機していた警察が待ち構えていた。

 

「ゴジータ、ミルコ。ヴィランの捕縛の協力に感謝する」

 

「助かる。それと、一人妙なサポートアイテムを装備した奴がいる。何とか外せないか?」

 

「なんと、それは恐らく最近噂になっている奴だな。分かった、何人か詳しい奴を回そう。此方に引き渡してくれるか」

 

「おう」

 

ヒーローにも協力的な警察を有り難く思いながら例のヴィランを運ぶ。先日オールマイトが言っていたヴィランに配給されているサポートアイテム。その出所が知れるかもしれないと、期待したのも束の間。

 

「「!?」」

 

 ゴジータが警察にヴィランを引き渡す際、嵌めていたサポートアイテムが独りでに瓦解した。持ち主以外が触れたら壊れるものだと思い、敢えて外さなかったと言うのに、それでも壊れてしまった。

 

「──マジか、触れてなくても壊れんのかよ」

 

「いや、嘆くにはまだ早い。幸い爆破して壊れたのではなく、単に崩れただけだ。欠片を回収し、直ぐに解析に回そう。中の監視カメラにも手掛かりがあるかもしれん。ゴジータ、そしてミルコ、改めて市民を守ってくれてありがとう」

 

「───あぁ、後の事は任せた」

 

たとえ一欠片の残骸しかなくとも調査を諦めない警察に心底心強く思うゴジータは、残るヴィラン達を預けて次の現場へ向かう。勿論、本日限定の相棒も忘れずに。

 

「おせーよゴジータ! さっさと次行かねぇとヴィラン共が逃げるだろうが!」

 

「……もうちょっと感慨にふける間があっても良いんじゃないかなぁ」

 

ヒーローとしては正しいのかも知れないが、ストイック過ぎるミルコにゴジータは少し泣きたくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ンで、実際どういうつもりなんだミルコ。アンタ程のヒーローがワザワザ俺に関わろうとするなんてよ」

 

「あ?」

 

 そして昼下がり。度重なるヒーロー活動で流石に空腹を覚えた二人は、現在とある街を見渡せる高台にて一時の休息を堪能していた。予め持参していたサンドイッチ(二人分、用意したのもゴジータ)を頬張る二人。人気のない場所であることもあって、ゴジータは何かと自分を気に掛けるミルコに思い切って訊ねてみた。

 

「以前も言ったが、アンタは元々単独行動を好む質だろ? インターン生を受け入れるなら兎も角、チームアップを好まないアンタにしてはらしくないんじゃないか?」

 

ラビットヒーローミルコは、その気性の荒さ故に単独行動を好み、チームアップという事を滅多にしない。それが今ではちょくちょく自分にちょっかいを掛け、更に最近では自分の家を特定してまで自分に関わろうとしてくる。他人にそこまで興味を抱かない彼女にしては、少々違和感のある行いだ。

 

「………………」

 

しかし、そんなゴジータの問いにミルコは応えない。そもそも今は背中合わせで食べているから表情が伺えない。

 

……覗き込んだら蹴られそうな気もするし。

 

「……まぁ、俺の様な年下の若造がいきなりNo.1になったら色々と心配するのも分かるが、いい加減信用してくれよ」

 

「──────」

 

恐らくは先輩ヒーローとして色々と気を揉んでくれるのだろう。口にこそしないがナイトアイだって色々と気に掛けてくれているし、先日来てくれたベストジーニストだってそうなのだ。

 

余計なお節介はヒーローの本質。オールマイトの格言通りならば、ミルコの干渉もその類なのだろう。しかし、心配は不安の裏返し。未だ若輩の域を出ていない自分を世間は認めても、プロヒーローがそうとは限らない。

 

オールマイトの様な万民が安堵するヒーローに至るにはまだまだ足りない部分も多い。だからこそ他のヒーロー達も自分の事を気に掛けているのだろう。

 

加えて、ミルコはサイドキックの頃に世話になった相手だ。嘗ての部下が下手な真似をしていないか、彼女としても気が気でないのだろう。

 

けれど流石にそこまで気遣ってもらうのも申し訳ないし、仮にもNo.1ヒーローがその様な体たらくでは周囲の人々に示しがつかない。

 

オールマイトとは違うヒーローを目指すとしても、このままでは格好がつかない。だからゴジータはもう心配は要らないと彼女の親切心をなるべく裏切らない形でやんわりと断ろうとするが………。

 

「………ミルコ? ミルコさーん?」

 

 返事がない。蹴り処か反応一つ返さないミルコに流石に不気味に思ったゴジータがゆっくりと彼女の顔色を伺うと………何やら不貞腐れた様な、頬を膨らませてムスッとしているミルコに流石のゴジータも困惑した。

 

 何だか頬も赤い気がする。風邪? いや、この万年ハイレグヒーローにそんな概念ある訳が………見たことのないミルコの反応により頭が混乱しかけた時、ゴジータの持つ携帯に事務所からメッセージが届く。

 

それはとある山沿いで発生している土砂崩れ。連日の土砂降りで地盤が弛んでいた為に起きた災害、送られてくる事故の様子と巻き込まれた被災者達。そして現地で対応しているヒーローと近隣で活動しているヒーローへの救援の報せが届いた。

 

「ミルコ、乗れ!」

 

「おう!」

 

 メッセージを確認したゴジータがミルコに同行を要請し、ミルコもこれに即快諾。両手両足でがっちりとホールドし、色々と密着状態であるにも拘わらず、ゴジータは現場へと急行する。

 

たとえラブコメの波動を発しても、トップヒーロー達の活動は止められないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員バスに乗せたな!」

 

「此方は完了したわ!」

 

「よし、Mt.レディ、頼むぞ!」

 

「了解!」

 

 とある田舎町、山沿いに建てられた小さな集落。其処で起きた自然災害を前に駆け付けた数名のヒーロー達が市民の救助に専念していた。

 

「もー! もうすぐ林間合宿が始まるのに、お天道様ってば酷すぎるにゃー!」

 

「愚痴を溢すなラグドール! 他に避難出来ていない住民がいないか探ってくれ!」

 

「九時の方角に二名! 大きさから見て、子供が残されているにゃー!」

 

「私が行きます!」

 

 まだ駆け付けたばかりで満足に住民の避難も完了しきれていない状況。突然起きた災害を前に後手に回るしかないヒーロー達は、己の無力さに歯噛みしながら次から次へと襲い来る災害に対応するしかなかった。

 

ラグドールと呼ばれる女性ヒーローが指し示すのは滑落の恐れのある場所。連日の豪雨で地盤が弛み、いつ家ごと滑り落ちるか分からない状況下でMt.レディの反応は素早かった。

 

巨大化した状態のまま、子供達のいる家へと駆け付ける。二階の窓から覗き込むと、其処には互いを抱き寄せながら不安と戦っている幼き姉妹が、涙を流しながら震えていた。

 

「良かった。無事ね! お父さんとお母さんはいる!?」

 

「ふ、二人とも朝早くからお仕事で、妹とお留守番してて……」

 

「そう、偉いわね! すぐにお母さん達に会わせるから、ちょっと待っててね!」

 

不安に怯える二人を可能な限り安心させる。笑みを絶やさずに微笑み掛けながら、Mt.レディは元のサイズへと戻り、二階の窓から二人の所へ駆け寄る。

 

これで一通りの救助は終わった。後は救援に駆け付けてくれるヒーローと協力して災害による被害を極力防ぐだけ。

 

しかし、自然というものは、何処までも人に厳しい。

 

「Mt.レディ! 上だ!!」

 

「ッ!!」

 

 頭上から降り注ぐ砂利、それが土砂となって覆い尽くす。気付いた頃には逃げ場がなく、目の前の災害を前にしてMt.レディの脳裏には否応なくあの日の光景が思い浮かぶ。

 

(───舐めんな、今の私はヒーローだ。今更この程度の逆境にビビるもんか!!)

 

 今の自分は助けられる側ではなく、助ける側。乙女の時期などあの日から既に捨てている。頼れるのが自分だけなら命を賭けて自分のやるべき事を遂行するのみ。腹を括り、やるべき事を見出だしたMt.レディは巨大化する事で二人の姉妹の盾になる選択をする。

 

 しかし、そんなMt.レディの決断すらも嘲笑うかのように流れる土砂の中に岩石が入り混じる。当たれば致命傷は避けられない。それでも二人だけは必ず守るとMt.レディが自身へ襲い来る衝撃に備えた時。

 

「────待たせたな」

 

 黄金の暴風が全てを蹴散らした。降り注ぐ土砂を、落下してくる巨大な岩石を、一人のヒーローが自然の脅威を蹂躙していく。

 

その光景に再びMt.レディの脳裏にあの記憶が想起する。ああ、あの時もこんな風に助けられたな、と。

 

黄金の焔を纒い、対処すべき災害を静かに見据える彼の横顔は、正しく人々が見出だした希望の象徴。

 

故に。

 

「キャー! ゴジータ様ァーッ!!」

 

 Mt.レディの乙女回路が全開になるのも、致し方のない事だった。

 

「………アーニャ落胆」

 

「しッ! ダメよアーニャちゃん!」

 

 






Q,Mt.レディってこんなだっけ?

A,作者の中のMt.レディはこんな感じです。
でもカッコいいMt.レディも好きです。レディナガンも好きです。
ヒロアカ女性、魅力的な人多すぎ問題。


小ネタ。

救助された姉妹の内、姉がベッキーで妹がアーニャ。

個性は姉が身体強化系で妹が読心術(弱)を持っている。

尚、母は普通のOLで、父は医者をしている。

特に裏表のない素敵なファミリーである。

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