僕らのブルーゴジータの極限覚醒が、予想以上に最強に仕上がりました!!
そんな訳で初投稿です。
拳を振るう。ただそれだけで自然災害を押し退け、暗雲に染まった空が蒼穹へ変わる。窮地に立たされ、自然の力に怯える人々の心の底に芽生えた不安という種すら吹き飛ばしてしまうその光景に、現地に駆け付けていたヒーロー達も驚きを露にしていた。
たった一人の人間により引き起こされた現象。それは多くの人間の脳裏に嘗てのオールマイトを想起させ、同時に認めざるを得なかった。自然の脅威すら捩じ伏せる圧倒的超パワー、それは正にNo.1のヒーローを名乗るに相応しい。
地上に降り立ったNo.1ヒーロー、ゴジータは周囲を見渡して一人頷く。被害の規模も最小限に抑え、家屋が崩れて流される等の大規模な被害も見当たらない。既に多くのヒーロー、並びに救助隊が駆け付けてくれている。
この分なら一日もあれば警戒を解いても問題ないだろう。
「よし、これで一先ず何とかなったか。Mt.レディ、そっちの子供達は無事か?」
「は、はいぃぃ! 二人とも怪我一つありません!」
「ならそのまま二人を安全な所まで避難させてくれ。俺は───」
「ゴジータ!」
呼ばれて振り返ると、其処には学生時代に世話になった人達。猫とメイド服を融合させた様なヒーローコスチュームを着用したヒーローが、駆け足で駆け寄ってきた。
「虎さん、やっぱりアンタだったか」
「相変わらず派手な事をする。だが、お陰で助かった。Mt.レディ、子供達の親御さんも今避難所に到着した。早く連れて二人を安心させてやってくれ」
「了解です」
虎と呼ばれるヒーローの指示に従い、速やかに二人を運ぶMt.レディ。振動に気を付けながら走るという器用なことをやってのける彼女に感心しながら、改めてゴジータは彼を見やる。
「そっちはそろそろ林間合宿の受け入れ準備が始まる頃だろ。大丈夫か?」
「なぁに、これくらいこなせなくてはレスキューヒーローは名乗れんよ。とは言え、お前がいなければ危なかったのも事実。改めて礼を言う」
「よせやい、鬼教官のアンタに言われたらむず痒いぜ」
「相変わらず生意気そうで安心した。序でにと言ってはなんだが、ここから上の方で幾つかの岩石が道を防いでいるらしくてな、撤去作業を手伝って貰えるか?」
「あぁ、そっちの方なら──」
「ゴジータァァッ!!」
背後からの声に遮られる。目の前の虎とは違う溌剌とした声、その声に聞き覚えのあるゴジータは振り返ることなく横にズレる。飛び付く形で迫っていたらしい人影は、地面にベチャリと座り込むと、不貞腐れた様子で見上げてきた。
「もー、何で避けるのニャ!」
「いや避けるだろ。なに学生気分で抱き付こうとしてんだよ」
「先輩からのコミュニケーションは受け入れるべきニャ!」
「先輩って言うより最早先達の領域だろ。年齢差を考えろ年齢差を」
「ヒーローに年齢は関係ないニャ!」
後輩とのスキンシップの無さに不満そうに唇を尖らせているのは、虎と似たコスチュームを身に纏う“サーチ”ヒーローラグドール。その個性を用いて救助者を探し当てる彼女は、レスキュー活動に主軸を置いているチームにとって無くてはならない存在である。
「そうだぞー、先輩との交遊は積極的に行うべきなんだ。そういうわけでゴジータ、結婚しよ」
「しねーよこえーよ忍び寄るなよ。アンタそんなキャラだったかピクシーボブ。一回り以上年の離れた年下相手に結婚を迫るとか、ヒーローとしてどうなのよ」
「うるせー! ヒーローであると同時に一人の女なんだよ私は! ねぇ、お願いだよー、私と結婚を前提にした健全なお付き合いをしよー?」
「いやすみません、マジで勘弁してください」
ピクシーボブ、土を操る個性を持つ彼女はその利便性からラグドールと同様に救助の現場にて大いに活躍し、重宝されている。
ただ近年自身の結婚適齢期を気にしているのか、割と出会いに飢え、求めているらしい。普通に美人さんなんだから、婚活でもなんでもすれば良いのに。なんて思っても、中身が陰キャ故に声に出して指摘することが出来ないゴジータだった。
「ホラホラ、いい加減後輩イジリは止めなさい。みっともないわよ」
「えー、もう少しゴジータで遊びたい~」
「遊びたいじゃないの。窮地を脱し、他の応援が駆け付けてくれたと言っても、まだまだ安心は出来ないんだから」
「て言うか、今俺で遊ぶって言った? ねぇ、俺で遊ぶって言った?」
そんなゴジータすらも弄ばれる状況の中で、漸く良心的な人物がやってきてくれた。彼女達と同じヒーローコスチュームを身に纏い、レッドという色合いを受け持つ彼女のヒーロー名はマンダレイ。彼女の個性であるテレパスは救助の時だけでなく、他のヒーローとの連携を円滑に保つ為の潤滑油となっている。
「悪いねゴジータ。アンタも色々と大変だろうに、ワザワザ此処まで来てくれるなんて……」
「礼ならもう虎さんから受け取ってるからいらねぇよ」
「ふふ、相変わらず生意気そうで良かった。あ、そうだ。ねぇゴジータ、暇な時で良いから今度サインくれない? 従兄の子がゴジータのサインが欲しいって五月蝿いのよ」
「それくらいお安いご用さ。んで、その子の名前は?」
「
「OK、じゃあ今度暇な時にそっちに行くよ」
「あー! マンダレイってばゴジータに粉掛けてるー!」
「自分ばっかり狡いにゃー!」
「なっ!? ちが、そんなんじゃないってば!」
「かー、みんねラグドール、イヤしか女ばい!」
「ばい!」
「………この人ら、一応三十代超えてるんだよね」
「あまり年齢の事は言ってやらないでくれ。頼む」
良い歳してワチャワチャとしている三人娘に遠い目になるゴジータ。こんなのでも一応世話になった人達だから悪くは言いたくなかったが、流石にこれはアレが過ぎる。唯一常識的で冷静な虎はタイにて性転換手術を受けた異色の経歴を持っている。
そんな、色々な意味で個性派的な四人組。通称“ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ”は中堅上位の人気を誇る実力派ヒーローチームである。
相変わらずノリの良い人達だな、なんて思いつつ、ゴジータは周囲を見渡して状況の確認を急ぐ。
ジェントルをしごく一方で自身の鍛練も変わらず行ってきたゴジータは、ここ最近周囲の気配を意識的に探れるようになっていた。
「………ラグドール、付近に取り残された人々はいないな?」
「にゃ? うん、それは間違いないニャ。この町のほぼ全員が避難所に収容済み、今頃は用意された資材でゆっくり休んでいる頃合いだよ」
ラグドールの言う通り、本当に人の気配がなくなっている。感じられる気配は町の中心にある小学校に集中し、先の子供達の下へ両親と思われる二つの気配が近付いていくのが分かる。
どうやら、自分の気配感知も結構な精度になってきたらしい。とは言えまだまだ粗い部分も多く見受けられる為、今後一層の研鑽が必要になってくるだろう。
さて、そろそろ自分も避難所に向かって炊き出しの手伝いでもしよう。そう思い一歩足を踏み出すと………。
「よぉゴジータ、人が岩を蹴り砕いている間に随分と楽しそうにして………相方放置で女と乳繰り合ってるたァ良い度胸じゃねぇか」
「乳繰り合ってねぇよイジられてんだよ、どんな目ェしてんだアンタ」
これまた背後からヌルッと現れる影。その正体は道路を塞いでいた岩石を砕いていたミルコで、その体は雨によりびしょ濡れとなっていた。
明らかに不機嫌な様子でゴジータの背中に寄り掛かる。本当は濡れたくないから離れて欲しかった所だが、今の彼女は面倒臭い状態であることを何となく察したゴジータは何も言うことなくされるがままだった。
「あーあー、アタシ一人で雨ン中頑張ってたからビショビショじゃねぇか。こりゃ風呂でも入らねぇとやってらんねぇな」
「そうか。なら事務所のシャワー室を貸すから、其処で済ませてくれ」
「風呂っつってンだろうが。つーかお前が天候ごと変えちまうから此方は寒いんだよ、責任とれ」
「いや責任て……」
遠回しに家に泊めろと要求してくるミルコに、ゴジータは泣きたくなった。だってこのラビットヒーロー、寝相が兎に角酷いのだ。
シーツはグシャグシャだし、布団も蹴っ飛ばすし、何なら匂いもする。しかもこれが甘く良い香りがするから尚質が悪い。あの匂いがとれるまで暫くの間は、ジェントルと同じ部屋で寝ることになりそうだ。
………まぁ、夜な夜な二人で(ラブラバも混ぜて)トランプとかで遊んで過ごす約束してるから、そこまで辛くはなさそうだけどね。
とは言え、流石に二度も自分の部屋に泊めるのは嫌だ。ここらでひとつガツンと言わないと、今後もウダウダと上がり込まれてしまいそうだ。
「あ、あの! ゴジータ、困ってるじゃないですか! 止めた方が良いんじゃないですか?」
「あぁん? 誰だお前?」
「Mt.レディだよ。後輩ヒーローの名前くらい覚えておけよ」
そんな自分を見かねたMt.レディが、緊張した面持ちでミルコに物申している。流石はマウンテンヒーロー、半ばヤンキーにしか見えないミルコによくぞ勇気を持って諌めてくれた。
「………チッ、わぁーッたよ。確かにみっともない真似をしたかもな。悪かったよ」
後輩からの言葉を受け、流石に不味いと思ったのか、ミルコはゴジータから離れていく。確かに彼女の最近の横柄な態度は若干癪に障ったし、世話になった恩があるからといってこれ迄ハッキリと物申す事をしなかったゴジータ自身にも責があるだろう。
ただ、それでもずぶ濡れた彼女を放置するのも気が引けたので………。
「あーもー、仕方ねぇなァ。ウチの風呂を使わせてやるよ」
そう言うと、垂れていた耳がピンッと立つ。振り返ってくるミルコの顔が明らかに上機嫌になり、これ以上絡むのも面倒なので、後の事は他の面々に任せる事にして今日は早々に帰ることにした。
「そんな訳で、俺達はこれで失礼するよ。悪いなMt.レディ、気を遣わせちまって」
「い、いいえ! 此方こそ生意気に口出ししちゃって……!」
「あと、その敬語もいい加減止めとけ、アンタの方が歳上なんだ。もちっと堂々と構えていても文句はねぇと思うぞ」
「ご、ゴジータに………タメ口!? い、いやでも……」
「そんじゃあ、俺はこれで。何かあったら遠慮なく連絡してくれ」
「あぁ、助かったよゴジータ」
「サインの事、よろしくねー!」
プッシーキャッツに後の事を任せ、ゴジータはミルコを連れて自宅に帰ろうとする。
その際。
「「「ッ!?」」」
「……ん?」
何やら衝撃的な事があったのか、酷く唖然としているガールズヒーロー達。特に虎とマンダレイを除いた三人がより激しく動揺している気がする。
一体どうしたんだ? 不思議に思ったゴジータがどうしたのかと訊ねようとするも。
「ホラ、さっさと帰ろーぜゴジータ。体が冷えちまう。兎はな、体が冷えると死んじまうんだぞ?」
「いや、それ大体の生物がそうだから……んじゃ、帰るか」
「おう」
長い付き合いだから、自分の体に抱き付かれる事に違和感を感じなくなったゴジータは、ミルコが振りほどかれない程度の速度で飛翔する。その際、後ろから悲鳴に似た声が聞こえた気もするが………気のせいだろう。
そして、ゴジータの姿が見えなくなるまで呆然としていた
「な、な、なァーッ!! 何をしてくれてンだあの泥棒兎ィー!!」
「酷いニャ! 横から見事にかっさらっていきやがったニャ!!」
「数年前から狙っていた優良物件、インターセプトされたァァァ!!」
ピクシーボブとラグドールの悲鳴に似た断末魔、ヒーローとは思えない狂乱ぶりに他のヒーロー達が何事かと駆け付ける。
本来なら諌める立場でもある虎だが、今回は流石に二人に同情した。数年前から有望なヒーローになると確信し、付かず離れず適度な距離感で関係性を保っていたのに、突然横から強力なライバルが登場してきたのだ。
しかもあのミルコなるヒーローはあろうことかゴジータが背を向けた瞬間、勝ち誇った顔をして舌まで出してきやがった。おのれ、あの耳を垂れ下げたしおらしい後ろ姿はフェイクか!
ヒーローとして、何より女性経験の無いゴジータならば、騙されるのも無理はない。
(唯一の救いは、ゴジータがそういった感情を持ち合わせていないことか)
猛り狂うチームメイト、二人を宥めるのが大変だなと、虎は肩を竦め……。
「………あの褐色兎………ゼッテー潰す」
新たに生まれた厄介ファン、ブツブツと物騒な事を口ずさむ彼女を全力で見ないフリをすることにした。
◇
「やれやれ、今日は何だか疲れたなァ。ジェントル、悪いけど紅茶淹れてくんねー?」
「相変わらず忙しそうだね君も。少し待っていたまえ」
帰宅し、ラブラバにミルコを預けたゴジータは風呂場に向かう二人を尻目にリビングのソファーに腰かける。が、それも束の間、テーブルの上に置いていた携帯が音を鳴らして震えだす。
「ゴジータ、携帯鳴ってるよ」
「んあ? ………オールマイトから? なんだろ」
電話を鳴らしている相手は相棒であるオールマイトだった。雄英で何かあったのだろうか? 不思議に思ったゴジータが着信に出ると。
『ご、ごごごゴジータ! 大変、大変な事が起きた!』
「おいおいどうした相棒、アンタほどのヒーローが動揺しているなんてらしくないじゃないか。倒した筈の宿敵が復活でもしたのか?」
通話の向こうではやたらと慌てている相棒。その尋常ならざる様子にゴジータも困惑するが、取り敢えず落ち着いてもらわないと話が進まないと、冷静になることを促す。
それでも覚めぬ興奮。マジでどうしたんだと眉を寄せるゴジータに………。
『緑谷少年に………他の個性が出てきたんだ』
「────ふぁ?」
思っていた以上の内容に、口から変な声がでた。
Q,プッシーキャッツ、ゴジータに唾掛けてたン?
A,ピクシーボブとラグドールは唾掛けてました。他の二人はあくまで先輩兼友人の立ち位置。
尚、ゴジータが一番友好的な親しみを感じているのは虎さん。学生時代に世話になったから。
Q,ここのミルコ、ちょっと露骨過ぎない?
A,兎とは駆け抜ける生き物だからね。亀にも猫にも負けれんのだ。
尚、この後隠れた某眼鏡の女性に差される模様。
Q,Mt.レディは?
A,もう、なにもみたくねぇ……。
て言う書いてて思った。今回書いてたヒロイン枠でオールマイトが一番すんなり書けた気がする。
やはり彼こそがNo.1ヒロインか………!