超なオイラのヒーロー記録【完結】   作:アゴン

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また明日から仕事………憂鬱。

そんな訳で初投稿です。


記録54

 

 

 

 オールマイトの引退。神野区での激闘を境に次々と起こる大きな出来事は、日本だけでなく世界中を震撼させた。

 

世界的に見ても類を見ない社会貢献を果たしている日本最高のヒーロー、彼の引退記者会見は多くの人達の記憶に刻み込まれ、同時に惜しまれてきた。

 

 平和の象徴と呼ばれた男の引退、今後は後進育成に集中する事を伝えて会見を終えるオールマイトを、人々は惜しみ、そして同時に惜しみ無い拍手を送った。

 

長い間務めてきた対ヴィランの抑止力。世界的に見てもヴィラン犯罪の少ない現在の日本社会はオールマイトの活躍のお陰と言っても過言ではない。

 

 当然、他のヒーロー達の活躍もあるが、それ以上に柱として大きな存在感を持っていたオールマイトのおかげで人々は安寧の日々を暮らせていた。

 

 そのオールマイトが引退、では人々は今後の生活に不安を抱いているのかと言うと………別段其処まで不安に思ってはいなかった。

 

 “ゴジータ”。オールマイトと並ぶか、或いはそれ以上のヒーローとして新たにNo.1に君臨した次世代のトップヒーロー。

 

オールマイトの様にあっという間に駆け付け、人々を救いヴィランを倒す。その圧倒的な強さに最近ではヴィラン犯罪の件数も例年を下回り始めている。

 

 オールマイトという平和の象徴を失っても、ゴジータという希望の象徴がいる。オールマイトと違い、若く強いヒーローが頂点に君臨してくれる事に、結果的に人々は安寧の日々を享受し続けていた。

 

だが、それを疑問視する人の数も決して少なくなかった。オールマイトという柱を失い、ゴジータという柱にすがり続けるのは、果たして正しいのか。

 

余裕を失わず、けれど現実を落ち着いて直視した者は危機感を抱く。もし、万が一ゴジータという稀代のヒーローを失ったら……果たして自分達は、社会は、同じ様に安穏としていられるのか。

 

 警鐘を鳴らす。今は小さい声だが、現体制に対する疑念の声は確実に増えてきている。このままで良いのか、ゴジータという大きな柱が健在している内に、自分達でも出来る事を探すべきではないか。

 

政府の対応、そして【個性】という超常の力に人々は今一度向き合わなければならない。

 

 更に向こうへ、多くのヒーロー達が守り、オールマイトという柱に報いる為、日本は……世界は、少しずつ変わり始めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────さて、以前にも話したと思うが、これからお前達にはヒーローとして必殺技を編み出して貰う」

 

 雄英高校。オールマイトとゴジータという二大巨頭を輩出した名門。大規模な敷地を誇り、ヒーローの卵を育てる教育機関。

 

先の林間合宿でのヴィラン襲撃を受け、生徒達の安全を守るために、新たに全寮制を導入したヒーロー科一年達は、残りの夏休みを使っての圧縮訓練を開催。

 

 広大な敷地の中に組み込まれているとある施設、卵達の必殺技を編み出す一環として作られたその施設に、一年A組は集められた。

 

「仮免試験までもうそんなに余裕はない。ヒーローとして一皮剥けたいのなら、確実に一人一つは必殺技をモノにしろ」

 

「「「はい!!」」」

 

「─────で、それにともない本日は特別ゲストを紹介する。オラ、さっさとしろ」

 

 今までの鋭い目付きから一転、途端にやる気を失くす相澤は背後の影へと言葉を投げ掛ける。そこはセメントスの個性で作られた場所、誰もいない筈の其処から、突如影が舞い降りる。

 

「とう! っと、そんな訳でオラ参上っと」

 

「「「ご、ゴジータァッ!?」」」

 

 何とも軽い気持ちで現れたのは、最強のヒーロー“ゴジータ”。緑谷と爆豪を除いて体育祭以来となるNo.1ヒーローの登場に、一年A組は騒然となった。

 

「うるさい」

 

それでも、担任の相澤の一言で鎮静化する辺り、既に色々と染み付いている様である。

 

「さて、本日この男に来て貰ったのは他でもない。必殺技を編み出すにあたって、このNo.1ヒーローの意見を存分に参考にするといい」

 

「で、でもゴジータの必殺技って……」

 

「神野で見せた虹色の光以外あったか?」

 

「いや、確かもう一つ位あった筈。確か……」

 

「アタシ知ってる! かめはめ波だ!!」

 

 意外と周知されていないゴジータの必殺技。本気で知らない様子の上鳴と切島、まさかの反応にゴジータもコケ掛けたが、飯田の指摘と芦戸の答えで何とか持ち直した。

 

「あっぶね、危うく皆の前で実践する所だった」

 

「そんな事してみろ、すべての修繕費をお前の事務所に請求してやるからな」

 

 ジロリと睨んでくる相澤に冗談だと笑うゴジータだが、対する相澤の目は何処までもマジだった。

 

「うぉっほん! そんな訳で今日の必殺技の訓練には俺も参加するから、アドバイスが欲しかったらいつでも声を掛けてくれ」

 

「「「はい!」」」

 

 現役No.1ヒーローに再び教えを乞う事が出来る。体育祭の時以来の交流に胸を高鳴らせながら、生徒達は自らの必殺技作りに奔走するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────それで、上からはどう言った内容の指示が届いたんだ?」

 

 ヒーローとしての自分を高めるべく、後の仮免試験に挑む意味合いも含め、必殺技の編み出しに精を出している一年A組。

 

真剣に取り組んでいる彼等を見守っていると、不意に相澤から声が掛かる。

 

 と言うのも、本来ゴジータは自らのヒーロー活動に勤しんでいる筈の人間、未来のヒーローとは言え、卵である一年坊主達の面倒を直々に見る………なんて暇はない筈。

 

オールマイトが引退し、ヴィラン犯罪の増加に対して抑止力になる筈のゴジータを遊ばせておくほど、公安達は寝惚けてはいない。

 

しかし、現にゴジータは特別講習のゲストとしてここにいる。ゴジータが言うにはヒーロー委員会からの依頼らしく、詳しいことはあまり耳にしていない。

 

 折角の機会だからと訊ねてくる相澤にゴジータは「あぁ」と返事をして。

 

「なんでも、未来のヒーロー達の純粋な戦力の底上げを目指しているみたいなんだと」

 

「底上げ?」

 

「あぁ、俺も聞き齧った程度しか知らないから何とも言えないが、どうやら上層部はオールマイトの引退をかなり重く見ているらしくてな、俺が現役でいる内にオールマイトに並ぶ戦力の増強を目標にしているんだとか」

 

「…………」

 

 歯切れの悪いゴジータの物言いに対して、それでも相澤は委員会の上層部の目的としている事を何となく理解した。

 

オールマイトという大きな柱を失った事で、人々は少なからず危機感を覚え、そして疑問を抱いた。ゴジータという柱に寄り掛かるだけで、果たして平和と呼べるのかと。

 

昨今聞こえてくる人々の疑問の声は相澤も時々耳にしている。思い込まず、悲観的になり過ぎず、淡々と現実を見て不安と疑問を口にする。

 

恐らく、今回の上層部の狙いは不安を抱く世論に対する一つの回答を用意する事だろう。平和を担うヒーローの候補生達は順調に育っているのだと、それを見せ付ける事で世論に対する説得力を得たいと言うのが、今回のゴジータ派遣の裏にある真相なのだろう。

 

「じゃあ、まさかお前これから全国を回って?」

 

「そう。公平さを保つ為に仮免試験に参加する学校全部にこれから回って指導していく訳」

 

地味に面倒で疲れるわー、なんてぼやきながら肩を揉むゴジータに相澤は一先ず納得が出来た様子だった。それなら仕方がない、そう思わせるため息を吐きながら生徒達を引き続き見守っていると、二人の下へ一人の少年が駆け寄ってきた。

 

「あのゴジータ、今ちょっといいっスか?」

 

「お前は………電気一発屋」

 

「上鳴電気ッスよぉ!!」

 

 オズオズと近寄ってきたのは、ある意味ゴジータの記憶に残っている上鳴電気だった。どうやら先の合宿にて許容量の底上げに成功しているらしく、幾らか電気を流してもその顔にはまだ余裕が浮かんでいた。

 

「悪い悪い。で、どうした上鳴、なんか質問か?」

 

「いや、俺の個性って我ながら強い部類に入ると思うんですけど、如何せん上手く扱いきれていないってゆーか、その………爆豪や轟と比べると、見劣りする気がするんスよねぇ」

 

 上鳴の個性である“帯電”は、非常に強力で応用性の高い個性だ。文字通り電気を纏い、時には放出も可能とするその能力は鍛えれば鍛えるだけ能力の恩恵を分かりやすく受けやすい。

 

雄英に入るまでは自身の個性に浮かれ、時には痛い思いをしながらも、それでもそれなりの自信を持っていた上鳴だが、爆豪や轟といった本物の天才と遭遇し、更には使う度に自損していた緑谷も自慢の超パワーの個性を使いこなしている。

 

火力という点において、既に置いていかれた感のある上鳴。このままではいかんと思い、ゴジータに縋る思いで相談に来たのだと言う。

 

「相変わらず、勿体ねぇ使い方してんなぁお前。何で電気という汎用性の塊をそんな狭く使おうとするかね」

 

「せ、狭いッスか?」

 

「おぉ。お前、自分の個性がただ溜めてブッ放すだけの代物と思っているだろ? いいか、電気ってのは自然界の中でも分かりやすい力の結晶だ。それを一つの方向性でしか見られないってのは、極上の宝を溝に捨てるにも等しいぞ」

 

「ど、溝に……ッ!」

 

 切れ味鋭く、辛辣なゴジータの指摘に上鳴はガックリと項垂れる。流石に言いすぎたと頭を掻くゴジータだが……仕方がない。実際勿体無い力の使い方をしている上鳴に、ゴジータは仕方がないと指導を行った。

 

「だから、先ずはお前の固定観念をブッ壊す。上鳴、お前は自分の個性を放出か帯電しか使えない。そうだな?」

 

「は、はい」

 

「なら、先ずはその欠点を補えるサポートアイテムを用意しろ。雄英にはそこら辺に詳しいパワーローダー先生がいる。お前の悩みもきっと解決してくれるだろ」

 

「お、おお!」

 

「で、その上でお前には一つ俺から必殺技をくれてやる。セメントス先生!」

 

「はいはーい」

 

「向こうに良い感じのコンクリの壁をくれ、造形は任せる」

 

「オッケー」

 

 ゴジータに促され、セメントスの個性を以て少し離れた位置に2メートル程のコンクリの壁が出来上がる。厚さは凡そ60センチ程、爆豪や切島が得意気に砕いているモノよりやや太い。

 

 自分に必殺技を授けると聞いて、戸惑いながらもワクワクし始める上鳴。No.1からの直々の指導にウキウキし始めていると。

 

「八百万、コインを何枚か創造してくれるか?」

 

「え? か、貨幣の偽造は犯罪に当たる筈では?」

 

「違う違う、玩具のコインで良いんだよ。サイズは五百円玉位、デザインは………なんでも良いか」

 

 八百万から何枚か玩具のコインを貰い戻ってくる。ほい、と上鳴の掌に独特の彫りが施された金属製のコインが置かれる。

 

「えっとゴジータ、これは……?」

 

「次に、お前のイメージの拡張を始める。上鳴電気、今のお前は人間の姿をしているな?」

 

「え? えぇ、そりゃあ………まぁ」

 

「なら、その姿を捨てろ。今のお前は一つの大砲、如何なるモノも撃ち抜く最強の大砲だ」

 

「え?」

 

「右腕を伸ばせ、おら、早く」

 

「は、はい!」

 

 唐突に始まるゴジータの指導。その内容も抽象的で、戸惑いながらも上鳴は指示に従う。

 

「伸ばした腕の先、右手の親指にコインを乗せろ」

 

「はい」

 

「返事はいい。今のお前は砲台だ。力を溜め、制御に集中しろ」

 

「────!」

 

 言われて上鳴は気づく、自分の内に在る力の奔流、それがこれ迄自分が溜めてきた電気の全てであると、上鳴電気は今更ながら気付いた。

 

「足から練り上げ、右腕の更に先………右手の指先に力を流し込め。少しずつ、ゆっくりと、浸透させるようにチャージしろ」

 

言われるがままに促され、力の奔流を蠢かし始める。同時に上鳴を中心にエネルギーが脈動し、微かにスパークさせながら、一点に向けて力を収束させる。

 

「お前の足は大砲を支える砲台、お前の右腕は砲身で、その先にある右手は砲口であり引き金(トリガー)だ。さぁ、臨界は其処までだ。頭の中でカウントしろ。3……2……1……」

 

 高まる力に対して、頭の中は驚く程にクリアだ。ゴジータの指示に従い、冷静に指先をセメントスが作ったコンクリの壁に向けて………。

 

「────撃て」

 

「ッ!!」

 

 弾く。溜めに溜めた電力というエネルギーを、コインを弾く親指の指先に注ぎ込む。瞬間、周囲の空気は弾け、大気と地面の焼ける匂いが辺りに漂う。

 

一体何が起きたのか、突然引き起こされた現象に上鳴自身が戸惑っていると……。

 

「完成、とある雄英の超電磁砲」

 

「────ウェイ!?」

 

 標的のコンクリートの壁は粉々に砕かれていた。あまりにもあんまりな光景に唖然とするなか。

 

「────ゴジータ、お前後でちょっとこい」

 

生徒を戦略兵器に仕立て上げた元問題児に、相澤はきつい一撃をお見舞いすることを決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、その後もゴジータによる必殺技の指導は滞りなく進み、生徒達一同は自分の必殺技についてそれぞれの答えを出そうとしていた。

 

芦戸は自らの粘液を水と認識することでの個性拡張、尾白は自らの体術に回転の有用性を加え、常闇は意思を持つ個性との意識の同調と制御、砂藤と切島には合体技という一つの指針を、それぞれ一つの選択肢と言う形で指導していた。

 

「────と、そんな訳で蛙の個性を持つお前には脚力を主軸にした蹴りが主体の技をオススメするが?」

 

「ケロ、そうね。ゴジータの言葉も尤もだわ。個性という枠に縛られず、自分のやりたいこととやるべき事の擦り合わせも大事なのね」

 

「やっぱりお前は筋が良いな。そう、個性はあくまで自分の体の一部に過ぎない。ならそれを主軸にするだけでなく、それを活用する程度に抑え込んで別のモノで補えば、お前がヒーローになってからの活動はより広範囲に広げられる。励めよ、フロッピー」

 

「ケロ、ありがとうございました」

 

 頭を下げて去っていく蛙吹梅雨を見送りながら、ゴジータは次に指導に入る生徒を見やる。視線の先にいるのは爆発小僧の爆豪、普段の騒がしい彼とは違い、今日はなんだか口数が少ない。

 

「よぉ爆豪、必殺技の開発は順調か? アドバイス位なら出してやるぞ?」

 

「いらねェ」

 

「あん?」

 

「今の俺は、自分のやりたいこともやるべきことも確り見据えてる。助言はいらねぇ」

 

 既にセメントスが用意しているコンクリの塊を幾つも粉砕している爆豪。何れも独特な壊され方をしているところを見るにどうやら本当に助言は必要ない様子だ。初めて出会った時とは比較にならない程に成長している彼に、ゴジータも笑みが溢れた。

 

なら、言葉に甘えて爆豪はスルーするとして、後は誰だったかと、ゴジータは周囲を見渡す。

 

緑谷………は、アイツもいいだろう。オールマイト譲りの超パワーの個性も大分使いこなせているし、残る問題となる歴代の継承者達の個性も今は落ち着いていると言う。

 

 既にシュートスタイルとやらを開発し始めている緑谷を尻目に、改めて周囲を見渡していると。

 

「ゴジータ、俺もいいか?」

 

「ん? おぉ、そういやお前もいたな。轟」

 

 目の前に立つのは、半冷半熱の強個性持ちである轟焦凍。白と赤に分かたれた左右の髪を揺らしながら、彼はゴジータの前に立つ。

 

「俺は、あの後に色々と一人で考えた。自分の力の事、生まれの事、父親の事、母親の事。その上で分かった、どんなに生まれが複雑でも、俺の個性は何処までも俺の力でしかない」

 

 ご丁寧に、体育祭から続く自分の心情について説明してくる。もしかしなくてもこの子、かなりの天然さんなのでは? ゴジータは訝んだ。

 

「だから、その上でアンタに頼みたい。どうか俺に、必殺技を教えてくれ」

 

 必死に強くなることを望む轟焦凍、真剣ながらもどこか焦っている彼の様子を目の当たりにしたゴジータは、彼の気持ちを汲むように確りと頷き……。

 

「良いぜ」

 

不敵な笑みで受け入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





「あ、あのゴジータ? 私にもアドバイスを戴けないでしょうか」

「八百万か。とはいっても、お前の個性そのものが既に必殺技見たいなもんだしなぁ……まぁ、一つあるにはあるが」

「そ、それは一体!?」

「すいばk───」

「ちょっとこいお前」

この後、滅茶苦茶相澤先生に説教されたゴジータでした。





オマケ。

Q,もしもゴジータの同級生がプチジャンプオールスターだったら?

A,見えざる帝国VS五○悟+ゴジータ
 宿儺一味VS一○+ゴジータ
 忍界大戦INル○ィ+ゴジータ
 二大大海賊VSナ○ト+ゴジータ

見たいな展開になったりするかも。尚、この場合ゴジータ(主人公は巻き込まれる側とする)

最終的には巻き込まれまくっていい加減ブチキレたゴジータが、最終的には偶然遭遇した銃の悪魔を八つ当たり気味でボコる模様。

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