超なオイラのヒーロー記録【完結】   作:アゴン

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前回のミルコ事務所云々の話は、完全に作者のミスでした。

近い内に書き直しますので、初投稿です。


記録8

 

 

 

「オールマイト!? その、傷は……!?」

 

 ゴジータ改め後藤甚田の自宅、訪れたサー・ナイトアイと雄英高校の校長である根津をリビングまで招くと、鍋を囲みながらナイトアイ改め佐々木未来からオールマイトについて色々と話を聞いた。

 

内容自体はオールマイト本人から聞いていたものとほぼ同じモノだったから割愛するが、彼の視点から耳にするオールマイトの戦いは中々に壮絶でハードなモノだった。

 

恩師を死なせ、多くのモノを代償として支払った果てにようやくAFOという巨悪を倒し、その後も人々の安心と安寧を守る為に平和の象徴として己を犠牲にし続けてきた。

 

故に、彼は言う。もう良いだろうと、新たなNo.1というヒーローの登場により、オールマイトの背負う荷物の半分は減った。これ迄は人々の為に戦ったのだから、これからは自分の為に生きるべきだと、佐々木未来は八木俊典にヒーローの引退を勧めるが……答えはNO。

 

まだやるべき事は終わっていない、と諭す俊典に未来は声を上げようとして……。

 

徐に捲った服の下から覗かせる腹部を見て、愕然となった。

 

「ば、バカな! 医師からは匙を投げられた傷が……薄くなっている、だと!?」

 

「あー、でもまだ赤黒い所が多く残ってますね。ここら辺押すと痛そう」

 

「だね。医者の先生からは脂っこいモノはまだ控えておきなさいって念を押されちゃった」

 

「だから言ったじゃないですか、肉系のご飯はまだ早いって。幾ら治りが早いからといっても、まだ重症状態なのは変わり無いんだから」

 

「いやー、昨日テレビで見た回鍋肉が凄く美味しそうで……つい」

 

「いや、“てへ”じゃねぇよ。そんで腹下してたら世話ねぇッスよ?」

 

 和気藹々としているトップ二人のヒーローに、ナイトアイの顔はヤバイ事になっていた。既存とされていた情報はその根底から覆され、更にそれが憧れの人の安否に直結している事だからその衝撃は大きい。

 

根津校長も流石に動揺を隠しきれていないが、ナイトアイはその比ではない。眼鏡を割りそうな勢いで目を見開いているその様は、これ迄の彼のキャラ付けをこれでもかと破壊し尽くしていた。

 

「────と、まぁ彼のお陰で私の体は快復の兆しを見せている。ヒーロー活動している負担も少しずつだが軽くなっているんだ」

 

「え、いや、しかし………そもそもどうやって!?」

 

「それは………」

 

「これッス」

 

「豆ェッ!?」

 

 今度こそ、ナイトアイの眼鏡は彼自身の目で破壊された。ついでに顎が外れそうな程に口を開き、その様相はさながらコミカルなギャグキャラの様。

 

インターン時代の頃はユーモアを大事にしておきながらシリアス全開の顔付きをしていたのに、今ではその面影が微塵もない。キャラ変したのかな? テーブルに突っ伏すナイトアイにゴジータは鍋の具を頬張りながら見下ろしていた。

 

「えっと……後藤君、その豆は君が造ったモノかい?」

 

「えぇはい。近所の八百屋さんから好意で貰い、俺の力を与えた事で変化した“仙豆擬き”です。現在は俊典さんにモニターをして貰ってて、何時かは四肢欠損にも効果のあるモノに仕上げたいと思っています」

 

「………なんて?」

 

 今度は、根津校長が可笑しな顔をする番だった。

 

「その反応……あー、やっぱりコレ不味いッスかね? 医療技術に革命起こしちゃうかな?」

 

「革命処か土台から吹っ飛ぶよ」

 

普段は優しい風貌の校長が、この時ばかりは真顔になっていた。平時は生徒の事を第一に考え、現在の個性社会の中で最も人徳者として知られる根津校長も、この男のやらかしには真剣にならざるを得なかった。

 

「全く、君って子は。昔から色々とやらかしているけど、最近特に酷くなってないかい?」

 

「え? 甚田君って、そんなヤンチャしてたんですか?」

 

「彼の“やらかしの時代”は、雄英どころかヒーロー委員会の伝説だよ。入学試験では筆記試験はギリギリ合格だけど、実技試験では圧勝処か全ターゲットの破壊を完遂。途中で転んだ受験者を救援したりと、初っ端から雄英の歴史に彼の名が刻まれたものだよ」

 

「ちょ、校長」

 

「特に恒例の0ポイント仮想敵なんか、ぶっ飛ばし過ぎて別会場まで巻き込んでしまったものさ! いやー初めてだよ、高校入学試験をやり直しする羽目になったのはさ!」

 

「ふわー、ジンタンってばやるぅ~」

 

「まだまだ他にもあるさ、職場体験では体験先でのヒーローの心をへし折ったり、仮免試験では同校の生徒を除いた全生徒を脱落させ、仮免試験すらもやり直しさせたんだからさ!」

 

 止まらない根津校長の口から語られる後藤甚田の学生時代に行ったやらかしの歴史の数々、自棄糞気味に語る根津校長に対し、オールマイトこと八木俊典は相棒の武勇伝に目をキラキラさせて聞き入っていた。

 

「ちょっと待ってくださいよ。それについては俺からも異議がありますよ! あの後、俺だけを別会場に連れていって、いきなり救助試験をやらされたんですよ!? 俺一人で!」

 

思い返すのは苛烈だった救助試験、地震による災害、落雷からの停電、火事により家屋は倒壊し、遠くから津波が押し寄せてくる等。考えられるありとあらゆる災害救助を、押し掛けてくるヴィラン込みでゴジータ一人で対処する事になった。

 

あの時の様子はまさに地獄だった。泣きわめく被災者役の老若男女、一分一秒が命取りになる極限の状態を自分一人の手で切り抜ける。重くのし掛かる責任という重圧の中、それでも誰一人犠牲者も出さず当時のヴィラン役のヒーローすら圧倒したゴジータは、見事仮免試験を一発で合格した。

 

「しかも! あれだけの事をやらされたのに、当時の俺の活躍は完全に秘匿状態だったじゃないですか! て言うか今もか。幾らヒーロー委員会でも横暴過ぎるでしょ!」

 

「その委員会の人達を煽っていたのは他ならぬ君だよね? “俺に出させてくれよ、本気を”だったかな?」

 

「ジンタン?」

 

「……………」

 

 甚田の追及を笑いながらいなし、そして鋭い返しを本人へ返す。明らかな自業自得、戸惑いながら視線を向けてくる俊典に甚田は顔を背ける事しか出来なかった。

 

「────まぁ、そんな雄英始まって以来初の問題児だった君が、今ではNo.1ヒーローであのオールマイトと肩を並べている。過程はどうあれ、その姿を僕は……誇りに思うよ」

 

「校長…………あの、大の所が多分に感情が入り込んでいるように感じるのは、俺の気の所為ですかね?」

 

「なにか言ったかい?」

 

「あ、いえ………なんでもないです」

 

恐らく、余程苦労してきたのだろう。後藤甚田を見る根津校長の目が感情が無いように見えるのは、教員故の愛の鞭だとオールマイトはそう解釈する事にした。

 

「………貴様のやらかしは、この際どうでも良い」

 

「ナイトアイ?」

 

 すると、これ迄沈黙していたナイトアイが動き出す。割れた眼鏡をかけ直し、佇まいを直す彼の瞳には、安堵の表情が浮かんでいた。

 

「ありがとうゴジータ、君のお陰でオールマイトに新しい未来が出来た」

 

「ナイトアイ。まさか、また私の未来を……」

 

「不透明でした」

 

「え?」

 

「あの時、私は貴方の未来を見て絶望した。凄惨な死、それはもう逃れられぬと、私自身が諦めていた。その未来は……もう、見えない」

 

「ん? ん?」

 

「ですが、その不透明の未来では微かではありますが………笑っている貴方の姿が見えました。オールマイトではなく、八木俊典としての笑顔が」

 

何やら二人の間で色んな感情が渦巻いているらしい。自分の家なのに何故か疎外感を覚えた甚田は、お代わりを所望する小動物からお椀を受け取った。

 

「無断の未来視、誠に申し訳ありません。罰は受け入れます。ですが、どうかこれだけは聞いて欲しい。………ありがとう、オールマイト。生きていてくれて。ありがとう、ゴジータ。彼を生かしてくれて」

 

涙と鼻水を流し、礼を口にするナイトアイにオールマイトは微笑みを浮かべ………。

 

「おう、どういたしまして」

 

ゴジータは決め顔で〆のうどんの袋を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、そうだったそうだった。話の本題がまだだった!」

 

「え? まだ何かあったんです?」

 

「もう〆のうどん食べちゃいましたよ?」

 

「貴様は一旦食い物から離れろ」

 

 鍋も食べ、〆のうどんも完食した所で、改めて根津校長から話題が振られた。

 

「いや、後藤君のトンでもやらかしの所為で忘れちゃったけど、本題は此方だったのさ!」

 

「え? 俺、何かやっちゃいました?」

 

「それやめろ」

 

本気で分かっていない様子の甚田に、ナイトアイが真顔で諫める。

 

「早速だけどゴジータ、そしてオールマイト、君たち二人にはヒーロー委員会から活動休止の指令が出ているのさ」

 

「「─────ファッ!?」」

 

マスコットみたいに笑いながらトンでもないことを宣う小動物に、ゴジータとオールマイトの表情が驚愕の色に染まる。

 

「か、かかかか活動休止!?」

 

「私達、何か不味いことをしてましたかっ!?」

 

 これ迄、オールマイトとゴジータは日本の治安と平和を守る為に互いに役割分担をしながらヒーロー活動を行っていた。

 

元々単独で日本中を渡れる超人オールマイトと、同じ事が出来る超人ゴジータ。二人の活躍は既に日本中に知れ渡り、今年の犯罪発生件数は例年を遥かに下回っている。

 

ヴィラン犯罪だけでなく、自然災害の時も同様で、彼等二人の活躍により、災害の被害件数も軒並み例年を下回っている。

 

そんな、実績を上げ続けている二人に対する突然の活動停休止の指令。納得がいかないと立ち上がる二人に、根津校長は冷静になるように促した。

 

「落ち着いてくれ、別に君達に不備があったわけではないんだ。君達の功績は既にヒーロー委員会にも知れ渡っているし、ゴジータ君に至っては【希望の象徴】として日本社会に浸透しつつある」

 

「え? では………どうして?」

 

「上げすぎたんだ。二人とも」

 

「………どゆこと?」

 

「二人とも、ヒーローとして()()()()()()()()。二人が活躍するという事は、確かに日本の平和と治安の維持に大きく貢献している事だろう」

 

「………あ、もしかして」

 

「俊典さん?」

 

「だが、それは同時に他のヒーローの活躍の場を奪っている事に他ならない」

 

 既に新しい眼鏡にかけ直したナイトアイの奥の瞳が、二人を射抜く。オールマイトとゴジータ、二人がいれば日本は安泰だという意見が出始めた昨今、この言葉に危機意識を覚えたヒーロー委員会は、急遽今回の指令を下すに至った。

 

二人の活躍はまさに日本にとっての宝、それは確かに多くの人間が思い、抱いている事だろう。だが、それは同時に他のヒーロー達の活躍の場を、成長する機会を奪っている事にも繋がっている。

 

ヒーローもまた人間。人である以上、糧となる経験が足りなければ迅速な対応には至れないし、いざと言う時に対する初動にも遅れる事に繋がる。

 

それは、何時か何処かで誰かを殺す事に繋がるし、誰かを死なせる事に繋がるかも知れない。そんな可能性の未来を危惧したヒーロー委員会は、ゴジータ&オールマイトのチームに活動休止と言う名の休暇を与える事にしたのだ。

 

「────と、簡潔に言えばそんな所だ」

 

「はぇー、お偉いさんも色々と考えているんだなぁ」

 

「じゃあ、その間私達は休んでいろと?」

 

「いや、オールマイトにはまだ別の用件があるのさ」

 

 活動休止という名の休暇、つまりは鍛練が出来ると甚田が浮かれるのも束の間、根津校長はオールマイトに目線を向けて、真剣な顔付きで一つの提案を挙げる。

 

「オールマイト、君は我が校の先生になる気はないかい?」

 

それは、OFAを継承する後継者を探す為の儀式。嘗ての母校からのスカウトに、八木俊典は目を見開いた。

 

 

 

 





Q,この主人公、他にもやらかしてるの?

A,

「勿論さ! 山に救助に向かえば山をぶったぎり、海に救助に向かえば海をぶっ叩く! それが彼さ!」

「俺も巻き込まれたなー。座礁したタンカー船を何とかしなくては! って時に急に出てきてよ、いきなり持ち上げた時はマジでビビッたぜ」

「しかも、タンカー船から嫌な音がした時、アイツ俺になんて言ったと思う? “アザラシなんだからなんとか出来るでしょ!”だとよ。何処の世界にタンカー船を持ち上げるゴマアザラシがいる!?」

「セルキーさんも、苦労してるのね」

「他にもまだあるぞ。あの戯け者のやらかしは」

「ギャングオルカまで!?」


Q,結局、ゴジータのかめはめ波は流行ったの?

A,
「流行るかバカがっ! 廃れや!」







「────確か、こうだったか? かぁ……めぇ……はぁ……」

「あっぶなー、教科書忘れてた………あ」

「───────」

「え、えっとその……大丈夫だよかっちゃん! 僕なにも見て………ひぃぃ! 無言のまま爆破してくるの止めてぇぇェッ!!」

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