新年最初が短くて済まない。
そんな訳で初投稿です。
「────それで、どういう事か説明して貰えるか?」
「まぁ待てよナイトアイ、先ずは落ち着いて話を聞けるようになってくれ。怖いから、インテリヤクザみたいでめっちゃ怖いから」
額に青筋を浮かべ、詰めてくるナイトアイ。その極道顔負けな迫力を見せ付けてくる嘗ての先輩ヒーローに、流石のゴジータも苦笑いを浮かべざるを得ない。
「落ち着け? やらかした張本人が良くも言う。其処に転がっている男は治崎廻、死穢八斎會のトップだ」
ナイトアイが見下ろす視線の先には、両手両足を縛られ、未だに白目を剥いたままのペストマスクの男。治崎廻と呼ばれる男の素性を知らされたゴジータはアハハとやはり苦笑いを浮かべるのだった。
「あ、やっぱり? なーんか前に聞いていた情報と似ていた奴だったからもしかしてと思ったけど……成る程ね、コイツが例のオーバーホールって奴か」
「本来なら要請に応えてくれたヒーロー達と連携し、組ごと連中の身柄を抑える筈だった。なのに……貴様と来たら、どうしてそう先走るのだ!」
「ちょ、ナイトアイそう怒鳴らんでやってくれんか。子供の前やぞ」
堪らず怒鳴るナイトアイだが、それをファットガムが諌める。ゴジータからファットガムへと預けられ、彼の腕の中で怯えている様子の少女に、ハッと我に返ったナイトアイがバツが悪そうに下を向く。
「済まない。………だがゴジータ、私は以前にも同じことを言った筈だぞ。一人で出来ることは限られている。例えそれがオールマイトであったとしてもだ。だからこそ他との連携も重視しろと」
「あぁ、覚えているよナイトアイ。アンタから教わった教えは一言一句忘れてもいなければ、軽視したつもりはない」
嘗て、ゴジータはインターン先でナイトアイの事務所に所属していた。当時はまだ荒んでいた頃で、ナイトアイの忠告にも耳を貸さなかったゴジータだが、心の余裕を取戻し、自分なりのヒーローを目指すことにしたゴジータは、ナイトアイの言葉にも注視するようになっていた。
ゴジータがナイトアイから教わったのは、他人との連携だけ。常に一人で何でも出来ていたゴジータにとって、他人と足並みを揃えるのはある種の苦痛を伴う事であり、ゴジータの実力を間近で見ていたナイトアイは、だからこそ他のヒーローとの連携を大事にするようゴジータに念押ししていた。
今となってはその忠告の重要さも理解できているゴジータだが、それでも譲れないモノは確かにあった。
「答えろゴジータ、何故お前は勝手に行動した」
「助けてと、そう言われたからだ」
力強く断言してくるゴジータに、今度はナイトアイが息を呑んだ。自分の行動は大局から見れば間違っているかもしれない。それでも、目の前の少女を助けた事に対する後悔は微塵もない。
そんな不敵の笑みを浮かべるゴジータの横顔から、幼き少女は目を逸らせなかった。
◇
─────走る。暗い暗い闇の中を、必死に逃れようと少女は走る。背後から迫る怖い人達から逃げ出したいが為に、少女は必死にその小さな脚でひた走る。
(逃げなきゃ! もう、もう痛いのはいや! 怖いのはいや!!)
少女の手足に巻かれた包帯。走る度に激痛が走り、
何度も体を壊され、その度に直されてきた。自分の体から血と細胞を削り、その男は言った。
『エリ、お前は呪われた存在なんだ。お前が抵抗すればそれだけ人は死ぬ。もし逃げたりしたらそれだけ人が死ぬ。何故って? それはお前が呪われた子供だからだ』
嘗て、少女は実の父親を消してしまっている。無意識に、無自覚に、産まれながらに備わっていた個性の力で、少女は自身の父親を消してしまっていた。
それから忌み子として捨てられ、母親からも見捨てられた少女は、母と血縁関係である極道の親分へ預けられる事になる。無自覚に父を消し、母親からも捨てられた少女は心を閉ざし………そして、ある日その男は現れた。
男は少女の力の価値に気付き、衰退しつつある組を建て直すために少女を利用した。そこに一切の情け容赦はなく、徹底して少女の心を砕きに掛かった。
助けなど求めさせない。誰かに助けを求めれば、それだけ人は死ぬ。そんな洗脳にも似たやり方で男………治崎廻は少女の体を壊して、その度に直していった。
もうイヤだ。痛みと恐怖に擂り潰されてきた少女はその日、僅かな可能性に掛けて逃走した。自尊心も自意識も薄れ、残された生への執着、それだけを頼りに少女は差し込んで来る光に向かって走り出していた。
(助けて、お願い、誰か……!)
「───エリ」
「ッ!?」
ゾクリ、と。背後から聞こえた声に一度だけ振り返る。薄暗い路地裏の影から現れるカラスの男。ペストマスクを付けたその男は真っ直ぐに自分を追いかけてきている。
恐怖が少女に押し掛ける。怖さと恐ろしさで硬直しそうな脚を、それでも動かして少女は走る。
───何のために?
父を消し、母に見捨てられ、何もかも失った自分が、今更何に縋ろうと言うのか。
少女自身、良く分かっていない。何もかも諦めたら、それならそれで楽になれるかもしれない。これ以上足掻いても無駄だと言うのなら、いっそ……!
────それでも。
少女は、その手を伸ばさずにはいられなかった。
走り、躓き、汚れても走り続ける。我武者羅に走り続け、伸びてくる治崎の手から必死に逃げ延びようとした少女は………。
「お?」
「あ?」
「っと、どうしたチビッ子。いきなり走ってきたら危ないだろ?」
その日、太陽の様な人と出会った。力強く抱き上げられ、初めてされる高い高い。笑いながら見上げてくるその人に、少女は力の限り声を張り上げる。
「───お願い、助けて!」
それは、叫びと言うには剰りにも小さな声。掠れたその声は目の前の男にしか聞こえてはいないだろう。
しかし、ポロポロと涙を流す少女の訴えは男──ゴジータへ確かに伝わり。
「もう大丈夫、何故って────」
ニカッと、No.1ヒーローは嘗ての相棒に倣って、安心させるように笑った。
◇
「───と、その後はやって来たそこの治崎にこの子の事情を問い詰めていたら襲ってきたのでやむなく対処、無力化したって訳」
「───理屈は分かった。お前ならそうする事だろうというのもな。しかし、それでも………」
「もっと他にやり方はあったって? 残念ながら無いな。ヒーローとして助けを求められた以上、其処から見過ごす選択肢なんて俺にはない」
「しかしだな」
「それに、この少女には幾つもの虐待された形跡が残されている。それだけでも保護する理由には充分なんじゃねーか?」
「しかもただ虐待されただけじゃねぇ、このチビの体からは明らかに非合法の
堂々と反論するゴジータに、それでも食い下がるナイトアイ。そんな彼を納得させようと、両隣に控えていた爆豪と轟が話を付け加える。
「だが、それでは今日の為に集まってくれた方々に申し訳が立たんだろ」
各方面から忙しい時間にも関わらず、ナイトアイの呼び掛けに応えてくれたヒーロー達。そんな彼等を差し置いて単独で行動するのは強い力を持つヒーローの悪癖である。
そう断じるナイトアイの肩を、静観していたファットガムが割って入る。
「まぁまぁ、女の子を無事に保護できた事、それ自体は喜んでおこうや。ワイらかて、別に手柄だけが欲しくて集まってきた訳やないんやから」
「後から来るリューキュウ達には俺からも伝えておくからさ、そう目くじら立てないでよ、サー」
「むぅ……」
死穢八斎會の件でこれ迄世話になっていたファットガムにまで説得されてしまっては流石のナイトアイも黙り込むしかない。加えてインターン生であり愛弟子でもあるルミリオンからも宥められては師としての立場もない。
それに、やってしまったものは仕方がない。ナイトアイが抱えていた苛立ちはゴジータへのやらかしに対してだが、昔と違って今のゴジータは言動に理屈と筋が通っている。
だったら仕方がないと、深いため息を溢して目の前の状況を呑み込もうとして……。
「───なぁ、今更の疑問なんだが」
「んぁ? どしたんロックロック。子供へのプレゼント相談か?」
「いや、そこの治崎は死穢八斎會のトップなんだよな? ………そんな奴が例の少女と一緒に長時間いなくなるとか連中、大人しくしていられるか?」
「「「「─────あ」」」」
固まった。ナイトアイも、ファットガムも、爆豪や轟、ルミリオン、デク、そしてゴジータが声を揃えて固まった。
次いで。
「大変だ! 死穢八斎會の連中が総出で大阪府警に押し寄せて来ている! ヒーロー達は至急応援を頼む!!」
部屋へ勢い良く入ってくる塚内の言葉により、その場の全員の視線がゴジータへ向けられる。やっちまった。ダラダラと冷や汗を垂れ流しながら、ひきつった笑みを浮かべるゴジータは……。
「い、急いで鎮圧してきまーす!」
超サイヤ人になりながら、急ぎ現場へと急行する。
そんな彼の後を、皆呆れ顔で付いていくのだった。
オマケ
ifオールスター世界線のクラス表
Bクラス
担任はたけカカシ
継国縁壱
夏油傑
ロロノア=ゾロ
うちはサスケ
石田雨竜
小松
花京院典明
人善善吉
桑原和真
道蓮
胡蝶しのぶ
マキマ
風巻祭理(♀)
マチ=コマチネ
Bクラスの委員長兼苦労人はしのぶ、副委員長は善吉でこれまた苦労人枠。
小松はとある出来事を機にAクラスのえりなと戦友になっている。えりな側も、小松の事は頼りになる相棒として認識している。
ゾロはよく桑原を巻き込んで縁壱に剣での勝負を挑んでいる。
Bクラスにはよく五条が遊びに来ており、夏油が若干ウザがりながらも相手をしており、マキマは何かと企んでいる………そんなBクラスである。
尚、Aクラスは一部を除いてそこまで仲は悪くない模様。