推しの子?
しってる知ってる! 確
か双子の兄妹が芸能界へ挑み、妹はアイドル。兄は役者
の卵として活躍し、一方で母を殺した真犯人に復讐を
こしたんたんとする物語なんだよね!
そんな訳で初投稿です。
何処までも無限に広がる闇の空間、眼前の淡い光を放つ天体以外、何も見えず何も見えない。
宇宙。今世は疎か前世ですら体験したことの無い未知の空間にて、
(なん、で、何で………宇宙!?)
つい先程まで自分は間違いなく地球の大地を踏み締めていた。思い出すのは自分
自身の直感に従い、咄嗟にバリヤーを張ったのは我ながら英断であった。でなければ自分は兎も角自分に張り付いている彼女の安全は保証出来なかった事だろう。
「甚田………甚田……」
ただ自分の名を呼び、虚ろな目で抱き付いてくる恩師の偽者。ただ自分の足止めをする為に生み出されたであろう彼女の言葉。
怒りは抱かない………とは言えない。自分の恩師であり、育ての親でもある姫野を姿だけとはいえ真似て、終いには使い捨てのように扱う。
とても許容出来るモノではない。が、それと同じ位彼女に対して同情的になってしまったのもまた事実。
彼女は、ただそう在れと造られただけ。自分の意思などなく、ただ命じられただけに行動する………力なき操り人形。
彼女には此方を害する意思はない。なら可能な限りの事をしようと、冷えた頭で思考を巡らせる。
(兎も角、急いで地球に戻らないと!)
とはいえ、今の自分は太陽系の中で最も地球から遠い位置に在る冥王星まで跳ばされている。
此処までの時空間の跳躍を成し遂げたヴィラン側の技術力に舌を巻くが、いつまでも此処に足止めさせられる訳にも行かない。
(確か、太陽系の順番って水、金、地、火、木……)
記憶の中にある知識を頼りに宇宙を往く。上も下も分からず、前も後ろも分からない。平衡感覚が狂いそうになる闇の中で、それでもゴジータは進むしかなかった。
頭の中にあるのは混乱。思考が定まらず、焦りと不安が募っていく。当然だ、
皆は無事なのか、作戦に間に合うのか。そもそも自分は無事に地球へ戻る事が出来るのか。何一つ分からない状況でそれでも闇雲に進むしかなかったゴジータに………。
ふと、気配を感じた。
(こ、この気は……!)
微かに感じ取れた気配。それが元相棒───オールマイトの気だと確信したゴジータは、感じ取った気の方角へ向けて全力飛翔。金髪碧眼の超サイヤ人に変身しながら、感じ取れた気を手繰り寄せるように飛ぶ。
地球上では決して出すことが無かった本気の飛翔、気付けば周囲を輪で囲んだ巨大なガス状の天体を横切っている最中だった。
だが……。
「ッ!?」
一瞬、デカイ気が現れたかと思えば無数の小さな気配が消えていくのを感じた。気の性質からしてデカイ気の方は例の薬物を投与した奴で、その近くにはこのデカイ気の奴と同種の気が感じられる。
間違いない、今のデカイ気の奴は一撃で幾つもの命を奪い去った張本人だ。事の大きさを遥か宇宙にて感じたゴジータはその表情を険しくさせながらより加速させて飛翔する。
しかし。
(くそ、ダメだ。この程度の速さじゃ間に合わない!)
いかにゴジータが光を超え、時の流れに干渉できる程の速さで飛んでも、今という法則を超える事は出来ない。失われた命は取り戻せず、ドラゴンボールが無いこの世界では死者の復活は絶対にあり得ない。
ならば、方法は一つしかない。遥か彼方の“今”へ辿り着くには、同じ“今”で対抗するしかない。
姫野葵(偽)を抱えている腕とは反対の手、その人差し指と中指を額に当てると、ゴジータは全力の集中でその気を辿る。
(出来るのか、俺に。彼が、孫悟空が苦労して会得したあの技を、こんな俺が、この土壇場で!?)
試みるのは時空間の法則を超越した空間移動、それは嘗て
個人的には先の【ソウルパニッシャー】並に難易度が高く、またあの主人公の専売特許だと無意識に忌避し続けてきた代物、それを今、自分が、なんの準備も無しに試みようとしている。
(ダメだ! こんな心境じゃ、とても気を捉える事なんて………!)
しかし、その試みはやる前から無理だと判断する。
今の後藤甚田の心境は宇宙空間という嘗てない未知の場所へ跳ばされた事と焦りでグチャグチャになっている。
こんな心身ではあの技の会得は絶対に敵わない。ならば、より加速して地球へ直接向かう事にするか?
………そうなった場合、恐らく自分は間に合わないだろう。そしてその結果、多くの犠牲者が出ることになる。ヒーロー達も、恩師も、家族も、そして………彼女も。
ダメだ。それだけは絶対にダメだ。
(頼む、この時だけでいい! 俺を皆のところへ連れていってくれ!)
懇願し、集中するも、その気配はない。オールマイトの気は会得したばかりか掴みづらく、残るデカイ気も薬物投与で歪んでいる所為か掴めない。
………あぁ、今
焦る思いがゴジータを追い詰める。どれだけ強くなった所で、結局自分の性根は何も変わっていないのだ。
ベッドの上で、ただ死を待つだけだった……あの頃の自分と、何一つ。
(─────?)
ふと、何かを感じた。
それは、小さな光の様で、けれど確かに強く瞬く………星の様な輝き。
その輝きを、気を、ゴジータは知っている。
「………爆豪?」
その気は他の気と比べて小さく、弱々しい。
けれど、誰よりも澄んだ輝きを放っていた。
微塵も諦めておらず、勝つことだけを意識している強い輝き。
「ハハ、マジかよ」
今はまだ無理だと思われていた爆豪の力の発露、開花するのはまだ数年は先だと思われていた【未来】を、あの
「凄い奴だよ、お前は」
なら、自分も超えなければいけない。何処までも澄んだ輝きを放つ気、そこに向かって飛び立つイメージで意識を集中させていく。
その最中。
「───大丈夫だよ」
「!」
「甚田なら、きっと出来るよ」
腕の中にいる彼女、恐らくは入力された台詞を口にしただけ、今の言葉もその一つに過ぎないのだろう。
けれど。
「あぁ、任せろ!」
この上ない声援を受け取った後藤甚田───ゴジータは、気の真髄へと至り。
この時、遂に【瞬間移動】を会得した。
◇
「ゴジータ……」
グラントリノに担がれ、個性の反動で息も絶え絶えな緑谷の掠れた声。
何かを言わなきゃいけないのに、言葉が出てこない。ヒーローを目指す自分が、誰かに縋るのはあってはならないと言うのに……超然と佇んでいるNo.1ヒーローに、頼もしさで安堵してしまった。
「遅くなって悪かった。ちょっと冥王星まで跳ばされててな………いや、言い訳は止めよう。先ずは」
目を剥き、警戒心を顕にするマキア。対してマキアの肩に乗っている殻木はあり得ないゴジータの帰還に腰を抜かしていた。
「あり、ありりりりりえないぃぃぃ! 何故、なぁぜ貴様が生きている!? 何故ここにいる!? 貴様を跳ばしたのは、遥か彼方の冥王星じゃぞ!?」
ガタガタと震え、諸々を垂れ流しながら有り得ないと喚く殻木だが、ゴジータはそんな殻木を一瞥する事なかった。
「爆豪、動けるか?」
「────アァ、情けない話だが」
「いや、いい。──委員長!」
「?」
「頼めるか?」
「応っ、任された」
予兆も前触れもなく突然現れたゴジータに、ヴィランもヒーローも未だ戸惑いが拭えない。そんな中ゴジータは動けなくなった爆豪を任せる人物を呼び、
「善院、ジェントルも、助かった。俺が来るまで、良く持たせてくれた」
「ハッ、人を引き立て役にさせおってからに」
懐かしい顔にゴジータの顔が僅かに綻ぶ、ヘッと憎まれ口を叩きながらも、漸く肩の荷が降りた気持ちの善院は、気絶している飯田を肩に担ぎ、後ろへ下がる。
(後はこの子を……)
腕に抱えられている姫野葵(偽)、既に意識は無く、眠っている。早く医者に診てもらおうとするが……。
「おい、無視すんなって」
突然目の前に現れた死柄木が、拳を振り抜いてくる。ゴジータの顔面に向けて放たれたその拳に載せられた力は、これ迄の遊びとは違う本気の一撃。
殺す勢いで振り抜かれたその一撃は、しかし、ゴジータに一瞥もされること無く………。
視線は眠っている姫野葵(偽)に向けられたまま、されど片手で死柄木の振るう拳をいなして逸らす。
流され、姿勢が崩れた所へ返しの裏拳が死柄木の頬を撃ち抜く。吹き飛び、瓦礫の山へ吹き飛ぶ死柄木にその場の全員が唖然となった。
「すまない先生、遅くなった」
「ゴジータ、お前……大丈夫なのか?」
舞い上がる砂塵を背後に、相澤の下へ歩み寄る。片足を失くし、失血死寸前の元担任。口元を強く結ぶゴジータはそれでも激情を沸き上がるのを悟られないよう、平静を装いながら膝を曲げて屈み、倒れている相澤の視線を合わせる。。
「俺を誰だと思ってんだよ。オラ、それよりも仙豆(擬き)だ。大人しく食っとけ」
そう言って腰巻きから取り出した仙豆擬きを相澤へ呑ませようと差し出す。ゴジータが用意した仙豆擬きは全部で3つ、自分とジェントル、そしてエンデヴァーの三人。
状況からして、恐らくは他の二つは使われているのだろう。少なくとも一つは確実に使われている。感じ取れるミルコの気が五体満足でありながら気を減らしているのだから。
だから、これを使えば残る仙豆擬きはエンデヴァーが持っている一つのみ。それでも構うかとゴジータは相澤へ仙豆擬きを差し出すが……。
「俺は、いい。ゴジータ、それはお前自身の為に使え」
「…………」
「この戦いは、お前が切り札となった。いいかゴジータ、戦局を見誤るムゴッ!?」
動けなくなったヒーローは、今この時だけ捨て置け。相手は既に歴史上でも類を見ない暴力を持つ巨悪、少しでも戦局を見誤れば負けるのは此方だ。
なのに、そんな相澤の思惑とは裏腹にゴジータは指を弾いて相澤の喉に仙豆擬きを捩じ込んだ。
「ガ、ハ、ゴジータ、お前!!」
「心配すんなよ、先生」
「俺は、ゴジータだぜ?」
憤り、怒声を上げようとする相澤をゴジータが不敵な笑みと共に返す。
そんな顔に相澤は押し黙るしかなかった。
「マニュアルさん、しんどいと思うけどこの人と先生の事……」
「あぁ、任せてくれ! だから……!」
「おう」
自身も相当疲弊している筈なのに、それでも力強く返してくれるマニュアルを頼もしく思いながら、ゴジータは腕の中で眠る姫野葵(偽)を預けて立ち上がる。
「────楽しいか?」
「!」
「今更出てきて主役気取り。あぁ、楽しいだろうよ、愉快だろうよ!! けどなぁ、現実を見ろよ! お前が此処に来れなかっただけでこの有り様だ!」
「…………」
「お前の所為で何人ヒーローが死んだ!? お前だ、この惨劇も、死んだのも、全部お前の所為なんだよ!」
砂塵の中から現れ、両腕を広げ、大仰に宣う死柄木。やったのは隣のデカブツで、命じたのはお前だろう。そう忌々しく睨む相澤だが、構わず死柄木は続け。
「世間はお前を敵と見なすぞ、救えなかった。役に立たないヒーロー! 誰も彼もがお前を悪と呼ぶだろ、それでも!」
「それでも、俺はヒーローだ」
「っ!?」
その眼に、言葉を詰まらせた。
「責務、叱責、罵声、それがどうした。そんなものが怖くて、ヒーローが出来るものかよ」
しかし、ゴジータは揺るがない。なりたい
言葉を詰まらせる死柄木、その時ゴジータは瓦礫の向こうで何やら所々黒焦げになっているメディアを見付け。
「皆が見てるんだ。カッコつけさせてもらうぜ」
不敵に笑った。
次回、手。
ホシノ(臨戦)、シロコ*テラー。
どちらも狙わなきゃいけないのが先生の辛いところだよね。
カクゴは出来たか? 俺は出来てる!!
※カクゴをカコクと空目した先生は、罰として校庭10周全力ダッシュ。