超なオイラのヒーロー記録【完結】   作:アゴン

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もうすぐfgoアニバ。

楽しみですね。

そんな訳で初投稿です。


記録96

 

 

 

「なぁおい、もう逃げようぜ! 此処にいたら戦いに巻き込まれちまうよ!」

 

 身体に火傷の痕を付け、涙目のカメラマンが泣き言を口走る。

 

先程までヘリに乗って上空から見るも無惨な光景となった蛇腔病院とその街並み、その様子を映像として世に送り出そうといち早く現場に乗り出したメディアの面々。

 

 山のように巨大なヴィランが此方に向けて眼を光らせた瞬間、ヘリは爆発し、自分達は空から地面に叩き付けられる……筈だった。

 

 間一髪、自分達を燃え盛るヘリの中から救いだしてくれた黄色いヒーロー、しわくちゃで声色から老人とも呼べるそのヒーローは自分達を乱暴でありながらヘリから担ぎ上げ、地面まで無事に助け出してくれた。

 

「あの爺さんだって言ってただろ!? 死にたくなけりゃ離れろって! もう十分だろ!?」

 

 死を前に怯え、震え上がるカメラマン。隣にいるヘリのパイロットも同意見で、その首をブンブンと縦に振っている。

 

「るっさい!! 十分なわけないでしょ!」

 

そんな同僚カメラマンの懇願を、同じく火傷を負った女性リポーターが却下する。

 

「今、この現場の詳細を伝えられるのは私達しかいないの!! この現状を、これから先の出来事をあるがまま伝えられる事が出来るのは私達だけ!!」

 

 今、自分達の前には多くのヒーロー達がいて、その中心には巨大なヴィランともう一人、不気味なヴィランがいて。

 

その中心に、ゴジータがいる。恐らくは何らかの大規模な作戦が行われているのだろう。

 

「カメラもまだ生きていて、現場を伝えられる私がいる! だったら、やらなきゃダメでしょうが!!」

 

 これから起きるのはきっと超常社会始まって以来の事件になる。なら、この光景を世間に見せて世論に是非を問わせる必要性がある。

 

仮令(たとえ)、自分達にどんな危険が振り掛かるのだとしても。

 

そんな、強い女性リポーターの決意に圧され、カメラマンは観念する。

 

 そして、この時の女性リポーターの勘は正しかった。これから起きる出来事は、正しく超常社会に於ける転換期となるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カッコつける? この状況で、この惨状を見て、まだヒーロー気取りを続ける気かよ」

 

「応よ。そういうお前はヴィランの親玉気取りだろ? 同じ気取った者同士、気が合うな」

 

「イチイチムカつく物言いしやがってッ!」

 

 ゴジータの煽りに耐えかねたのか、死柄木が仕掛ける。【G細胞】という劇薬を受け、規格外の膂力を手に入れた死柄木。その踏み込みは大地を砕き、その脚力はゴジータとの間合いを瞬く間にゼロにする。

 

 先程と同じ焼き回しの光景、しかし拳を開いて掌を突き出してくる死柄木に相澤は嫌な予感がした。

 

死柄木の本来の個性は【崩壊】。その掌に触れたモノを無機物有機物問わず破壊する最悪の即死能力。避けろと叫ぼうとするが……。

 

「おっと」

 

 その予感をあっさりと払拭するように、突き出された掌を避け、手首を掴む。

 

「っ!」

 

万力の如く締め付けられ、動かなくなった左手。まだ右手があると、死柄木は残った右手を突き出すが、これもアッサリと止められてしまう。

 

「お前の個性は崩壊だったか? 随分と物騒な能力だが………それだけに対処がしやすい」

 

 死柄木の崩壊は確かに強力無比、その条件は相手に触れること。より厳密に言えば、指の五指全てが相手に触れること条件としている。

 

既に死柄木の個性は覚醒とも呼べる段階に移行し、触れてたものは悉く破壊し尽くすことが可能となっている。崩壊し、その崩壊したモノが触れ、崩壊という連鎖反応は拡大し、広範囲に伝播していく。

 

 しかし、その即死個性も触れなければ意味をなさない。ギリギリと締め付けられる手首、振りほどくことは敵わないと察した死柄木は背後に控えるマキアへ指示を飛ばす。

 

「マキア! コイツごと俺を潰せ!」

 

「っ!!」

 

「?」

 

 自身を巻き込んでの攻撃。一瞬躊躇するも、それが主の命令だと受け入れたマキアは、再び拳を振り上げる。

 

「あらよっと」

 

「ゲバッ」

 

 腕を交差し、身動きが取れない二人の頭上から巨大な拳が迫る。ワザワザ受けてやる必要もないと、ゴジータは死柄木の手首を掴んだまま身体を宙返りさせ、勢いを乗せての前蹴りを顎へ見舞う。

 

顎が砕かれ、掴まれていた手首が解放される。宙に浮かび、無防備となった主を守ろうとマキアが抱き抱えようとするが……。

 

「セイッ!!」

 

 貫くようなゴジータの蹴りが、死柄木諸ともマキアの腹部に突き刺さる。

 

「おい、おいおいおい! こっち来ンじゃねぇよ!?」

 

巨悪二人の顔が衝撃と痛みで歪む。強制的に肺から空気を吐き出され、その勢いのまま二人は吹き飛び、その先にいる荼毘を巻き込んでいった。

 

「う、うっはー」

 

「………分かっていたけど、改めて思い知るな」

 

 山のような巨大なヴィランを、死柄木諸とも吹き飛ばした。その事実にマキアを相手にしていたサン・イーター(天喰環)ネジレちゃん(波動ねじれ)は思い知る。

 

最強。悠然と佇み、鋭い眼光で相手を睨むゴジータの姿は、正しく最強のヒーロー像そのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッテェ、くそ。あの野郎加減ってものを知らねぇのか」

 

 ゴジータによって吹き飛ばされたマキアに巻き込まれそうになった荼毘、間一髪下敷きにならずに済んだ事に自身の運の良さに呆れながら立ち上がる。

 

(こうなるともうゴジータの勢いは止められねぇ、か。分かっていたが、相変わらず出鱈目過ぎるだろ)

 

 ゴジータという規格外のヒーローが戻ってきた。この時点で死柄木達ヴィラン側の思惑はほぼ詰んだと言えるのに、荼毘の表情に焦りは見えない。

 

「……まぁいいや、エンデヴァーを殺し焦凍を殺せば俺の目的は終わる。それが叶わなくても、俺という存在を刻み付ければ俺の勝ちだ」

 

 荼毘にとって、今回の戦いの行方などどうでも良く、ただ自分を捨てた(・・・)エンデヴァーを地獄に叩き込めればそれでいい。

 

焦凍もそうだ。エンデヴァーにとって、轟家の人間にとって焦凍は希望であり心の拠り所。それを壊し、殺す。そうすれば………。

 

「少しは、俺の事を思い出せるかな? なぁ、お父さん」

 

「ぐ、うぅ……」

 

 マキアの吹き飛ばしに巻き込まれ、仰向けに倒れているエンデヴァーに荼毘は笑みを浮かべながら歩み寄る。

 

怯え、泣き出しそうになっているエンデヴァーに荼毘は喜悦の笑みを浮かべた。

 

そんな荼毘を遮る様に現れる氷の壁、呆れながら高火力で凪払うと、エンデヴァーを庇うように焦凍が立ち塞がっていた。

 

「退いてくれよ焦凍、今兄ちゃん忙しいんだ。お前の事は後で殺してやるから、向こうで遊んでな」

 

「退けるかよ。死んだと思ってた奴が、仮にも父親を殺そうとしてんだぞ! 退ける訳ねぇだろうが!」

 

「………はぁ、そっか。なら死んどけ」

 

 嘗ての兄が生きていた。その事実に未だ頭の中がグチャグチャの焦凍だが、ヒーローとしての矜持が退くことを許さなかった。

 

 本当はエンデヴァーを優先に殺したかったが、兄弟の殺し合いを目の前で見せてやるのも面白い。狂喜の笑みを浮かべて荼毘は炎を滾らせて駆け出し、焦凍が迎え撃つ。

 

「や、めろ……止め、てくれぇぇ……」

 

 兄弟が殺し合う様を見せ付けられ、動けないエンデヴァーは泣きながら許しを請う。しかし、ぶつかり合う者を止められる者はこの場にはいない。

 

だから。

 

「邪魔」

 

「ブッバ!?」

 

 ゴジータが、その悲劇を蹴り飛ばす。

 

 顔面を蹴り飛ばされ、地面を這う荼毘。マキアと死柄木を追って跳躍した先の着地代わりに蹴り飛ばされた荼毘は、地面にめり込みながら吹き飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、畜生、畜生、強すぎる。何なんだよ、あの化物は」

 

 怨嗟にまみれた言葉を吐き、砕かれた顎を再生させながら、死柄木は睨む。眩しいばかりの光を、自分を正しいと信じて疑わないヒーローを。

 

自分という悪を生み出しておきながら、まるで他人事の偽善者。助けられる事を当たり前とし、何も変えようとしない奴等。

 

 その全てが気に入らない。その悉くが許せない。

 

 目障りなもの、鬱陶しいもの、あの家に繋がる、全てを消したいから。

 

「勝てないなら、奪えばいい。そうだろう、先生」

 

 死柄木弔は、その手を広げた。この世の全てを壊す為に………。

 

 

 

 

 

 

 





次回、ゴジータの個性
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