「Ostrich policy①」
六月を超えて、日照りが夏の威容を纏い始めたことで衣替えを迎えて間もなく。
そこそこな喧噪に忙しなさはなく、一度目のピークを迎えてしばらくの飲食店特有の緩さを扉越しに感じ取る。
あの事件――『殺人貴異変』と記録される出来事から幾日が経過した。
それからというものの、僕はいつも通りと言えばいつも通りに『喫茶リコリコ』で出勤準備を進めていた。
今日は学校があったので放課後の出勤だ。営業時間を考えれば大した仕事は出来ないと思うが、それを見越して仕込みも店長から教えて貰っている。学生アルバイトという観点から鑑みればそこそこな勤労少年とも言えるかもしれない。
……あんなことがあったというのに、以前と変わらない日常を過ごせていることに喜ぶべきか、逆にやってしまったことに対して今の状況を噛み締めれば良いのか、今でも決めあぐねている。
だがそれでも、僕は此処に居る。
今はそれだけで良いだろう。
「……連絡は相変わらず、か」
ふと端末へ目を向けるが、そこに目当ての通知が来ているようには見受けられない。
あれ以来、本部へは足を運んでいない。
僕にその気がないというのもそうだが、『DA』による直々の通達で暫くの間は立ち寄ることを禁じられている。
それは楠木さんでなく、彼女を通じて言い渡される『もっと上』の人間からの辞令。
そしてその連絡以降、フキさんはおろか蛇ノ目さんとも連絡が取れないでいるのが現状である。
戦闘の余波は語るべくもなく鮮烈なもの。
リリベルは主力部隊を半ば壊滅。司令、部隊指揮官を軒並み半殺しにしたことで部隊能力が著しく低下している。
リコリスもリリベルよりはマシだとはいえ、被害拡大による対応の差し引きを考えれば似たようなもの。
本部の戦力を持ち出して被害拡大を抑えたことで、少なくとも地方各地に散らばる支部からリコリスを掻き集めなければ都心の警護と任務に支障をきたすレベルで、実働できる人間が不足してしまっている。
そのとても一人の人間が生み出したとは思えない被害状況により、味方の暴動による被害としては史上初の『名付き』の事件として『DA』全体で僕の罪状は知れ渡ることなるだろう。
そしてそれは、僕が身を以てその代償を支払わされている。
「怪我も痛みはあるけど……ホールと注文取りやる分には問題ないな。うん」
むしろ僕の身体の構造を考えれば、痛みが感じれるということは肉体が正常の機能を取り戻していると言えるかもしれない。
だが、完治したとも言い難いのも事実。
まだ包帯は交換する必要があるし、未だに夜は熱が出ることもあり薬も処方されている。
だがあの戦闘を経て僕の負った腕の火傷、筋肉の断裂、ほぼ全身と言える骨折からの復帰といくつかの弾丸が僕を撃ち抜いてたという状態を鑑みれば、着物の下に隠れられる程度にまで回復したのだから率直に言って及第点以上の仕上がりだろう。
そんな現状に、不気味ささえ感じているくらいには。
「……伊之神、幹也」
自分の父の名前を独り言ちる。
僕の生命線の一つであり、僕と楠木さんとの間にある表向きの協力関係を契約する担保。
それにまた、助けられた。
今回だけじゃない。
僕の最初の戦いの時も。あの黒い剣士との遭遇の時も。
千束やたきな、リコリス達の生存率と復帰率の全体的な向上にしたってそうだ。
今でこそリコリス達の標準装備の一つとなっている僕が明け渡した父の論文の内容を反映させた医療キットは、千束の『命だいじに』の方針にも一役買っている。
千切れた腕も。断裂した筋肉も。砕けた骨さえも、まるで人形の様に繋ぎ再構築してしまう。
異常だ。
『DA』きっての異常枠である僕が言うんだから間違いない。
なにより不可解なのは――どうしてそんな人物のことを、僕は
そんな傑物、忘れる筈がない。否、もっと言えば一年以上前の記憶――
彼はどういうつもりで。
なんの意図があって、僕にこんなものを残したのか。
そして僕に残したものの一つである、あの『課題』の正体は一体なんなのか。
それが僕の未だに不明な素性に関係するものなのか。
僕が時折見る『夢』はなんなのか。
わからない。
まるでわからない。わからないモノなのに、こんなにも僕とリコリス達に役立ってしまっている現状に、どうしようもない不安を覚えている。
もしかしなくても僕は――とんでもない爆弾を、『DA』に共有してしまったのではないだろうか。
「――うん、良くないな、コレ」
――――ぶんぶんと、ドツボに嵌まりかけた思考を振り払う様に頭を振る。
うん、良くない。本当に良くない。
具体的にはこの思考が。
曲がりなりにも僕は『DA』の一員で、そのうえで僕は人を、味方を殺しかけた。
少し扱いを間違えただけで一組織に無視できない打撃を与えてしまう欠陥品が誤作動と言う名の暴走を引き起こした。通常であれば廃棄処分が妥当であろうが、皮肉にも僕の今回の行動こそが僕を延命させる要因の一助となってしまっている。
罪を償えというのならそうしよう。ではその最善とはなにか。
前を向きたく無くとも前を向いて、自分の犯したことと向き合うしかない。
後ろを向いている暇なんてない。向く資格なんてない。
僕を本当の意味で裁ける人間はどこにも存在しない。裁ける人間はそれでも、僕に生きて欲しいと願ってくれた。
なら、戦わなきゃ。
少しでも、誰かを助けないと。
そうやって僕は、自分の存在価値を示し続けるしかないのだ。
「よし、そうとなれば準備準備」
それにそんな事件があったとしても、本日も『喫茶リコリコ』は通常営業。
本家大元とも言える『DA』はそんな調子ではあるものの、それはあくまでリコリコの裏側の話。
表向き営業するにはなんの差し当たりもないのは、こういった形で支部として運営し擬態している拠点の長所とも言えるだろう。店長の様子を見れば、そのうち本業として展開する可能性もあるかも。
千束の好きなものの為にも、可能な限り元気に働くとしよう。
そんなことを考えながら、夏仕様となった紺色の着物に袖を通す。首元が乱れてないかを鏡でチェックして、裾も襟も乱れてないことを確認してから鏡を見る。
そこには相変わらず無愛想な童顔と共に、包帯や治療痕が完璧なまでに着物の下に隠れた自分が映り込んでいる。
「――行こう」
ふんす、と気合を入れ直すように帯を締め、ホールへの扉を開けた。
「――重役出勤だな、カナメ。待ちくたびれたぞ。主にミズキが」
「うっさいわ! 大体! アンタと千束がいない間はアタシとよりにもよってこんなちんちくりんと店を回すことになったんだから。謝礼をしろ謝礼を。具体的にはアタシに男が寄ってくるよう婚活サイトのプロフィールを充実させるんだ」
「お前ホントいつもソレばっかりだな」
「婚期は鮮度が命なんだよ」
「ボラはどこで釣ってもボラだろ」
「言葉には気をつけろよ?」
開けた扉の先は、いつもの『喫茶リコリコ』の姿があった。
相変わらず婚期に対する異常な危機感から言動が面白くなっているミズキさんに、そんなミズキさんを僕でも言いすぎだろと感じるレベルのエグイ罵倒をすまし顔で口にするクルミさんは、思わず言葉に詰まるくらいにはいつも通りだった。
特に僕を起点に会話を始めたのにいつの間にか僕を置いてけぼりに漫才を繰り広げてる辺りが本当に二人らしい。
そこから視線を移せば、これまたいつも通りにカウンターで珈琲の準備を進めている店長の姿もあった。
「店長……えっと、戻りました」
「カナメ、今日はリハビリ程度に動けばいい。だから無茶はするなよ」
「……ありがとうございます。その、なんて言ったらいいか」
「本当はそんな時くらい店を休んで欲しいのが本音なんだがな……一度言ったら譲らないのは千束の影響だろうから、褒めてやれば良いのか叱れば良いのかわからん」
苦笑いを浮かべてそう口にする店長は実に包容力に溢れた態度で僕に接している。
僕の暴動、それによる千束とたきなの行動不能になり得る負傷。この『喫茶リコリコ』のボスである店長が知らない筈もない。その通達は、恐らく楠木さんと店長の関係性からして電話やらなんやらで直接耳にしていることだろう。
だから、怖かった。
僕が壊そうとしたのは、店長の宝物。きっと命に代えても護りたいであろう、錦木千束だったのだ。
怒られるか、あるいはここから出ていけと言われるか。
そんな人じゃないなんてことは知っている。僕がたとえどれだけ取返しのつかない間違いをしたとしても、この人はそんな僕を受け入れてくれるだろう。なんなら、僕が一番知っていると賭けてやったって良い。
だがそれでも……僕が傷つけたものはそんなこの人の優しさを裏切る様な行為で。
きっと、元通りになんていかなないって。
心のどこかで、そう思っていた。
だってそうじゃなきゃ、僕に都合が良すぎる。
「お前のことだから、色々後ろ向きなことを考えているんだろうが……私から言えることは一つさ」
――――おかえり、カナメ。
「――――」
だが、今のやり取りを見て、そんなことはないと確信した。
全部知っている。だから気にしなくて良い、と。
店長は、こういう所がある。清濁併せ呑む、とも言うのだろうか。この仕事に現在の年齢まで従事しているのだ。きっと僕よりも綺麗も汚いも知っていることだろう。
知っているから、許すことが出来る。許してくれる、謎の包容力があるのだ。
それはあの家じゃ、一度も感じることが無かったもの。
口元が震える。渇いていた胸の裡が潤されて、満たされていくのを感じる。
ソレを僕は知らない。覚えがない。胸に満ちるコレを、きっと僕は忘れたのだ。
零れそうになるソレを、今も口を噛み締めて必死に堪えている
僕が斬っても、斬れないものが。
僕が壊しても、壊れないものが。
それがこんなにも身近にあったんだ。
「つーかアタシも千束から聞いたんだけどさーあ? ソレ完全に『DA』の責任でしょ。アタシからすれば、こんなガキんちょに戦わせておいて、いざ謀反の可能性があったら殺す? それでも社会人かっての。度量が知れるっての。あー、口が腐る。だから飲むわ」
「ミズキさん……今の話の内容で飲む要素が一ミリも見当たらないんですが……」
そしてこの人もいつ通り。
会った時と変わらない。呑んだくれで、だらしない。色んな意味で目を離すことが出来ない、打てば喧しくも明るく鳴くその気質。
ああだ、こうだと言いながらこの店で一番人を見ていて、優しい人だ。
その人が気づかない様に静かに、迷ってるその背中を押してくれる。
「まぁ……僕みたいななのが居たら警戒するのも当然だとは思いますけど」
「アンタのそんな怒られるのが怖くて仕方ないガキみたいな姿を見てないからそんなことが出来んのよ。ほんっと、自分からそんな方針立てておいてまぁーぬけぬけと。あとアタシらに伝わらないように徹底していたのが猶の事ムカつく」
「……」
正論な正論に押し黙る。乱暴な物言いだが、そこには子どもを利用している現在の『DA』に対する義憤を一本の筋として感じ取ったからだ。
異を唱えるなんて出来るわけがない。
だってそれは、僕だってミズキさんと同じ立場だったら、同じことを考えていたと思うから。
「まーでも? アンタがそんな怪我する時っていつだって、アイツらの為だったりするだろーし? なら――アタシくらいはちゃんと言わなきゃ釣り合わないっしょ」
伏し目がちの僕にミズキさんはそう言うと、ぽんと僕の頭の上に手を乗っけた。
わしゃわしゃ、くしゃくしゃと。
遠慮も躊躇もなく、刻みこむみたいに僕の髪を掻き回す。
「頑張ったじゃないアンタ。痛くても、怖くても、アンタは帰ってきた。だったら、此処に居る時くらいアイツみたいに子どもで居なさいよ」
「……うん」
僕の頭に手を動かしながらそう告げるミズキさんの顔を、じっと見つめる。
脳天から伝わる充足感と、胸の中の渇いた何かが満たされていくのを噛み締める様に、彼女の姿を視界に収める。俯いた僕の姿勢からすれば、何だか僕が見上げてるみたい。
するとそんな僕に対してミズキさんは何を思ったのか、急にカウンターに置いてあった酒をひったくる様に傾けた。それは急性アルコール中毒もかくやと言わんばかりの勢い。
酒気の所為か、その顔は少し赤かった。
「ぶはーっ……おいクルミ。アンタもなんかコイツに言いたいことあるんでしょ~? なーんか色々ごちゃごちゃ言ってたじゃない」
「いや……むしろそれよりもボクとしては余計にカナメの過去が気になったがな。カナメ、本当に覚えてないのか?」
「……それは、その……」
クルミさんの指摘に、思わず口籠る。
それは僕が知りたいというか、というか僕が説明して欲しいくらいなのだが。
そして、知っていそうなのが胡散臭さ一〇〇パーセントの伊達男と、全身黒ずくめの女性剣士という軒並み危険人物なのだ。
誰かに相談しようにも僕は父が居たことは知っているし一緒に過ごしたが顔を思い出せないんです、なんて心の病気かなにかと思われるのは目に見えている。
足取りなど、僕の力ではとてもじゃないが探れそうにないのが現状だ。
「クルミ」
「わかってるさ、ミカ。だがな、いずれは知らなきゃいけないことだろう。コイツが前に進むには必要だ」
「それでもだ。カナメも『DA』の件のことは気にしている。千束やたきなからカナメの状況は聞いていたんだろう? だから、今はまだやめておこう」
「……」
クルミが悩まし気に唸ると共に僕の顔を見る。
そしたらどういうわけか、彼女は目を見開いて、やっちまったみたいな顔をしていた。
……千束やたきなから『DA』の僕の状況をどんな風に僕のことを聞いていたんだろうか。
流石に僕の核心的なことは話してないとは信じたい。
死にたいだなんて、この人達を前にして言えるわけがない。アレは一種の甘えみたいなものなのだから、
たきなもいたみたいだから、誇張しているとかそんな事実はないだろうけど。
「……ごめん、カナメ。その、無遠慮だった」
「えっと、なんのことだクルミさん」
「……自覚がないのか?」
「僕はいつも通りのつもりだが」
「……成程、確かに重症だなコレ。二人はどうやってコイツを引き戻したんだか」
いや、一人で納得ないで欲しい。そしてミズキさんも店長も、うんうんと頷いていないで僕にもその内心を共有して欲しい。
いくら僕だって、目の前に答えがありそうなのに無視できるほど能天気じゃないのだ。
「クルミさん、それは僕も知りたいところなんで是非とも情報共有を――」
「おっまたせー。先生、言ってたヤツ持ってきたよ――って、カナメくん! とりゃー!」
「うお」
ぬっと千束が出てきたかと思えば、僕の背中に飛びついて来た。
背には女性特有の軽やかな重量感と着物越しでもなお伝わる柔らかな感触。
クルミさんとの会話に没頭しかけていた僕には、その隠行とばかりに来た突然の登場に思わず変な声が出た。
「い、いたのか千束」
「いるよそりゃー。それより見てたぜ? ミズキに撫でられて随分とまー嬉しそうだったじゃん。ねぇ、どうしてかな。どうしてカナ~」
「うぐ……」
背中に乗ったまま僕に顔をつついてカナカナ鳴いている。思わず振り落としたくなるウザさを感じるが、やっぱり顔が綺麗だなぁなんてこれまた能天気極まりない感慨によって見事にそんな感情はもにょもにょと相殺された。というかした。なんなら現在進行形で千束に魅入られる方向へ急上昇。というか近い近い。本当に近い。
……そうだ、此処はリコリコなんだから千束が居ないなんてことは無い筈だった。
なら、だったら、まぁ、うん。
僕に関しては別に、今度でも良いだろう。いつも通りのリコリコも千束があってこそ。僕の話、それも素性に関わることとくれば午後の喫茶店らしからぬ物騒な空気になるのは目に見えている。
「ってかそれより千束、怪我は大丈夫なのか……? あの時もやたらたきなやフキさん達に心配されてたけど」
「元気ぴんぴんだよ~。それにカナメくんが『DA』に渡してくれた技術のサポートもあって……ってそんな難しいことは置いておいて」
「結構気になるんだが……」
けれども千束の様子を見れば確かに、と思うのも事実。
とても少し前に僕に串刺しにされたとは思えない元気の炸裂っぷり。
だがそんな姿にどういうわけか――違和感を覚える。
「……?」
特徴的な赤い着物はそのまま。頬や手首にあった湿布やら包帯は取れていて、リコリコで働く時の千束のまんまだ。
どうしてだろう。理由がわからないから、言及する理由が見当たらない。
だがその違和感を紐解いていくほど、千束の顔色がどこか薄い気がしてならない。
「――よーし! じゃあ仕事を再開しよう! カナメも、たきなが外で頑張ってくれているぶん、ホールを回してくれくれ。勿論、無理がない範囲でな」
「り、了解」
「あ、じゃあカナメくん、ちょっと倉庫から夏物の器取りにいくから手伝ってよ。背が高い人が居ると助かるぞい」
「任せろ――っと、その前に」
ひょいひょいと千束を背負ったままミズキさんの下へ移動していく。
そして今か今かと酒の到来を待ち侘びていたミズキさんの口元へ栓をするように、どっかのゼンマイ団子剣士が如く近くにあった団子を口にすぽぽと放り込んだ。
お行儀が悪いからやめなさい、と店長から注意された。むぅ。
「なぁ!? ちょ、ちょっと返せやカナメ! アタシのライフライン! ライフワーク! バイオ燃料!」
「やっかましい! なんでいつもこれから営業って時に呑むんですか……! もう言ってやりますけどそんだんだから男が寄り付かないんですよ! 香水みたいに酒浴びてる女性にどう惚れ込めって言うんですか! お陰であなたの世話係に板がついてきちゃったなんて言われた僕の気持ちわかります!?」
「んだとコラァ! だったらアタシの出会い系のプロフィールの一つや二つ作って見せろ! っていうか作ってくださいお願いします……!」
「人間って品性捨てたらおしまいだなってコイツ見てると思うよなー千束」
「品性っていうか酒癖が悪いんじゃが」
――――わちゃわちゃと喧騒が過ぎ去っていく。
失いかけて気づかされたこの場所は、どうやらもう僕と切り離すことは出来ないし、許されないらしい。
だというのなら、うん。
もう少し、踏み込んでみても良いのかもしれない。
この周囲の人だけじゃなく、僕自身にも。
「――――?」
「うお、どしたカナメくん」
「……あー、いや、別に。っていうかそろそろ降りて」
「えー、カナメくんだったら私一人くらい余裕でしょ。ってか学校行ってて会えなかったぶん構え。ホラ」
「危ないから……」
背中に張り付いたままの千束にぼやきながら、どこか満更でもない自分が居る。
彼女もそう言いながら、何やら喜ばしげに僕の背中へ顔を擦り付けてくる。
ぐりぐり、ぐりぐりと。
僕の後頭部に顔を埋める千束を止めることなく、目的の地下倉庫へ向かう。
――――どこか、妙な視線を感じ取りながら。
今回はここまで。
この幕間でもやりたいことがいくつかあるんで、書き進めていきたい。
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それでは。