魔人にされた俺、何もしてないのに魔法少女に殺されそうです。   作:夜虚

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白夏君、始めての魔獣討伐回。



楽しんでくれると嬉しいよ。


第三話 始めての魔獣討伐

 

ヨシッ、行けるっ!

 

俺は自分を影で包み込み、空へ昇る黒紫の光の元への転移をイメージする。

 

影が晴れると何処かの小道に立っており、目の前には何処かの大通りがある。

 

 

「っと、コレで転移出来たのか?」

『出来てますね。すぐ目の前の大通りに出て右側に進んだ突き当りにいます。』

 

 

突如、()()()に声が響き、驚いてしまう。

 

 

「うわっ!………あぁ、サイカか。驚くから急に話しかけんでくれ。驚く。」

『無茶を言いますねぇ。』

「冗談だ。だが、驚いたのは事実。」

 

 

小道で(おど)けたようにサイカと話す。

 

 

「所でよ、コレ本当にただのイヤホンか?なんちゅーか、聞こえるんじゃなくて、頭に直接話しかけられてるみたいな感覚がするんだが。」

『お?それは本当ですか?』

 

なにやら少し驚いた様子の声が返ってくる。

 

「此処で嘘ついてどーするよ。不具合じゃねーだろーな?」

『不具合じゃ無いので安心してください。

 …ということは適性あり、と。

「ん?不具合じゃ無いなら良いがなんか言ったか?」

『私用なんで気にしないでください!それじゃサッサと倒しましょう!初陣(ういじん)です!』

「はいはい、この大通りを右だな?」

『はい。その先に、魔物がいるはずです。』

「はいよ。さぁーて最初の相手さんは……なんだアレ?」

 

 

細道を出て大通りを見るとその先には黒紫の光を立ち昇らせてる黒紫色の要塞みたいな亀とその周りを飛び回りながら弓撃ってるなんか冒険者とかが着てそうな緑のフードを着た女がバンバン弾幕戦を繰り広げていた。

何故女かとわかったかと言うとなんかめっちゃ「あーもー硬ィーー!!!」みたいな事叫んでるから。

 

 

 

そら亀だもの。上からの攻撃には強いよ。亀の方も甲羅が要塞みたいになっててバカスカ大砲撃ってるし、女は手に持った弓から緑の矢みたいな砲撃?を撃ってるし。不思議と着弾した先は爆発しても建物が多少焦げる程度で済んでるけど…………あの女の格好じゃ直撃したら無理だろな。

 

 

 

「ねぇねぇ、サイカさん?俺にあの中に突っ込めと?」

yes of couse!(モチのロンです!)

 

思わずぶっ飛ばしたくなるくらいには明るい声が返ってきた。

 

「どーしろっちゅーねん………。というかまず俺が何出来るかを把握しねぇと。」

『魔人は基本的に欲望と能力が殆どイコールなので、多分あなたがしたい事は大体出来ますよ?あなた珍しく決まった欲が無いみたいですし。』

「あー、成程なー。あの扉の少女もイメージの具現化とか言ってたしなぁ。」

『因みにあの亀の欲望を例に上げるなら、能力から見て、引き篭もりたい、他者に干渉されたくない、といった辺りが欲望でしょうかね?』

「成程ね。んじゃ、あの亀をぶっ潰すなら………引き篭もりを外に引き摺り出す(ひきずりだす)のと同じ要領でやりゃ言い訳だ。」

(`・ω・´)☆キラッ

 

 

顎に手を当て、したり顔をするビャクナ。

顔がいいせいで残念美人感が途轍(とてつ)もなく半端(はんぱ)ない。

 

 

『まぁ……多分ソレで良いと思いますけど………』

「ヨシ、なら必要なのはデカいハンマーだな!」

『ハイ?』

「引き篭もりを外に出すにはどーするか?普通は話しかけたりとかが普通だろうがアイツには言葉は通じない。」

『ハイ、その通りですね。はい。』

「だ っ た ら 扉 を ぶ ち 壊 せ ば 良 い じ ゃ な い ! 」

『ハイィ!?』

 

 

 

頭の中で困惑しきった声が聞こえるが無視無視。

 

 

 

「そんじゃあハンマーを出しますかね!いでよ!巨大ハンマー!」

 

 

空に向かって手を掲げて叫ぶ。

 

 

『えぇー、そんなんで出るんですか?』

 

 

その疑惑感満載(ぎわくかんまんさい)の言葉と同時に俺の手に俺と同じくらいのサイズのハンマーが出た。

木製の取っ手と鉄で作られた丸い面と釘抜きがついてて頑丈(頑丈)そうだ。

 

 

「…………いやこれハンマーじゃ無くて金槌(かなづち)ィ!!!

 使うにしてもクソダサ過ぎるだろオイ!」

『えぇー、ソレで出るんですか………。イメージが大事なんじゃ無いんですか?というより今気づきましたけどその格好であの弾幕の中動けるんです?』

 

言い忘れていたが、今のビャクナの格好は先日と同じ黒のドレスである。

 

「あー、成程。イメージかー。忘れてた。服装もイメージでどーにかなるか?」

『多分なるんじゃ無いんですかね?魔物も魔人も欲を糧にするので強く願うのも大事かもしれませんけど。』

「よっし、そんじゃリトライだ!

いでよ鉄槌(てっつい)大鎚小槌(オオヅチコヅチ)(マン)(マン)(マン)

っしゃオラァ!」

 

さっきのデカい金槌を持って頭上でクルクル回すと金槌から、白黒の大きな鉄槌に変わった。ついでに服装もドレスから、某黒の教団の団服になった。

 

 

『あー、Dグレのアレですか。』

「生憎パッと思いつく大鎚がこれだったんでね。特殊能力が使えるかはわからんが今は充分!そ〜ら突撃じゃぁ!!!」

 

 

俺と同じ位の鉄槌を片手に亀に突っ込む。

 

 

「誰じゃ!?お主応援か!私がコヤツの気を引き付ける!主はその間にコヤツを倒しておくれ!」

「了〜解!このまま突っ切る!任せたぞ!」

 

 

さっきの緑の女がなんか勝手に自己完結していきなり協力持ちかけられたが、今は丁度良い。多分、コイツアホの子だ。俺が魔人ってのに気付いてない。だったら利用するのみ!

 

 

 

ゴアァァァァァァアアアアア

 

 

亀型の魔物は吠えると同時に弾幕の雨を降らしてくる。

 

 

 

「オラオラ邪魔だ邪魔だァ!」

 

 

槌をグルグルぶん回して飛んでくる弾を弾き飛ばす。

 

 

あの亀俺の事舐めてんな。大量にある砲門の内十ちょいしかこっちに向けてない。

多分あの女との弾幕戦に手かかってるのもあるんだろうが。

 

 

 

「大鎚小槌!(マン)(マン)(マン)!!!

  そぉら潰れろぉ!」

 

 

 

鉄槌を空に掲げ、例の文句を叫ぶ。

俺の欲やイメージ通りになるのはあっているらしく、満の言葉と同時に槌が巨大になっていく。

 

 

 

 

そしてトラック並みにデカくなった槌を亀野郎に叩きつける。

 

 

ガキィーーーーン!!!!!!!

 

 

『〜〜〜〜っ!かってぇ!』

 

 

 

 

 

が、叩いて返ってきたのは強い反動と金属を叩いた時特有の高い音。

強烈な痺れが腕を襲う。

 

 

 

 

「気を付けろぉ!!まだお前さん狙われとるぞ!」

『飛び退いてください!狙われています!』

 

 

二人の声にハッと気を持ち直すと、他の砲門が俺に砲口を向けていた。

どうやら叩いた部分は駄目に出来たが、まだまだ砲門は残っているらしい。

 

 

 

「あっぶねぇ!」

 

 

 

なんとか慌てて飛び退き、直撃を回避する。

亀から射程圏外まで一度下がる。

 

 

「大丈夫か!?」

 

 

 

弾幕戦を繰り広げていた緑の女も一旦コッチに来た。

 

 

 

「あぁ、なんとか。そっちは?」

「私は大丈夫だ。」

「んで、どーするよアイツ。想像以上に硬いぞ。」

 

 

緑の女と話しながら俺は改めて亀を見る。

サイズは大体普通の二階建ての一軒家と同じ位だが、なんか色々砲門がついている。1番簡単なイメージがキョダイマックスしたカメックスを普通の亀みたくして、砲門をめちゃ増やしたみたいな感じ。

 

「何か決め手があれば良いのだが…………して、お主。名は何と言う?」

「私?私の名前はビャクナ。あんたは?」

 

バカ正直に答える訳にも行かないので家で決まったのを名乗った。

 

「私か?私は深緑の暴風ブラストじゃ!此度限りかもしれぬがよろしくの!」

「こちらこそよろしく。で?あの亀どーやって攻略しようか……。」

 

あの亀クソ硬ェ...どうしてくれようか....

 

「私がやり合った感じじゃと基本あの砲撃のみで、それ以外は特に何もしてこん。」

「成程、ならアイツを倒すなら、砲門を全部潰すか、纏めて全部ぶっ飛ばすか、って事か。」

「そうなるの。しかしどうする?私の能力は風だが、アレを貫けるほどの物は撃てんぞ。」

「んー、合体技でもしてみるか?」

「ほほぅ!それは中々浪漫(ロマン)があるの!いいのじゃ、乗った!」

 

俺の提案にどことなくテンション高めな返事が来る。

 

「オーケー、なら合体技を考えてみるか。アンタ、大技はどんなんだ?」

狂乱鎌鼬(きょうらんかまいたち)、という技なんじゃが、ドーム状に鎌鼬を大量発生させて、中の敵を切り刻む、という技なんじゃの。しかし、如何(いかん)せん、ああいう固い(やから)とは相性が悪い。」

「あー、それは仕方無いな。なら、私がメインになるのか。何か良いのあったかねぇ…」

「主の能力は何なんじゃ?」

「想造、簡単に言えばイメージした物の具現化、だな。ただ、まだ今一つ使い勝手がわかってねぇのよ。」

 

なんせ魔人になったのは昨日だからねぇ。能力把握もまだですし?

 

「むぅ………手詰まりじゃのう………。ん?さては主、漫画やゲームの技も再現可能……じゃったりする?」

「多分出来ると思うぞ。さっき試したら武器は出来たし。」

「なんと!ならさっきの巨大な槌も何かの作品からか?」

「D.Gray-man、っていう漫画からだな。」

「ならば、エヴァは知っておるか?アレのロンギヌス、もしくはカシウスの槍は作れるかの!?」

 

滅茶苦茶目をキラキラさせながらコッチを見てくる。

 

「エヴァはちゃんと見てないけど、ロンギヌスの方だけはわかるよ。」

 

妹達がなんか見てたんだよなぁ。

 

「ならばソレであやつを(つらぬ)けんかのう?私の風を上手く操れれば加速もさせられるじゃろし。」

「確かにそりゃいいな……ヨシ乗った!私がロンギヌスであの亀の頭から尻尾まで貫くから援護頼んだ!」

「了解なのじゃ!」

 

 

 

お互いに少し離れ、準備を始める。

 

 

「この地に住まいし、精霊達よ、」

「いでよ!ロンギヌスの槍!」

 

 

足元の影が水面の様に波打つと、自身をエヴァとしたときと同じ比率のロンギヌスの槍が出てきた。

 

 

「カウント行くぞ!」

 

 

大声で合図を送り、槍を構える。

 

 

「我が名の元に天駆け地を駆け魔を討ち祓え!」

「4.3.2.1.オラァッ!」

「駆け抜けろ!ブラストフォールナー(疾風の先駆者)

 

彼女の詠唱が終わると同時に槍を亀に目掛けて全力で投げ、同時に駆け出す。

彼女はどうやら魔法を使ったらしく、掌から現れた緑色の風が槍を包んだかと思うと一気に加速し、亀を頭から貫いた。

 

ついでとばかりにトドメだよぉ!!!

 

 

「何をしておるのだお主!?」

 

 

槍投げと同時に駆け出した俺に驚いた声が聞こえる。

 

 

「そしてトドメにぃ!大鎚小槌(オオヅチコヅチ)

  (マン)(マン)(マン)(マン)(マン)

  (バン)丸火(マルヒ)劫火灰燼(ごうかかいじん)火判(ヒバン)!!!

 

 

一度下がった時に手持ちサイズまで小さくしていた鉄槌をもう一度巨大化させ、Dグレ原作の技を使う。

 

叩いた部分に丸火の判が刻まれ、そこから炎の龍が現れ亀を飲み込み、溶かしていく。

 

炎の龍が消える頃には太った男以外には何も残ってなかった。

 

 

「ヨッシ、魔物討伐完了っ!」

 

 

やっぱり、しっかりイメージすれば原作の技も使える。

そう確信すると共に耳元でカチリ、と何かがハマる音が聞こえた気がする。

 

「お主中々な力技を使うのう。槍で貫くだけでも良かったんじゃ無いかの?」

「そこは念の為、ってのとついでに能力の確認。ソレにあの火は多分私が解除すれば消えるだろうし。」

「火力があるのは羨ましいのぅ。私じゃ雑魚狩りには丁度ええが、どうにも硬いのはてんで駄目じゃからなぁ。」

「そこは修行なりなんなりすれば改善出きるんじゃない?」

「かぁ〜、やっぱり参加するしか無いかのぅ。」

「参加するって何に?」

「ありゃ?お主知らんのか?明日、魔法少女達で集まって情報交換兼互いに研鑽し合うんじゃぞ?巷じゃ会合なんぞ呼ばれとるが。」

「へぇ〜、そんなのがあるの。なら参加した方が良いでしょうね。」

「しかし、結構キツイとも聞くからの〜。」

「まぁ、参加するかどうかは自由なんだし、好きにしたら?それじゃ私は帰るわ。無理はしないようにね?」

「気遣い感謝するのじゃ。」

「また、会わない事を祈るわ。」

 

俺はそう言うと同時に影に潜り、家に帰った。

 

「………会わない事を祈る?どういう事じゃ?しかも今転移を使わなかったような?……分からぬ事を考えても仕方無い。転……あ、被害者の保護をするのを忘れてたおったわ。」

 

 

亀がいた方を見ると、一人の小太りの中年男性が路上にボテンと倒れていた。

 

 

「え〜っと、確か魔物の元になった者は……転送?で良かったかの?」

 

倒れた男性に掌を向け、

 

 

「転送!」

 

『聖なる光よ!魔を浄化されし者に変わらぬ安寧をもたらせ!』

と、言うと、男性は光の柱に包まれて、その場から消えた。

 

「よし、コレでええかの。はぁ、明日が憂鬱じゃのう〜。背に腹は代えられぬがの。ハァ、転移。」

 

一人残された深緑の暴風もため息を付きながら転移と呟くと同時に天から注ぐ光に包まれて、その場から去った。

 

 

 

 

 

 

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