木組みの街の探偵さん   作:アユムーン

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依頼その5 潜入任務→抹茶鯛焼きパフェ

探偵事務所休業事件から少し経ちました

 

露も今回のことはかなり堪えたようで、生活が色々と変わったようです

 

…まず食生活は、

 

「どうぞお嬢様」

 

今日は執事の服でリゼに夕食の配膳する露

 

「ありがとう、一緒に食べないか?」

 

「折角ですがこの後狩手さんに賄いをつくってもらう予定なので」

 

「ユラと食べるのか?」

 

「夕飯をご一緒するのが作ってもらう条件なので」

 

「最近お弁当も作ってもらってたよな」

 

「食材が余ってもったいないとのことなので、ありがたく」

 

「お前もユラにお弁当作ってるよな」

 

「狩手さんに比べれば簡単なものですがそれでもいいからとのことなので、食材も好きに使ってもいいと旦那様から許可を貰えましたので」

 

「そのまま昼飯も一緒に食べてるよな」

 

「互いに感想が聞きたいので」

 

「…」

 

つまり、ユラと露は最近二人で昼と夕を一緒に食べてるというわけで…

 

「お嬢様?」

 

「そこにっ!私も!!いれろよ!!!」  

 

ユラの思惑通りに事が進んでいる部分がありますが、食生活は改善されました

 

依頼の方もまたそれなりに来るようになりました

 

「探偵さんありがとうねぇ」

 

「いえ、探偵ですので」

 

近所のお婆ちゃんからの依頼で庭の掃除をして、報酬に緑茶とそれからご厚意の羊羹をいただく

 

「もうすっかり暖かくなりましたねー」

 

「そうだねぇ、桜も散ったしこれから暑くなってくるのかねぇ」

 

「そうなったら大変ですね。なにかあったらいつでも言ってくださいね」

 

「ありがとうねぇ」

 

「いえいえ」

 

そうして学校、依頼、屋敷の仕事、を繰り返すそんなある日のこと

 

その日の依頼である『ウ○ーリーがどうしても見つからないので手伝ってほしい(報酬→う○い棒コンポタ味)』を達成し、事務所に帰ってきた

 

「ふぅ…あぁ眠い…」

 

二時間に渡る大捜索の末に遂に発見、その疲労感は凄まじく、ソファに座って一息つくと

 

今日は屋敷での仕事はないので後はもう休むだけだが…

 

「(今日は疲れた、ご飯作るのめんどくさい…食べなくてもいいかな…)」

 

明日からちゃんと食べるから…と心の中のリゼと千夜に言い訳しながら眠りに落ちようとしたその時

 

バンッ!!!

「露君大変!事件よ!!!」

「!!?」

 

サスペンスの導入のような展開かのように千夜が事務所のドアを開けました

 

「ドアもう結構ボロいので優しく…ってそれより事件!?」

 

「そう!事件なの!」

 

「!!」

 

千夜の慌てぶりからこれはただごとではないと覚悟したと共に…

 

「つ、遂に事件!兎探しに探し物や悩み相談ばっかりだったこの事務所に!!」

 

事件というTHE探偵な仕事に浮き足立つ露、こうしてはいられないと千夜をソファに座らせていつかすごい依頼が来た時用にととっておいたとっておきの茶葉でお茶を入れて、庭掃除のお婆ちゃんからお土産に持って帰りなさいねぇともらった羊羮を出しました

 

「す、すごい至れり尽くせりね」

 

「それでそれで!?事件って何なんですか!?空き巣!人探し!?それともさつじ「それで喜ぶのは流石にダメよ」むぐっ」

 

滅多なことを口にしようとした露の口に羊羮を突っ込み、話を一度途切る

 

「話を聞いてもらう前にこれを見て」

 

「もぐもぐ?」

 

羊羮を頬張りながら千夜が机の上に置いたチラシを見る

 

「ごくっ、『~心も体も癒します~フルールドラパン』…ってこれ最近オープンしたハーブティーのお店ですね」

 

それは露の言う通りハーブティーの喫茶店のチラシ、ただすこーしだけ露出多いメイドさんの写真が写っている

 

「流石露君既に知っているのね」

 

「まぁ探偵ですので。それでここがどうしたんですか?」

 

「今度ここでシャロちゃんがバイトするって!!」

 

シャロちゃんというのは千夜の幼馴染みである桐間紗路ことで露とも幼馴染みの関係にあたる人物のことだ

 

そのシャロがこのフルールドラパンで働くらしい…のだが

 

「あれ?知らなかったんですか?」

 

羊羮で甘くなった口をリセットするために緑茶を一口…美味しい

 

「そう!知らなかったの!!…え?」

 

「だから、桐間さんがここで働くこと、知らなかったんですか?」

 

「知ってたの!?」

 

「知ってますよ。むしろバイトに誘われましたし」

 

「えぇ!?いつ!?」

 

「丁度宇治松さんの所に住ませてもらってた時ですね」

 

数日前、甘兎庵にて

 

「こんにちわー、千夜いますか…って露?」

 

「あ、桐間さんいらっしゃいませ」

 

千夜を訪ねて甘兎庵にやって来たシャロだったが迎えたのは露

 

「なにして…あっなるほど」

 

「お察しの通りでして、宇治松さんは今買い出しに出掛けてますよ」

 

長い付き合いだからこそ現状即座に把握した

 

「まぁいい薬ね。これを機に真っ当に生きなさい」

 

「いや別に恥ずかしい生き方はしてないはずなんですけど」

 

「一人前じゃないからちゃんとした報酬も貰えないのに続けてこの先で生きていけるの?」

 

「っ、それは…」

 

「露が探偵の仕事に誇りをもってることも分かってる。だけどそれだけじゃ生きていけない…ちゃんと生きていくために働くことって大切だと思うの。お屋敷の仕事もちゃんとこなしてるのは知ってるけどね」

 

とある事情で働く、稼ぐことに関して敏感なシャロは探偵の仕事を始めた時点から露のことを心配していた

 

「…」

 

「今度会った時は病院でしたなんて笑えない。でも露を見てるとそうならないとは思えない…だからこれ渡しておくわ」

 

渡されたのはフルールドラパンのチラシ

 

「今度ここでバイトするんだけどまだまだ人手が要るみたいだから…もし良かったらどうかしら?お屋敷の仕事の合間でもいいし」

 

「ありがとうございます…」

 

「いい返事を待ってるわ」

 

「はい…無銭飲食の桐間さん…」

 

「じゃあね…ってなんでそれ知ってるのよ!?」

 

「この街のことで知らないことはあんまりないです」

 

「っ!揚げ足取るんだから!!」

 

「いや自業自得でしょう。財布の中身足りないのに来店するから…」

 

会計でお金が足りなかった→無銭飲食になりかけた→お皿洗いで労働返し→それきっかけでバイト決定、の流れである

 

「気づかなかったのよ!!」

 

「せめて宇治松さんに連絡するとか」

 

「そんなことで借りを作りたくない…」

 

「私もいますし」

 

「私よりもお金がない人に言いたくない…」

 

「とても失礼ですね」

 

…などというやりとりがあったのだ

 

「まぁ結局この間のことがあって結局探偵を続けることにしたので、桐間さんとはそれっきりですね」

 

「そうなのね…けどこのお店大丈夫?いかがわしかったりしない?」

 

「んー、ハーブティーは美味しいらしいですけど制服が私のメイド服の2倍肌の露出が多いですかね」←普段は長袖&ロングスカートのクラシカルメイド

 

「そんな!?」

 

「そんなに心配ですか?」

 

「そりゃもう」

 

「ふむ…」

 

露の説明を聞いてもまだまだ心配の様子

 

千夜とシャロは互いに過保護だと常々思っているがこれほどとは(お前もな)と思いつつその気持ちを汲んであげたいので

 

「…こうなったら「潜入しましょうか?」え?」

 

「勧めてもらったのに一度も行かないのはどうかと思って一回くらい行こうと店長さんに聞いたら一日体験してもいいとのことで」

 

「!」

 

「『シャロさんの様子を探るためにフルールドラパンに潜入しての極秘調査』、期間はバイト終了まで、報酬は甘兎庵の黄金の鯱スペシャルでどうですか?」

 

「それでお願い!私もお客側で様子を伺うから!」  

 

「それではその依頼、お受けしましょう!!日程はいつにしますか?」

 

「そうね、ならこのくらいで」

 

というわけでトントン拍子に予定が決まっていき、いざ当日

 

「ってわけで今日だけ体験バイトの義良ちゃんでーす」

 

「よろしくお願いします」スッ

 

フルールドラパンの店長からの紹介を受け両手でスカートの裾を掴み少しあげて軽くお辞儀をする露、見た目は完璧メイドである

 

「露!?」

 

「あ、桐間さん。御呼ばれにあずかり参りました。」

 

「結局探偵続けるって聞いてたから来ないと思ってたわ」

 

「一度も来ないのは不義理かと思ったので来ました。

 

制服は覚悟してたんですけどサイズがないみたいなので自前です」

 

他女子に比べると身長が高いため、本日はリゼの屋敷で使っているメイド服を着て来た

 

「そうなのね、やっぱりそれ似合ってるわね。早速案内するわよ」

 

「ありがとうございます」

 

…そうしてシャロに店内の案内や仕事の内容を教えてもらい、一時間後

 

スッスッ…トレーを片手に音もなく歩き、来店したお客様の元へ向かい

 

「いらっしゃいませお嬢様、お席にご案内します」

 

そして席に案内して即座に水とメニューを渡す

 

「お待たせしました。こちらメニューとなります。

 

 本日のおすすめは…えっ?注文するから是非私の連絡先を?いけませんよお嬢様」

 

スッと人差し指を口許に当てて…

 

「メイドとそういった関係になるなどいけません…なので後で他の皆には内密に…ね?」

 

色気を感じさせる笑みを浮かべてそう答えると共に…

 

「「「キャァァァァ!!!!」」」

 

露の接客でフロアが沸く、その歓声を背にシャロがいる厨房へと帰る

 

「こんなもんですかね?」

 

配膳やマナーといったものは昔からやってきたことなので身に付いており、学校での生活で自分の容姿をいかす方法は熟知しているからできる接客

 

「完璧すぎて逆に怖い」

 

「やってることはメイドと同じですし、探偵ですから」

 

「なんでもかんでも探偵だからで済むと思ってない?」

 

「さぁどうでしょう…ん?」

 

ふと見た窓の向こう…そこには千夜とラビットハウスのメンバーが来ていた 

 

こっそり入ると千夜は言っていたがバレバレだ、更にお供まで着いてきていることに一瞬困惑したが、直ぐに思考を立て直す

 

「どうしたの?」

 

「いえ、それでは私はお皿洗いの方に入りますのでフロアの方をお願いします」

 

「?、分かったわ、よろしく」

 

逃げるかのように厨房に戻り、宣言通りになれた手つきで皿を洗っていると「なんでいるのー!!」背後からシャロの絶叫が聞こえた

 

「(宇治松さんが見つかったのかな、それじゃあこのままバイト終了まで私は厨房の業務をしますか)」

 

後はサボらず適度に仕事をすればいいか、と頭の中で結論付けてその日のうちにハーブティーの淹れ方を習得し、そうして体験バイト終了時間になると共にシャロにみつからないように退出したのだった

 

その日の夜、リゼの屋敷

 

「お嬢様、寝る前にもしよければこちらをどうぞ」

 

「ありがと、これって」

 

「ご厚意でいただいたハーブティーでございます」

 

「そっか、やっぱりお前もいたんだな」

 

「お気づきでしたか」

 

どうやら千夜は露がフルールドラパンに居たことを話していなかったようだが、リゼは察したようだ

 

まぁ店でもらってハーブティーを出してる時点で露もばらしているようなものだが

 

「言いたくないなら聞かないさ」

 

この依頼は極秘調査、つまりシャロにばれてしまってはいけないが、調査期間は期間は今日のバイト終了まで

 

バイトが終了してしまえば後はバレても適当にごまかしてしまえばいい、なのでその時間稼ぎのためにシャロがフロアに立ち、自分が厨房に入るように仕向けたのだ

 

「お前が裏方に回ったのって時間稼ぎだけじゃなくてシャロがフロアに出て私たちの接客にあたれるようにしてくれたんだろ?」

 

「流石お嬢様です」

 

普段忙しくてあまり皆と関われていないシャロのための気遣いもリゼは気づいてくれていたようだ

 

「お前もくればよかったのに」

 

「皆様のティータイムにお邪魔するわけにはいかないので」

 

「はぁ…お前は相変わらずだな」

 

「はて?なんのことでしょうか?」

 

「別に、それより時計見てみろよ」

 

「はい?…あら、もうこんな時間ですか」

 

時計は既に露のメイド業の終了時間を指していた

 

「仕事の時間が過ぎたから、今お前はメイドではないわけだ」

 

「?まぁ一応」

 

時間が過ぎたら後は帰るだけだが…

 

「だからお前の友人として誘うよ。一緒にお茶にしないか?」

 

「えっ?」

 

「最近ずっとユラにお前をとられてたんだ。お茶くらい付き合え」

 

「…ふふっ、ではお言葉に甘えて。着替えてきましょうか?」

 

「そのままでいいよ。お茶菓子も出してくる。後ユラも暇そうなら誘うか」

 

「そうですね」

 

その日のお茶会は少し夜更かしするくらいに楽しいものとなった

 

…翌朝

 

「んんっ、んー!」ノビーッ

 

お茶会の後そのまま泊まってしまったので、日課の見回りと共に帰宅、残念ながら今日は学校なので放課後に調査報告書を作成して千夜に渡す予定だったのだが…

 

「あ、桐間さん」

「おはよう」ブスッ

 

頬を膨らませてぶすくれている露と同じ学校の制服を着たシャロが事務所の前に立っていた

 

「おはようございます。こんな朝早くからどうしたんですか?依頼ですか?」

 

大方千夜の依頼の件で怒っているのだろうと予想はついている

 

だがこの件については何を言われてもはぐらすと決めているのではぐらかす

 

「なんで来たのか分かってて聞いてるでしょ?」

 

「さて?なんのことでしょう?」

 

「依頼人の情報は漏らさないってこと?」

 

「ご存じならなによりです」

 

いつもと変わらぬ笑みを浮かべて平然と答える露、こうなればなにを言ってもはぐらかされるのは今までの経験からよく知っている

 

「はぁ…もういいわよ」

 

ため息をついて諦める、このままでは暖簾に腕倒しだ

 

「ありがとうございます。ところで桐間さん朝御飯食べました?」

 

「食べたわよ…うっ」グー…

 

言いきる前にシャロのお腹が空腹を訴える

 

「早起きしたから食べてないってところですか?」

 

「流石探偵ね」

 

「もしよければ今から朝ご飯なんていかがです?メイド先から美味しいジャム持ってきましたし」

 

「…今回はそれで許してあげるわよ」

 

「ありがとうございます♪」

 

そうして二人は事務所に入り、後に一緒に登校する…その光景をみたリゼが驚くまで後数時間

 




今回の報告書!

リゼ「まさかシャロと露も幼馴染みだったとはな…」

千夜「あの二人は昔から仲良しなのよ~」

リゼ「私のアイデンティティーが…」

ココア「出会いは千夜ちゃんと一緒だよね?」

千夜「そうね、あんこ探しで、でもあの二人は…ふふっ」

チノ「謎の笑み!?」

ココア「なにがあったの!?」

また次回!
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