「それでは今回の依頼はこれで完了とさせてもらいます!そこちらにサインをよろしくお願いします!」
今日の依頼『好きなあの子に告白したい』を見事達成(告白の結果は惨敗)した露、サインをもらって意気揚々と事務所に戻る…その途中で
ピリリリリ♪
「!、はい!露です」
携帯が鳴ったので出た
今鳴ったのは仕事用の携帯ではなく私用の携帯電話で、その電話の相手はチノだった
「なにかありましたか?香風さん?」
『突然連絡してすみません。露さんに依頼があるのですが』
「分かりました!それじゃあ今から向かいますね!」
連続で依頼が入るのは慣れているので早速ラビットハウスへと向かった
カランカラーン♪
「いらっしゃいま、あ!露ちゃんだ!」
「こんにちは保登さん」
来店したラビットハウスで露を出迎えたのはココアで、リゼが今日休みなのは当然把握済みである
「もうっ!ココアでいいって言ってるのに~、もしくはお姉ちゃんでも可だよ!」
「いや、どっちも呼びませんよ。今日は香風さんの依頼できたのですが…」
店内を見回してすぐにチノを発見、熱心にコーヒーミルを回している
「すみません、コーヒーを淹れるのでカウンターに来てくれますか?」
「!、ならそれが報酬ということで」
「よろしくお願いします」
「!、チノちゃんが依頼だしたの!?どんな内容!?」
「依頼人の情報はなにがあっても漏らしませんので言いません」
「と言うわけでココアさんは暇なら店前の掃除をしてきてください」
「チノちゃんが冷たい!?」
カウンターに座り、渋々箒片手に出ていくココアを見送ってから本題にはいる
「それで今日の依頼はどうしますか?以前の続きですか?」
「そっ、それはまた今度お願いします。実は今回は相談したいことがあって…」
そうして今回の依頼『チノのお悩み相談』が始まる…その内容とは
「成長が止まった?」
「…はい、私の身長は小さいのではないかと最近…それにここも…」
そういってソッと胸に手を当てるチノ
「あー…」
その様子から悩みについてよく分かった
正直見た目だけなら完全に小学生くらいに見えてしまうチノ
身体についての悩みは誰にでもあること…
身近に下着がまた小さくなったというお嬢様と幼馴染みその1やどうせ身も心も財布も貧相よ!と嘆く幼馴染みその2がいたりするのでこの手の話しはよく聞いている
ちなみに露はというと…
「露さんは背が高いですよね」
「まぁ周りの皆さんに比べればそうかもしれませんね」
「ちなみに私くらいの頃はどうでしたか?」
「中2の頃はお嬢様より低かったですよ?」
「そうなんですか!?」
「はい、確か155センチ位でしたし」
「それでも今の私より高いです…」
「あらら、でも中3から現在にかけて伸びまして今は確か170センチ位です」
「そうなんですか!?」
「はい」
「なにか秘訣があるんですか?」
「秘訣ですか?…んー」
食生活…言われるまでもなく酷いときは酷い
睡眠時間…依頼が立て込んだりすると事務作業が重なるので日によってバラバラだし休日は夜中まで起きて昼間まで寝る
生活環境…お屋敷は言わずもがな事務所も空調や寝具や家具なんかもいいものが揃っているので(インフラ関係も)生活においてストレスはあんまりない…が
結論、そこまで気にしたことない、勝手に大きくなった
「別に…はい、なかったですよ?」
「すごく間がありますよ!?」
「あー…でも父の遺伝はあるかもしれません」
「お父さんのですか?」
「はい、すごく背が高かったんですよ。よく頭ぶつけてました。それにこのスーツもまだまだ大きいですから」
「そのスーツお父さんのものなんですか?でもぴったりに見えますが…」
「はい…といってもクローゼットにあったのを勝手に着てるだけです。サイズの方はこれ手直ししてるんですよ。ほら」
いつも仕事で着ているジャケットを脱いで裏地にある縫い目を見せる
「本当です…これは露さんが?」
「いえ、これはお嬢様と狩手…ユラさんが」
「リゼさん達がしてくれたんですね」
「はい。探偵始める時に姿見の前でこれを着てみたんですけど、ブカブカだったのを見たお二人が私たちからの祝いだって」
「そうだったんですね。その帽子もお父さんからですか?」
スーツはちょくちょく違うものを着ているのは知っているが帽子だけはいつも変わらないハット帽を被っている
その事から余程大切なものなのだろうと聞いたのだが
「これは父の助手になった時に私がせがんでもらったものなんです」
「露さんがですか?」
「はい、初めて依頼についていった時に私も帽子がほしいって、お願いしたんです」
そうして父は苦笑しながらその時被っていた帽子を被せてくれた
「『この帽子がぴったりになったら一人前だな』ってそう言って」
「そうなんですね…でももう帽子はぴったりですから露さんは一人前ですね」
そうしてはい、どうぞと露の前にコーヒーを置いたチノ
「どうですかねぇ…」
少し前払いの報酬としてそのコーヒーを1口飲み、ホッと一息つき…
「でもまだ解決してない依頼あるんですよね」
「あっ、それは」
ニヤリと笑ってそう呟くと共にチノは慌てる
「もうっ露さん!」
「あははっでもどうですか?そろそろあの時の「あの時ってどの時の!?」!?保登さんっ!?」
露の座ってる席のすぐ横に下からススッと現れたココア
露もチノも全く気づかなかったので驚く
「いつからそこに!?」
「驚かせようとしてこっそり入ってきたの!!」
「なんのサプライズですか…」
「それで?なんの時の依頼なの?」
「依頼人の情報は…って内容言わなければ別に大丈夫かな」
「露さんっ!?」
「実は私が今までに受けた依頼の中で一つだけ達成できなかった依頼があるんです」
「!、露ちゃんに解決できなかったの!?」
「はい…ね?香風さん?」
「うぅ…」
露の目配せに顔を真っ赤にして頬を押えるチノ
「もしかしてその依頼人ってチノちゃんなの!?どんな依頼なの!?」
言うまでもなくその通りなのだが…
「これ以上は情報に関わるので言えません」
これ以上はなにも言わないことにした
「えぇー、気になるよ~!ねぇチノちゃん教えてー!!」
「い、嫌です!それより仕事してください!!」
「そんな~!お姉ちゃんに教えてよー!!」
「嫌です!!」
探偵を始めた頃にチノから受けた依頼、今まで受けた依頼でそれだけは解決できなかった
だからいつかその依頼にリベンジしたいと露は思いながら、ドタバタと店内でおいかけっこをする二人を微笑ましく見た時に気づいた
「!、そっか」
心残りの依頼…それを解決する鍵はココアだ
「んん?どうしたの露ちゃん?」
「保登さん、私からお願い…依頼してもいいですか?」
「えぇ!?露ちゃんが私に!?」
「はい、保登さんに依頼です」
「どんなの!?なんだってやっちゃうよ!!」
「簡単な依頼ですよ」
露からの依頼に大興奮のココア
それに対して露は自分の帽子をとり、ココアに被せる
「??」
「私ができなかった依頼を保登さんに託しますね。もちろん協力は惜しみませんから」
「!、分かった!チノちゃんの依頼がなにか全く分からないけど分かったよ!まかせて!!」
「(発言が支離滅裂…!!)」
やる気十分のココアと驚嘆のチノを余所に露はにっこりと笑いながら帽子を取って被り直す
「頼みますね。報酬は「お姉ちゃんって呼んで!!」そんなことでいいんですか!?」
「私にとってはなによりの報酬だよ」
「ならよろしくお願いしますね…さて、そろそろ今回の香風さんの依頼に取りかかりましょうか」
「!、はい!よろしくお願いします!」
色々と話し合った結果、最終的に早寝早起きとしっかり栄養をとる!という結論に至りましたとさ♪
今回の報告書!
ココア「身長はともかくお胸の方はどうしようか?」
チノ「ここも遺伝的に考えると母は…あぁ…」
露「んー乳製品を多く食べるとかバストアップのストレッチをするとかですかね?」
ココア「リゼちゃんや千夜ちゃんもしたのかな?」
露「お嬢様と宇治松さんは私が育てたからですかね」
ココア、チノ「!?」
露「あーけど桐間さんは育たなかったからやっぱり個人差なんですかね~」ワシワシ
ココア「待って!?軽い衝撃発言と擬音を残して次の話題に行かないで…って違う!?話題が変わってない!別の衝撃が来た!?「露さん!!お願いします!!」チノちゃんっ!!?」