これからもよろしくお願いします!!
もうすぐ父の日!日頃の感謝をお父さんに伝えるためにプレゼントを探したり、お手紙を書いたりと皆忙しそうです
「ふぁー…あぁ…眠い」
訂正…義良露、この人を除いた皆が忙しいそうです
今日はメイドの仕事がないので、事務所で依頼を待っています
「こんな日に限って依頼はないんですよね~」
事務作業もないので先ほどまで宿題を片付けていたのですがそれも終わってしまい、暇をもて余していました
なんとなしに点けたテレビでは情報番組がやっており父の日プレゼント特集!というコーナーがやっていました
そしてそれを見て思い出します
「あ、そういえばもうすぐ給料日だ」
以前のこと(依頼その4参照)があってからメイド兼執事のお給料もちゃんと貰うようになった露
最近はラビットハウスに私用で行くことも増えました(甘兎庵とラパンにも来なさい!と千夜とシャロには怒られていますが…)
まぁとにかく給料日が楽しみなことは確かなので…
「今度はドアの修理…いや、そろそろスーツの新調を…でも机もボロくなってきたし…」
早速使い道を考えていたその時です
ジリリリリリリンッ♪
「!依頼!」
事務所の電話が鳴ったので早速出ました
「はいっ!こちら木組みの町探偵事務所、探偵の義良露ですっ!」
電話で依頼内容を聞き…早速今回の依頼人の元へと向かいました
コンコン♪
「失礼します」
ドアを開け、依頼人の部屋に入るその露の姿は探偵用のスーツ…ではなく、メイド服
「木組みの町探偵事務所、探偵の義良露です。今回はご利用いただきありがとうございます」
スカートの端を持ち、片足を引き、もう片足の膝を少し曲げて会釈する
「おう、よく来てくれたな」
依頼人のその声を受けて顔を上げて姿勢を戻す
「それでは今回のご依頼について詳しいお話をよろしくお願いします…ご主人様」
戻した視線の先にいる依頼人は露にとって恩人であり雇い主であるリゼの父だ
「コーヒーと紅茶、どちらになさいますか?」
「お前の好きな方でいい」
「では紅茶を」
慣れた手付きで紅茶を入れていき、机に置く。そしてその机を挟んでソファに座る
「それではまずご依頼の方を改めて確認させていただきます」
「あぁ」
折角淹れた紅茶にどちらも手を着けず緊迫した雰囲気で告げられるその依頼とは…!!
「今回の依頼は『娘が急にバイトを増やしたのでその理由を探ってほしい』ですね」
娘、つまりリゼが最近バイトを増やしたらしい…その理由を探ってほしいとのこと
「…お言葉ですが直接お聞きになさってはいかがでしょうか?」
「それができたら苦労しねーよ!」
先ほどまでの雰囲気がぶっ壊れてギャクの雰囲気へと成り代わる
眼帯にいかついスーツを着ている元軍人のリゼ父、でかい豪邸に住み、これまた厳つい若い連中を引き連れている男だが娘のことになると普通の親父だ
「金が必要ならいくらでも工面するが聞いても答えずで…しかも最近俺のワイン叩き割ったし…」
「あー…あれは悲しい事件でしたね」
リゼが父のワインを叩き割ったのはゴキブリが出たから(応戦にワインの瓶を使うのはどうかと思うが…)である
それの掃除したのはもちろん露だし、結局ゴキブリ退治したのも露だし、リゼに誤魔化しといてくれと頼まれたのも露である
ただゴキブリの応戦に使った…とは言えないし、ご主人様相手に嘘をつくわけにはいかなかったので
「リゼがカッとして割った、後悔はしてなかったって…お前から聞いた時どれだけショックだったか…」
「(誤魔化し方間違えたかな…)」
なんかもう色々めんどくさくなって適当に誤魔化したのがより事態をややこしくしたようだ…
「そしたら今度はバイト増やしただと!?もしかしたら家出のための軍資金を集めているんじゃないのか!?」
「いやそれはないかと」
「なぜ言いきれる!?」
「それは…」
そうして思い出すのは数日前、依頼を終えてからラビットハウスでコーヒーを飲んでいた時のこと
「今日も来てくださって嬉しいです」
「少しだけ懐が豊かになったので」
元々ここの常連の父と共に通っていたのだから頻繁に来たいくらいだったので、今割りと充実していると実感していた
「私も露ちゃんが来てくれて嬉しいな♪」
「保登さんに託した依頼がどうなってるかも気になりますし」
「本当に!?今どんな感じ!?」
「まだ達成率20%ってところですかね」
「そんな!?うーん、道のりは長いね」
「っていうか今更ですけど依頼の内容聞かなくていいんですか?」
「んー…チノちゃんが関係してる依頼なんだよね?」
「そうですね」
「それならなにも聞かずとも察してみせてこそお姉ちゃんだよね!!」
「えぇー…」
「露さん、これがどうしようもないココアさんです」
「それに下手に聞いちゃったら意識しちゃいそうだから、聞かないでおくよ」
「そうですね。ありのままの保登さんであればすぐに達成できますよ」
「ありのままの私?」
「その素敵な笑顔を振り撒き続けていただければ、きっと…ね?香風さん?」
「うっ…露さんは過剰に評価しすぎです!ココアさんにはできません!!」
「そんなー!!」
その時、バンッ
スタッフオンリーのドアが開き、リゼがやってきて開口一番で
「明日から私は短期で他店でもバイトすることにした!」
上記の宣言をした
ココア「リゼちゃんが軍人から企業スパイに!」
チノ「スパイなんて頼んでませんよ」
リゼ「軍人じゃないしスパイでもない」
露「そうなんですか!?」
リゼ「なんでお前が驚くんだよ!?」
…で
「それでなんでバイト増やすんですか?」
「いや、この間親父のワイン台無しにしただろ?」
「あー」
「それで父の日とお詫びを兼ねてそのワインをプレゼントしようと思ってな」
「なるほど、頑張ってくださいね」
…ということがあった
つまりリゼがバイトを増やしたのはご主人様兼今回の依頼人のためなのだが…
「(んー、こういうのはサプライズがいいと思うんですけど)」
ここで告げてしまうのは簡単だがそれでは意味がない、さてどうしたものかと頭を抱える
「とにかく頼む!報酬は望むものを出す!」
「そんな大人の財力をみせられても…とにかくお受けしますから」
とりあえず時間を作って上手く誤魔化すための方法を考えることにした
…次の日
「さて準備しましょうか」
事務所の住居スペースにある姿見鏡の前で髪を纏めて、ウィッグを着けて地毛の黒髪から茶髪にチェンジ
更にメガネをかけて普段はあまり着ないタイプの服を複数用意した
これから暫く潜入という形でリゼの臨時の短期バイト先に行くことにした
それなりに大変ではあるが今回の依頼でかかるお金は報酬とは別でリゼ父が出してくれることとなったので頑張ることにした
「(これから先探偵として食っていくならこういった費用のやりとりなんかは絶対に必要だから今のうちに練習しとけって言っていただきましたし)とにかく頑張るか」
…まずは甘兎庵から
隅の席に座り雑誌を開き、本日限定らしい抹茶の迷彩ラテアートを飲む
遠目で見るリゼはどうやら甘兎庵独特のメニュー名に苦戦していた※露はなんなく読めます
「(お嬢様頑張れ!)」
心の中でエールを送っておいた
次の日はフルールドラパンへ向かう
「いらっしゃいませー」
ラビットハウスでは見られない仕草と共にリゼが挨拶をしてくれた
若干恥じらいをもちながらも持ち前の抜群のプロポーションでラパンの制服を着こなすリゼ、そんなリゼに
「(やだ、このお嬢様かわいいっ)」キュンッ
「ってお前が照れてどうする!」
「すみません、なぜかいけないものを見た気がして…」
リゼと同じく顔を真っ赤にして照れるシャロ
「同意…」
「お客さま!?」
そして露は尊みを感じていた
そんなこんなで普執事&メイドとして働きつつ、時々バイト先に顔を出すという数週間を過ごしていた
もちろんリゼは真面目にバイトに行っており、露もまた真面目に調査しつつ、リゼ父になんと伝えるかを考え…遂に調査結果を報告する日となった
「なるほどな」
前日に作成した調査報告書を見るリゼ父
対する露の服装はスーツに帽子の探偵スタイル
「これを読む限りリゼには今欲しいものがあり、それを買うための金を用意するためにバイトを増やしたと?」
報告書にはバイト先とバイトでの様子と隠し撮りした写真を添付し、そしてバイトの目的について記してある
「はい」
「その欲しい物について書かれていないのは分からなかったのか、それとも故意か?」
「!…故意でございます」
リゼの調査の間ずっと考えていた今回のことを依頼人であるリゼ父にどう伝えるかということ
依頼という形で引き受けた以上露には真相を伝える責任があるが、それでも
「『依頼人に嘘はつかない』、よく守れていて結構だな」
「…」
依頼人に嘘はついてはいけない、それは父が探偵の仕事において破ってはならない定め
それに則って露も正直に告げた
「だがこうも言ったいただろう…『調査結果に一切の隠し事はしない』ってな」
「『どんな結果であっても探偵には伝える義務があり、依頼人には知る権利がある』です」
「そこを分かった上でこの調査報告書を出したのか?」
「いえ、それを読んだいただいた上で旦那様にお願いがあります」
「お願い?」
「後数日…18日まで待ってくださいませんか?」
「待つ?」
「はい、その日になればリゼお嬢様の欲しいものも、旦那様の依頼の答えも明らかとなります」
露が選んだ答えは時間をもらうことだった
もちろんここで話してしまっても遅かれ早かれ分かることではあるが、それでもやはりなにも知らないほうがリゼ父の喜びも大きく、リゼもその方が嬉しいと思うだろうと判断した上での答え
二人が大切だから選んだ答えだ…だが
「…お前はそんな甘い考えで探偵をやってきたのか?」キッ
「!!」
リゼ父の眼光が強くなり、露に向けられる
「今回の依頼人が俺で調査対象がリゼだから待ってほしいと言ったのか?
いいや?お前が人を選んでそんなことを言うとは思えないきっとなにか理由があるんだろうな
だが…もしもこれからの依頼で同じ理由あったとしたらお前はどうするんだ?」
「ッ!」
今回の場合はリゼのため、リゼ父のためにこのような
「俺がなぜ怒っているのかは分かるよな?」
「…」
分からないわけがない
例え大切な二人のために真相を伝えないという考えは父の教えに背くこととなる
そしてそれはリゼ父からすれば大切な友が守ってきた探偵を汚されたことに等しかった…それが例えその友の子であったとしてもだ
「…」
「…今真相を語れば今回の件はなかったことにしてやる」
この誘いはもうリゼ父が真相を知りたいからだけではなく、露にやり直しのチャンスを設けているのだろう
今後探偵を続けていくであろう露に向けてのリゼ父なりのこんなことを続けていてはいけないという警告だ、ここで真相を語ってしまえばすべてなかったことにできる
思わず口が開きそうになった時
「!」
露の脳裏に悲しい顔をしたリゼが甦る
きっとここで真相を伝えればリゼ父も納得してくれるだろう
仮にリゼがこの事を知ったって少し怒って許してくれる、悲しい顔を露の前で見せることはない
お嬢様…リゼにそんな顔をさせてはいけない、二度とさせないとあの日決めたのだから
「それでもやはり真相を今伝えることはできません
待っていただいた結果旦那様がご満足いただけなかったのなら今回の依頼料やかかった経費はいただきません」
「そういう問題じゃ「それから」」
「これを賭けましょう」スッ
そのために露は自らの誇りをかける
「!?お前、これは!?」
言葉と共にリゼの父の前に差し出したのは父からもらった帽子
「この帽子は私の探偵としての魂そのもの…それを賭ける覚悟と意味、貴方ならお分かりのはずだ」
それを賭け、賭けに負けた時には探偵を辞する覚悟を見せる
「そして父が私だけに伝えてくれたことがあります」
「なに?」
父の仕事の猫探しを手伝った時だった
見つけた猫は既に亡くなっていた
野生の猫にやられたであろう傷だらけのその猫を父はちゃんと処理して依頼人に送り届けた
その時の依頼人の悲しい顔をよく覚えている
そして父は『どんな結果であっても探偵には伝える義務があり、依頼人には知る権利がある』と、泣いていた自分の頭を撫でながら教えてくれた
だけどそれで終わりではなかった
『だけど、もしも真相を隠すことで依頼人を幸せにできる…そうなったら露はどうしたい?ちなみに父さんならそれでも伝える』
そう問いかけた
…いつもなら父がそうするならそうすると答えていただろう、だけどあの時だけはその問いに自分の気持ちを答えた…その後に言ってくれたこと
「父は私に『自分の真似ではなく、自分が思う最高の探偵であれ』と言ってくれた」
「!」
「私が思う最高の探偵とは依頼人にとって100パーセントの利益と笑顔を届ける探偵であり、私はそれを追求していきたい
そのためなら私は父の教えにも背きます」
自分なら隠す、そう答えた時父はそれでもいいと、ただ嘘だけはつくなと言った
だから露は探偵の仕事においては嘘をついたことはない
ただ真相を知ることが悲劇になると判断した時は伝えるのをやめたことはある
例え偽善だと、独裁だと、邪道だと、探偵失格だと言われたとしても…この道を貫くと決めたのだ
「そこまで賭けるのか」
リゼのこともあるが…それと同じくらいに恩人に自らの誇りの証明のために全てを駆ける
「そしてこれには探偵だけではなくここに支えるものとしての矜持も乗せています」
「!」
それは単に尽くすべき主人とリゼのために…メイドとして、執事としてのプライドも賭けて、露はこの賭けに出た
「この二つは私の全てともいえるもの…さぁどうしますか?これでもまだ話せと仰いますか?」
自分の全てを賭けて、リゼと主人の笑顔を守ること選んだ露…その姿は
「(!?、アイツと同じ目!?)」
相手を射殺すかのような眼差し、だがその奥にあるのは絶対的な自信、露の父も同じ眼差しを浮かべていた
それは戦場で最も頼りになり、恐怖でもあったもの
「父からの教えにはこんなものもあるんです…『探偵が賭けに出る時は確実に勝てる時、それ以外は全て敗け』って」
「つまり、勝てる自信しかないってか?」
「えぇ、絶対に私が勝ちますよ」
眼差しと共に声も態度も探偵として切り替わり、先程からあった微妙な声の震えは一切ない
もう敗ける気も引く気もない
「はぁ…分かったよ」
「!」
「お前の…お前自身の探偵のプライドもな認めるしかねぇな」
「では待っていただけますね?」
「あぁ…ったく変なところまで似やがって」
「?」
「あーもういい、とにかく18日なったらもう一回来い」
「?、はい、それでは失礼します」
そうして露は部屋を後にし、一人になったリゼ父は…
「あーーくそ、久し振りにブルッちまった…あんなガキだったのによぉ」
そう一人呟くのだった
…そして18日、父の日…の夜
紙袋を持ち、氷の入ったバケツにワインの瓶をワゴンに乗せて露は予定通りリゼ父の部屋に入る
「失礼します」
「おう、今日もメイドか」
「えぇ、仕事後なので」
「そうか、まぁ座れ」
「失礼いたします…その前に」
ワインの入ったバケツをリゼ父の前に出す
「!、お前これ」
そのワインはリゼがゴキブリ退治のために割ったワイン
「タカヒロ様からでございます。親父秘蔵のワインだから大切に飲めよ、とのことです」
「ははっ、アイツも粋なことを」
「…その
そういって指差す先には二つのワイングラスがあった
「!…いや、これはリゼと使う時までとっとくよ」
そう、これこそがリゼからのプレゼント
今日リゼがシャロと共にワインを見に行ったが目標であるワインが学生では手が届かず、シャロの提案によりこのワイングラスを購入したという情報を露はとある筋から得ていた
「そうですか…では今回の依頼についてご主人様のお答えをお聞きしたいのですが」
そうしてメイド用の愛嬌のある笑顔を浮かべる
「ったく、もう分かりきってるだろ?」
「ご主人様のお口から聞いて依頼完了でございます♪」
「ハァ…最高だよ。知らなくてよかった」
「それはよかったです。ではこちらに」
依頼の完了のサインをもらい、ワインと共に持ってきたいつものグラスにワインを注ぐ
「リゼからあんなプレゼントもらったのも驚きだが、お前がこんなこともできるようになったとはな」
ワインを注ぐにあたっての様々なマナーを全て守りながらワインを注ぐその姿に成長を感じた
「色々と勉強しましたので。あ、後それから」
「ん?」
続いて持ってきた紙袋から小さな紙の箱をを取り出してそれを開く
「こちらは私からです」
箱の中身には様々な種類のチーズが入っており、それを皿に盛りワインに添える
「お前…これ」
「父の日のプレゼントです…ご迷惑でしたか?」
リゼがワインを贈ると聞いてから自分はおつまみを用意しようと考えており、準備していたのだ
「!?そんなわけねぇだろ!、でもお前、アイツは」
「父さんは父さんで、ご主人様にはここまで育てていただきましたので」
「それに今までこんなことしなかっただろ…なんで急に」
「あー…その、最近になってやっと懐にも余裕ができはじめたのでちゃんと渡そうと思ったんです
だからえっと、その…いつもありがとうございます」
今は仕える身ではありますが、露はもう一人の父のような存在にプレゼントを贈りたいとずっと思っていたのだ
「!!!」
あんなに小さくて、傷だらけだったあの子どもがこんなに大きくなったことを改めて実感、思わず目頭が熱くなる
それを誤魔化すようにワインを一気に煽り、チーズをつまむ
「あぁもったいな「お前も飲め!」えぇ!?」
「こんな嬉しい日はねぇ!!宴だ!!」
「それはもちろん付き合いますがその前に今回の依頼の報酬をいただきたいです」
「それなら今度リゼとユラもつれて飯でも「お願いがあるんです」あん?」
そういって紙袋から今度は薄く細長い箱を取り出した
今度は包装されていて中身は分からないそれをリゼ父の手渡す
「?これは?「これを
先ほどとは違う父の呼び方
それを指すのは実の父のこと
「!?「ご主人様は父さんの居場所知ってますよね」!!…なんで俺が知ってると?」
「まず父さんが私を置いていくとして頼りにするとすればご主人様かタカヒロ様です。以前どちらが私を引き取るかでケンカをしたとお聞きしたので間違いないでしょう」
「…あぁ」
「次にご主人様とタカヒロ様のどちらでも私を預かるのは構わないとしても、父自身の所在や連絡先を聞かないわけがありませんよね
私の知っているご主人様なら大切なご友人のことを心配しないわけがありませんから」
「だがそれだけで俺がアイツの居場所を知っているってなんで分かったんだ?」
「今カマをかけたら見事に引っ掛かってくれましたので」
「!?」
先ほどの「父さんに渡してくれませんか?」、「父さんの居場所を知っていますよね?」の二つの台詞はブラフであり、リゼ父のリアクションから確信に変わった
少しとはいえリゼ父に酒を飲ませ、露からのプレゼントという気分をあげさせる行動をとり、とらせたのだ
気分の良い人間は聞き出したいことをあっさりと話してくれるから、露はよくこの手を使っている
「はぁ…降参だ、その通り俺はアイツの居場所を知ってる。だが「ではよろしくお願いします」おいっ!?」
そのままワゴンを押してスタスタと部屋を出ていこうとしたところを止められる
「?、なにか?」
「いや、聞かないのか…アイツの居場所を」
なんなら今回の報酬として聞き出すという手もあるというのに露は聞かなかった
「…父さんが私に居場所を明かさず、連絡もしないということにはなにか理由があるんでしょう。なら聞きません
それから父さんも私に言わないように口封じしてたんではないですか?」
「その通りだが…お前会いたくないのか?」
「会いたいですよ。その気持ちだけは昔も今も変わりません。だけど私はこの町の探偵だから、離れるわけにはいきません。
それに私がいなくなったらお嬢様が悲しむでしょう?」
父を探して自分がいなくなったあの日
帰ってきた自分を思い切りビンタしてから抱きついて離れなかったリゼの顔が忘れられない
もうそんな顔をさせないと、あの日決めた
「!、お前あの時のこと」
「…とにかく私は待つと決めたんです。あの場所を守ると決めたんです。それでは」
そうしてワゴンを押して今度こそ部屋を出た
進む廊下の途中で誰に聞かれることなく…露は一人言を溢した
「父の日おめでとう…父さん」
今回の報告書!
今回の依頼から翌日のこと
リ「露、昨日お前親父の部屋から出てこなかったか?」
露「えぇ、少し用事がありまして」
リ「なんの用事か聞いてもいいか?」
露「タカヒロさんからお預かりしたものをお届けしたついでに私からの父の日のプレゼントを贈っただけですよ?」
リ「ふーん…この数週間いろんな所でバイトしてたら妙に視線を感じてさ」
露「!」
リ「妙に知ってる感じ…そう、幼い頃からの付き合いみたいなそんな感じがしてさぁ…だからユラに聞いても知らないって言っててさなぁ露…詳しく聞かせてもらおうか」
露「逃げます!!!」
リ「待てぇぇ!!!」
なんとか撒けました☆