転生者は最強の海兵を目指………え、海賊になる? そんなぁ   作:海軍支部三等兵

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ゴサの街

 魚人に村を壊滅させられたという島が見えてきた。

 クロウは島全域を覆う生き物を一瞬で把握する。

 

「ワフゥ」

「ああ、見つかってるな」

 

 ウォルフと話すために鍛えた見聞色のおかげで、クロウに不意打ちは殆通用しない。ましてやこの程度の相手しかいないのならば、数が多いから多少時間はかかるが一人残らず捕縛できるだろう。

 覇王色を使えば直ぐなのだろうが、クロウは覇王色の強さは調整できても対象の選択が苦手で、心臓を患っていたり幼かったり老いていたらショック死させかねないので却下。

 サバイバル生活が長く、相棒のウォルフは普通に耐えるのでその辺りの調整を意識してこなかったのだ。

 だからこそ覇気を使う必要がないだろう海へ送られたわけだが。

 

「あれが噂に聞くアーロンパークか。海賊にあれだけドンと腰を据えられては世も末だな」

「全く同感であります! プリンプリン准将!!」

「ん? アーロン?」

「ああ、言ってなかったかな? あの島に居を構える魚人海賊の名前だよ」

「…………ジンベエさんの言ってた」

 

 ポツリと呟くクロウ。連絡したほうがいいのだろうか、この場の海兵達もやる気らしいが………仮にジンベエ同様鍛錬を怠って居なければ、七武海クラスに…………いや、普通に弱いなこれ。でも、この場の海兵達では相手にならない。

 

「いいか諸君。今回我々の任務はアーロン一味に破壊された『ゴサ』の生き残りの町民をこの島から脱出させることである! ──だが、私は思う!! 果たしてこの野放しの海賊の城を目の当たりにしながら──」

「ん?」

 

 救助だけならなんとかなりそうだと思ったら、何やら妙な流れに。

 

「見過ごすことを我々の正義が許すのかと!」

「「「許しません!!」」」

 

 同意だが今回は救助を優先してほしかった。いや、さっきも強い海賊だろうと見逃す気はないと言ってたが。

 でもいきなり大砲打つのはどうよ?

 見聞色を通して怒りが伝わる。大砲の弾は、止められた。

 

 

「………おかしいな」

「准将! 砲弾は不発のようです」

「もう一度だ。これは開戦の合図たぞ!! 正面切って戦う準備(みね)がある事を知らせねばならん!」

「必要なさそうですよ准将…………来る」

 

 その言葉と当時に海面から飛び出した人影が一気に船の縁を超える。

 

「水鉄砲!!」

 

 吐き出された水は銃弾並みの威力を持って放たれ………クロウが片手で防いだ。

 

「何!?」

「っの野郎、俺につば吐きかけやがったな!」

「くっ! 水で……!!」

水弾(みずたま)!」

 

 手に残った水を、銃弾を超える速度で打ち出すクロウ。放たれた水は口が突き出た魚人の体を撃ち抜いた。

 

「プリンプリン准将、下にまだ2名居ます。住民の保護を最優先に………」

 

 ゴォォン! と船が揺れる。クロウは舌打ちすると船の縁に立つ。

 

「頼みました、プリンプリン准将!」

 

 そう言うと海へ飛び込んだ。

 

「じゅ、准将…………」

「……上陸。その後直ちにゴザの町民を保護しろ。その後は、撤退だ」

「よろしいのですか?」

「まずは民の命が最優先だ。彼が居なければ、我々は沈められていたかもしれない」

 

 この距離の接近にまるで気付かなった。クロウが居なければ沈められていたかもしれない。そうなれば、町民を助けるどころか、自分達を呼んだとしてより危険な目にあったかもしれない。

 

「……過信していたな、己を」

 

 ここにいるのはそれなりの精鋭だと自負しているし、それは事実だろう。だが相手は嘗て新世界で暴れ回っていた魚人。自分達では相手になる存在ではなかった。

 

 

 

 

 潮の流れを乱し渦を作るため岩礁を動かそうとしていたタコの魚人、ハチ。いざ力を込めようとした瞬間、誰かに吹き飛ばされる。

 

「にゅー! 誰だぁ!」

「……………」

 

 人間だった。海軍の服を着ているということは、海兵。魚人相手に海に潜って……さては馬鹿だな?

 

「下等生物が魚人相手に海の中で挑むとは、愚かなり! エイ!」

 

 と、エイの魚人クロオビが引き千切った戦艦の舵を叩きつける。が………

 

「な、何!?」

 

 片手で止められた。しかも、水の中じゃまともに動けないはずの人間のはずなのに、引っ張ることも出来ない。

 

「放せ鬱陶しい」

「ぬう!?」

 

 人間が舵を振り回すとクロオビが力負けして、思わず手を放す。人間は舵を海面に向けてぶん投げた。おそらくは船の上に乗っただろう。

 

「にゅ〜! 俺を蹴ったのはお前だなあ! 許さーん!」

「許さねえってんならどうするって?」

「それはもちろん…………ん? 何でお前人間なのに水の中で喋ってるんだぁ!?」

 

 えーつ!? と目が飛び出しそうなほど見開くハチ。と、その横をキスの魚人チュウが通り抜ける。

 

「良くもやってくれたな下等生物が!!」

 

 地上と遜色ない、むしろ地上よりも早い猛攻が海兵に向かい放たれるが、海兵はそれをすべて回避する。

 

(こいつ、水の中でなんて動き!!)

 

 人間が水の中でこんな動きが出来るはず!

 

「イトマキ組手!」

 

 と、戻ってきたクロオビが髪を足に絡める。そのまま蹴りを放つ!

 

「海速! 腹下し蹴り!」

 

 腹への蹴りで無理矢理肺の中の空気を吐き出させようとするも、片手で止められる。掴まれた足がミシリと軋む。

 

「っ! ならば、圧迫死直下航路!」

 

 人間には耐えられない急激な水圧の変化を食らわせようと一気に深海に向かうクロオビ。チュウもハチも勝利を確信した………。

 

「どうだ、我慢せずに内臓の血を吐き出すといい!」

 

 海底スレスレで止まり嘲るような笑みを浮かべ叫ぶクロオビ。これだけ急激に深海に沈められれば、人間は内臓が潰れ血を吐き出す…………筈、なのに。

 

「ん? ぐぉ!?」

 

 顎に手を添えられ、次の瞬間には衝撃で吹き飛ばされる。巻き付けていた髪が千切れた。

 

「ちゅ♡ しぶとい人間だな!」

「大丈夫かクロオビ!?」

 

 クロオビが吹き飛ばされるのを見て慌てて深度70当たりにやってくるハチとチュウ。

 

「俺の戦いが本気の魚人相手にも務まるのか、いい機会だから試そうと思ったんだがな………ジンベエさんの足元にも及ばねえ」

「にゅ! また声を!? 魚人でもねえのになんで!?」

「貴様、なぜまだ窒息しない!?」

「水の中でも息、出来るからな俺。水の中にも空気はあるのさ………お前等や魚は、その空気を鰓で濾し取り、俺は肺の中の水から空気を吸い取る」

 

 つまりクロオビ達が魚人が人間より優れていると称する理由である水中呼吸を行えるようになる。その事実に、チュウ達が顔を歪めハチが感心する。

 

「生命帰還ってんだ。学べば誰でも覚えられる、髪の毛から爪の先、内臓に至るまで操れる。細胞単位で操れるようになった時、人は人の限界を超えるのさ…………例えば水圧に瞬時に適応したり、水圧に耐えるための内圧をいじり──」

 

 シュルンと流れるような動きで魚人達の後ろに移動する海兵。

 

「自在に水の中を動いたりな」

「ぐぅ!?」

「ぬっ!」

「ぶへぇ!!」

 

 回し蹴りを受けるクロオビと避けるチュウ、食らうハチ。本来人間なら動きが落ちるはずの水の中、眼の前の人間はむしろ自分達以上に…………!

 

「認めるか、そのようなこと!!」

「ああそうだ、お礼を言っておこう…………ありがとう、この技は軍艦のそばで使うには、派手すぎる」

 

 迫る二人の魚人達に、海兵は慌てることなく両手を前に突き出すように構え、上下に重ねるように叩きつけた。

 

「練水」

 

 水を瞬間的に圧縮し、圧力の変化で強制的に沸点を下げ気泡の発生と消滅を引き起こさせる。テッポウエビなどが持つ生体機能を真似たその技は海兵………クロウの水中で扱う最強の技。

 発生した衝撃波と高熱は魚人を焼き魚人にし吹き飛ばす。

 

「にゅ〜! 二人共〜!!」

 

 蹴られ吹き飛ばされたおかげで直撃を免れたハチがフラフラしながらも仲間を回収しようとする。追撃しようとするも、地上の方で複数の気配が慌ただしく動いているのを感じ取る。

 

「……………」

 

 クロウは一気に浮上すると海の中にいた魚人達を蹴り飛ばしながら島に上陸した。

 

「民間人には近づけるな! なんとしても死守しろ!」

「プリンプリン准将! 状況は!?」

「おお、戻ったかクロウ伍長! 民間人は船に乗せ終えた………しかし、時間をかけすぎた」

 

 軍艦を見て集まっていたのだろう、収容は早かったが、その分騒がしく、魚人達に見つかり襲撃された。

 

「俺が殿を努めます。准将達は船へ………」

「しかし! ……………いや、すまない。任せる………総員、乗船!」

 

 本部から来たとはいえ自分より年下の海兵に殿を任せることを躊躇うプリンプリン。しかし直ぐに切り替え撤退の準備に移る。

 

「逃がすか、人間ども! 見せしめに首を海に流してやる!」

「……………」

 

 生命帰還を部位単位ではなく、細胞単位で行えるクロウ。それは「細胞の塊」である人体を、完全なる一つの存在へと昇華させ、その肉体から放たれる六式は………通常とは一線を画す。

 

「嵐脚!」

 

 広範囲に放たれた蹴りの風圧は、名前のとおり嵐の如く。

 魚人達の身体が浮き上がり何メートルも吹き飛ばされていく。舵がないので風で上手く制御していた軍艦にも影響が出る。

 水中にもまだ追加で魚人が迫ってきているのを感じたクロウは追撃はせず宙を駆け抜け軍艦に降りると錨に乗り、海中まで落ちる。そのまま錨を引き、軍艦を引っ張りながら泳ぎ出した。

 

 

 

 

「もう追ってこないようですね。どうします、プリンプリン准将」

「…………海軍第16支部に向かってくれ。ここから一番近い支部だ。なんの問題も報告しないのは、それはそれで問題がある」

「了解。ウォルフ、俺休むから変わってくれ」

「バウ!」

 

 クロウが錨をぶん投げるとウォルフが咥え、そのまま海面を走り出し船を引っ張った。

 

「こ、これが本部の海兵……無茶苦茶だ」

 

 と、海兵の一人が呟いたがこんな事出来る奴此奴等ぐらいである。




クロウの生命帰還。
細胞単位で行えるので傷の治癒が可能。切り落とされた程度ならくっつけられるし時間をかければ脳以外修復可能。肺の中の水から酸素のみを吸収して水と二酸化炭素を吐き出し水中呼吸を行う。
本気を出す場合、味方もある程度の強さが必要なので今回は全然本気を出してない。本気の練水ならもっと深くに潜ってないと軍艦と島の一部を吹き飛ばしていた。破壊力で見れば大将にも引けを取らない。
現在は練水の地上版を考案中。
速さなどを含めた強さステータスのトータルは地上≫水中ではあるが攻撃力という点で見れば練水の使える水中が上。

ウォルフの強さ。
軍艦なら引っ張れる。


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