転生者は最強の海兵を目指………え、海賊になる? そんなぁ   作:海軍支部三等兵

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77支部にて

「懸賞金3000万ベリー!? どういうこった、そこまで狙われなきゃいけないことはしてないはずだ!!」

東の海(イーストブルー)のアベレージを3倍以上も超えた海賊団3つも潰したのです。それでも安くないと政府は判断しています』

「海賊の強さが何だ! ()()()()()()()こそを賞金の判断基準にするべきだろうが!!」

 

 新しく発行された手配書を見るように連絡を受け、そこに写るルフィを見て叫ぶクロウ。アーロンを倒した実力者であるルフィを少し調べれば、出るわ出るわ戦いの履歴。

 

東の海(イーストブルー)の海軍が手を焼いていた3つの海賊団の討伐、村々の開放、海兵の圧政の鎮圧。全員、海賊とは思えない心根だった! それら全部無視して()()()()脅威として指名手配なんざ筋が通らねえ!!」

『それは………あ、ちょ!』

「………?」

『その何時かが来てからでは遅いのだ!! それだけの力を持った海賊が、民間に手を出さないとどうして言える!? お前の覇気を疑わずとも、偉大なる航路(グランドライン)で染まらぬとどうして言える!!』

「っ!!」

 

 声が変わる。よく知っている声だ。その怒声にクロウは顔を歪めた。

 元々は冒険目的の海賊も、己の命のために他者を犠牲にしたり奪う快楽を覚えたりして染まるのは良くある話だ。彼等がそうならないと保証できるほどクロウは彼等を知らない。

 

「だけど、それを理解した上で言いいますが、民意はどうする? 海賊を倒し村を救った海賊達が追われる側になったなんて、納得すると思うんですか!?」

『……………クロウ伍長。本日より貴殿を本部伍長とする。以降支部での階級は准尉だ……』

「? 何を言って…………っ! 全部、()()()()()にしろってのか!? 俺が来たのは昨日の今日だぞ!」

『………もっと早くついていたことにするつもりらしい。最早覆せん、すまんな………』

「センゴクさんに謝られても………! っ、だったら……麦わらの一味の脅威度を下げて──!!」

()()()()()()…………』

 

 それ以上の議論は必要ない。そういう意味が含まれた言葉にギリッと歯軋りするクロウ。

 

「センゴクさん、痴呆五人衆に伝言頼めますか? 『海賊に守られてる国々を守ってから言え』っと」

 

 返事は聞く前に通話を切る。通話が終わったのを見てウォルフが心配そうに身を擦り寄せてきたので毛皮に顔を埋める。

 

「慰めてくれんのか〜? よ〜しよしよし、お前は本当にいい女だな」

「ワフン!」

 

 ワシャワシャしてくるクロウに当然、と鼻を鳴らすウォルフ。

 

「さて、と……………うわぁ、やっぱり」

 

 第77支部の人間が全員気絶していた。電話相手との口論の際に覇気が漏れたらしい。

 

「覇王色はなぁ、まだ制御できねえんだよなあ。あの爺に連れてかれた山も海も川も島も、隠れるか威嚇し続けるしかなかったし」

「クゥゥ……」

 

 気配を隠すか、逆に常に強者であることを示さねば標的にされるような環境にいたせいか、クロウの気配は0と普通と100しかない。しかもこの100、本来なら相手を選んで威圧できるらしいがその制御が出来ない。気が付いたら出てしまったりしている。

 

「ぷるぷるぷる、ぷるぷるぷる、がっちゃ」

「はいこちら海軍第77支部…………」

『おう、クロウか。丁度いい』

「スモーカー?」

『お前東の海(イーストブルー)なら何処所属でも良いんだろ? じゃあうち来いよ』

「え、やだ」

『はぁ!?』

「だってあそこ海賊たくさんくんじゃん。ムカつくやつだと強くなくてもつい覇気が漏れちまうし」

 

 そのせいで本部訓練中の兵士達が気絶したりと大変だった。だから森に送られて、細かい制御方法を覚える暇がどんどんなくなる悪循環。

 

『お前はそういうの全部追い詰められてから覚えるタイプだろ。良いから来い、ショック死するほどの老人もガキもいねえよ。昇進したらしいが階級は俺のほうが上だぞ』

「……………昇進」

『あん?』

「いや、解った。行くよ…………」

 

 そう言って通話を切り、書き置きを残す。

 しかし、昇進とは。全部他人の手柄なんだよなぁ。

 

「正義ってなんなんだろうな。他人の目を気にして嘘をつくってことは、海賊を倒して村を救うことだろうにそれをやった海賊は悪なんだってよ」

「クゥン」

「解ってるよ。威厳は必要だ………解っては居るんだ…………俺って我儘だなぁ。子供の頃の理想のヒーロー像と違ってて、それが気に入らないらしい」

「ハフ」

「それもそうだな。少なくとも、俺が……海軍が頑張ってる間に守れるもんは確かにある」

 

 その海軍の中にもクズがいたが、少なくとも新世界の海軍達は己の行動に誇りを持ち民草のために頑張っている。Tボーンとかはその例だ。

 

「しかしスモーカーの奴、なんだってまた。海賊こそ多いだろうけど偉大なる航路(グランドライン)の入口に、そこまで人手が必要とは思えないけど」

「ワフ、ワゥ?」

「ああ、まあこの海も最近騒がしいのか。全部ある海賊の一味のせいの気が………」

 

 とはいえ様々な海で初頭金額の高いルーキーが増えてきているらしい。いわゆる時代の流れとでも言うのだろうか?

 

「なんか世界が騒がしくなる予感がするなあ。魚人島付近の皆もそんな事言ってたし………あれ? 王様が生まれたんだったか?」

 

 まあ時代が大きく動き出すとは言っていた。彼等にとっての時代の動きに人間が関わるのかは解らないが、人間に彼等の時代の動きは関わったりもするだろう。それだけ大きな存在なのだから。

 

「『今』じゃなかったしても、そう遠く無いと俺は思うんだよ」

「クウウ?」

「そうだな、その流れにあのクズ共が飲まれて消えてくれるなら最高だ」

「ワン!」

 

 基地内を歩きながら停泊所に出るウォルフとクロウ。

 

「じゃあ行くか。目指すはローグタウン!」

「グォウ!」

「今回は空を行くか」

「ガウ!!」

 

 クロウが背に乗るとウォルフは高く跳ね、そのまま空を蹴り空を駆けた。

 

 

 

 

 

「この気配、ルフィとその一味か? いやまあ、海賊なら来るよな、偉大なる航路(グランドライン)の入口だし」

「クゥ?」

「そうだな。できれば捕まえたくないし、あっちの道から行こう」

「ワフ!」




因みにクロウはウォルフの言いたいことを鳴き声がなくてもわかるけど、クロウが変な目で見られないように和えて吠えてるよ。本当にいい女だ。


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