転生者は最強の海兵を目指………え、海賊になる? そんなぁ   作:海軍支部三等兵

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オウル・クロウ
年齢18歳
身長・206センチ
髪の色・赤茶
瞳の色・黒
右頬に三本線の傷がある。
母親は幼い頃に死別。父親は10歳ごろに海賊に殺される。その海賊は別の海賊により倒され村を救われたので海賊にもいい奴が居て、そいつに軍を差し向けて兵力や金を減らすより懸賞金が少なくとも一般人に手を出す海賊を優先すべきと考えている。


始まりと終わりの町

 ローグタウン。

 海賊王が生まれ、処刑された街。そして偉大なる航路(グランドライン)入口近くの島。

 そのため海賊が多く訪れ、それは収入源であると同時に悩みの種であった。そこに海軍本部から派遣されたのが白猟のスモーカー、海軍本部大佐。

 海賊を一度も逃したことがないらしい。

 

「久し振りだな、スモーカー」

「俺は年上で上司だぞ。敬語使ったらどうなんだ?」

 

 そしてクロウの知り合いでもある。

 

「昔からそうだしね。それに俺、スモーカーの方針好きじゃないし」

「ああん?」

「冒険したいだけで民間に害をなさない海賊は放っておけばいいのにストーカーみたいにネチネチと………無駄じゃん? 襲ってくる海賊から守ってほしいのに、襲わない海賊を追って労力と金を割くなんて………」

 

 海賊は確かに他者から略奪するものも多い。だが中には島の宝を探したり、街を襲う他の海賊を倒したりと悪と呼ぶのに相応しくない海賊もいる。しかしそれでも『正義』を背負った海軍は彼等を捕らえる。

 クロウはただでさえ加盟国の金を何もしない屑に取られているのに、それでも金を払ってる加盟国の民ではなく世界政府にとって都合が悪い存在に優先的に武力が向けられるのが気に入らないのだ。

 

「だが、名のしれた海賊が放置されてるってだけで市民は不安になり海軍をなめた海賊が増える」

「海賊を有名にするのは世界政府だろ………ああ、一応モルガンズも居たか」

 

 民の心の安心のために海賊は放置しないというのはTボーンの教えだったか、と知り合いの海兵を思い出す。確かに海賊というだけで無辜の民は恐れるだろうが………。

 

「俺はその手の海賊より政府方が怖いがね」

 

 政府が悪と言えば幼い少女すら悪魔となり、戦う力もない人間達が世界を滅ぼそうとしていたことになり、人のせいで起きた中毒症状すら知っていながら黙って伝染病ということにして、迫害を黙認し虐殺を見過ごした。

 

「じゃあなんで海軍なんだお前」

「人を救うには金と権力がいるから」

 

 力を振るうには権限が必要で、そのためには世界政府により武力行使の権限が与えられた海軍にいるのが一番なのだ。

 自警団のように活動したところでいずれ行き詰まるのは想像に難くない。

 

「政府の闇も理解した上で、それでも守ってるのは間違いないんだ」

「ワフ!」

「そうかよ…………だが、海賊の捕縛はきちんと手伝えよ」

「因みに俺の手柄ってことになってるの全部とある海賊団の手柄なんだけど、その海賊達も捕まえんの?」

「………………そいつは不幸だったな。まあ期待されてるってことさ」

 

 笑いやがるスモーカーも何時か同じ目にあいやがれと、クロウは心の中で呪った。

 

「ワフ!」

「ん? ああ………スモーカーたしぎちゃんは? ウォルフが会いたいって」

「あ〜………おいお前、知ってるか?」

「はい、曹長は武器屋に刀を取りに行くと!」

「何時間かかってんだ()()に! 海賊達の目撃情報も入ってる。お前ちょっと行ってこい」

「それなら俺達が行こう。ウォルフの鼻なら一発だ」

「あ〜………街の住人達怖がらせるなよ」

 

 大柄なクロウを乗せて走り回るウォルフは熊のようにでかい。実際ここに来るまで街の人達に怯え通報され、おかげで道を聞かず海軍派出所にこれた。

 

「じゃあちゃんと海兵の証つけとくか」

「ウォフ!」

「え、その犬海兵なんですか!?」

「俺の一つ下になるようになってるから今は「海軍本部一等兵」だ。支部でなら曹長」

「フン」

 

 鼻を鳴らし得意げなウォルフ。スモーカーの部下ではあるが本部所属ではない海兵は自分より狼が階級が高いことに驚きを隠せていない。

 

「よし、じゃたしぎちゃんを探すぞ」

「ウォウ!」

 

 海軍の制服をマントのように被せ、帽子を頭に置いたウォルフの背に飛び乗るクロウ。クロウが飛び出すと巨大な狼に驚く町民だが海軍の制服に気が付き今度は通報しなかった。

 

 

「……………ウォン!」

 

 スンスン鼻を鳴らしていたウォルフは匂いを見つけたのか一気に走り出した。

 

 

 

 

 

「ウォン!!」

「え? あ、ウォルちゃん!」

「ガルゥ……」

 

 黒髪ショートヘアの女海兵、たしぎを見つけたウォルフは彼女に駆け寄り頬を擦り寄せる。

 

「クロウ君も、お久しぶりです。この辺りに配属されたとは聞きましたけどこんなに早く再会できるなんて!」

「スモーカーに無理矢理招集されたからな」

「ふふ。スモーカーさんもクロウ君の実力を認めているんですよ」

 

 と、ウォルフを撫でながら笑うたしぎ。

 

「ところで、スモーカーが武器取りに行くのに何時までかかってるんだ、だってさ」

「あ、いけない! 急がないと!」

 

 まだ受け取ってすら居なかったらしい。慌てて走り出そうとしてコケるたしぎの服を加えるウォルフ。

 

「たしぎちゃん、案内よろしく」

 

 ウォルフが首をひねりたしぎを背に乗せあるき出す。一同はたしぎの案内の下、武器屋に向かった。

 

 

 

 

 麦わらの一味、海賊狩りのゾロ。

 現在彼は七武海、鷹の目ミホークに砕かれた刀に変わる新たな刀を探しに来ていた。

 元々の二刀に加え、幼馴染の形見である刀を足し三刀流を使うのだが、今は一本しかないのだ。それでも並の剣士よりは遥かに強いが。

 

「10万ベリーあるんだ。刀を2本売ってくれ」

「10万? ハッ、10万で2本? 5万じゃナマクラしか買えねえぞ。オッ?」

 

 金もなく刀の価値も知らない素人とわかると明らかに態度の変わる武器屋店主のいっぽんマツ。ゾロとしては間に合わせでいいからと質を選ぶつもりはない。と、いっぽんマツはゾロの腰に刺さっている刀に目を向ける。

 平常心を装うとするも全くできず、動揺しまくりながら見せて欲しいと頼み、その刀が間違いなく名刀であることに気付く。

 刀の価値も知らない素人、騙し取る事も出来るはずと20万で売ってくれと頼むが断られる。それでも値を上げ交渉しようとするが………

 

「あー! この刀は、もしかして!!」

 

 突如割り込んできた女が喜色の叫びを上げ、彼女を知っているいっぽんマツは彼女の言葉を予想し言うなと心で叫び先程彼女と少し話したゾロは何故ここにと動揺する。

 

「これっ! “和道一文字”でしょう!?」

「和道…?」

「綺麗な直刃……」

「そ、そういう名の刀だがな………まあボチボチの刀だ」

「ボチボチだなんて!! とんでもない! これは“大業物21工”の一本! 名刀ですよ! これ! 見てください、買おうとすれば1千万ベリー以上は下らない代物です!!」

 

 そう、彼が最初に買い取ろうとした20万ベリーは勿論その後値を上げた金額でも、文字通り桁違いの金額が必要となるのだ。

 

「このクソ女、全部喋っちまいやがって! 営業妨害で訴えるぞ畜生が!」

「は……え? 営業妨害!? ごめんなさい、私何か悪いことしました?」

「気にするこたぁねえよたしぎちゃん。どうせ人を騙そうとしただけだ。あんたも悪いな、たしぎちゃん名刀に目がなくて……………あ」

「あっ!?」

「え?」

 

 女の連れか、話しかけてきた男に目を向けるゾロ。

 頬に走った三本傷に、200センチ超えの身長、そして何よりその容姿……

 

「てめぇは!!」

「え? あ、貴方はさっきの! クロウ君とお知り合いですか?」

 

 咄嗟に刀にて伸ばすゾロ。クロウはたしぎとゾロを交互に見る。

 

「……………まあ、そうだな。アーロンの捕縛を手伝ってくれた善意の一般人だ」

「そうなんですね! この子、才能はあるんですけどまだまだ若くて。ありがとうございます!!」

 

 弟が世話になった姉のような態度のたしぎ。ゾロは海賊であることを黙っているクロウに訝しげな視線を送りクロウは海軍の制服をトントンと指で叩く。

 お互い面倒は避けよう、という意味だろう。思えばあの時も、ルフィが海賊と名乗らなければ見逃そうとしていた。

 

「チッ! おい、お前はこの“時雨(しぐれ)”を取りに来たんだろ? 磨き終わってるよ!」

「あ…わ、わ………」

「クソ。ヒョロ剣士の癖に名刀持ちやがって!!」

「ああ!!」

 

 投げ渡された刀を受け取るもバランスを崩し刀が積まれた壁に突っ込みそうになるたしぎ。クロウが慌てて支えた。

 

「おい、お前。そこのトロ女に救われたな。彼奴の言う通り価値も知らねえ男が持ち歩くにはもったいねー程の名刀だよそれは」

 

 名刀が手に入らなかった事に不機嫌になりながらなりながら5万ベリー均一の刀が入った棚を指すいっぽんマツ。

 

「刀、お好きなんですね。3本も揃えるなんて()()()()()()()()みたい!」

「賞金稼ぎ………」

「賞金稼ぎねぇ……」

「知りませんか? ロロノアって男です」

「名前はよく聞く」

 

 そうだろうねぇ、と目を逸らすクロウ。

 たしぎは気付かなかった。元々ロロノア・ゾロと言う名は東の海(イーストブルー)ではかなり有名だからだ。

 

「『悪名』ですよ! 刀をお金稼ぎのための道具にするなんて、許せません!」

 

 たしぎはそう言って怒りを顕にする。

 

「どうしてこの時代“悪”の方が強いんでしょうか。名のある剣豪達はみんな海賊だったり賞金稼ぎだったり。世界中の名刀だってその等の手の中にあるんですよ? 刀が泣いてます!」

「剣に生きれば人を切るんだ。そりゃ人斬りの方が名もあがる。刀なんざ突き詰めれば人を切る道具だし、使ってくれて腕の立つ剣士の手にある方が喜ぶだろ」

「もう! そんなこと言わないでください!!」

 

 たしぎとは考えが違うのか、クロウが海賊や賞金稼ぎが刀を持つことに肯定的な発言をすればたしぎに頬を引っ張られた。

 

「俺も悪党は大歓迎だぜ!? この町も昔は“偉大なる後の航路(グランドライン)”へ入ろうって奴で溢れていた。だが、あの化物がこの町を仕切るようになってからトンと客足も途絶えちまった!!」

 

 偉大なる航路(グランドライン)を目指すには武器がいる。そのためにこの町で武器を求めるが、そういった者達は海賊なのでスモーカーに捕まる。結果こういった店の客がいなくなるのだ。

 

「ス、スモーカーさんは化け物なんかじゃないです!」

「化け物だ! 悪魔の実の能力者なんて!!」

「悪魔の実?」

 

 悪魔の実という単語にゾロがピクリと反応する。

 

「と、とにかく私は! この時雨で剣士としてもっともっと腕を磨いていずれ、世界中の悪党達に渡った名刀を集めて回るんです! 最上大業物12工、大業物21工、良業物50工………私の命にかけて!!」

「この刀も奪うのか? 和道一文字っつたか………」

「え? ………あっ! ち、違いますよ! 私は別に名刀が欲しいわけじゃなくて、悪党の手に渡るのが嫌だって言ったんです!」

「へぇ……」

 

 たしぎの決意表明にからかうように和道一文字に触れるゾロ。たしぎが否定すると面白そうに笑いながら樽の中の刀を探る。

 

「え、あ………これ! 本で見た!!」

 

 と、たしぎも手伝うように刀を見聞し、一本の刀に目を付けるといっぽんマツが肩を揺らす。

 

「三代鬼徹!! これ、これにするべきですよ!!」

 

 たしぎ曰く5万ベリーで売ってるのがおかしい名刀だそうだ。因みに名前のとおり三代目で、二代鬼徹は大業物、初代鬼徹は最上大業物らしい。

 

「ダメだ! やっぱダメだ! そいつは売れねえ!!」

「えー! そんなぁ!」

「……………妖刀か」

 

 いっぽんマツが売るのを拒否したしぎがショックを受ける中、ゾロは刀を抜き刀身を眺め呟く。

 

「!? 知ってたのか?」

「いや、わかる」

 

 ゾロの言うように、その刀は妖刀。呪われた刀。

 鬼徹一派の刀は初代を含め、腰にした剣豪たちに非業の死を運んだ。今となっては知らずに腰にし、死ぬばかりで使い手は一人も居ない呪われた刀らしい。

 処分したいがそれはそれで呪われそうで出来なかったらしい。

 

「ご……ごめんなさい! そんな恐ろしいものだとは知らなくて!! 私、出しゃばっちゃいました!!」

「ケッ、ひよっ子が。ちょっと刀について齧った程度で知ったような口を叩きやがって!!」

「…………」

 

 たしぎが頭を下げいっぽんマツが悪態をつくなか、ゾロはジッと三代鬼徹を眺める。

 

「気に入った!! これをもらう」

「ば、馬鹿! 売らねえぞ、それで死んだら俺が殺したみたいじゃねえか!!」

「馬鹿だねあんた、売っちまいなよあんな刀!」

「げ、母ちゃん!!」

 

 後味が悪くなる思いをしたくないのか拒否するいっぽんマツだったが家内が出てきて頭を叩く。彼女としてはあんな不気味な刀を置いておきたくないのだろう。

 

「じゃあこうしよう。俺の『運』と三代鬼徹(こいつ)の『呪い』、どっちが強ぇか試してみよう……俺が負けたら、所詮俺はそれまでの男だ」

「なっ!?」

「おお」

 

 ゾロは唐突に刀を回転するように上に投げ、落下位置に己の腕を伸ばして構える。

 

「馬鹿な真似はやめろ! 切れ味は本物だぞ! 腕がなくなる!!」

「えっ!!」

 

 顔色を変えるいっぽんマツとたしぎだったが、三代鬼徹はゾロの腕をすり抜けるように床に刺さった。

 

「もらってく」

 

 その光景に腰を抜かすたしぎといっぽんマツ。ゾロがもう一本選ぶようたしぎに頼むといっぽんマツが待っていろと店の奥に走り一本の刀を持ってきた。

 

「造りは黒漆太刀拵! 刃は乱れ刃小丁字! 良業物『雪走』! 切れ味は俺が保証する、もらってくれ! 俺の店の最高の刀だ!!」

「受け取れねえよ、金がねえ」

「金はいい!! 鬼徹もだ」

「………!」

「さっきは騙そうとして悪かった。久し振りにいい剣士の目を見た……刀は持ち主を選ぶという。お前さんの幸運を祈る!!」

 

 いっぽんマツがゾロを認めたということだろう。その言葉に満足したゾロは刀3本を腰にさし店から出ていった。

 

「おやおやドケチのあんたが家宝を人に上げるなんてね」

「女はすっこんでろ! 男が男に夢を託して何が悪い!」

「さっさと風呂掃除しちまいな」

「はい!」

 

 呆れたように笑う奥さんにいっぽんマツは決め顔のままそう言った。奥さんも文句を言わないあたり、いっぽんマツのそういうところを含めて結婚したのだろう。

 

「ところでたしぎちゃんは何時までそうしてるの?」

「………腰が抜けて立てないや」

「そうか」

 

 と、クロウがたしぎを抱き抱える。

 

「〜〜!? も、もう! クロウ君は何時も背が高いからって私を子供扱いして! 私の方がお姉さんなんですよ!?」

「知ってるよ。ほらウォルフ」

「ウォフ」

 

 店の外で待機していたウォルフの背に暴れるたしぎを乗せ歩き出すクロウ。

 

「それにしてもさっきの奴…………思っていたより大物になりそうだ」




たしぎはクロウを弟のように思っていて、クロウは精神年齢が歳上なのでたしぎを妹のように思っています
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