転生者は最強の海兵を目指………え、海賊になる? そんなぁ 作:海軍支部三等兵
「あっはっはっ! はーははははは!!」
「おいクロウ! 何時まで馬鹿笑いしてやがる!!」
死刑台広場で海賊達が騒ぎを起こしたと聞き、直ぐに動いた海兵達。その中に混じったクロウは現在大爆笑していた。
海賊同士のいざこざなのか、道化のバギーが麦わらのルフィを死刑台で処刑しようとし、麦わらの一味が助けようとするも間に合わず剣が振り下ろされ………しかし雷が落ちバギーと死刑台を焼いた。
「いやいや、こんな漫画みたいなことある? これはあれだね、世界が彼奴を生かそうとしてるんだ」
「………笑えねえなあ」
突然の雨で火薬類が使えず、しかも逃げた彼等を後押しするように風は西向き。西の港に向かった彼等からすれば船を出す追い風となる。
偶然と片付けるには余りにも出来すぎた、まるで本当に天が彼を生かそうとしているかのよう。
「まあ取り敢えず残った海賊を………えー! バラバラになった体を組み立てて車に!? 何だあの悪魔の実、羨ましい!!」
「「「こんな時に何言ってんだあんた!?」」」
「でも気持ちは解る!!」
「「……………」」
スモーカーは何言ってんだ此奴等という目をしてたしぎとウォルフはシーンと冷めた目を彼等に向けていた。
「そ、それよりクロウ君! あの人は海賊捕縛を手伝ってくれた善意の一般人だって………!」
「嘘じゃないぜ? 見返りは求めてこなかったし、そもそも俺がやったことになってる海兵の汚職、圧政を解決したのも海賊を捕らえて人々を救ったのも麦わらの一味だし」
「………………え?」
「懸賞金も海賊と繋がってた海兵が捕まる前にせめてもの意趣返しに出したものだしなあ」
「え? でも、彼等は海賊で…………」
「良いから追えお前等!!」
たしぎの心がこれ以上グチャグチャにならぬようスモーカーが叫ぶ。何時の間にかバギー一味を捕まえていた。
たしぎが慌てて走っていく背中を見ながらクロウはスモーカーの何やら言いたいことがありそうな目を見て言葉を待つ。
「奴等がどんな性格だろうと、海賊を名乗り海賊王になると叫んだ。それだけだ」
「世界政府は神か何かか? まあ、俺も海兵だからな………さっきはともかく、今は仕事と行こう」
次の瞬間ウォルフとクロウの姿が消える。その軌跡を示すかのように雨が宙で一瞬だけ弾けた。
「おっと行き過ぎた」
「「!?」」
道中立ちはだかったたしぎをゾロに任せ先に船に向かうルフィとサンジ。その二人の真上を通り過ぎ地面を削りながら着地する2つの影。
「っ! てめぇ等は!!」
「よう海賊共。悪いが今この場の最上位は俺じゃないんで、現場判断ができないんだ。捕まえさせてもらうぜ」
と、クロウが言い切る前にルフィが動いていた。顔面に向かって伸びてきた拳を回避し一瞬で懐に入り込み腹を殴る。
「うぉ、え!!」
「だから、なんでゴムに打撃が効くんだよ!!」
「能力者は耐性のある攻撃は効かない前提で動くから動きに無駄ができる」
「こんにゃろ! ゴムゴムのガトリング!!」
「
「紙絵」
ルフィとサンジの連撃を、攻撃から発生する空気に乗り躱し、足首と手首を掴む。
「海氣八極……『渦』」
「ぐぁ!!」
「ぐへぇ!!」
クロウの足元から
「まだこんなところにいやがんのか!! 虎──!!」
「ガゥ!!」
「が……うお!?」
と、クロウに技を放とうとしたゾロだったがウォルフがゾロに襲い掛かる。寸前で交わすもウォルフの牙が先程までゾロが居た場所を噛み砕いたのを見て目を見開く。
「石畳を抉りやがった。どんな牙と顎をしてやがる!!」
「ガア!!」
「っ! 牛針!!」
刀を突き出すように構えた連続の突き技。しかしクロウの毛皮に当たり金属音を響かせる。
「何!?」
「刀の良し悪しも剣士の力量の一つだが、刀の切れ味に頼ってるようじゃウォルフは切れねえよ」
「グオウ!!」
驚愕し固まるゾロを前足で地面に叩きつけるウォルフ。
「これで主力は制圧、と。まあ、お前等の懸賞金も、元は海兵の恥知らずが原因だしエニエスロビーやインペルダウンには行かねえよ。俺が説明すりゃ無罪にもなるだろ」
もちろん二度と海賊行為をしないと誓えば、だが。
そこは監督をあの爺にやらせて、海兵にでもなれば間違いなく将校クラス…………。
「勝手なこと、抜かすな………! 覚悟持って名乗ってんだよ、こっちは…………!!」
「…………そいつは失敬」
倒れても尚立ち上がろうとするゾロの気迫に、クロウも意識を切り替え気絶させる為頭を踏みつけようとし………
「やめろぉぉぉ!!」
「がっ!?」
見聞色を通して頭の中に流れ込んでくる覇王の気質。なまじ万物の声を聞ける見聞色の持ち主の為、高い資質の覇気を流し込まれ見聞色がショートし周囲の気配が探れない。故に………
「旅行するなら、どこに行きたい?」
「あ? くまさ──!!」
背後に突然現れた気配に声を掛けられるまで気付かず、その手がクロウに触れる。クロウの姿が掻き消えた。
「っ!! がアァ!!」
クロウの背後に現れクロウを消し去った巨大な人影に襲いかかるウォルフも同様に………。
「何のつもりだ………」
同時刻、ルフィを追うべく走っていたスモーカーはクロウならばもう捕まえているだろうと『ビローアバイク』に乗らず移動していると誰かに
誰だと睨めば、それはスモーカーも…………海軍ならば誰もが知る顔。
「話に聞く海兵を見に来たのだが、思わぬ出会いもあったのでね」
「麦わらに手を貸すか、ドラゴン!!」
「男の船出を邪魔する理由がどこにある」
「ぶぇへ!!」
ベッ、と砂の中から這い出し砂を吐き捨てるクロウ。何処に飛ばされた。というか何故飛ばされた!?
左、砂。
右、砂。
前、砂。
後ろ、砂。
空…………なんか降ってきた。
「うっ!?」
ベコン! と砂が肉球模様を描くように凹み、舞上がる。落ちてきた砂に飛んできた何かが埋まり、クロウのように這い出す。
「クゥ………」
「ウォルフ!」
「っ! ワフ!!」
這い出てきたのはウォルフだ。クロウを見ると尻尾を振りながら駆け寄り押し倒し、べろりとなめ砂っぽかったのでやめた。
「ウォルフを飛ばしてくるあたり、あの人も気遣ってくれたんだろうけど…………何処だここ」
「ウォフ」
暑いのか、うなだれるウォルフ。クロウは月歩で上空まで飛び地形を確かめる。見渡す限りの砂漠。だが、この地形………
「海軍要らずのアラバスタかよ。参ったな、電伝虫もないのに…」
一応
いや、あの人が自分をここに飛ばした理由はただ麦わらの一味を逃がすためだけではないだろう。迂闊に海賊と接触するのは、よく言えないがまだ早い気がする。
かと言って
「…………海軍いらず、海賊、反乱軍…………ちょっと調べてみるか」
これは海兵としての仕事ではない。上に報告すれば問題ないから戻れと言われるだろう。
「ウォルフ、今から俺達は旅人だ。
海軍の制服を脱ぐクロウにウォルフは目を細め、しかし自分も脱がせろというように海軍コートを巻きつける紐のかかった首を持ち上げる。
「よし行くか………まずは水だな」
「ウォン!!」