転生者は最強の海兵を目指………え、海賊になる? そんなぁ   作:海軍支部三等兵

7 / 7
アラバスタ

「王都にのみ降る雨に、国の干魃、そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()ねえ………」

「ワフ?」

 

 何とも出来過ぎたシナリオだ。だが、追い詰められた人間は恨みのはけ口を求める。()()さえどうにかすれば救われるという状況に飲まれやすい。

 

「雨を独占する王さえ倒せば再び国が潤う、なんとも大衆向けの物語だ」

「グルルル!!」

「ひ、ひぃ!!」

 

 砂漠をゆく商人のふりをした一団を襲い情報を聞き出すクロウ。バロックワークスなる会社が、理想国家設立のために暗躍しているらしい。もっとも、国の設立に必要な土地と民はアラバスタを乗っ取ることで奪うつもりらしいが。

 

「しかし社員旅行もあるとはブラックなのかホワイトなのか………ま、良いか。問題はこれだな…………」

 

 製造、所持禁止のダンスパウダー。雲を育て雨を降らせる代わりに風下から雨を奪う特殊な粉。何処に運ぶつもりだったのかは暗号化されており、運び先を今から見つけるのは無理だろう。時間通りに来なかった時点で異変に気づき移動しているかもしれない。

 

「燃やすのはまずいんだっけ?」

 

 ダンスパウダーの下手な廃棄は雨を呼ぶ。そもそも捨て方を知らない。

 

「まあいい、此奴等と一緒に埋めるか。ウォルフ」

「ウォン!!」

 

 既に掘ってた。

 ダンスパウダーをそこに落としたあと、BW社員の首だけ残して後は埋めた。土の中は涼しいから、ただ放置するよりは持つだろう。後で海兵と接触できたら取りにこよう。獣に襲われるかもしれないが今の自分に逮捕権はないし…………。

 

「己の理想のために国を殺そうとしたんだ。死ぬ覚悟ぐらいはできてるだろう」

 

 男が震えるのは砂漠の冷える大気か、それとも恐怖か。クロウにはどうでもいい話だ。

 

「雨の降らない環境ね…………王国への不満以上に、ここに在籍してる海賊に都合がいい」

「クウウ………」

「さて…………」

 

 と、クロウは河に入る。アラバスタに流れる大河、サンドラ河だ。

 ウォルフが川岸で待機していると水面が膨れ上がり巨大な水柱が複数蛇のように空へと向かって伸びていく。

 

「水が確保できりゃ少しは落ち着くだろ。ジンベエさんから習っててよかった」

「ワフ…」

 

 水柱が飛び散った余波で雨のように降り注いだ水滴によりずぶ濡れになったウォルフは不満げな視線をクロウに向ける。

 

「…………わり」

「バウ!!」

 

 ガブッと噛みつくウォルフ。クロウは噛みつかれたまま歩き出した。

 

 

 

 

 

「…………これ俺のせいか?」

「ワフ」

 

 近くの街によると、老人が水溜りに浮いていた。こんな時間に老人が一人で外に出ているとは思わなかった。

 慌てて引き上げて腹を押すとピューッと水を吐き出した。

 

「ぷはぁ!! お、おお! 水だ! はは、やはり雨は降った…………雨だったかの、あれ………」

 

 今尚地面に吸い込まれながら水位を減らしていく水溜りを見ながら首を傾げる。

 

「すまん、あれは俺が川の水をふっ飛ばした」

「む、君は………?」

 

 

 

 

 痩せた老人の名はトト。人の居なくなった町の名はユバ。嘗てはオアシスであり、旱魃と度重なる砂嵐によりオアシスが砂に沈み、人々が去っていったらしい。

 

「ははは。そうか、君のおかげか! 久方ぶりに水を全身に浴びれたよ。ありがとう」

「ああ、いや……なんかすいません」

「他の街にも水をくれてやったのだろう? 外に置いてある壷に溜まったろうし、そうでなくとも濡れた地面を見れば少しは心も潤うだろう」

 

 それだけで心が揺さぶられるほど、この国は乾いているということだろう。ダンスパウダー………運ばれている場所を見つけるべきだったか。

 

 

 

 

 

「というわけで、アラバスタ王国近海にダンスパウダーを違法所持していた船を発見。詳しい調査をお願いします」

『何がというわけか解らないわ。ヒナ困惑』

 

 見聞色の覇気で探し出し襲撃し、制圧した後備え付けの電伝虫で海軍に連絡する。これまた知り合いと繋がった。

 

「海軍からバロックワークスに対する強制捜査の書類が欲しい。何時出せる?」

『出されなくても行くのでしょう?』

「まあね」

『…………その島には七武海がいるわ。彼と協力するの?』

「だとしたら先にそっちに連絡するさ。俺は七武海制度そのものは嫌いじゃないけど、メンバーの選出には物申したい………ジンベエさんやくまさん………後、まあミホークさんなら手を組んでもいいけど………」

 

 それ以外の七武海とは正直手を組みたくはない。いや、くまのように伝わっている話と本人が明らかに異なる場合もあるのだが………。

 

『解ったわ。現地で犯罪行為が発覚した以上、調査は必要だもの。調査を命令します』

「ありがと」

『ただし、明確な証拠がない状態での七武海との交戦は許可しない。解ったわね……?』

「……………もちろん」

『ヒナ心配。それより、どうしてあなたが偉大なる航路(グランドライン)に──』

「…………」

 

 通信が終わり船の甲板に出るとウォルフが妙な女と、なんというか………『6』って感じの男を前足で踏みつけていた。

 

「…………幹部か? 丁度いい、色々聞かせてもらおうか」

 

 結局何も知らなかったが。

 解った事と言えばMr.0なるトップの顔はMr.1ですら知らず、Ms.オールサンデーがMr.0との仲介役。そのオールサンデーが凄い美人らしい、ということだけ。

 

「黒髪で、青い目。鼻筋がはっきりして高く………目元がはっきりした美人…………美人かぁ。こういうのは主観が入るからなあ………」

 

 惚れた腫れたで女は美人に映るし、そもそも女の趣味は人それぞれ違う。クロウの趣味も人には理解されにくい。

 

「ま、今はいいか」

 

 

 

 

 因みにユバのオアシスはクロウとウォルフによって水が出るまでに掘り起こされた。今はクンフージュゴンの大群の手伝いによりさらなる発掘、水の保存が行われている。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。