自分より強い上位種に愛されるの良くないですか!?   作:糖分至上主義

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いつか見た夏の日の情景
暑い夏の陽射しに焼かれても尚色褪せない記憶
皆さんには存在しますか?
私には『実家の蒸し暑い2階でテレビをぼーっと見ていた記憶』・『祖父母の風鈴がなる縁側で青々とした畑と山を眺めていた記憶』がありますね。


夕暮れに紫陽花、蜘蛛の糸1

ーーーおそらくこの日記を誰かが読んでいる頃には私はこの世界にはいないだろう。ああ、もし不穏な空気をかんじとったりしたのなら安心してくれ。別に死ぬ訳では無い、と思う。これから綴るはひと夏の思い出に囚われた愚かな男の独り言である。

 

 

 

 

始まりはーーそう、小学生の夏休み。

当時私は都会育ちであったが毎年夏休みに入ると田舎の祖父母の家に遊びに行かされていた。両親は共働きでありその方が都合が良かったのだろう。兄弟がいない私にとっては、子供もほとんど居ないような田舎で遊び相手がおらず、かと言って山や川は危ないからと止められており退屈だとわかっている場所に行くのは嫌だったためいつも渋った。

しかし好奇心よりも怒られることのがよっぽど嫌だった私は嫌々ながらも祖父母の家に行き、いいつけを守り家の周りで遊んでいた。毎日毎日代わり映えのない風景に蝉時雨が降り続ける毎日にストレスが少しづつ溜まっていった。

そしてついにこれ以上は暇に殺されると我慢の限界に達し、早朝祖父母に黙って山に行った。一人でなんでも出来ると謎の自信に満ち溢れていた年頃であったのだ。近くには川もあったがなぜだか山に惹かれた。よく考えればこの時点でもう私の運命は決まっていたのかもしれない。

道と言うには無理がある草丈の低い場所を選び、山奥へと歩いていった。太陽が頭の上に上がる頃、どこをどう進んだのか気がついた時には苔むした石段が続く道が眼前にあった。しかし周りを鉄格子で囲んであり容易には侵入できなかった。しばし鉄格子にそった道を歩くと一部破れている場所を見つけた。ここでよせばいいものをその日は初めていいつけを破った高揚感からか迷わずに鉄格子を潜った。

それまでの道は多少手入れされていたのだろう、鉄柵の奥は明らかに草木の容貌が違った。それになぜだか空気が澄んでいた。胸を高鳴らせながら石段を一つづつ上がっていく。夏の日差しが全く気にならず何かに取り憑かれたかのように一心不乱に登った。途中にあった地蔵様のようなものにも気が付かない程度には。

石段を登りきるとそこには古い家屋があった。とても立派で鳥居と賽銭箱があれば神社のようだなと思い、家屋に近づいていく。

シャン シャラン シャン

鈴の音が鳴ったような気がした。

当たりを見渡すと、いつからいたのか女の人がいた。白色の長い髪の毛に切れ長の目、うっすらと笑みを浮かべる唇。

クスクスクス

見たことの無い絶世の美女に目を奪われ呆然としていると、その様が面白かったのか鈴を転がしたような笑い声が聞こえてくる。

「そんなところで呆然としてないでこっちにおいでください」

心地よい声に吸い寄せられるように歩いていく

「ここまで暑かったでしょう。それにここまで登ってきて疲れたのではなくって」

柄にもなく緊張してしまい返事ができなかった私は首を振ることで大丈夫だと告げた。

「そう..小さくたって男の子なのね。元気なのはいい事よ。えぇとてもいい事。」

横に腰掛け女性を眺めているとふと疑問が沸いた。

「お前なんでこんなとこに住んでんだよ。」

今にして思えばえらく生意気な子供であっただろうに、気にする素振りもなく彼女はどこか遠くをみやりながら、呟くように言った。

「昔の約束でね。ここに住まなきゃいけないの。なにかしなければいけない訳でもないから暇でね。」

「ふーん。じゃ、じゃぁこれから毎日来てやるよ!」

「そう。それなら暫くは退屈しないかもしれないわね...」

 

それからの時間は早かった。気がつくとオレンジ色につつまれていて急いで家に帰った。帰ると当然祖父母に怒られた。どこに行っていたのか、何をしたのか根掘り葉掘り聞かれたが山での出来事は言わなかった。適当に誤魔化して祖父母からの追求を逃れた私は初めての反抗にしてやったりとほくそ笑んでいた。




あと2本くらいで完結予定です
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