自分より強い上位種に愛されるの良くないですか!?   作:糖分至上主義

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書ききれませんでした。
とりあえずはだいたい1話1500-2000字くらいにしたいので分けて出そうと思います


夕暮れに紫陽花、蜘蛛の糸3

あれから祖父母の家どころか山すら忌避するようになった私は極力そういう手のものに近寄らないようにしていた。

 あの出来事を忘れるために、なんでもよかったが打ち込めるものが欲しかった。勉強は苦手だったが気がつけば平均程度にはできるようになっていた。その甲斐あってか、当初は無理だと言われていた県立の高校に進むことが出来た。目まぐるしい新生活、新しい友達、両親の所得が増えたことにより2人との時間が増えたこと。全てが私にとって良い方向に向かってきていて、まさに幸せの絶頂だった。 あの出来事、紫陽花と過ごした夏の思い出は忘れていった。高校では彼女もでき、成績もぐんぐん伸びた。いい大学に入り、彼女と結婚の約束もして中堅企業に就職した。20歳を迎えてもなんてことはなく、それどころか大学時代から少しづつやっていた株が大成功して裕福になった。祖父母も高齢だし両親も少しづつだが老いが辛いと言っていた。もう少しお金が貯まったら新しい家をプレゼントしたいと思う。ここまで幸せに過ごせるのは彼らのおかげなのだから!

 

 

 

嘘だ

 逃げるように勉強に打ち込んだからそこそこの高校には行けた。しかし、友達と一緒にいると不幸に見舞われるようになった。些細な不幸だ。にわか雨に打たれるとか、自転車がパンクするとか、その程度だった。しかし、次第にそれは大きくなり友達のひとりが事故を起こした。目の前で飛び出してきたトラックに跳ねられた。確かに曲がり角で見えなかったとはいえ、私の前にいた友達だけが狙われるようにはね飛ばされた。それからは少しづつ変な噂が流れ出して少しづつ離れていった。中にはそんなこと気にしないとそばに居てくれる人も居た。初めてできた彼女がそうだった。彼女は長い間一緒にいてくれて本当に救われた。 しかし、彼女は日に日におかしくなった。私が知らない女と歩いていたと言うのだ。当然そんなことをした覚えがないし、そもそも私の噂を気にせずに一緒にいてくれるのは彼女くらいだ。それ以外にも電話をしていると女の声がする、一緒に帰るために待ってると別の女と待っていなかったかと言われた。極めつけには香水をつけているのかと聞かれた。ベッタリと匂いが付いていて気分が悪くなるからもう少し控えた方がいいとも言われた。

そんなはずは無い。それではまるで彼女が、紫陽花が憑いてきているみたいじゃないか。

彼女と喧嘩別れをした。些細な出来事だった。しかし、1度できた疑念は真っ白なキャンバスに落ちた黒い絵の具のように私たちをじわりじわりと侵食していった。

 ついに学校で孤立してしまった。なんとか高校を卒業した。とはいえ勉強はボロボロ、加えてその頃には軽度の対人恐怖症を患っていた。しかし、罪悪感と自罰的な気持ちとで人と顔合わせの少ない仕事をやってなんとか稼いでいた。けれど現実は非情なもので、両親共に会社の経営が傾いた。ただ時期が悪かっだけなのだろう。私たち家族は歪な関係になった。私は何も悪いことはしていないのに!不幸は波のように押し寄せてくる、、、この時期はいっそ死んでしまうのが幸福への最善策だと考えていた。

 

 

 

他者から逃げるように祖父母の家に向かった。あれほど恐れていたはずなのに自然と最初に向かった。祖父母の温かさを求めてか紫陽花との逢瀬の日々を思い出してか。

祖父母の家に行くとなんだか小さな家だと感じた。

昔はあんなに大きくて未知で溢れていたというのに。少し目線が変わっただけで随分とちっぽけで淡白に見えた。

祖父母は何も聞かずに迎え入れてくれた。美既にしかれていた布団と出てきた温かいご飯に涙がこぼれそうになった。久々に心穏やかな一日を過ごし幼少期のことを思い出し始めた。

庭には花壇があって一緒に向日葵を植えたこと、山や川に行けずあぜ道を駆け回ったこと、嫌という程可愛がられて辟易としていたこと。

そして紫陽花との眩い毎日。

天啓が降りてきたような気持ちになった。【彼女に会いに行こう】

そこからは彼女のことばかり考えていた。そういえば古い約束はまだ有効であろうか。8年前、私が逃げ出した日に聞いた「20歳に迎えに来る」という約束は。現在は19歳だがもう1週間もすれば20だ。梅雨に来るとも言っていた気がする。今は5月中旬であるためあと一月もすれば梅雨に入る。

そう考えると今までの不幸も悪くないのかもしれないと思いはじめた。友達が不幸にあったのも私の不幸などではなく、彼女が私を助けてくれていた。常に女の影があると言われたのも私の彼女が良くない人物だと教えてくれていたのでは無いのだろうか。そう考えると一気に紫陽花に愛おしさが込み上げてきた。




実は現在私の身に起こっていることなんですよね(大嘘)
前話の頭が痛い云々は私が実際に体験した熱中症の症状ですのでご注意ください
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