ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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遠い昔…まだドラゴンが空を飛んでいた時代。

地上では『連合軍』と『帝国軍』の二大勢力が世に調和をもたらす女神をめぐって争いを続けていた。

『帝国軍』が女神を匿う城への奇襲を仕掛けているさなか、一人のキル姫が目を覚ましていた。


第一章 源流
第1節 転移


 頭が痛い。何が起きたのだろうか。

 地に伏せていたキル姫は、そっと体を起こす。頭ぼんやりしていて、直前まで何をしていたのかを思い出せない。

 そもそもここは何処だろうか。思考している内に頭はハッキリとしていき、同時に異変に気がつく。

 あちこちでぶつかり合う金属音。様々な叫び声。むせ返るような血の臭い。キル姫、ギャラルホルンはこの近くで戦いが起きていると理解する。

 しかし、何故なのかが理解できない。ラグナロク大陸は平和だった筈だ。隣人同士の喧嘩とかその程度ならまだ分かるが、明らかにここは戦場だ。

 何が起きているのか、ここは何処なのか。理解するためにも、近くに見える城へと走り出した。

 

「うわああ!この、化け物があ!」

 

 弾き飛ばされた青年がギャラルの側に落ちる。追ってきたもう一人が容赦なくトドメを刺す。

 返り血で赤く染まっている鎧を着た男は、剣を振ってくる。

 

「子供だろうと皆殺しだ!」

「何なのよ!?」

 

 ギャラルは余裕を持って躱し、しかし反撃していいものかと悩む。しかし思考は一瞬、止めなければ殺されるという確信を得る。

 凄惨な戦いを知っているからこそ分かる。この男の目は確実に相手を殺すという意思がある。

 神器ギャラルホルンを手に取り、魔力の弾を撃ち出す。

 突然手に取った巨大な笛と、そこから飛び出した魔弾には対処出来なかったのか直撃し、大きく吹き飛ぶ。

 しかしトドメは刺さないように威力は絞っていた。ギャラルはこの状況を理解していない。まだ、殺してしまってもいいのかという悩みはあった。出来るならみんなに幸せになって欲しいという願いを持ち、その為に行動したいギャラルにとって、躊躇いなく殺すことなどは出来なかった。

 

 なるべく襲われないように、人が少ない場所や見えづらい場所を選びながら城へと接近していく。その間も、戦場に響く怒号と悲鳴、金属のぶつかり合う音が響いていた。

 城門まで無事に近づけたが、流石にそこは隠れながら通れそうにない。不意打ちで近くの兵を気絶させ中に入っていく。

 中には広場があり、中央には赤いドラゴンが佇んでいた。

 

「貴様、ただの人間ではないな」

 

 ドラゴンはギャラルへと声をかける。ドラゴンが喋ったことに驚きつつも、ようやく話せる相手がいたことに安堵する。

 

「私はギャラルホルン。キラープリンセスよ」

「キラープリンセス……聞いたこともないな。帝国共の新兵器か」

 

 ドラゴンはギャラルのことを警戒している。臨戦態勢に入っている。

 ギャラルは帝国とやらを知らないが、ドラゴンが帝国とは敵対していること、そして自分は帝国の兵器なんかではないことは確実だ。

 

「待って、ギャラルは帝国の味方ではないわ。貴方とも敵対するつもりはない。ただ何が起こっているか教えてほしいの」

「見ての通り、戦争だ。それ以上を知りたければ、城内に行けばよい。中で男が一人で戦っている。手伝ってやれ」

「行けばいいのね」

 

 ギャラルは知る為に、城の中へと突入する。

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