ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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海の神殿から砂漠へと戻ってきたカイム達。しかし封印の女神を狙った襲撃が行われていた。
空の部隊を蹴散らすためカイムは空へ、地上の仲間を援護するためギャラルは地上へ向かう。


第2節 キラーズ

 エンヴィがギャラルの背から降りながら、地上の部隊のど真ん中目掛けて大技を放つ。投げ放たれた槍は黒い衝撃を放ち触れた者を肉塊へと変えていく。

 ギャラルは七支刀の元へと降り声をかける。

 

「大丈夫!?」

「ギャラルホルン様にエンヴィ様!……少し厳しい戦いでしたが、もう大丈夫です」

 

 七支刀を探し飛んでいる間に、キャンプ地を見つけた。ヴェルドレやフリアエ達連合軍の部隊がそこで休んでいたところを強襲されたのだろう。

 エンヴィの一撃で、弓兵の多くが巻き込まれ死んだ。しかし隊長格と思われる赤い重装兵の部隊と、軽装の一般兵達が押し寄せる。

 投げた黒奏槍は回収せずに、一度エンヴィは二人の元まで戻ってくる。それからギャラルがカイムから借りていた草原の竜騎槍を渡す。

 

「あの鎧は?」

 

 まだ赤い鎧の兵とは戦っていなかったエンヴィが、二人に質問する。

 

「あいつらは魔法を弾くわ。エンヴィにはあまり関係ないかもだけど」

 

 この場のキル姫三人の中で、赤い鎧の影響を受けるのはギャラルだけ。しかも相手が重装兵の場合はどうしても相性が悪い。ギャラルが七支刀に目配せをして、赤い鎧の兵を任せることを伝える。

 

「なるほどです。だから子供だけ……」

「子供?子供がどうかされましたか?」

 

 なぜ突然子供という言葉が出てきたのか分からないギャラルと七支刀はぽかんとする。

 そんな二人を無視してエンヴィは走り出す。遅れて七支刀も向かい、ギャラルは残った弓兵を潰すために神器を担ぎもう一度空へ向かう。

 一般兵はだいたい剣を持っており、リーチでまさる槍を持ったエンヴィの方が相性がいい。剣を振られる前に槍を突き出し、反撃させずに一撃で沈黙させる。防ごうとする者もいるが、軽装の兵では分が悪いのか防ぎきれずに殺されるだけ。

 真っ先に前線へ来て大暴れするエンヴィを止めるべく、刺突で対応されないように囲もうとする。そうして視線から外れた七支刀は重装兵を倒すために通り過ぎていく。

 七支刀に突破されないように、生き延びた弓兵が狙おうとするが、空から飛んでくる魔弾で吹き飛ばされてしまう。そうなれば七支刀を止められるものはおらず、無謀にも止めようと突っ込んでくる一般兵も神器で薙ぎ払われる。

 牽制され動けなくなったエンヴィだが、槍を砂に突き刺し力を使う。氷が広がっていき取り囲んでいた兵士たちを凍らせてしまう。そして、炸裂。氷と共に彼らの身体も砕け散っていく。

 二人のキル姫が現れて、途端に戦線がひっくり返されてしまい焦る指揮官部隊。先程までの七支刀は力を使いすぎないように抑えて、なおかつ防衛戦に専念していたから突破されなかったのであり、同等の実力者が二人も現れて抑える必要はなくなったらこうなるのも当然ではある。

 しかし、指揮官部隊は撤退はしない。いや、出来ない。なぜならばそういう指示ではないからだ。彼らとて赤目の病のせいで天使の教会の傀儡になっていることに、違いはない。

 ものすごい勢いで突破してくる七支刀を迎え撃つために構えるが、一人が彼女の持つ武器の刀身が回転していることに気がつく。それは風を起こし砂を巻き上げ、小さな竜巻へと変わっていく。

 それが持つエネルギーは魔力の類ではない。そうなれば赤い鎧もただの鎧でしかなく、衝撃に備えるべく全力の防御姿勢を取る。……しかし、突き出された竜巻に巻きこれた鎧は破壊され、肉を裂き、ぐちゃぐちゃに破壊され死体に変わるだけだった。

 

 七支刀が全力の攻撃を放ったあと、エンヴィは壊れた鎧の破片を拾う。そうして先程考えた予想が的中していることを察する。

 

「それで、子供がどうというのは……?」

 

 無視された七支刀が、もう一度投げる。なぜか他の人より冷たい態度を取られていることには気がついているが、それでめげるような性格でもない。……気にはするが。

 

「これ、エルフの血です」

「えっ……?」

「そういうこと、ね」

 

 二人の元近くに降りてきたギャラルも、一つ納得をする。

 海の神殿を破壊するのに使われたエルフはみな子供だった。ならば大人のエルフはどうなったのだろうか?その答えがこれだ、ということ。

 つまり、エルフを一人とて守ることは出来なかった。アリオーシュも含めて、大切なものを帝国軍に全てを奪われてしまったのだ。

 

「子供から魔力を絞り、体積のある大人からは血を絞る。実に効率的ですね」

 

 吐き捨てるように皮肉を吐くエンヴィだが、やはり気づいていないのは彼女だけだ。その様子に七支刀も少し驚く。

 

「エンヴィ様は、そういうことを気にしないお方だと思っていました……」

「?」

「だから、道中でも話したでしょ?エンヴィは優しい人だって思うわ」

「はあ」

 

 やはり納得はしていないエンヴィだが、とりあえず三人はキャンプの無事を確認するためにそちらへ歩きだす。海の神殿が破壊されてしまったという、残念な報告も七支刀にしておいて。

 空での戦いの決着もつき、赤いドラゴンの影が彼女達にも見えてくる。急がないといけない時ではあるが、連戦の疲れを取るべく一夜の休みを取ることにした。

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