ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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ギャラルホルンは、来るハロウィンに向けて準備を行っていた。同時に、発生する魔獣を始めとした小さな異変が彼女の周りに起きていた。

彼女はまだ、これから起こる運命を知らない。


ギャラルホルンの希
第1節 歪み


 ギャラルは上機嫌に、鼻歌を歌いながらとある町を歩いている。一見その町は普通の小さな町、いや間違いなく特別なことのない小さな町。

 けれどもハロウィンの日だけ、その町は特別な町へと変わる。それは死者と会うことが出来る、不思議なハロウィンが行われる町。

 その主犯とも言えるギャラルは、近づくハロウィンへと活気づく町を楽しそうに歩いていた。ただし行き先は……警備の兵士たちがいる宿舎だが。

 

「こんにちは。今日も来たわよ」

「おお、来たな。……早速やるかい?」

 

 警備ということだけあり、彼らは屈強な肉体を持った青年の集まりである。そんな彼らに会う用事がギャラルにはあった。

 

「ええ。稽古、お願いね」

 

 稽古。なんの稽古かと言われれば……剣だ。

 それはある日、彼女が突然宿舎にやってきて頭を下げお願いをしたのだ。キル姫としての力ではなく、他にも皆を守れる手段が欲しいと。

 当然彼女には神器ギャラルホルンとその力があり、それは一般人が持つことは出来ない強大な力だ。そんな彼女のお願いに困惑した彼らだが、毎年世話になっている彼女への恩返しも兼ねて付き合うことにしたのだ。

 その結果、ギャラルはそれなりの剣術を覚えてきている。しかしそれなりでは満足のいかない彼女は、可能な限り来て稽古をしてもらっていたのだった。

 

 数刻が経ち、稽古は終わる。木刀のぶつかり合う音を聞きながら、稽古をしている様子を見ていた者もいた。

 しかし、ギャラルは足音に気がつく。それはドタドタと急いで走っている様子だ。そして直後、バンと勢いよく扉が開かれた。

 

「大変だ!魔獣が大量に現れてる。急いできてくれ!」

「魔獣が?……みんな、急いで支度をしろ!」

 

 途端に慌ただしくなる。そしてギャラルも当然とばかりに一緒に準備し始める。止めようとする者もいたが、正直彼らよりも強いし、何よりこういう時のための稽古なのに止めてしまっては意味がないから、素直に行かせることにする。

 ギャラルは移動しながら思案する。どうして魔獣がいるのか?と。

 そもそもラグナロク大陸に、魔獣だの異族だのといった外敵は存在しないのだ。しかしそれが発生しているのもまた事実。

 ただ噂は聞いたことがある。"ゆらぎ"という現象が起こると、そういった者たちが現れるという噂だ。詳しいことは知らないが、そういうことが起きていると思うしかないのだろう。

 

 少し離れた所にある森に到着すると、悪魔型の魔獣と衛兵が交戦をしていた。しかし魔獣は空を飛び自在に距離を操り、不意打ち気味に斧を振る。

 その様子を見たギャラルは勢いよく飛んでいき、よそ見をしている魔獣を斬り裂いた。身体が真っ二つになったかと思えば、そのまま消滅していく。

 ギャラルを始めとした増援のおかげで戦場は持ち直していく。だからこそ油断してしまったのだろうか、それともあまり慣れていない剣での戦いだからだろうか、背後から狙おうとする魔獣の気配に気がつくのが遅れる。

 

「……!?」

 

 咄嗟に剣で防ごうとするも、弾き飛ばされてしまう。そのまま次の一撃を放とうとする魔獣だったが……横から飛んできた斧が直撃し霧散する。

 斧が飛んできた方向から更に人影。その人物は勢いよく飛んできて、投げた斧を回収する。

 

「さて、何やら大変なことになってるみたいだね?」

「……パラシュ!?どうしてここに!?」

 

 それはキル姫の一人、パラシュ。ギャラルの友人の一人であり、更にはここの警備隊の元隊長。理由あって離れていたはずなのだが、そんな彼女が現れたことに仰天する。

 

「説明は後だ。みんなも鍛錬を怠ってないだろうな?」

「はい!こんなやつらけちょんけちょんに……!」

「さっきまであんな苦戦してたのに、いい調子じゃないか?」

 

 突然の乱入者のお陰で士気も上がっていく。ギャラルが剣で戦っていることに疑問を覚えつつも、パラシュが先導し魔獣を殲滅していく。

 この世界は平和だ。だからこそ見る機会のなかったパラシュの戦いぶりに感動と憧憬を感じつつも、ギャラルもまた剣を振る。自分もそうやって戦えればいいなと思ったからこそ、剣を教えてもらったのだ。

 

 戦いは終わり、見張りを残しつつ一旦帰っていく。道すがら、パラシュとギャラルは久々に再開した友人同士の会話を楽しんでいた。

 

「それで、どうして帰ってきたの?」

「どうもこうも、ハロウィンが近いじゃないか。そのために休みももらってきたんだ」

「今はどこで働いてるの?」

「超オカルトバスターズ……名前はもう少しどうにかならなかったのかと思うけどね」

 

 また変な所で働いてるんだなーとぼんやりと考える。いや、ほんとに何なんだろう超オカルトバスターズって。

 

「ハロウィンが片付いたら、君も来ないか?面白い人ばかりだよ」

「……へえ」

 

 パラシュは理想を重んじる性格だ。理想を持ちひたむきに努力をする人が好きだ。

 そんな彼女が気に入る場なのだから、どんなところなのかな〜とちょっと想像しようとして、やはり分からないなと考えるのをやめる。オカルトバスターズとか言うのだから、オカルト関係なのは違いないはずだけど。

 

「それより、魔獣なんか出ているが……"ゆらぎ"が起きているのかい?」

「知っているの?」

「ああ。お陰で大変な目にあったよ。新しい発見もあって悪いことではなかったけどね」

 

 楽しそうに話すパラシュを見て、本当に楽しいことがあったんだろうなと伝わってくる。こちらで起きている"ゆらぎ"とやらも、面白いことをしてくれればよいのだが、残念ながら起きていることは魔獣の出現ばかりだが。

 この町のハロウィンは割りと有名で、ハロウィンを体験するためにやって来る観光客も多い。死者との再開なんて他の場所で体験なんてすることは出来ない不思議で楽しい出来事、興味を持ってくれる人が沢山いてくれて素直に嬉しい。

 しかしよりによってそんな時期にこんなことが起き始めてしまったのだ。こればかりはかなり困った。

 

「何か原因は分からないのかしら?」

「キル姫を中心に起きる現象のようだね。君以外に滞在しているキル姫はいるかい?」

「うーん……いたかしら?」

 

 少なくともギャラルは見た覚えがない。小さな町とはいえ、人々の往来をすべて把握しているわけでもなし、しかも全てのキル姫と顔見知りかといえばそんなこともない。

 つまり、分からない。

 原因の調査にパラシュも付き合ってくれることになったのだが、とりあえず日も落ちてきた。今日は一旦ここまでにしようと別れることになった。

 

 ……しかし、ギャラルはずっと気がついていた。何者かがつけていることに。

 明かりの少ない裏路地に誘導し、その人物へ声をかける。

 

「誰なの?隠れているのは分かっているわ」

 

 そうして出てきたのは……?

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