ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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荒野を進んでいき、雪が降り積もり始めるが、その最中にドラゴンはカイムの過去を知る。
更に進もうとするカイムだが、セエレが止める。あそこで僕の妹がいなくなったと。


第四章 背反
第五節 セエレの妹


 荒野が雪に覆われていく。カイムたちが進む先は、荒野というより雪原と言ったほうがいいだろう。

 しょせんは亜人、ドラゴンの翼から逃れることはできない。ハンマーを構えたオークが立ち向かってくる。カイムもまたオーク共を殺すためレッドドラゴンから降り剣を構える。本来カイムより体格がよく力がありそうで、数も多いオークの方が圧倒的に有利のはずだがそうはならない。元々かなりの剣の技量を持っていて、しかもドラゴンとの契約で更に強くなっているカイムの敵ではない。

 オークの群れが、死体の山へと変わったあとにギャラルや七支刀、ヴェルドレなどの他の者も追いついた。

 周りに敵がいなくなったからか、レッドドラゴンはカイムへと声をかける。

 

「おぬしの両親は……ドラゴンに?」

 

 イウヴァルト襲撃の際、カイムがブラックドラゴンに襲われているレッドドラゴンを見たときに想起していたのだ。ブラックドラゴンに襲われ、目の前で殺されていく両親の姿を。

 レッドドラゴンはそれにより、カイムの両親がドラゴンによって殺されたことを知ったのだ。

 カイムの忠臣たちはともかく、それ以外の人は初めて聞く話だ。両親の仇であるドラゴンと、同じ個体ではないにしろ契約しているという事実に驚く者もいる。

 

「……よし、帝国領土へ急げ。女神もきっとそこにいる」

 

 聞きたいことを聞けたからか、進軍を再開すべく急げと言う。

 

「カイム、もしかしてあの黒いドラゴンが仇なの?」

 

 イウヴァルトが襲撃したときの、カイムの反応を思い出していたギャラルは尋ねた。その言葉にカイムも小さく頷く。

 親友と仇が契約し、カイムの前に立ちふさがっている。それを何とかできる術はないのかと思案するが、都合よく答えが思い浮かんだりはしない。ありえるとするならば、彼らよりも先に司教を捕まえることだろうか。

 考えるギャラルを置いて進もうとするカイムへと、セエレが立ち塞がった。

 

「あそこ!」

 

 遠くに見える谷を指さしながら彼は言う。

 

「あそこ!僕の妹がいなくなっちゃった谷だよ!」

 

 しかしカイムにとって彼の妹の安否など興味はない。そんなことよりもフリアエ……自分の妹のことが心配なのだ。

 やはり無視して進もうとするカイムへ、ギャラルが声をかける。

 

「カイム、待って。カイムはフリアエのことが心配なんでしょ?ならセエレが妹を心配する気持ちも分からない?」

 

 その言葉に、無性に苛つきを感じたカイムは反論しようと振り向き、肝心の言葉が出ないことに気がつく。

 そして、その言葉に苛ついた理由が正論であるからということにも気がついてしまう。

 

「ねえ、お願い!マナの手がかりが何か残っているかも!!」

 

 必死に懇願するセエレだが、それでもカイムは行こうとしない。確かにマナはセエレにとって大事な妹かもしれないが、カイムにとっては赤の他人だからだ。

 

「テンシノキョウカイ……ノ……テガカリ、モ………」

 

 ゴーレムがセエレの助けをするために、言葉を発する。それは単に情に訴えるものではなく、カイムにも理のある行動だと諭すためのもの。

 

「確かに、司教の手がかりが見つかるのなら悪くないのかもしれませんね」

「エンヴィ、まだあなたはマナを司教だと」

「そう都合よく、同じ名前で、天使の教会に携わる人間がいるとは思えませんが」

 

 セエレの妹、マナを天使の教会の司教だと思っているエンヴィと、それを認めていないレオナールが一触即発の空気になる。

 七支刀が二人の間に入りながら、一つ気になっていたことをセエレへと聞いた。

 

「その、マナ様はあの谷へ行ったのですか?たった一人で?」

「……う、ううん。お母さんが……とにかく!あの谷でいなくなったんだ!!」

 

 答えづらそうにして、しかも露骨に話を逸らそうとする。アンヘルは何があったのかを察するが、合ってるとも限らないし重要なことでもないのであえて指摘はしない。

 ギャラルもまたその違和感には気がついたものの、その理由までは分からなかった。

 

 なんかもう行く空気になっているし、今更止めようとしたところで行くのだろうとカイムも諦める。

 確かに面倒だが、天使の教会の手がかりが掴めればそれはそれで悪い話ではない。

 カイム達の足は谷へと進んでいく。

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