ありがとう、みんな!
それから僕達は妹のマナを探していたんだけど、その時に空から敵がやってきたんだ。
気をつけて!
戦闘の気配を察知した帝国の部隊が上空へと来ていた。敵を殲滅するために、カイムとギャラルはアンヘルと共に空へ行く。
「こやつらはどこにでもわいて出てくる。小蝿のようにうるさい奴らだ」
帝国の小型兵器がズラリと隊列をなしているが、アンヘルの放つ魔法で次々と撃破されていく。
数だけ多い雑魚など、アンヘルの敵ではない。ギャラルも援護のためにカイムと一緒に来たつもりだったが、この様子では何もしなくてもよさそうだ。
しかしどれだけの数を用意しているのか、本当に数だけは多いが。
一旦敵は全滅し安全を確保できた地上では、ぽつりぽつりとセエレは自身のことを語り始めていた。
「妹のマナは母さんによく叩かれていたよ……マナだけ叩かれていたんだ。いつも……」
「マナだけ、ですか」
妹だけ虐待にあっていたということだ。逆に言えばセエレはそれを見ていただけということになるが、こんな子供ではそれをどうにかできる力なんてないのかもしれない。
「僕は母さんに叩かれなかったぶん、マナの分まで苦しまなくちゃ。 ね?」
「セエレ……そんなに自分を責めてばかりいてはよくありませんよ」
自身を責めているセエレを止めるために、優しく声をかけるレオナール。そこに他意はないだろう。
「なるほど、だからマナを助けることに執心してるんですね」
「エンヴィ様、あまりそういうことは……」
「はぁ〜くっだらねえ!そんなくだらない理由のためにこんなことつきあわされてんのかよォ!まあある意味あんたも同じかもな、ギャハハハ!」
あまりセエレによい感情を抱いてない二人は、セエレの言動に呆れ煽る。ある意味同じと言われたレオナールも、贖罪のための戦いなので似たような立場なのは否定しないが、それとこれは別だと憤る。
「セエレの妹を救いたい気持ちには嘘偽りはありません。なのに……」
「本当にそうですか?妹を助けて、勇者になって。自分が救われたいだけですよね」
「違うよ、僕は本当にマナを助けたいと思っているんだ。僕が助けないと、僕が……」
その間もセエレを食べれないかなと様子を見ているアリオーシュはともかく、一触即発の空気になってしまっている現状に七支刀はオロオロする。レオナールとセエレを庇わないといけないのは分かるのだが、セエレの勝手な自己満足につきあわされていると感じている二人を説得できる言葉も思い浮かばない。
しかし幸か不幸か、その喧嘩はやめざるを得なくなる。敵襲だ。
所詮雑魚の集まりとはいえ、あまりの数に時間を取られてしまう。更にはガーゴイルも混ざってきたので、早く殲滅するためにもギャラルが援護を始めたその頃、カイム達に声が届く。
『カイム!地上にも敵がいるよ!気をつけて!』
あの面子なら、急がなくてもやられることはないだろう。しかし、自分が戦いに参加するためにも急いで空中の塵どもを殲滅することにする。