ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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僕、セエレ。

妹のマナを探して、谷の深い奥地に来たよ。
でもなんだかゴーレムの様子がおかしいんだ。
だめだよゴーレム、しっかりして!


第3節 友へ

 再び探索を続けるカイム達だが、彼らの耳に聞き慣れない声が届く。崖の中を反響する声は、帝国の魔術師のものだろうか。

 それと同時に、ゴーレムが苦しそうにうめき始めたのだ。

 

「ンガー、セエレ、シヌ、ハ、イケナイ」

 

 頭を抱えて身を揺らし、セエレから距離を取るように後退りをする。

 

「ん……ゴーレム?どうしたの?」

 

 ゴーレムの異様な様子に流石に違和感を感じたセエレは彼に訊ねるが、頭を抱えたままうずくまり答えようとはしない。

 

「ねえ、この声は?」

「付与魔術師の呪文だ。岩陰にでも隠れておるのだろう」

 

 ギャラルの疑問へとアンヘルが答える。ということは、つまり……?

 

「セエレ!ゴーレムのそばにいっては危険です。彼はもう……今までの彼ではない!」

 

 何が起きているのかいち早く理解したレオナールは、セエレに慌てて声をかける。

 つまりだ、帝国の付与魔術師共がセエレのゴーレムを操ろうとしているのだ。セエレの強さの十割がゴーレムにあると言っても過言ではないので、彼を無力化するのは判断としては正しい。

 

「……そんな!」

「ウゴゴゴガガガガガガ……」

 

 レオナールの言葉で、セエレも状況を理解する。しかし苦しそうにするゴーレム、彼の友達を見捨てるという選択を取ることはセエレには出来なかった。

 

「僕だよ。セエレだよ!ゴーレム、しっかり!!」

 

 直後、ゴーレムの拳が勢いよく近くへ振り下ろされる。その衝撃でセエレは吹き飛ばされ倒れてしまう。ゴーレムの意思がなければ、今頃セエレはぺしゃんこになっていただろう。

 見ていられないと飛び出そうとする七支刀だが、エンヴィはその手を掴む。

 

「離してください!助けないと、セエレ様が!」

「……まあ、痛い目見たほうが自分の立場を理解出来るのではないですか」

「………ふーん」

 

 相変わらず毒を吐くエンヴィだが、ギャラルはその態度から一つ察してその場に留まることを選んだ。

 

「ンガガガガ……セエレ、クルナ」

 

 ゴーレムも友人を殺したいとは思わない。セエレがこちらに来てしまえば、また攻撃をしてしまうのではないか、自分の意思で止めることはできないのではないかと思い、こちらへ来ないように必死で警告する。

 しかし、それでもセエレはゴーレムの元へ進んでいく。大切な友人のために。

 

「僕を……殴っていいよ。いっぱい、殴っていいよ。ゴーレム!僕を殴れ!!」

「だっせー!友達ごっこか?フヒャフヒャ」

「あっ、危ない!」

 

 ゴーレムの拳が再びセエレへと振り下ろされる。セエレがなんとか躱し直撃は免れたものの、再びその衝撃に晒されたセエレは地に伏せる。

 これは死んだのでは?食べていいのでは?そう思ったアリオーシュが、よだれを垂らしながらいち早くセエレの元へ向かうが、ゴーレムが彼女を指で弾きながらセエレへ覆いかぶさった。

 

「セエレ!セエレ!?」

 

 心配そうにセエレの顔を覗き込むゴーレムへと、ゆっくりと目を開きながら口を開く。

 

「よ……かった……いつものゴーレムだ。僕の……友達」

「何が起こったのですか?ゴーレム様はどうして正気に……」

 

 元通りになったゴーレムと安心するセエレ。彼らを見て困惑する七支刀に、アンヘルが答えた。

 

「ショック療法だ。契約相手の身体を傷つければ、己も傷つく事になる」

「エンヴィ様は、これを?」

「……偶然ですよ。私も契約者ではありませんし」

 

 エンヴィは知らんぷりといった顔で目を逸らしている。その態度が、彼女の言葉が本音なのかどうかをわかりやすく語っていた。

 そんな中、せっかくのご馳走を逃したことに不満げなアリオーシュが呟いた。

 

「ふん、つまらないわね」

 

 ゴーレムが正気に戻り一件落着したが、まだ付与魔術師は近くにいるのだろう。気を取り直して探索を再開するためにもアンヘルが仕切る。

 

「付与魔術師は隠れるのがうまい。ギャラルの耳ならば奴らの居場所が分かるか?」

「響いてるせいで分かりづらいけど、やってみるわ」

 

 ギャラルに従いカイム達は進んでいく。その道を阻むのは、帝国の魔獣使いだった。

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