ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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第6節 迷走する行き先は

 一週間ほど経過した。魔素とは何なのか、その研究は少しずつながらも進んでいた。

 

「魔素は微粒子だったんです。これは凄い発見ですよ」

「微粒子とな?」

 

 ロジェが嬉しそうに報告をしていた。一週間の間に判明した、一番重要な事実。

 

「要は小さな粒です。それが肉眼だと分からないほどには小さいですが、形があるなら出来ることも増える筈です!」

 

 なるほどそれは大きな進展だ。しかし、みんなの反応がイマイチなのを見てロジェは困惑する。なんというか、それでどうなるのかという点が見えて来ないのである。 

 

「しかしその目に見えぬ粒を集めるのにも限度はあるな」

「そこを考えるのはこれからだろう。何もないよりかは間違いなくいいんだ」

「いや〜バッと袋に詰めたり出来ない?」

「世界中に散らばってるのをどうやって集めるのよ」

 

 流石にその場で都合よく案が浮かぶでもない。とりあえず解散となりアンヘルとカイムは宿から出ていく。

 

『お前は知らなかったのか?』

『お互い様だろう』

 

 魔素とは何なのか。二人共そこまで強く意識して使っているわけではない。大気中に当たり前に存在している魔力の源であって、それ以上でも以下でもない。

 二人が街から出ていくと、またレギオンがやってきていることに気が付く。神が対策を取られることを恐れているのか、或いは単に大きな街だから目立つのか、何度目かも分からない襲撃。

 カイムは笑みを浮かべて走り出す。何度目かも分からない殺戮が膜を上げる。

 

 改めてロジェと情報を共有したイチイバルだが、少しずつ焦りを感じていた。確かに大きな一歩を踏み出すことが出来たのだが、その間にも白塩化症候群に陥った者は沢山いる。この街だけでもそう認識出来るのだから、世界単位で見ればもっと多くの人が犠牲になっているのだろう。

 その焦りが判断を急かしすぎたか、イチイバルはギャラルを呼び出していた。

 

「それで、どうかしたのかしら?」

 

 また外へと呼んでいた。ただ今回は完全に日が落ちる前だったが。

 しかしギャラルの様子に何処か違和感を覚える。そわそわしているようにも見えるし、何か覚悟を決めたような顔にも見える。

 

「これはもしもの話だ」

「ふーん?」

 

 もちろん確定したわけではない。あの二人を、排除しないといけない可能性があるというだけの話だ。

 しかしその可能性がある以上、二人と仲の良いギャラルへ黙り続けるのもよくないと感じた。

 

「魔素を無くすために、カイムとアンヘルの二人を消さないといけないとしたら、君はどうしたい?」

「……消すというのは、帰ってもらうということ?」

「あー、いや、なんて言えばいいのかな」

 

 ロジェとミュルに共有したあの日から、ずっと話すべきなのかは考えていた。そして決めたんだし、ズバッと言うべきなのは分かる。

 けれど、中々簡単に言えることでもない。

 

「……殺さなければならないとしたら、だ。あくまでもしもの話だしいきなりのことだ、無理して返事しなくても」

「ううん、もしそうならね」

 

 イチイバルの弁解の言葉を切って、ギャラルが答えようとする。その瞬間、イチイバルには嫌な予感しかしなかった。みんなを幸せにしたい、悲しみを終わらせたい、その考えが原動力な以上、世界の人々を見捨てるかカイム達を見捨てるかというまるでトロッコ問題のような二択には悩むと思った。だからこそ今言わなくてもいいのに早めにその可能性があることを伝えたかったし、悩める時間を作ろうとした。

 しかしだ、まだイチイバルが話終わらない極僅かな時間で結論を出したとしたら。それは、どちらに転んでも良いことにはならない、そう感じた。

 

「ギャラルはカイムとアンヘルを選ぶわ。まあでも、もしもの話なのよね?怖いこと聞かないでよ」

「あ、ああ……」

 

 にひひと笑う彼女の表情はいつも通りだったが、だからこそイチイバルは言いしれぬ不安を抱え込むことになった。

 

 翌日、ミュルが起きると枕元に一枚の紙があることに気が付く。そこには一言、『カステラありがとう』とだけ書いてあった。

 何だこれはと思い首を傾げながら、ついでに周りを見渡すと誰もいない。特段ミュルが早起きということもないので、別におかしな光景ではないのだが。

 適当な弁当を取り朝食を食べて、それから外に出る。まあとりあえずギャラルと合流しようかな〜と散策しようとして、見つけたのはイチイバルである。

 ……ただ、何か様子がおかしい。

 

「どしたの?」

「ああ、ミュルか。ギャラル、カイム、アンヘル。誰でもいい、見てないか?」

「いや〜?今起きたばかりだし」

 

 走り回ってきたのか、汗を拭いながらイチイバルは質問してきた。何か伝えることでもあるのかな〜と悠長に構えていると、イチイバルが言った。

 

「三人とも、逃げ出したかもしれない」

「は?」

 

 突然のことに、ミュルは固まった。そりゃ固まるだろう、あまりにも脈絡がないのだから。

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