ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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「さあさあ始めよう、喜劇的な物語を」
「さあさあ終わらせよう、悲劇的な物語を」
「幾度の可能性の先にあるのは絶望かな」
「長い旅路の終わりにあるのは希望かな」
「「さあ、物語の続けよう」」


第6章 weight of the world
第1節 解決策


 ……イチイバルが、二人をジッと見る。

 

「誰に話しているんだい?」

「気にしないで。これも私達の役割だから」

 

 マナナンが笑う。マクリルが頷いて同意する。問題は、何故この二人がいるのかという点だろうか。実のところ、それはさしたる問題ではない。

 天使の教会との戦いの後、教会の中から二人がひょっこり出てきたのだ。どうやら教会の中に捕まっていたらしい。更に裏側への入口出口を開かされていたようだ。

 

「でも、これで出来るかもしれない」

 

 パラケルススが言う。今、元コマンドキラーズ達の家に集っているのは、カイム、アンヘル、ギャラルホルン、七支刀、イチイバル、ミュルグレス、ロジェスティラ、マナナン、マクリル、パラケルススの計十人。流石に狭いが、パラケルススはここでないと駄目と言うのだから仕方がない。

 

「まず一つ、わたくしがここならば神からの影響を受けない理由は分かった」

「じゃないと残った意味ないもんね〜」

「……原因は、ずばりアンヘル、君だよ」

「どういうことだ?」

 

 アンヘルは珍しく首を傾げる。アンヘルが特に何かしたわけでもないので、当然理由は分からない。

 

「どうやら一言で魔素と言っても、全てが真同じではない。神が何処からか送ってきた魔素と、アンヘルから出ている魔素は僅かなながらも違う性質を持つようだ。そして君がここで暮らしているからこそ、この家の中は君の魔素の方が多く占めている」

「つまり、神の魔素をどうにかすればいいんだね」

「……でも、見分けは付くのでしょうか?」

 

 かなり大切な情報だが、やはり根本的なことは変わっていない気がする。結局、神の魔素への対処法がなければ変わらない。

 

「そもそも、神の魔素って何処から来たの?誰か知ってる?」

「それなら、知ってるよ」

「うんうん、よく知ってる」

 

 答えたのは、意外にもマクリルとマナナンの二人だった。

 

「やはり、そうなんだね」

「そう、大半は裏側から来たんだよ」

「私達が出したんだ」

 

 あっさりと語られた衝撃の事実に、予想通りだったパラケルスス以外の視線が二人に集まる。

 

「待って、大半は?なら残りはどこなの?」

「それなら君達三人の方が覚えがあると思ったけれど、違うかな?」

「……アレか」

 

 パラケルススの言葉に、アンヘルが理解する。君達三人、つまりカイム達に覚えがあると言うのなら、もうアレしかないのだろう。

 三人がこの世界へ帰還した時に戦った、あの強大な"敵"。神側の産物だろうし、崩壊した際にばら撒いたと考えれば不自然ではない。

 

「もしかして、あの……何ていうのかしら?」

 

 ギャラルも遅れてその答えに辿り着くが、さてなんて表現したものか。言葉が出てこないせいで固まる。

 

「なるほど、あの像のことだね」

 

 それからイチイバルも、二人が何を言いたいのかを察する。イチイバルはアンヘル達と"敵"の異次元の戦いを目撃していた。

 ただ、"敵"という先入観がないからか、或いは遠目だったからなのか、像という呼び方を思いついたのが二人との違いだ。

 

「なら、新しく神の魔素が増える可能性は低いですよね」

「裏側の魔素も、そいつの魔素みたいだけどね」

「ほう?」

「異世界との繋がりが出来たから、本来裏側になかった可能性が出来た。だから裏側に神の魔素が出来た」

「神はそれにいち早く気がついて利用した。捕まるとは思わなかったよね」

 

 さらりと語るマナナンとマクリルだが、イチイバルは渋い顔になる。裏側に存在しているのならば、また揺らぎで裏側が開いた時に流れ込んでくる可能性があるのではないかと考えたからだ。

 

「じゃあ繫がりってやつをなくせば神の魔素もパッと消えたりしない?」

「それは難しいだろうね。ここにいるカイムとアンヘルや、持ち込まれた武器、そして白塩化症候群の患者やレギオンと山のようにある。しかも、ギャラルと七支刀、ここにはいないがエンヴィもあちらの世界に行ったことある事実も繋がりと呼べるはずだ」

「そう都合よくはいかないか〜。面倒だね」

 

 名案だと思ったけどな〜と呟きながらミュルは適当に寝っ転がる。まあ頭いいやつ何人もいるし、自分はそこまで考えなくてもへーきでしょと思考を放棄し始めていた。

 

「マナナン、マクリル。君達が裏側から魔素が来ないようにすることは出来るかい?」

「そこまでしなくても、自然に大量に流れてくることはなさそうだよ。実際そうだったし」

「関係する揺らぎが起きたら、ありえるかもだけど」

「なるほどね」

 

 ならば、とりあえずはその点は気にしなくていいのかとイチイバルはほっとする。

 

「二人に確認したい。裏側は今、異世界と繋がっているか?」

「うんうん。道が出来てるね」

「エンヴィさんを送ったのも、裏側を通してだからね」

「やはりか」

 

 パラケルススはこれまた想像通りだったと頷く。それなら神の魔素を、どうにかする方法はある。

 

「そうか、魔素を異世界に送り返すつもりだね?」

「ああ。具体的な手段は考えないといけないが、決して不可能ではない」

「……我の魔素と神の魔素を分けなくても、まとめて送ってしまえばいいのか」

 

 この場で賢さトップ3になっているだろう三人が、話し合い始める。なんか仲間外れにされているような、いらないと言われているような不快感にギャラルは少しだけ眉を潜める。

 

「なんか纏まってるみたいだし、ミュルは休んでくるね」

「ご飯の用意しますので、皆さん少し待っててください」

『……素振りでもしてくるか』

 

 もうこの場にいなくても大丈夫だろうと感じた面子がリビングから出ていく。

 ギャラルもふああと大きな欠伸を一つ。ギャラルがもっと賢ければ、話に入れたのかなと思いながらもリビングから出て自室に向かう。

 それは疎外感から来るのか、劣等感があるのか。自分でも処理しきれていない感情がもやもやとしていたが、本格的に世界を救う手立てが見えてきているのは素直に嬉しいことだった。

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